NARUTO-カルタ外伝- 転生者の独擅舞台《チーターライフ》   作:新名蝦夷守

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約2ヶ月ぶりの投稿ですね。

お久しぶりです。新名蝦夷守です。

大変長らくお待たせ致しました。
内容をお忘れになった方は是非是非最初から読み直してくださいね。


062.五尾争奪戦 其の捌

 カルタがその場に残されている八尾牛鬼の右腕を一瞥し、その場を立ち去った後のこと・・・。

 

『ビー。今の完全にバレてたぞ』

 

 やれやれといった具合で諭すように語り掛ける牛鬼。

 

「ドンマイドンマイ♪結果オーライ♪」

 

 そんな心配をかけていた相棒に、いつも通りの明るさで答えるビー。

 それに対して、一つ大きなため息をつかざるを得ない牛鬼。

 

『・・・俺はお前のそのポジティブさだけは凄いと思うぞ。逆に感心する』

「八尾の尻尾(しっぽ)♪斬られて4本♪オウイエー♪」

『オウイエーじゃないだろ。俺の尾を簡単にズバズバ斬られやがってっ!!』

 

 その場に残された右腕の中で1人と1匹がそんな会話をしていたとか、していなかったとか・・・。

 

 

 

 一方の五尾穆王の相手を任された又旅は嬉々として暴れまわっていた。

 

「かかっ。やはりこれじゃのう!これじゃのう!!妾には血の滾る死闘(これ)が必要じゃわいッ」

 

 そう言って高笑いをしながら。

 

 気軽に。身軽に。軽快に。まさに猫の如く右に左に自由自在に(というよりはむしろ自由気ままにと言ったほうが的確かもしれない)移動しながら、尾獣玉と共に楽しそうにその言葉を吐く又旅はその場を完全に支配していたわけではない。

 

「人間に飼いならされて鈍ってるんじゃないですか。家猫さんッ!!」

 

 むしろ押していたのは五尾穆王の方だった。

 

 この戦況が生みだされているのは策を講じているということなどでは無く、単純明快な力押し。そうは言ったものの穆王の誇るその馬力は計り知れない。

 そもそも一発喰らったら煙となって無力化されてしまう又旅は攻撃を受けることは出来ないし、そのリスクがある無茶な動きは出来ない。

 

「それにいつからその変な口調になったのですか?二尾。もしかしてそれも人間に影響されてるのでは」

 

 そう言って力任せに又旅に向かって突進を繰り返す五尾穆王。

 

「変な口調とはなんじゃ!変な口調とはっ!!お主こそ気持ち悪い吐き気がするほどの丁寧口調のほうが変じゃわい!」

 

 そう言い返しながら、穆王の突進を回避して逆に爪撃を喰らわせる又旅。だが、穆王にダメージはそこまで通っていないようだった。

 

「かかっ。相変わらず鋼みたいな筋肉じゃのう。イルカなのか馬なのかよくわからん姿の癖に」

「ふん。個性があると言いなさいッ!!」

 

 ついに穆王の頭突きが又旅に炸裂する。

 穆王が又旅に触れたその瞬間、又旅の姿が陽炎のようにぶれる。

 

 そして確実に()った感触を得ていた穆王が火だるまとなった。

 

 全身を焼かれている穆王が千里先にも届く叫び声をあげる。

 

「かっかっかっ!ざまぁないのっ!!」

 

 それを見てケラケラと笑い転げる又旅。

 

「どうじゃ?貴様がコケにする人が作った術で倒される気分はッ!これは陰遁影分身というらしくてな。貴様が先ほど頭突きしたのは妾の分身じゃ。妾のカルタはすごかろう?」

「な、何故ッ!!」

 

 陰遁影分身とは、言わば幻の影分身で通常の分身の術に一番近い。

 より正確にいうと本体の近くに実体のある幻影を見せ、相手を困惑させる幻術系の忍術だ。

 又旅は穆王が陰遁影分身に頭突きした瞬間に自分の分身ごと炎で燃やし尽くしたのだ。

 

「何故二尾が忍術を使えるッッ!?」

 

 確かに尾獣は印を結ぶ忍術は使えず、自身の固有技や尾獣玉しか使えない。

 だが又旅の頭上には、原作で我愛羅が尾獣化し一尾守鶴を呼び出したときのようにカルタ(影分身)の上半身だけが出ていた。

 そしてそのカルタが印を結んで又旅の術の発動を補助していたのだった。

 

「かかっ。人間を下等生物と見下している貴様には理解できぬじゃろうが・・・」

 

 これが(尾獣)カルタ(人間)のコンビネーションじゃよ。と、踏ん反り返りながら(これは比喩表現だが)続けようとした又旅だった。 

 

 が。

 

 有効打を受け、怒り心頭の穆王による尾の薙ぎ払いによって言葉を発する間もなく。それ以前に油断をしていた又旅は避ける動作を瞬時にできるわけもなく。

 

 綺麗に頭部に直撃し、煙となって消え去った。

 

「フンッ・・・バカ猫めがっ」

 

 自身とその自信(プライド)を傷つけた又旅を一撃で葬り去ったことにより、多少は溜飲が下がったのか穆王の顔から笑みがこぼれた。

 

 

 

 

 

 そしてカルタはというと。

 

 対八尾戦を終えて重明の頭へと騎乗し(むしろ蟲に乗っているから䗁乗(きじょう)か?いや、ただ虫偏にしただけだけど)、又旅が相手をしている五尾の元へと向かっていた。

 

 遠目でもわかるほどの戦闘を繰り広げていた尾獣という名を持つ2匹。

 その戦闘の呆気ない終わり方までも見えていた。

 そしてそれと同時に又旅がカルタの精神世界へと強制送還されてくる。

 

『なんじゃ!あの馬イルカめッ!せっかく妾が気持ちよくなっていたところを』

 

 戦闘に負け、煙に戻され強制送還されてきた又旅は精神世界のなかで不満をぶちまけている。

 又旅がその不満を全身で表しているが如く暴れまわっている。それにつられて悟空も騒ぎ始めているためカルタの精神世界はいつも以上に騒がしい。

 

「なぁ重明。五尾との戦闘(これ)が終わったら又旅と悟空(あいつら)にお灸でも据えようかと思ってるんだけどどう思う?」

「我も同感である。あやつらは一回痛い目を見たほうがいいだろう」

 

 そんな会話をしながらも、1人と1匹の視線の先にはしっかりと五尾穆王を捉えている。

 

 五尾争奪戦も終盤戦。

 

 トーナメント最後の大一番は当然ながら決勝戦。

 

「さてと。飼い猫の仇討ちと行きますか」

 

 




改めまして新名蝦夷守です。

更新遅くなり心待ちにしてくださっていた皆様方ごめんなさい!

活動休止中だった間も評価や感想くださりありがとうございます!

これからも拙作をよろしくお願いします!

感想、評価、お気に入り登録お待ちしております!

では、次回はなるべく近々更新したいと思います〜

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