NARUTO-カルタ外伝- 転生者の独擅舞台《チーターライフ》   作:新名蝦夷守

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では、つづきをどうぞ。


079.水の国潜入任務 其の参

 オレはつい先ほど目的地・霧隠れの里へと到着したのだが、絶賛立ち往生中だった。

 

 門番をしている2小隊を目視で確認したあと、流石に正面突破は出来まいとぐるっと里の外周をまわることにする。

 

「あー。やっぱダメか」

 

 外周をまわりながら写輪眼を発動させて里を視るが、何重にも結界を張られていて見えない。

 パッと見て分かるのは、感知結界と視界妨害結界、防音結界あたりは張られている。これらを重ね掛けしているのと、他の効果のある結界も張っていることによって外からでは情報を得られないようにしているようだ。

 そして里全体を覆うように発生している霧にはチャクラを込められているのが分かる。人為的な霧だった。

 

 もし仮にこの霧が雨虎自在の術のような探知能力のある術だったとしたら、里の周りでうろちょろしているオレの存在に気づいていることだろう。

 言うなれば、霧虎自在(むこじざい)の術・・・とかね。

 

「さぁて。本格的にどうすっかな」

 

 ただ単純に里の中に入るだけなら、座標天身の術で簡単に侵入できる。

 確実に敵の侵入に気づいててんやわんやになって迎撃されると思うが。

 

 そういえば・・・原作では霧隠れの里では一族単位での反乱が幾度となく起こっていたという描写があったような。気がする。

 違ったかな。

 

 そんな曖昧な原作知識を活用することにしたオレは、とりあえず今回は霧隠れの里内部へと侵入することを諦めた。

 

『なんじゃ。随分と簡単に諦めるのぅ』

「じゃあ前言撤回。戦略的撤退と言おう」

『また何時ぞやみたいにおまえ様の影分身を使って妾が尾獣化して里を襲うかの』

「そしてオレが霧隠れを救うってか?」

『まぁそういうことじゃの』

 

 今回、その自作自演は無しだ。

 最悪、雲と霧で戦争になる。そして雲は二尾が木ノ葉にあることを知っているはずだからな。木ノ葉も巻き込まれる。

 

「というわけで火種を燻ぶらせている忍び一族を探そう。そして反乱に乗じて潜入だ」

『かかっ。おまえ様もなかなかに(わる)よのぅ』

「・・・」

 

 ところで又旅さんや。最近は時代劇にでも凝ってるのかい?

 

 

 

 

 

 それから一月(ひとつき)も経たないうちに、そのときは来た。

 

「狙うは水影の首ただひとォォつ!!行けェェェ!!!」

「「「「「おォォォォォ!!!!!」」」」」

 

 霧隠れの里は険しい山間部にある。

 里の周りを山々に囲まれて、天然の要塞となっている。

 

「一気に駆け下りろッ!!」

 

 崖といっていいような。むしろこれこそが崖というような場所を一気に駆け下りる。というよりも最早、落ちる。

 

 その様子は日本史で言うところの“一ノ谷の戦い”。

 

 反乱側の第一陣が崖を下って里内へ侵攻を始めると突如巨大な爆発音とともに起こる大規模な土砂崩れ。

 第二陣、三陣はその土砂崩れによってある程度傾斜が緩くなった坂道を駆け下りて侵攻を開始する。

 

 その土砂崩れによって崖下にあった多くの家屋が飲み込まれた。

 遠目からではわからないが、そこに住んでいたであろう多くの人も巻き込まれていると思われる。

 

 里中心部に位置する水影がいるであろうと考えられる『水』の一文字が掲げられている立派な建物を目掛けて進撃を続ける反乱軍。

 

 当然ながら里側も即座に対応し、反撃に移る。

 里側は奇襲を受けているはずなのに余りにも対応が早かった。反乱軍側の情報が漏れていたのであったのならば、里内部への侵入侵攻を許すわけがない。

 となれば、この反乱への対応の速さは『慣れ』なのか。

 だとしたら、とても嫌な『慣れ』ではあるが・・・。

 

 それはともかく。里側の反撃が始まったことによって里内各所で激しい戦闘が繰り広げられていた。

 

 忍具が飛び交い、忍術が飛び交い、忍びたちも飛び交い、罵詈雑言が飛び交い、血も飛び交う。

 

 至る所に死体が生まれ、建物も無残な形となって崩れる。

 

 死体には戦闘には直接関係のない一般人も混じっている。

 

 子を守ろうと飛んでくるナニかから必死で子を庇った母がその子の前で息を引き取る。

 母を目の前で失った子どもは母の血で汚れながらも母を呼び、そして泣き叫ぶ。

 

 この現状はまさに阿鼻叫喚の地獄絵図。

 

 大戦が終わって尚、こんな光景を見ることになろうとは・・・。

 

 土遁の術で、土石流の中へと身を隠して霧隠れの里内へと侵入したオレはこの光景を眺めながら、そんな感想を持った。

 

 序盤、崖からの奇襲攻撃を仕掛けた勢いそのままに快進撃といっても過言ではない侵攻をしていた反乱軍だったが、時が経つにつれて徐々に組織力と総戦力量に勝る里側に形勢を逆転されてきていた。

 

「かくなる上はッ!・・・是非もなしッ!!」

 

 反乱軍を指揮する忍びは、信号弾を空高く打ち上げる。

 

「匠の里出身の我らを甘く見たツケじゃァァァ!!」

 

 濃霧によって遠くまでは見えないであろうと思われる信号弾だが、信号弾が上がった後、少しの間を開けて遠くから轟音が鳴り響いた。

 

「出てこぬなら、引きずり出して見せよう・・・ホトトギス」

 

 そんな一句を詠んだか、どうかはわからないが。

 

 轟音が鳴ってしばらくして。

 先程、土砂崩れが起こった山とは反対側に位置する山から『ドドドドドドドドドッッ!!』という激しい音とともに鉄砲水が、山肌を巻き込んだ土石流が霧隠れの里を飲み込んだ。

 

 先の土砂崩れとは比べ物にならないほどの規模。

 戦場となった里内部から逃げ遅れた一般人、里側・反乱軍側の忍びたち関係なく全てを飲み込んだその土石流は。

 

 反対側の地中に潜んでいたオレも例外なく巻き込まれたのであった・・・。

 

 

 




う、嘘をつくつもりはなかったんです。

ヒロインを出したい気持ちはあるんです。人一倍。


じ、次回こそは・・・ッ!!

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