NARUTO-カルタ外伝- 転生者の独擅舞台《チーターライフ》 作:新名蝦夷守
では、どぞー
情報が完全に遮断され、未知の空間と化している水の国と霧隠れの里の調査するため。
それからそこに潜伏しているかもしれないうちはマダラの息がかかった人間の存在の有無を調査し始めてから9か月。
そして霧隠れの里内にあるメイの借りているアパートに拠点を移してから早3か月。
その間、オレは潜入捜査の傍らメイが里から受ける任務を時々手伝いながら過ごしていた。
もちろんメイの任務を手伝っていたのは何も完全なる善意からというわけではない。
彼女が受ける任務の中でも、オレが手伝う案件はとある忍び一族が反乱の疑いがあるから調べてこい。だとか、とある地域に既に反逆して霧隠れの里に敗れた忍びの残党が集まっている可能性があるから調べてこい。などといった内乱、内戦に関わるもののみだ。
こういったきな臭い案件にマダラ側の人間がもし本当に潜伏しているのであれば姿を現すかもしれないからな。
あと他に特筆するようなことはと言えば、特には無いのだが。
強いて言えば、メイに簡単な料理のレシピと物は使ったらすぐ片付けるという極々基本的なことを教え込んで、メイにある程度の家事能力がついたということくらいだろうか。
そして以降の会話はつい先ほどの出来事になる。
オレはその日、メイの任務について来ており、水の国国内。それも南西側にある洞窟へと足を踏み入れていたのであった。
「カルタくん。奥に何か見える?」
「・・・いや、結界か何かで見えないように遮断されてるな」
「そう。どうやら当たりのようね」
「あぁ」
光が一切届かない暗い洞窟の中とはいえ、オレもメイも伊達に上忍ではない。暗闇でも視覚情報がゼロになることはない。
とはいえ、写輪眼で見ないとわからないこともある。洞窟の奥に張られているチャクラで作られているバリア。結界とかな。
今回の任務は地下に潜っている反乱分子の掃討。
メイには既に写輪眼のことを打ち明けているが故にこのような会話になることも少なくない。
「突入したらどうせ気付かれるんだ。ここからやるか?」
「それでもし、反逆者じゃなかったらどうするのよ。中に入って敵かどうか確かめてからよ」
「了解」
オレは自分たちの安全を取って、遠距離からの一方的な攻撃を提案するも、
奇襲に関しても警戒は怠っていないが、写輪眼もあるしそうそう気付かないまま攻撃されることはないだろう。
「ここから先は影分身に行かせよう。一応、念のためな」
「そうね」
《影分身の術》
そうしてオレとメイが1体ずつ影分身を出して洞窟の奥地へと先行させて、本体はこの場に残って影分身からの情報を待ちつつ、新たに人が洞窟に入ってこないか警戒にあたることにするのであった。
カルタの影分身であるオレは、メイの影分身とともに洞窟奥に張られている結界近くまで来ていた。
結界を見る限り、人が張るタイプのものではなく、札を使って展開するタイプのものだった。
その効果は、結界に触れた際の探知と外界からの光、音、ニオイなどの五感を遮断するもの。つまり、敵は情報が漏れることを一番恐れているだろうことが予測される。
結界内に侵入することは容易いだろう。結界に触れたとて弾かれるわけでもないし、自分の偽物が足止めに現れるわけでもないし、炎に包まれるわけでもない。
「じゃあオレが先に入るから」
その後、時間置いてから入ってきてと続けようとしたのだが。
「いえ、私が先に行くわ。カルタくんはその30秒後、入ってきて頂戴」
オレの言葉にかぶせるようにしてメイが指示を出してきた。
何故かはわからんが、その意志も強そうだったので、ここはその言葉に従うことにするオレ。
オレがすんなり折れたことに対して、それでよしと言ってるかのように頷いてからメイは結界内へと侵入していった。
「この洞窟の奥行がどれだけあるかはわからんが、そんなに長くないなら入ってすぐに戦闘になるはずだ」
結界の外には見張り役の忍びは見当たらなかったが、もしかしたら中に入ったら存在するかもしれないしな。
そんなことを考えている間に、もうすぐ30秒が経つ。
オレは静かに雷遁を纏い、《口寄せ・雷光剣化》で、対忍刀七人衆戦で得た戦利品の一つである雷刀『牙』を召喚する。
やっぱ。使えるもんは使わないとな。オレ、影分身だから本体みたいな無尽蔵チャクラではないし。雷遁を使うなら効率的な忍刀はとても便利だろう。
でも、そろそろ構わないと拗ねそうな気がする。それはまぁ、本体に任せるとして・・・。
さてと。もう30秒になっただろう。
んじゃ、本体じゃないただの影分身ではあるが、オレはオレ。羽衣カルタだ。
「こっから先はオレが主役の独擅舞台だッ」
地面を強く蹴って結界内に突入する。
入ると同時に目に入って来たのは見張り役と思われる2名分の死体。
メイの影分身が侵入と同時に交戦して屠ったのだろう。
それと同時に耳に届くのは戦闘音と敵の罵声。
戦闘はほんのちょっと進んだ先の開けた空間で行われているようだ。そこには今まで来た洞窟内と違って明かりが灯っている。
『て、照美メイ!?』『ここはバレるはずねぇんじゃなかったのかよッ!!』『こんの!里の犬めがァァァ』『こんなはずじゃなかっただろッ!?』『お前が殿をしろ!!』『誰か俺らを売ったのか!?』『態勢が整うまで逃げるぞ!』『あなた様はお逃げください!』
色々な怒鳴り声が響き渡る中、聞こえた『ゼツ様』という単語にオレの予想は間違っていなかったと確信する。
やっぱり、この世界軸でも存在したか。
オレは速度を更に上げ、戦闘が行われている広場に突撃し、真っ先にそいつを探すもその時にはもう既にいなかった。
「新手の敵だ!お前らはメイを
そう言って向かってきた敵を切り捨ててから、オレの一方的な戦闘は幕を開けた・・・。