NARUTO-カルタ外伝- 転生者の独擅舞台《チーターライフ》   作:新名蝦夷守

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祝50話!!


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では、つづきです・・・


050.チームワーク

 行軍途中、遭遇した岩隠れの忍びは3人。

 

 ただし、実体を持った分身体も含めるとそれ以上か。

 

 カカシがカルタと同じ《千鳥》を右手に発動させて、敵に単身突撃する。突撃するたびに、煙と共に敵が消え去る。

 

「また影分身かッ!」

 

 敵もただじっとしてやられているわけではない。

 

 クナイや手裏剣を投げ妨害したり、カウンターを狙ったり、3人の内ひとりはいつの間にかその場から姿を消している。

 が、そのことに俺も含めて誰も気が付いていない。

 

 それが、俺たちの重大なミスだった。

 

 カカシの戦闘に魅入っていた俺とリン。

 そこに魔の手が伸びる。

 

「きゃぁっ!!!」

 

 リンが拐われたのだ。

 

「「リンッ!?」」

 

 リンの悲鳴に気を取られたカカシの動きが鈍る。その一瞬の隙を見逃さなかった敵のクナイがカカシの目に刺さる。

 

「うぐっ・・・」

「カカシ!右目がっ!!」

 

 俺がそう叫ぶが、カカシはアドレナリンが分泌されているのか、そこから一歩も引くこともなくそのクナイを右手の《千鳥》で弾くとそのまま敵の心臓を一突きする。

 

「うぉぉぉぉ!!!」

 

 カカシの貫いたそいつは今度こそ本体だったようで、カカシの右腕が突き刺さった胸部から血が溢れ出す。

 それと同時にまだ残っていた分身体が一斉に煙となって消え去った。

 

「マヒル!!」

 

 と、敵の1人がカカシに殺された人物の名前であろう固有名詞を叫ぶ。

 

「心臓を一突きだ。奴はもう助からねぇ・・・放っておけ。だが、こいつは預からせてもらう」

 

 だが、もう1人は冷静だった。

 そいつは忍術でいつの間にか姿を消していたかと思えば、リンのことを拐っていき、いまは姿を現していた。その腕の中にはぐったりとしたリンがいる。

 

「くそっ!リンッ!!」

「待てッ!!」

 

 そして3人のうち岩隠れの忍びの生き残った1人がリンを抱きかかえ、もう1人が目隠しの煙玉を投げてから逃走する。

 

 ちくしょうッ・・・。

 

「ちくしょうがァァァ!!!」

 

 俺はリンを助けるため、岩忍を追うために駆け出す。

 

「待てッ!オビト!奴らを追うな!!」

 

 そんな、俺を制止する声が後方のカカシから飛ばされる。

 

「なんだと!てめぇ、今何言ってんのか自分でわかって言ってんだろうなっ!?」

「あぁ。俺の右目の治療が終わり次第、このまま2人で任務を続行する」

 

 カカシは右目の止血をしながら、そう言い放った。

 

「んなっ!?」

 

 俺はその何の慈悲も無ければ感情もない言葉に絶句する。

 

 こいつ、本当に人間か?

 無感動無感情無関心なロボットじゃねぇか。

 

 それを知ってか知らずかそれは分からないが、カカシは持論を続ける。

 

「リンは幸か不幸かと言うべきか、不幸中の幸いと言うべきか医療忍者だ。敵の負傷者を治療することを条件に手厚く保護されるだろう。よってリンのことは後回しでも問題ない」

 

 だが、とカカシは言う。

 

「それよりも問題なのはこちらの神無毘橋破壊工作の作戦が漏れることだ。この情報が洩れれば敵はその橋周辺の警備を強化するだろう。そうなれば任務遂行は劇的に厳しくなる。俺たちのこの作戦が成功しなければ戦争は長引いて更に死傷者犠牲者は増えることになるだろう。それはどうしても回避しなければならない」

「そんなの!!仮定の話だろッ!?そんなんでリンのことを見捨てるのかッ!?」

 

 俺はカカシに食ってかかる。胸ぐらを掴みながら目を覚まさせようとするが、カカシの冷めた表情は変わらない。

 

「見捨てるとは言っていない。ただ、俺たちのすべきことの優先順位を考えて少し後回しにするだけだ」

 

 なんでわかんないんだよ・・・。このわからず屋が!!

 

 リンは医療忍者だから無事ってのも机上の空論かもしれないだろうが!!

 

 それに掟やルール以上に大切なものってあるだろッ!!

 

「・・・。もういい、俺ひとりでリンを助けに行く」

 

 そう言った俺の言葉にカカシは、俺が隊長だ。とか、隊長の決定には従うのがルールだ、掟だ。従わない奴はクズだ。とかほざいているが、そんなこと知ったことか。

 

「確かに、忍びの世界でルールや掟を破る奴はクズ呼ばわりされる。だがな、俺は“白い牙”を本当の英雄だと思っている」

 

 仲間を大切にしない奴は、ルールや掟を破るやつ以上のクズだ。

 

 そう言い残した俺は岩隠れの忍びが走り去ったであろう方向に向かって走り始めた。

 

 待ってろよ・・・リンッ!

 

 今、助けに行くからなっ・・・。

 

 

 

「・・・はぁ」

 

 その場に残されたカカシはリンからもらった医療パックから塗り薬と包帯を出して刺された右目に応急処置を施しながら、ため息をついていた。

 

「俺、間違っているのかな・・・父さん」

 

 そんな普段なら絶対に言わない問いかけを死んだ父に問いかけてしまうくらいには感情は揺れていた。

 

「確かにこの場でリンを助けに行くことは局地的な面で見れば先生も言っているチームワークになるのかもしれない。でも、それは視野狭窄というものだろう?」

 

 カカシの思考は続く。

 

「もっと俯瞰的、大局的に里の仲間たちのことを考えたら、今ここで敵の後方支援の要となっている橋を破壊することこそが本当のチームワークだと思うんだけど・・・違うのかな」

 

 そう悩んでいるうちに右目の応急処置は終わっていた。

 

「・・・よし。行くか」

 

 

 




外伝、もうしばらくお付き合いください。

では、また明日です!

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