NARUTO-カルタ外伝- 転生者の独擅舞台《チーターライフ》   作:新名蝦夷守

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072.負の連鎖の終着点 中編

 第3次忍界大戦の終結。

 

 それは忍び五大国と呼ばれる強大な軍事力と広大な国土を誇る主要五か国が戦争を行っていた相手国との間に平和条約の締結か、もしくはその一歩先へと踏み込んだ同盟関係を結ぶことによって実現された。

 

 火の国と木ノ葉隠れの里だけに限って言うと今回の戦争終結においては、風の国・砂隠れの里と雷の国・雲隠れの里との間に正式に対等な関係での同盟関係を結び。

 早々に停戦条約を結んでいた水の国・霧隠れ里と最後まで戦争を戦い抜いた土の国・岩隠れの里とは停戦条約から一歩進んだ平和条約を締結したことによって終戦を迎えた。

 

 そして火の国の領土拡大は、この戦争の前期には林の国を併合し、南北に分けて統治。北半分を火の国・林藩として、南半分を火の国の大名家直轄地としたことと。

 他にも、もともと同盟国という名目で庇護下(半属国扱い)においていた火の国の北側にある田の国・湯の国。東の海上にある波の国。そして南側にある茶の国を平和的に併合し、それぞれ火の国の藩とした。

 

 第三次忍界大戦初期から末期まで、火の国・木ノ葉隠れの里、風の国・砂隠れの里、土の国・岩隠れの里という三大国間の衝突の舞台となった草隠れの里と草隠れの里を有していた国は支配階級の行方がわからなくなったことと国土の焦土化によって実質的に消滅。

 これにより、雨隠れの里を有する国が草隠れの里の南半分を併合。滝隠れの里を有する国が草隠れの里の北半分を併合し、それぞれ火の国の庇護下に入ることとなり、実質的には火の国の自治区として体制を変更した。

 

 他に原作と異なる国境線となったのは雷の国だ。

 雷の国は、雷の国から見て南西にある島国であった元渦の国全域と西の火の国との間にある霜の国東部まで領土を拡大。

 他三大国はこの戦争によって、原作通りの国境線まで勢力を進出させていた。

 

 

 

 終戦の日となった土の国・岩隠れの里との平和条約を締結した日から早三ヵ月。

 

 三ヵ月の間に多くの戦後処理を急ピッチで粗方を終わらせた木ノ葉隠れの里は、この戦争で多くの犠牲を払ったこともあり、戦勝記念と同時に自国、自里のために戦い散っていった英霊たちを弔うための式典が開催されていた。

 

 来賓として参加しているのは火の国の国主たる大名本人・・・ではなくその弟君。

 火の国の各藩の藩主たち。

 そして、火の国に庇護される形となり傘下に入った雨隠れ自治区と滝隠れ自治区の長。

 

 主催者側。つまりは木ノ葉隠れの里のトップは先日、代替わりが行われ現在は四代目火影となっている。

 それに伴って、各組織もトップだったり編成だったりが変わり、オレも役職を持っていたりもするのだが、それは今話すべきことではないだろう。

 

「次に雨隠れ自治区代表の弥彦殿」

 

 司会進行役をしているのは火影の職を辞して、今はもう先代となった三代目火影・猿飛ヒルゼン。

 三代目に促され、民衆の前に立つのは雨隠れ自治区のトップに若くしてなった弥彦。

 彼の一歩下がった両隣には輪廻眼の長門と独自の紙忍術を得意とする小南が護衛として寄り添っていた。

 

「この度の戦争で亡くなった全ての犠牲者の方々に祈りを・・・」

 

 その言葉と黙とうから始まった弥彦の話は、木ノ葉隠れの忍びである戦死者や他国の忍びである戦死者のみならず、一般の民衆がこの戦争では多く犠牲になっている現状を伝えることとなった。

 木ノ葉の民衆はその話に耳を傾けるとともに、その犠牲を最大限に無駄とすることなくこれからの平和を長く、できるものであるならば永久に続く努力をしていこうと決意するものとなった。

 

「私たち3名は、そちらにおられる四代目火影様に師事していたことがあったお蔭で、今この命があります」

 

 そう言って、白髪で長髪。遠目からでも大柄と分かる大男。自来也を見る。

 

 四代目火影は原作とは違い、波風ミナトではなく、その師であり伝説の三忍がひとりである自来也となっていた。

 きっとそのことも良いように作用して、雨隠れの里が自治区として火の国に加わったのだろう。

 

「四代目火影様が木ノ葉の長である限り、我々は安心して生きていけるでしょう。しかし、それに胡坐をかいていてはいけません。この平和を守り、維持するためには自国や自里のことのみを考えるのではなく、他国や他里、世界とともに協力していかなくてはなりません。そのためには対話が必要となるのです。そのことをよくわかっていらっしゃる火影様がいる限り、世界平和のため、我々雨隠れは火の国とそして木ノ葉隠れの里に惜しむことのない協力を致しましょう」

 

 この式典の式辞の中で、弥彦は雨隠れの中枢を担う人物、長門について輪廻眼の伝説とともに紹介した。

 

 赤髪の長門は初代火影、二代目を輩出した千手一族の遠縁。うずまき一族の末裔であると。

 そして、輪廻眼をもつ彼は六道仙人の生まれ変わりでもあると。

 

 それは火の国と木ノ葉隠れの上層部に向けたメッセージと捉えられた。

 要は、自治区の運営にあまりうるさく口出ししてくるなと。

 

 まぁ、そうとは知らない里の民衆はそんなすごい人が身内になるだなんて。と、興奮気味であったのだが。

 

 この式典で輪廻眼の長門が『うずまき』一族であるということが忍び世界へと一気に認知が広がり、その影響を受けてか忍界各地でうずまき姓復興の動きが始まったこともついでながら追記する。

 

 

 

 こうして火の国と木ノ葉隠れの里は復興への足取りを加速させていくのであった。

 

 

 


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