NARUTO-カルタ外伝- 転生者の独擅舞台《チーターライフ》   作:新名蝦夷守

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出勤前に投稿します。

お待たせいたしました。つづきをどうぞー


059.五尾争奪戦 其の伍

「八尾がサビのキラービーだぜ♪俺様今日も最高♪絶好調♪ア!イエェ!ウィィィィィィィィィィィ!!」

 

 頭上からの不意打ちで、煙と化した悟空がオレの精神世界(なか)に戻ってくるのがわかる。

 

 どうして雲隠れがここにいるのかは知らないが、面倒なことになったな・・・。

 

 そう思いながら、八尾牛鬼の完全体となったキラービーを睨みつける。

 

 どうやら前回戦ったときよりもあちらさんも成長しているみたいだな。

 

 完全なる尾獣化をしても人柱力であるキラービーの意識がはっきりしているようだ。

 

 こりゃあ、こっちも全力で迎え撃たないとマズイかもしれない。

 

 そう感じたオレは八門遁甲を限界の第七驚門まで一気に解放し、雷遁の纏も限界である肆式を展開する。

 

 薄紫がかった稲妻(スパーク)が敵を威嚇するように轟音を立てる。

 

「又旅、重明、悟空。ここはオレがやる。お前らは支援(サポート)だ」

『仕方がないの』『御意』『了解(Yes,my lord)ッ!!』

 

 ・・・。

 

 なんかふざけた返事が聞こえたな。しかも無駄に発音が良かった気がする。戦闘(これ)が終わったら一発殴ってやる。絶対に。

 

 右腕には又旅の蒼炎、左腕には悟空の熔遁を纏い、背中から生える重明の六枚翅は一枚一枚のサイズが通常の倍になる。

 

「さぁて」

 

 八尾牛鬼キラービーと五尾を鋭い視線で睨みつけている瞳が既に発動していた写輪眼からその更に上位の瞳力を持つ万華鏡写輪眼へと変化する。

 

「こっから先はオレの独擅舞台だ・・・」

 

 その口元。口角はこの後に起こる死闘を予感してか、楽しそうにつり上がっていた。

 

 

 

 

 時間は少し遡る。

 

 カルタが祠の下に広がる地下空間に入ったころ。

 

 雲隠れのキラービーとその護衛小隊であるサムイ、マブイ、ダルイの4名は土の国の領土である陸地へと無事に上陸を果たしていた。

 

「やっと上陸ッスねー」

「ダルイのせいで疲れたわ」

「俺はサムイのせいで怠かったッスわー」

 

 こうしてまた口ゲンカを始める2人。

この最早、見慣れた光景に何の感想も抱かないキラービーとマブイ。

 最初の頃はキラービーが下手くそなラップで茶化したり、マブイが「それくらいにしときなって」と、止めに入っていたのだが今は完全にスルー。

 景色の一部となっている。空気の扱いといってもいいかもしれなかった。

 

 マブイが先ほど船上で止めに入ったのは、ただ単に、本当に船の上で暴れて欲しくなかったという一心からの行動だったのだ。

 

 そんな緊張感のないことをしつつも、今回の任務である岩隠れの保有する五尾を秘密裏に強奪するため八尾の人柱力キラービーと愉快な仲間たちは行動を開始する。

 

 そして行軍を開始してまだ大した時間も経たないうちに1度目の地震が起こった。

 

 一瞬だったが揺れの起こる数秒前に強いチャクラを感知した一行はそのチャクラの発信源の先に五尾の人柱力がいることを予感して行軍スピードを上げた。

 

 1度目の地震から十数分後。

 2度目の地震が起こった。

 

 それと同時に遠くで白い巨躯が暴れているのが見える。

 その間、絶え間なく土埃、土煙が舞い、大地も揺れる。

 

 それが全身から溢れ漏れ出す禍々しいチャクラは尾獣のもの。

 

 自分たちが今、目視している白い巨躯をもつ怪物が五尾であることを確信した4人は更にスピードを上げる。

 

 そして起こるのは3度目の地震。

 

 その地震は、五尾の頭上に突如として現れたそいつが何の躊躇い、躊躇もなく何事かと顔を上げた五尾の顔面に全体重を乗せた拳を振り下ろしたことにより、五尾が地面にめり込む際の衝撃だった。

 

「あっ・・・ビーさん!!」

 

 マブイがそう名前を呼んだのが先か、それともキラービーが全力で跳躍したのが先か。

 今回は恐らく後者だったが。

 

 とにかく、マブイ他2名の護衛に何も告げずにキラービーはとびだした。

 

 つまり、護衛対象が独断専行の単騎突撃を行なったのだ。

 

 普通の護衛小隊であれば、慌てて呼び止めるなり追いかけるなりするところだが、この小隊は先程よりも少し行軍スピードを上げるに留まる。

 

 キラービーの自由奔放さというか、暴走癖は今に始まったことじゃない。

 

 つまり、彼らは慣れていたのだ。

 

 むしろ、これが彼らの中では普通。通常運行、通常営業といっても過言ではないかもしれない。

 

 本来、忍びの任務はチームプレイであるべきなのだが、彼らの高い任務遂行率と迅速さはキラービーのこの直感的行動があるから出来ているという側面もある。

 

 故に、雲隠れではキラービーとその護衛小隊にのみ許された方法、戦法でもあるのだった。

 

 そして、飛び出して行ったキラービーは五尾と五尾に攻撃を仕掛けた何かの上空で既に尾獣化をしており、そのまま重力に身を任せて下にいる2匹を押し潰していた。

 

「マブイ、ダルイ。私たちも行くわよ」

「えぇ」

「いや、俺らが今更行っても尾獣同士の怪獣大戦争に巻き込まれるだけッスよ」

 

 サムイの言葉にダルイは本当に嫌そうに、いや、怠そうにそう答えたが絶対零度な視線がサムイから送られる。

 

「そ、そーッスね。行きます、行きましょう、行かせてくださいお願いします」

 

 蛇に睨まれた蛙という表現が相応しいダルイは素早く前言を撤回し、上辺だけのやる気を見せる。

 それに対してサムイは何も言わずにジト目だけを向ける。

 

 そんな2人のいつも通りのやり取りをやれやれとマブイもまたいつも通り傍観者に徹している。

 

 3人がそんなことをしている間にも怪獣大戦争は第二ラウンドに突入しようとしていた・・・。

 

 

 




こんにちは。子どもが夜中に熱を出して寝不足気味な新名蝦夷守です。

お気に入り登録、評価。ありがとうございます。

次回!カルタVS八尾キラービーVS五尾です!

あれ?ひとり子どもが混じってるぞ?笑


更新にはお時間ください!!また次回もよろしくお願いします!評価、感想もお待ちしておりますー

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