NARUTO-カルタ外伝- 転生者の独擅舞台《チーターライフ》   作:新名蝦夷守

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今回は、チートキャラといえば!でお馴染みのアレが発動します。


では、どうぞー


046.雨に蠢く闇の住人 其の拾参

 瞳から流れ落ちるは雨か、涙か。

 

 はたまた、その両方か。

 

『バカ者。そのどちらでもないわ』

 

 血じゃ。と、精神世界から語りかけてくる又旅。

 

 あぁ、そうか。派手に返り血浴びたもんな。

 

 それが見開いていた目に入り込んでも不思議じゃないか。

 

 そういえば初めての殺しをしたときも《千鳥》で、返り血を全身に浴びたんだっけか。そんときはオビトもジュウも心配してくれてたんだよな。そしてそのあと、又旅と重明も励ましてくれたんだっけ。

 

 なんか、遠い昔のような感覚だな。

 

『アホ!返り血が目に入った?そんなんじゃないわ!良く自分の眼に意識を向けよ!開眼したんじゃよ!開眼してしまったんじゃよ!』

 

 万華鏡写輪眼が!という又旅の声はどこか他人事のように聞こえていた。

 

 

 

 ジンが殺さ(やら)れた。

 それを横目で確認したダンゾウは三十六計逃げるに如かずと言わんばかりに大きめの風遁の術を大蛇丸に対して牽制として放ち、その術で大蛇丸から目隠しをしている内に遁走に入る。

 

 ダンゾウの遁走をサポートしていた2人の暗部が大蛇丸の手によって殺められたときにはダンゾウの姿はそこから消え去っていた。

 

 

 

「万華鏡写輪眼?開眼?オレが?そんな・・・バカな」

『信じたくないのであれば信じなくとも結構じゃがの。おまえ様がいくら否定しようと事実は事実。変わりはせんぞ。ほれ、試しに右眼のピントをあのデカイ山椒魚にでも合わせてみよ。右眼に宿った瞳力がどんな能力かくらいわかるじゃろうて』

 

 うむ・・・。たしかに一理あるな。もし本当に万華鏡写輪眼をオレが開眼しているんだとしたら何か起こるだろう。そしたら、援護射撃にもなるし一石二鳥かもしれない。

 

 よし。駄目元でやってみるか。

 

 そして両眼でピントが合わないように(どちらの眼でピントが合い術が発動したか分からなくなるから)左眼を閉じ、右眼を見開く。

 

 そして右眼に宿った能力を発動させる意志をもって、半蔵の相棒である大きな山椒魚にピントを合わせるっ!

 

 

 

 俺が口寄せし、上に乗っていた猛毒持ちの大山椒魚であるイブセが突然足元に現れた沼に囚われた。その沼はただの沼ではなく底の無い黄泉沼のようでもあり、そして何より沼から生える腕によってズブズブと引き摺り込まれている。

 

 潮時か。

 

 その様子を見て俺はそう感じた。

 

 これ以上の時間稼ぎは反撃の機を待つだけの価値はない。逆に追い込まれ殺されるだけだろう。

 

 俺はこんなところで死ぬ器ではない。木ノ葉のダンゾウも逃げたようだし、俺もそろそろお暇するとしよう。

 

《瞬身の》

 

 術。と術を発動する寸前に自分の意思とは関係なく敵に急接近してしまう。

 

 どうなっている?

 

 まるで敵に吸い寄せられるようにして、あたかも敵が惑星の中心であるかのようにして、半蔵は今まで感じたことのない力で引き寄せられる。

 

 そしてそのまま。

 

 赤髪の男、長門が持つただのクナイの先端に吸い込まれるようにして自分の心臓が突き刺さる。

 

 そのとき見た男の両眼は波紋のような紋様を持ち、薄い紫色をしていた。

 

 もしかして俺は伝説上の存在。輪廻眼と対峙していたのか・・・。

 

 そのような思いを最期に半蔵の意識は黄泉へと堕ちていった。

 

 

 

 オレが半蔵の口寄せ動物である大山椒魚を捕縛したことにより、半蔵自身に隙が生まれ最終的には長門の手にかかり戦死した。

 

 え、オレの右眼に宿った能力って泥遁なの?めちゃくちゃダサくないか?

 万華鏡写輪眼を本当に開眼していたという実感よりも、正直落胆の方が大きいかもしれない。

 

 いや、もちろん泥遁だって使い方によっては充分強いんだけどさ。

 

 でも、原作で万華鏡写輪眼といったら天照や月読、別天神や神威といったすごく強くて尚且つかっこいい術の宝庫だろ?

 

 かなりショックだわ。絶望したと言っても過言ではないね。

 セーブポイントからやり直したいレベルだ。

 

 この状況を精神世界から見ていた又旅たちも何も言わないところを見ると、こんなはずでは・・・今はそっとしておこう。とかなんとか思っているんだろう。

 まったく、余計なことを。

 

 あいつらには今回もまた心配と迷惑かけちまったし、ここは泥遁でもいいからかっ飛ばしてお礼の大活躍でも見せつけてやりますかね。

 

 ダンゾウは逃走し、半蔵は殺害された。

 2つの敵対集団の頭がそんな状況だから、敵はもう戦意は決して高くない。ただ後は自分が殺されたくないから戦っているだけの状況だ。

 

 これなら、泥遁で一斉に拘束して一気に戦意喪失させて最後に念のため写輪眼の瞳術で眠らせれば万事解決するだろう。

 

 そう考えたオレは雨隠れの忍びやダンゾウ子飼いの暗部衆の中でも動きのいい奴を数人ピックアップして、右眼の万華鏡写輪眼の瞳術を発動させる。

 

 ピントが合い、瞳術を発動させたその瞬間。

 泥遁の黄泉沼が敵の足元に出現し、その中から腕が出てきて敵を締め上げる。なんてことはなく、複数本のレーザービームが敵を貫いていた。

 

 えっ・・・なんで?

 

 隣で戦っていた仲間の雨隠れの忍びやダンゾウ子飼いの暗部は突然仲間が倒れたことに動揺を隠せない。

 それどころか敵として戦っていた『暁』の構成員やカカシ、天間、コロウといったメンツでさえも突然のことに驚きを隠せていなかった。

 そして、多くの目が唐突に命を奪ったレーザービームの発信源であるオレに向けられる。

 

 えっ・・・オレ?

 

 と、言わんばかりに手と首を横に振るが、疑惑の眼差しは余計に強くなる。

 

 参ったなぁ。

 

 結局、オレの万華鏡写輪眼(右眼)に宿った能力は分からず仕舞いか。

 でもまぁ、とりあえずここを締めるのが先決だろう。

 

「双方!矛を収めよッ!!」

 

 この場全体へと響き渡る声量でそう叫び、万華鏡写輪眼第3の能力である《須佐能乎》を発動させる。

 初めての経験ということもあり、制御は完璧とは言えず、巨大な“がしゃどくろ”といった具合のものしか出せなかったがそれだけでも大きな効果を得られた。

 

敵は皆、ポーチを外し投げ捨て、両手を挙げて無抵抗のポーズをとる。

 

「無駄な抵抗をしなければ命までは取らない!逆に『暁』の構成員と言えども無抵抗の雨忍、ダンゾウの部下に狼藉を働いた者はタダじゃおかないからな!!」

 

 こうして。

 

 この度の戦闘は終結を迎えたのだった・・・。

 

 

 




新名蝦夷守です。こんにちは。

次回、『雨に蠢く闇の住人』編。完結です。

明日も投稿しますよー


みなさん、次回もどうぞよろしくおねがいします。ではでは



突然Q&A

おい、万華鏡写輪眼なんで開眼してんだ?
→許せサスケ。ご都合主義だ。

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