NARUTO-カルタ外伝- 転生者の独擅舞台《チーターライフ》   作:新名蝦夷守

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やっと。やっと登場させることができました・・・。


081.水の国潜入任務 其の伍

 約3年前から姿が変わっていない少女との再会を果たしたオレだったが、如何せん名前が思い出せなかった。

 

「お前、ワタシと以前会ったことはないカ?」

 

 その少女は名前どころか、会ったことすらあやふやだったみたいだが。

 というか、そのセリフは一昔前にナンパ師が良く言っていたセリフだろうに。

 

 それはさておき。どうしようか。

 

 この場合、考えられる選択肢は2つだろう。

 

 1つは、完全にしらばっくれてその後バレないようにフェードアウトする。無関係無関心赤の他人ルート。

 もう1つは、お久しぶりです!ご無沙汰しております!その節はどうもありがとうございました!と言ってフレンドリーに昔話に花を咲かせて、霧隠れの里で動く際の後ろ盾、パトロン的存在になってもらう。共犯者ルートだ。

 

 もちろんどちらにもメリット・デメリットはあると思うが、どちらのほうがより失敗したときのリスクが大きいかというのは考えるまでもないだろう。

 

 考えるまでもないだろうが。

 少しだけメリットとデメリットを整理しておこうか。念のためな。

 赤の他人ルートのメリットは強いて言うならば現状維持というところだろう。デメリットはその後、なんらかの拍子にオレのことを思い出されたら印象が悪くて上層部とかにネズミが1匹浸入してますと報告されること。

 共犯者ルートのメリットは何と言っても身分だったり、立場だったり、拠点だったりを確保してもらえることだろう。親戚の子供で親が今回の件で亡くなったので預かっているんですとか、義弟ですとか、親の隠し子ですとか言い訳は無限と出来よう。

 デメリットは言うまでもなく、オレが霧隠れの里に侵入している経緯を説明せねばならんし、信用した後に裏切られたらどうしようもなくなるかもしれない。

 

 ということでオレは、こちらの選択肢を選ぶ。

 

「えぇ~なんですかそれ。なんかナンパされてるみたいですね」

 

 と、茶化したようにして誤魔化す。

 

 赤の他人ルートだ。

 

「むむっ!エロガキの癖して失敬だナ」

 

 一体今のやり取りの中でどこにエロ要素があったのかは甚だ疑問だが。

 恐らく、彼女の中でエロガキという単語は悪口の一種という捉え方、使い方なのだろうと納得する。

 

 オレは会ったことがある事実をふんわりと否定し、あとはふとした瞬間やささいな切っ掛けによって記憶が完全に蘇ってしまう前に退散してしまおうと「それじゃあ」と言って、その場から離れようとしたその時だった。

 

「ラン!あなたこんなところで油売って何してるのよ!」

 

 そう言いながら。瞬身の術を使って現れたのは赤っぽい茶髪の少女。

 

「ふんっ。トイレの帰りに困り果ててフリーズしていたこの少年に診察の案内をしていただけダ」

 

 文句なら受け付けないぞ。という表情で言い返すランと呼ばれた少女。そのランが戻って来るのが遅くなった理由がわかり、トーンダウンするもう一方の少女。

 というか、ようやく思い出した。この特徴的すぎる個性とクセが強い女の子の名前、ランだった。

 

「そうだったの・・・でも、あなたが早く帰ってこなくちゃ患者さんを捌ききれないでしょ」

 

 そしてランの腕を強引に掴むとオレの方を見て、何かを言おうとしたみたいだった・・・のだが。

 

 目を見開いて固まった。

 

 オレと目が合って。動きが全て静止した。

 

 その異常に気が付いたランが「ン?どうしたんだ、メイ」と問いかけるも「か、か、か・・・」とまるで壊れた話す人形のようになって会話が成立しない。

 

 あ、これはマズった。と、オレが心の中で思うと同時に悲鳴にも近い声を上げて、その少女は復活を果たす。

 

「カルタくんっ!?」

 

 その声の大きさに周りから一斉に注目される。

 

 しかしその当の本人は気づかずに。今、この場にいるはずがないオレのことを凝視している。

 

 うん。これは・・・完全にマズったね。

 

 

 

 赤茶髪の少女。照美メイとの再会を果たしたオレは。というよりはメイに完全にバレてしまったオレは注目の的となってしまっているこの状況を打開するべくとりあえず、待っている患者のところへと戻ることを進言した。

 当然、メイは今オレを見逃すと遁走すると踏んですぐには首を縦に振らなかったが、緊急事態だからオレも治療を手伝うと言ったことによって、どうやらオレが逃げる気はないらしいと感じ取ったらしく、大人しく診察室に戻る運びとなった。

 

「医療忍術使える人にチャクラを供給する」

 

 まだ医療忍術を綱手から習っていないオレは直接的に怪我人を治すことはできない。

 こんなことになるなら、時間が無くても早々に掌仙術を習っておくんだったと後悔するが、後悔先に立たずとはまさにこのこと。

 昔の人たちは上手い言葉を作るもんだと感心しながら。他の方法を考えた結果がこれだ。

 

 医療忍術は使えなくともオレのチャクラを使うことはできる。

 例を挙げるとすると、原作第二部で我愛羅が死にチヨバアが転生忍術を使って生き返らせたときは、忍術を発動させたのはチヨバアだったが、ナルトが忍術を発動させるのに不足したチャクラを分け与えていた。

 ということはだ。医療忍者が医療忍術を使うことによって消耗する大量のチャクラを回復させることはできる。いや、もっと正確に言うならば医療忍者がオレのチャクラを使って医療忍術を使うことによって医療忍者のチャクラを消耗することなく半永久的に治療に当たることができるということになる。

 

 それで某錬金術師みたく等価交換というわけではないが。

 

 オレが負傷者の手当てに協力する代わりに里上層部へ侵入者(オレ)の存在を報告することをメイとランは遅らせてくれるようだった。

 

 それから協力を申し出てからというものぶっ通しで半日超。

 

 自分のチャクラを延々と他の医療忍者へ供給することとなったオレは、そこの救護班の中ではちょっとした伝説と化していた。

 曰く、あいつのチャクラ量はバケモノか。とか。

 曰く、あいつは人の皮を被ったバケモノか。とか。

 

 どっちもバケモノ扱いだった。酷い奴らめ。

 

 その甲斐あって重傷患者のほとんどは一命をとりとめ、多くの感謝の言葉を貰うことになったのだが。

 ただ、半日にして有名になり過ぎた。

 

 これでは落ち着いて話もできないということで。

 

 メイとランを個室に連れ込むのであった。

 

 

 

 ・・・どうだろう。個室に連れ込むってなんか背徳感ある語呂だよね。

 

 




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新名蝦夷守です。

あれだけ言っててようやく出せました。

照美メイ!

出せただけでもちょっと満足してしまいました。
さて、次回以降どうしようか。笑


では、また次回もよろしくお願いしますー

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