NARUTO-カルタ外伝- 転生者の独擅舞台《チーターライフ》   作:新名蝦夷守

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032.口寄せの術 超絶怒涛

 

 八門遁甲・第七驚門の開放と、それから雷遁・纏の肆式。

 

 尋常ではない力と引き換えにオレの体力がガリガリと削られていくのがわかる。

 

 もう、この境地になると変に術を発動させるより自分の肉体を使った方が威力が高いし、早い。

 

「うぉぉぉぉぉ!!!」

「ウキキィーッ!」

 

 直接的な、直線的な、直情的な。一発だった。

 

 右ストレート。

 

 全身全霊を込めたその一発は、尾獣四尾である孫悟空を後ろに吹き飛ばすには十分な威力だった。

 

 孫悟空が吹き飛ばされていくと同時に大規模な自然破壊も行われる。孫悟空が吹き飛ばされる前にはあった青々と生い茂っていた森林がそのあとには抉り飛ばされ土が剥き出しになってしまっている。

 

「すげぇ力だ。尾獣を真正面からぶっとばせるだけのパワーがあるなんて・・・」

 

 オレに吹き飛ばされた孫悟空は少し背の高い山にぶち当たったところでようやく止まった。

 止まったのだが、その小高い山は完全に崩壊している。

 

 うぐぅ・・・という、うめき声が孫悟空の口から発せられる。

 

『かかっ。おまえ様よ、四尾を一発で伸してしまうとはもはや人外の域じゃな』

「おい、人を非常識の塊みたくいうなよ」

『いやいや、尾獣と互角に戦える時点で人間としてはおまえ様はもう既知の外にいる存在じゃよ。まさしく既知外(キチガイ)。じゃな』

 

 ひどい飼い猫だ。ご主人様をそんなふうに思っているだなんて。

 

「俺は怒ったぞ!!小僧ッ!!!」

「もう少しダウンしとけばいいものを」

「死ねッ小僧!!!熔遁・大噴火ッ!!!」

 

 巨大な溶岩(マグマ)の塊が孫悟空の飛ぶ拳が如く飛来してくる。まるでロケットパンチのようだ。そのわりには周囲に与える被害が大きいが。

 

 オレに向かって飛来しながら、その溶岩の拳の熱で周辺の木々に火がついて森林火災となっている。

 

「んなもん当たるかよッ」

 

 飛来してくるそれを余裕をもって回避する。そして回避すると同時に孫悟空に接近。

 

 顔面目がけて左のアッパーカット、右のストレート。

 

 今度は孫悟空の身体の下に潜って上空へと蹴り上げる。

 

 そんなに浮かび上がりはしなかったが、宙に浮かび上がった孫悟空の上へと影舞葉(かげぶよう)を使って瞬時に移動。

 孫悟空が受け身や防御態勢が整う前に一気に畳み掛けるッ!!

 

 全身のチャクラを右脚に集め、それを全身をフルに使って振り下ろす。

 

 地面に叩き付けられた孫悟空は大きなクレーターを作りながらまた地中深くに埋まる。

 

 オレはその場でただチャクラを圧縮し具現化させただけの(たま)を。チャクラ玉やチャクラ(だん)ともいうべきチャクラの塊を連続で撃ち放つ。

 

 その多くは孫悟空に着弾するが、外れたものは近くの地面を抉り大きな土煙を発生させている。

 

 そんな中、大きな土煙の中から突如尾獣玉が飛んでくる。

 

「っち・・・あと何発殴れば降参するんだ?100発か?1000発か?」

「そんな何度も何度も殴られてたまるかッ!熔遁・大噴火流星群ッ!!!」

 

 先ほどの巨大な溶岩(マグマ)の塊が今度は弾幕を張るようにして襲ってくる。それを矛として、また盾にしながら地面から孫悟空が飛び出てくる。

 流石にこれを直撃するわけにはいかない。

 

 回避一択だ。

 

「こっから先は一方通行だ」

 

 反撃の余地すら与えさせないッ!!

 

《多重影分身の術》

 

 ドバババババッ!!と、空を覆い尽くすのではないかという数を一度に出現させる。

 その数はもう何千という桁ではなく万単位の実体を持った分身体。これだけの数であればすでに数の暴力。尾獣である四尾孫悟空とて脅威でしかない。

 

 勝利を確信した、その時だった。

 

「うッ!?」

『おまえ様!?』

『主様ッ!!』

 

 それは唐突で、突然で、急に来た感覚だった。

 

 その感覚の名は痛み。全身が全方向に引きちぎられそうな感覚。本体のオレはもちろん、影分身体である数万のオレたちに1人の例外もなくその苦痛は襲ったらしい。

 そしてオレが出した影分身体は1人残らず、煙と化した。一瞬で無へと還った。

 

「ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・」

 

 痛みは残るし、息切れ動悸、頭痛に吐き気までしてくる。

 

 八門遁甲は勝手に閉ざさるし、纏も肆式どころか壱式、つまり通常の纏すらも切れた。

 

 フラフラと地上へと高度を下げていく。

 

「なんか知らねぇが墓穴掘りやがったな?さっきまでの威勢の良さが欠片も残ってねぇぞ!!」

 

 オレと孫悟空の立場が逆になった。狩る側が狩られる側へ。

 そこからは孫悟空の猛攻がはじまった。それこそ一方通行だった。

 

 溶岩の塊が飛んでくる。尾獣玉が飛んでくる。

 

 何個も。何個も何個も何個も、オレに向かって飛ばされる。

 オレはそれをフラフラになりながらも直撃は避ける。直撃は避けるがその爆風やら衝撃波までは避けきれていない。派手に吹き飛ばされ、地面を転がる。もしかしたら孫悟空がオレの避けられるギリギリのところを狙って撃っているのかもしれない。完全に弄ばれていた。

 

「くッ・・・。ちっくしょう・・・」

『おまえ様、これはかなり不味い状況なのではないか?』

「・・・見りゃわかるだろ」

 

 

 

 オレは、いままでにないほどの窮地(ピンチ)に陥っていた。

 

(とど)めだ!死ねッ!小僧!!!」

 

 完全に地面に倒れ、動きの止まったオレに近づく死の足音。

 

 四尾孫悟空の熔遁を纏った拳がもう目の前に迫っていた・・・

 

 

 


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