NARUTO-カルタ外伝- 転生者の独擅舞台《チーターライフ》   作:新名蝦夷守

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では早速つづきです。どうぞー


084.水の国潜入任務 其の捌

 メイが現在ひとり暮らしをしているという部屋に案内されたオレは指示されるがままに居間にある小さめの濃いめの茶色い木目調のテーブルの前へ座っていた。

 

「麦茶しかないけど、許してね」

 

 粗茶ですが。と言うかのようにそう言ってそっと差し出された麦茶は冷たくて美味しかった。

 まぁ、この世界観は謎だからな。冷蔵庫は中流程度の家庭ならどこにでもある。

 

 部屋全体の雰囲気でも描写してみようか。

 居間の感じで言うと、大人モダンとでも言おうか。シックな感じで落ち着いた雰囲気であろう。

 語彙力が少なくて悪いな。要するに女子女子した感じではないってことだ。

 でも所々に小物で可愛げのあるものがあったりもする。

 

 その後、冷蔵庫にある飲み物は勝手に飲んでいいやら。今日オレの寝る部屋はあっちの部屋やら。その隣の部屋は私の寝室やら。あっちにある部屋には絶対に入ってはいけない、覗いてもいけないやらのある程度のこの家に住むルールを教えられる。恐らくその絶対に入ってはいけない部屋に先ほどの時間で色々詰め込むようにして片付けたのだろうか。などと邪推する。

 

 オレはその話をうんうんと頷きながらある程度真面目に聞いていたのだが、麦茶を飲んだからか。何も入ってなかった胃袋が刺激されたのか、オレのお腹がぐぅぅぅぅと鳴った。

 別にお腹が鳴った程度で赤面するオレではないが、それでもメイにクスクスと笑われたのは少し恥ずかしい。

 特別それを誤魔化すつもりはなかったのだが、潜入のために周りの目を気にして低所得層の子どもに見えるように着ていたボロい衣服の汚れに目をやった。

 土石流に巻き込まれて泥だらけになった後、水気を絞ってそのままずっと治療補佐係になっていたから土臭さと生乾き臭が漂っている。

 

 そのことに気が付いたメイが。

 

「先にお風呂にする?ご飯にする?」

 

 と聞いてくる。

 

 ちなみに「それとも・・・わ・た・し?」と、続いたのは妄想の中だけだった。

 

「それじゃあ、お風呂で」

 

 そう答えたオレに「お風呂場はあっちよ」と玄関があった方を指さして教えてくれる。

 オレがお風呂場に向かうと後ろから「バスタオルと寝間着は出しといてあげるからね。脱いだ服は空っぽのカゴがあると思うからそこに入れといて」と声がかかったから「はーい」と、素直にお言葉に甘えることにした。

 

 

 

 脱衣所で汚れた服を脱ぎ、言われた通りにカゴに入れ。そしてお風呂場に入って、蛇口をひねったところで気が付いた。

 

「水道が止まってる・・・」

 

 メイが住んでいるアパートの方には土砂や泥水が流れ込んできていなかったし、電気も普通についたから思いもよらなかったが。

 というか。脱衣所にあるボイラーも動いている音がしない。多分あのタイプはガスで水を温めるタイプのやつだ。

 

「あぁ~水もねェ。ガスもねェって吉幾三じゃないんだからさぁ」

 

 とぼやいたところで人為的災害のため仕方ない。

 

 水遁で水を浴槽に溜めて、周りを焦がしたり溶かしたりすることのないように細心の注意を払って火遁で温める。

 そうすることによって程なくして丁度いい温度。大体40℃になるかならないかくらいになる。え、ぬるいってか?オレはこれ以上熱いとすぐのぼせて長湯できないんだよ。

 

 桶でお湯を身体にぶっかけ、石鹸を泡立てて身体を洗う。シャンプーとリンスとコンディショナーとトリートメントらしきボトルが4つあるが、どれがどれだかわからんので、頭もそのまま石鹸で洗う。

 

 多少キシキシになっている気はするが、男は黙って滝。と言われるよりはマシだろう。・・・それで思い出した。あのお笑い芸人今頃なにやってんだろう。

 

 そんな取り留めのないことを考えていたオレは身体を洗い終えて湯船につかる。

 

「あったかいんだからぁ〜」

 

 水遁の基本。水流操作で湯船の中のお湯をジェットバスのような感じにして腰やら肩やらに当てる。

 

「チョー気持ちイイ~」

 

 延々と続く快感に「あぁ~」と思わず声が漏れる。

 

最高(さいっこう)だわぁ~」

 

 今のオレの顔は誰にも見せることができないほどにだらけているだろう。だらしがない顔とはまさにこの顔だと言わんばかりの表情をしている自信がある。というよりその自信しかない。

 

『カルタく~ん』

 

 曇りガラス越しから影が見えて、声がかかる。

 

「は~い」

『バスタオルと寝間着ここにおいとくわね~』

「は~い。ありがとうです~」

『寝間着なんだけど私のお古しかなくて・・・』

「全然それでいいですー。ありがとうございますー」

 

 それだけ言うと脱衣所からメイの気配が消える。

 どうやら、水道とガスが止まっていることにはまだ気づいてないみたいだった。

 

 だって気付いていたら、バスタオルとか寝間着の話よりも先にいの一番に話題にするだろう。

 

 お風呂に入っていて水道とガスが止まってるなんて、水遁と火遁が使えない人にとっては一大事だ。

 

「ジェットバス普及したら戦争は無くなる・・・気がする」

 

 こんなに気持ちのいい日常なら誰だって壊したくはないだろう。なんてしょうもないことを考えてしまうオレだが、最近のオレは水遁を頭から垂れ流す烏の行水が日常だった。というか、見た目は完全に滝行だった。これじゃあどこぞのお笑い芸人のネタになってまんがな。・・・まんがなって方言あんのかな。実際、聞いたことないけど。

 

 その後、久しぶりのお風呂を十二分に満喫したオレはお風呂を上がって用意されたパジャマを見て絶句することになる。

 

「オレはこれを着るのか・・・?」

 

 このサイヤ人の王子たるベジータ様が・・・これを?

 

 とりあえず、現実逃避をしたいオレはそんなアホなことをぶつくさと呟きながら、流石に下着は用意されていないことに気が付き、先程入れたカゴの中から下着だけを取り出してお風呂場で洗い始めるのだった・・・。

 

 




なんだか懐かしいフレーズがいっぱい出てきた模様です。

テレビで見かけなくなったお笑い芸人は営業で稼いでいるのでしょうか。

あと作者は北島の影響もあり平泳ぎばっかりしておりました。

次回ものほほん回ですかね。お付き合いください。では。

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