NARUTO-カルタ外伝- 転生者の独擅舞台《チーターライフ》 作:新名蝦夷守
「んで?何してんの。お前は」
オレは砂の手によって囚われの身となっている自分自身に呆れながら問いかけていた。
「いや、敵と戦闘を繰り広げていると急に洞窟が崩れ始めて、全方位から湧き出てきた砂にあっという間に飲み込まれたから口寄せしてた雷刀『牙』を手放しちゃってな。それでも何とか砂の中を泳いで『牙』は手元に戻ってきたんだけれども、結局今見てわかるように砂漠柩にサルベージされて。この通り」
砂中水泳なんざ聞いたことねーよ。それと勝手に忍刀を使うんじゃねーよ。と返すオレに、やっちまったぜ☆てへぺろ〜と言わんばかりにあははーと笑って誤魔化すオレの影分身。
いや、自分自身に愛想振りまいてるんじゃねーよ。気持ち悪い。
「そうかい。とりあえず術解いたらお前の見たこと全部分かるからな。ご苦労さんでした」
「ほいほい」
投げやりにそう言った
《解》
オレが術を解くと同時にボフンと煙を立てて消える影分身。
捕らえていた影分身が突然消えたことにより、手持ち無沙汰となった砂の手はサラサラと崩れてただの砂漠の一部となった。
そして、影分身が消えたと同時に影分身の得てきた情報がオレの脳内に流れてくる。
なるほどな。
敵の中には『ゼツ様』と呼ばれてる存在がいたみたいだな。
恐らくそいつがオレの考えている『ゼツ』と見て間違いないだろう。
そのゼツが反乱勢力の奴らに崇拝するほどまで慕われていたのかどうかは分からないが、それでも真っ先に逃がそうとしていたところから考えるとこの反乱勢力の中ではキーとなる重要なポジションにいたのだろう。
彼奴が戦闘要員や反乱勢力の頭になるとは考えにくいから強いて言うならパトロンとかだろうか。武器や情報を反乱勢力に流すとかはお茶の子さいさいだろう。
それか、水の国国内に点在する各反乱勢力を結びつける役割を担っていたとかな。
んじゃあ、とりあえずそこら辺から問いただしてみましょうかね。敵さんに。
ゼツのことをどれほど深くまで知ってるのかは未知数だが、根掘り葉掘り聞くことにしよう。
写輪眼から万華鏡写輪眼へと瞳を変化させ、幻術眼の瞳力を上昇させる。これは万が一にも幻術を掛けた相手に解かれないための措置。万華鏡写輪眼の固有瞳術を発動しない限りノーリスクで万華鏡写輪眼を使えるオレ故の荒技とも言える所業だ。
そしてメイを連れ立って、砂の手によって捕らえている敵に尋問をしに行くのであった・・・。
その日の朝方。
日が昇り始めてようやくメイのアパートへ帰宅することが出来たのだが、このあとすぐに寝るというわけには行かなかった。
今回得た情報を整理して、今後の動きの確認をメイとして共有するためだ。
「今回出てきたそのゼツっていうのが、水の国と霧隠れの里で内乱を裏で引き起こしている黒幕ってことよね?」
「あぁ、そうだな。でもまぁ、正確には今は黒幕の手下って言うのがどちらかと言うと正確だろうけど」
「今は?」
「うん。今は。奴には奴の目的がある。そのうち将棋盤をひっくり返すように黒幕を裏切るだろうさ」
なんでそんなことが分かるのよ。と聞かれてしまうが、別の情報筋と適当にはぐらかす。
・・・今後はボロが出ないように発言には気をつけよう。もう手遅れな感じもするけど。
「ま、とにかくゼツの水の国と霧隠れの里での当面の目的は今回で知れた訳だ」
「なんだか、はぐらかされたようだけど・・・。でもまぁ、そうよね。ゼツの目的は現霧隠れの政権の崩壊。そして新政権を樹立させて恐らくは裏で操り、傀儡政権にしようとしている」
「ただその意図までは分からず仕舞い・・・」
ということだな。
「でも意図が分からなかったとしても、そんなやつが狙って作る傀儡政権なんてロクなことしか仕出かさないわよ」
「そりゃそうだ」
大方、霧隠れの里が有する尾獣を手元に置いておきたいとか、自分たちが自由に動かせる戦力を持っておきたいとかそんなところだろう。たぶん。
第3次忍界大戦は終わって、多くの国は復興に力を入れて平穏を取り戻しているが、戦争の火種なんてそこら辺に転がっているんだ。どうせなら戦争を自分たちから始めてコントロールできるうちに戦争で忍界が混乱しているうちに他の尾獣をゲットしてしまおうという魂胆なのかもしれないしな。
だとしたら、前回の大戦で動かなかった。もしくは動けなかった理由でもあるのだろうか。
「カルタくん?考え事かしら?」
ちょっと黙り込んでいた時間が長かったようでメイが心配そうに顔を覗き込んできた。
「いや、なんでもない」
「そう?ならいいんだけど・・・」
そして。
それじゃあ、今後の方針はとりあえず現状維持。霧隠れの里から命令される反乱分子の駆逐を続けつつ、暗躍しているゼツの情報を集める。ということで良いわよね?と、確認をしてくるメイに対してオレも同意したことにより、この日オレたちはようやく睡眠にありつけるのであった・・・。
と。これで終わればどんなに幸せだっただろうか。
オレはお風呂も終え、着替えも済んで、さぁ後は寝るだけだ!と、意気込んで布団に潜り込んだその時に木ノ葉からの帰還命令が届く。
木ノ葉の里内にひっそりと存在する独立暗殺戦術戦略特殊作戦部隊『宵』のアジトに残してきた影分身が解かれたようだった。
影分身から入ってきた情報を頭で整理して、カレンダーを見る。
今は秋口の10月。
「すっかりこっちのことで頭がいっぱいになってて忘れてた」
ある意味では、原作が始まる日と言っても過言ではない日がもう目の前まで迫っていた。
「しゃあない。メイはもう寝てるだろうから手紙でも置いておくか・・・」
オレは眠気
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常連の方も初めての方もよろしくお願いします。
では。