NARUTO-カルタ外伝- 転生者の独擅舞台《チーターライフ》   作:新名蝦夷守

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033.口寄せの術 四尾封印

 四尾孫悟空が直接、自分の手で決着(カタ)をつけようとオレに接近してくる。

 

(とど)めだ!死ねッ!小僧!!!」

 

 人は勝利を確信したその時、一番の隙を見せる。

 

 孫悟空は無策でオレに突っ込んできた。オレが弱ってもう反撃能力は皆無だと考えて。

孫悟空は熔遁を纏って自分自身の拳で突っ込んできた。オレが弱ってもう抵抗能力は皆無だと侮って。

 

《魔幻・枷杭の術》

 

 写輪眼の瞳力。

 それは眼と眼が合っただけでかけられてしまう幻術。

 オレの幻術瞳力はまだそれほど高くはない。原作のうちはイタチのような月読(つくよみ)や、原作のうちはシスイのような別天神(ことあまつかみ)といった万華鏡写輪眼に宿った強い幻術は使えない。

 それにうちはマダラのようにチート掛かった尾獣を写輪眼で操れるわけでもない。そんな写輪眼の使用センスがずば抜けて高いわけではない。

 

 だが、相手が尾獣だとはいえ一瞬でも動きを止めることくらいはできるッ!

 あの八尾牛鬼にだって通じたんだッ!!

 

「ッ!?」

「孫悟空。オレを甘く見るなよ・・・」

 

 通常使用する、十二支の印とは違う羽衣一族にのみ伝わる特殊な印を結ぶ。

 

六道(りくどう)の六十一ッ!!」

 

 羽衣一族の中でも純粋な羽衣一族の血筋であり尚且つ、高い適性がなくてはならないという、長い羽衣一族の歴史の中でもほんの一握りほんの一部の者しか扱うことのできない秘伝中の秘伝。

 

《封印術・六杖光牢(りくじょうこうろう)

 

 六つの帯状の光が胴を囲うように突き刺さり孫悟空の動きを封じる。

 既に孫悟空に瞳力でかけた幻術は自力で解かれたが、次は物理的に動きを止める。

 

 だが、その拘束を無理矢理に解こうとして孫悟空は暴れる。

 

 それを見たオレは、更に拘束を重ね掛けにする。

 

六道(りくどう)の六十三ッ!!」

 

《封印術・鎖条鎖縛(さじょうさばく)

 

 太い鎖がまるで蛇のように、意思を持っているかのように孫悟空の身体に巻きつき更に動きを封じ込める。

 

 しかし、それでも先ほどよりは抵抗が出来なくなったとは言え、もがいている孫悟空がいた。

 

 そして総仕上げとも言うべきラストを決めるッ!!

 

六道(りくどう)の七十九ッ!!」

 

《封印術・九曜縛(くようしばり)

 

 孫悟空の周り縦方向に八つ、胸に一つの黒い玉のようなものを出現し今度こそ完全に、完璧に動きを縛る。

 いままでずっと封印術に抵抗をし、暴れていた孫悟空の動きがピタリと止まった。いまはもう指一本、眉毛少しすらも動かすことが出来ない。

 

「ぐぬぬ・・・」

「どうだ?舐めてかかった小童に生殺与奪を握られる感想はよ。あ、そっか。今は喋れすらしないのか」

 

 どうして猿飛一族の忍猿の口寄せの術で四尾の尾獣である孫悟空が呼び出されてしまったのか。それはわからない。

 原作でもまだこの時期、この時代だと岩隠れの里の老紫という人物が人柱力として孫悟空のことを体内に封印していただろう。

 

 それなのに口寄せで呼び出してしまったということは、この世界ではもう老紫は死んでいるのだろうか。

 まさか、オレが口寄せで孫悟空を呼び出したことによって人柱力である老紫から尾獣である孫悟空を引きずり出したことになって死んだということはないだろう。

 ということは、四尾孫悟空は人間からの支配から逃れていた野良の尾獣だったということなのか?

 

「まぁ、そういう細かいことは追々聞くとするか。オレも立ってるだけでキツイし」

 

 最初はというか、本当はというか。本来なら今は口寄せの術で呼び出した忍猿と戦って正式な口寄せの契約を結ぶところだったのに、なんで尾獣を封印することになってしまったのだろうか。

 

 バババッと、これまた羽衣一族にしか伝わっていない特殊な印を結ぶ。

 

「んじゃ、孫悟空・・・またな。又旅と重明と仲良くしてくれ」

 

 オレのその言葉にこの後、自分にどういう運命が訪れるのか。それを悟ったらしき孫悟空はより一層拘束を解く努力をする。

 が、びくともしない。

 

『嫌じゃ嫌じゃ。この空間に暑苦しい奴が来ては困る!』

「うるせーよ。同窓会でも開いてろ」

 

《羽衣式封印術・尾獣封印》

 

 孫悟空のチャクラが、そして身体が吸い込まれるようにしてオレの身体に入ってくる。

 

 今回は左肩だった。

 

 封印の術式がぼわっと皮膚に現れ薄く発光する。

 このじわっとした痛み。火傷した時のような痛み方にも似ている。

 

 チャクラの塊とも言うべき尾獣。四尾孫悟空はそれから1分もしないうちに地上から消え去った。

 オレの精神世界へと封ぜられたのだ。

 

 こうして今回の騒動は収束するのであった。

 

 

 

 

 

 今回の後日談的な話。

 

 オレは孫悟空との戦闘から1週間後、木ノ葉の里へと帰還していた。

 

 え、サボってたんだろって?

 ・・・そんなわけあるわけないだろ。

 

 そりゃ、ちょっとくらいは外に長居したけどさ。

 身体の回復に3日。気力の回復に4日。

 

 そういえば、半分以上はサボりだった。

 

「バカもん!!生きていたなら連絡くらいなぜ寄越さぬッ!!」

 

 そして、ひょっこり火影様の執務室に顔を出したら怒られた。

 

 まさかこんなに怒っているとは。

 もちろんその後には、写輪眼のことも洗いざらい話したし、今までなんとか隠していた七尾重明のことも吐いたし、今回戦った四尾孫悟空のことも吐かされた。

 尾獣を己の身体に3匹も封印してなんの暴走も起こさないことにはクエスチョンマークが浮かんでいたが。

 

「いや、四尾は今もぼくの中で暴れまわっています。ただ、二尾と七尾に制圧されてますが」

 

 火影様はオレと二尾・七尾にそこまでの協力関係があったことに驚いているらしく、それからもオレの精神世界に閉じ込められている四尾孫悟空の状況を事細かに説明したのだがどうやら耳に入っていないようだった。

 

 とりあえず、今回得た教訓はオレが口寄せ動物を欲したら四尾孫悟空という大物を釣り上げてしまう。ということだった。

 

 よし。次はマイト・ガイに忍亀との契約書をもらいに行こう。

 

 

 

 あ、いや。三尾の亀を狙ってっていうわけではないぞ?ほんとに。まじで。

 

 

 


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