NARUTO-カルタ外伝- 転生者の独擅舞台《チーターライフ》   作:新名蝦夷守

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メイちゃんの続き。

いつの日かのドラマみたいですね。では、どうぞー


082.水の国潜入任務 其の陸

「それで?どうしてカルタくんが霧隠れの里の内部にいるのかしら」

 

 オレが個室に連れ込んだと思っていたのはどうやら間違い、認識ミスのようだった。

 

 逆だ。

 

 オレがメイとランを個室に連れ込んだんじゃない。オレがメイとランに連れ込まれたというのが正解、正しい認識だった。

 

 そう思わされたのは個室の部屋の扉が閉まり、鍵をかけた瞬間にランがオレの手首を縄で縛り上げ、ソファーに押し倒されたときだった。

 ご丁寧に猿轡までさせられている。

 

 これ。SMプレイの一環ですか?

 

「・・・そう。何も話してくれるつもりはないようね」

 

 メイは残念そうな声色でそういった。そして、嫌に黒光りしているクナイをおもむろにポーチから取り出す。

 

 ・・・って。

 

 いやいやいやいやいや!

 

 はじめっから話させてくれる気ないでしょ!!だって真っ先に口塞がれたもの!!だって猿轡させられてるんですもの!!

 

 頬に冷たいクナイが触れる。

 

 クナイの先端が僅かに皮膚に触れながら下へと下がっていき、首筋で止まる。

 

 オレがソファの上でジタバタと暴れていると、その年齢からは普通、到底感じることができないような妖艶な笑みを浮かべながら顔を近づけてきて・・・。

 

 

 

 

 

 ・・・という諸兄らの妄想はさておき。

 

 現実はもっと現実的で平和的だった。

 

「それで?どうしてカルタくんが霧隠れの里の内部にいるのかしら」

 

 とメイに聞かれたのは本当のこと。むしろそれ以外全てが現実ならぬ幻術で妄想の産物だった。

 

 ちなみに、メイとランが座っている3人掛けソファーの対面にテーブルを挟んでオレひとりで3人掛けソファーを占領しているという並びである。

 

「全てを説明するのは難しいんだけど・・・」

 

 と、前置きをしてから説明という名の言い訳を始める。

 

 まずこのまま野放しにしておくと火の国や木ノ葉隠れの里の国益のみならず忍界全体を大きく揺るがしかねない人物の情報を追っていると水の国に潜伏している可能性が浮上して、水の国に密入国したこと。

 これはうちはマダラの暗躍の件をぼかしている。

 

 そしてその人物を追っていたら水の国の腐敗している現状を目の当たりにしたこと。外交を終戦条約以降、一切遮断しており内戦が多発していること。

 どうやらその人物は水の国か霧隠れの里の上層部に繋がっているか、もしくは裏で糸を引いているか、操っているか。そのような可能性が出てきたこと。

 

 そして。

 水の国内や霧隠れの里で頻発している反乱や内乱、内戦、紛争といったものは、その人物が引き起こしているのではないかという推測。

 

 これらの情報を元に霧隠れの里近くにある村へと向かっていたら、突然の鉄砲水に呑み込まれて里の内部まで流されて今に至る、と。

 

「・・・信じられないわ」

「あァ。ワタシもメイの感想に同感ダ」

 

 オレの話を聞いた直後の2人の感想がこれだった。

 

「その反応になるのは分かる。だけど、オレの話が絶対じゃないにしろ可能性が高いということだけは覚えておいた方がいい」

 

 ま、信じるか信じないかはあなた次第です。と、某都市伝説を扱っている特番バラエティー番組よろしく締めたオレだったのだが。

 それに対するメイとラン2人の反応は微妙なものだった。

 

 そりゃあそうか。元ネタ知らないもんな。

 

 閑話休題(それはさておき)

 

 話を戻そう。

 

「不法入国していル他国の忍びの言い分なんか信じられるわけがないだろうガ」

「そうよねぇ。でも私はカルタくんの言った話を完全に信用できるわけではないけど、カルタくんが完全な嘘をついているようにも思えない」

 

 そう言ってばっさり切り捨ててくるランに対して、肯定しつつもオレの話を信じようとしてくれているメイ。

 

「オレは嘘はついてないからね。確定情報ではないから間違いという点がある可能性はあるけど」

「お前が嘘をついていないという証拠を今、この場で見せてみロ。そうしてら信じてやらんこともなイ・・・かもナ」

「そんな証拠、今この場で出せるわけないだろう。今は信憑性の高い情報に基づいた仮説だけで動いているようなものなんだからな」

「じゃア、お前の話は信用ならんということで結論を出してもいいんだナ?」

「いや。もう少し時間をくれ。そうしたら度重なる反乱や内乱を裏で起こしている黒幕をお前の前に引きずり出してやるよ」

 

 そうすりゃ、オレの言っていたことが正しかったっていう何よりの証拠になるだろう?と言外に言うオレに対し。

 

「不審者であるお前に仮に時間をくれてやったとしてダ。その間にお前が内戦を長引かせるための工作をしないとは限らないだろウ?」

 

 ランはうまいこと危機感を煽らせるだけ煽らせておいて協力者ぶったオレが霧隠れにとって真の敵だったという状況を一番危惧しているようだった。

 

「ちょっとラン!それは言い過ぎよ。カルタくんはそんなことしたりしないわ」

 

 一般的に。危機管理意識としてランの方がオレに対する認識は正しかった。

 

「ふン・・・どうだかナ」

 

 だってそんな人だったら、3年前に当時敵国だった霧隠れの忍びの私たちを助けてくれるわけがないでしょ。とランにお説教がましく言うメイだったが、ランの意志は変わりそうもなかった。

 

「ラン」

「なんダ?クソガキ。年上に対する礼儀も持っていない奴に貸す耳は生憎だが、ワタシには持ち合わせてないゾ」

 

 呼び捨てにされたのが気に食わなかったみたいだった。

 

「ランさん」

「なんダ?」

「オレの言ったこと全てを信じろなんて言わない。ましてや協力してくれとも言わない。ただオレのことを見逃してほしい。じゃないと世界が滅ぶ・・・可能性があるんだ」

 

 世界が滅ぶだなんてそんな大袈裟ナ。と、ランは笑うが、オレは本気だった。

 

 だっていままで原作を崩壊させては来たが、将来、世界の修正力だか歴史の修正力だかに原作通り、第4次忍界大戦が勃発して不死身のマダラや大筒木カグラが召喚されたときに、ナルトやサスケが原作通りに覚醒するとは限らないだろう。

 もちろん原作通りにナルトとサスケがやっつけてくれる可能性だってあるが、そんな不確定要素に世界の命運を握らせたくはない。

 

 そのためにその前段階で全てを終わらせる必要があるんだ。そして原作知識があるオレにはそれをできる唯一の存在かもしれないんだ。

 

「頼む」

 

 オレは最後に一言だけそう言って、頭を下げた・・・。

 

 

 




ここまでお付き合いいただきありがとうございます。

新名蝦夷守です。

さて。なぜこうなった。主に前半。
カタカタと打ち込んでいたら、気がついたらこうなってました。消すのもったいないと思ってしまい夢オチにも勝る酷い修正の仕方に。

次回はもう少し真面目に頑張りたいです。では。

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