ある日の朝、三人の男がとあるビルの前に並び立つ。学生の頃からの夢を心に秘め、その夢を叶えるために。
この物語は、三人の男の友情と戦いの物語である。
ウルトラフレンズ 第一話 『俺達ウルトラフレンズだ!』 暴力怪獣 ボリウ 登場
「受かったぜひゃっほーい!」
「試験に受かってビールがうまい!」
「はは、確かにね。でも、残念だったね。全員違う部隊だなんて」
ジョッキを左手に持ち、右手を高く振り上げた茶髪のロングヘアーの青年は
彼らがこの物語の主人公である。
「ま、確かにな。オレがストリームス、敦士がアンデッツ、広樹がガードナイツ。綺麗に別れちまったよな」
「でも、別支部にならなかっただけましだろうに。ヨーロッパとかどうやって休暇とっていいかわかんねぇし」
「でも、日本が一番休暇とりにくいよ? 労働基準法が一番甘いのは日本だし。ブラック企業って呼ばれてるところなんて海外じゃ法律違反ですぐ訴えられるらしいし」
しれっとした顔で木野は言い放ち、水野と炎はうげ、といった感じの表情で発言した本人を見た。
「……お前、おとなしそうな顔して中々に黒いよな」
「はは、光には及ばないよ」
「なんだとぅ!? こんな爽やか系イケメンを捕まえておきながら!」
水野は焼き鳥を摘まみながらその長い髪を靡かせ本人的には爽やかなイメージを醸し出す。しかし、センスが古い。
「見た目詐欺ってことだろ。お前、チャラそうな髪しときながら初心だし」
「いや、だからこの髪は地毛なんだって。生まれつき色素うすぃーのよ」
水野は自分の髪を掻きあげ、目を細める。
「……しゃべり方もチャラいくせに性格だけ初心とか狡いよな」
「好きでこんなしゃべりかたになったんじゃねーやい! 親の影響なんだよ!」
「……どんな親さ」
水野の叫びに炎は思わず、といったように呟くと、木野が炎の耳をを寄せた。
「敦士、光の親は光以上に見た目、喋り方と性格、能力の差が激しいの忘れたの?」
「……あー、そういえば『剣道の鬼』とか言われててそれくらい厳しいのに見た目二十台喋り方チャラチャラな不思議生物だったなこいつの親」
「親父に言いつけんぞコノヤロー」
「それだけはご勘弁を」
「僕達まだ死にたくないんで」
「ですよねー☆」
水野の親父は、『ちゃらちゃらしていますが、それが若さの秘訣ですか?』と言われただけで記者を半殺しにした経験がある。要するに、『ちゃらちゃらしている』と言った時点でどうなるか分からないのだ。恐ろしすぎるにも程がある。そんな存在に告げ口されたらどうなるかなど考えたくもない。
「おい、オジサン、なに人のズボンにビールぶっ掛けてやガンだ!」
「え、えぇ? き、君達が勝手に人のテーブルにぶつかってきたんじゃないか!」
「おーおー、このオジサンなっまいきー♪」
「殺っちゃう? 殺っちゃう?」
ふと聞こえた不愉快な台詞に、水野はそれまで楽しそうにしていた表情を消し、席から立ち上がる。
「……炎、木野。ちょっと、いってくる」
「一人じゃきついだろう。見たところ五人もいるみたいだし。お前3人、俺達1人ってことで……」
「俺の負担でけぇ!?ま、いいっしょ。俺も、今日は携帯警棒持ってきてるし」
水野が懐から取り出したそれに、炎は眉を顰める。
「……なんでンなモン持ち歩いてんだよ」
「そういう敦士もエアガン二丁持ってきてるくせに」
「……何故分かる」
「長年の勘、って所カナ?」
「なにそれこわい」
木野が自分の鞄の膨らみを指しての台詞に炎がたじろぐ中、水野はスタスタと歩き出す。
「こらこらそこのお兄さん達ー♪ なにやってんのー?」
「「ちょっと!? もういくの!?」」
他の二人の心配、動揺を他所に、水野は突っかかっている不良達に絡み始める。
「このおっさんがオレのズボンにビールぶちまけやがったからよー。ちょっとしたお仕置きみたいな奴だ」
「いやいやー、俺には真似出来ねえわー。恥ずかしすぎて♪」
「……なんだと?」
睨みつける不良の目など意にも介さず水野は軽く理由を話す。まるで映画の批評をするかのように。目の前に当事者がいるにもかかわらず。
「いや、だってさ? わざわざ自分からぶつかりにいって、そのままクリーニング代取ろうとするなんて傍から見たら完璧な当たり屋じゃん? ばっかみてえ」
「て・め・え……! 覚悟は出来てるんだろうなぁぁぁぁぁぁ!」
完膚なきまでに馬鹿にされた不良は怒鳴りながら立ち上がり、他の不良もつられるように立ち上がる。
「おう!やっちまおうゼ!」
「はい」
「そこまで」
水野に殴りかかろうとした不良二人は、片方は炎の放ったBB弾で怯んだところを木野に蹴り飛ばされ、ほかのテーブルに勢いよく突っ込み、もう片方は、水野の突き出した携帯警棒が迫り、とっさに顔を防ぐ。
が、予想していた衝撃は来ず、不思議な顔をしながらガードを緩めると、容赦なく水野の拳が不良の顔面を殴りぬいた。
「がぁっ!?」
「弱っちいねぇ。そんなんでよくカツアゲなんてしようと思ったね♪ お兄さんびっくりだぁ」
「リョー!? シン!? てめえ!」
「おっと」
切れた不良の一人が水野にナイフを突き出すが、水野はそれをひょいひょいとよけ続ける。
「ああああああああああああああああああああああああ!」
「無駄無駄無駄無駄ー。WRYYYYYYYY」
「がはっ」
不良はナイフを振り回し始めるが、適当に振られた警棒の一撃で気絶する。何とも軟弱な、とは言い切れず、凄まじい快音を響かせて机に後頭部をぶつけたのだ。気絶しないほうがおかしい。
「くそっ、それならあの二人だ!あいつらならまだあんな化け物みたいに強くないはず!」
「よし!あいつらを人質にとるぞ!」
「舐めんな」
「右に同じく」
「ほぐっ!?」
「ほげっ!?」
炎と木野を狙い不良二人が飛び掛かるが、炎に飛び掛かった不良は、部品などで結構な重量がある銃底で頭をチョップされ、木野に飛び掛かった不良はそのまま腕をつかまれ一本背負いを決められた。
「これにて一件落着! って奴?」
「そうみたいだな」
「あ、オジサン、大丈夫ですか?」
水野がドヤ顔しながら告げた言葉に炎は辺りを見回して頷き、木野は被害者の中年男性に手を差し伸べる。
「あ、ああ。それにしても君たち、強いんだな」
「いえ。僕たち皆、SAGの新入隊員ですから。明日から出勤なんです」
「そうか……ってSAG!? SAG計画の防衛隊の隊員さんか!そりゃあ強いはずだ!」
「まあとりあえずオジサン、困ったことがあったらすぐ、俺たちに連絡もしくは通報してくれよ!」
水野は胸を張りながら被害者の中年男性にそう言った。宣伝のつもりかはよくわからないが。
「困ったときにすぐ駆けつける、それが正義の味方の条件、らしいからな」
「ああそうするよ。そうだ! 助けてくれた礼もしたい。何か好きなものを頼んでいってくれ!」
「え、マジで!? もらうもらう! ちょーもらう!」
「がっつくな! ったく、いっつもこーなんだからおまえはもー……」
「すいませーん、これとこれとこれとこれとこれとこれ持ってきてください」
「意外な子がたくさん頼んでる!?」
そして夜は更け……
―――――
「はい二日酔いー」
「気分悪いー」
「二人とも情けないよ?あれだけで」
「「お前がほんとに不思議だわ」」
一番食べて飲んでた木野が一番体調がいい事実に二人は息を揃えて告げた。
「何処が?まだまだセーブしてたんだからね?」
「お前結構小柄なのになぁ……」
「どこに入ってんだよ……」
「魂に?」
「なにそれこわい。……ッと。ここが分かれ道か。ビルの中途中まで同じ道なのに不思議な」
「じゃあ俺はこっちのアンデッツだな。じゃあまた後でな。水野、木野」
「じゃあ僕はこっちか。またね。光、敦士」
「んじゃーなー」
三人は別れてそれぞれの部隊の基地へと向かう。
「……ン?」
そして暫く歩いていると水野は床に落ちている指輪を見つけた。不思議どころか奇妙だが、水野は迷わず近寄ってしゃがみこんだ。
「なんだこれ? 薄汚ねぇな」
水野がその指輪を拾い上げると、その指輪には一つ一際輝く水の雫のような宝石に気が付く。
「なんだ……? この宝石……見たことねぇんだけど……綺麗……いや、奇麗だな。奇妙だけど麗しい。正にピッタリな言葉だな」
そう水野が得心いったように呟いた瞬間だった。
『ご挨拶だな。奇妙とは。地球人はみんなそう失礼なのか?』
指輪から声が聞こえてきたのは。
「いぃっ!?」
水野は反射的に指輪を投げ飛ばしながら後ずさる。
『何をする!』
「お前はなんなの!? 鉱物に取りついた幽霊!? 怪獣!? 異星人!?」
『……異星人?』
「なんで疑問形ィィィッ!?」
指輪の声は水野の上げた候補の中からひとつ該当しそうなものを疑問系で答え、水野は叫ぶ。あまりの事態にパニックになっていた。
『あぁ、落ち着いて聞いてくれ。私の名前はウォータ。地球は狙われている!』
「……何お前、青木劉生?」
『誰だそれは。まあ、話を戻すぞ。この星はとある凶悪宇宙人に狙われている! だから私と契約して光の戦士になってよ!』
「やだよ!」
即答した。当然だが。
『何故だ!? 私は怪しい宇宙人などではないぞ!?』
「怪しさ満点どころかフルカンだろうが!?」
『……こうすれば一緒に戦ってくれる人はすぐに見つかると知り合いの宇宙生命体が言っていたのだが』
「騙されてんぞそれ。思春期で夢を夢見る中学生だったらそれでも簡単に契約とれるだろうけどな、俺は生憎夢はもう叶っちまってるし願い事も細やかなもの以外何にもない。自分で言うのもなんだが顔もいいし頭もいいし腕っぷしも強い」
『自画自賛だな』
誇らしげに自画自賛をしていた水野はウォータと名乗る指輪に遮られた途端、ホルスターから銃を抜き銃口に宝石部分を押し付ける。
「そういえば支給されたレーザーガンは金属だったらなんでも貫くとか……」
『わかった私が悪かった。その銃はしまおう。そこまで言うくらい自分の能力に自信を持っているのだろう? どうだ、私と一緒に戦ってはくれないだろうか』
「……何でそこまで俺を誘おうと思うんだ?」
当然の疑問を告げる水野に、ウォータは少し間を置いて答えた。
『……君が一番最初に出会った私と話せる地球人だからだ。私はこの地球上では本来の力で活動できない。だが、地球人の力を借りれば……私は本来の力を発揮することができる』
「……それを信じろって? はっ、このネオフロンティアも終わって火星どころか木星まで活動範囲広げてる地球人にそんな本来の力だのなんだのと……」
『私は、過去に存在した巨人と同じくらいの力を持つ』
「……ハッ、それが……」
水野はウォータの告げた言葉に思わず迷った。憧れの存在と同じ力を、それを目の前にちらつかされたから。
『君が欲した。君が願った。だから私が現れた。それじゃ、不満か?』
「……大した悪徳商法だな」
『私が求める対価は命や財じゃない……『覚悟』。それだけだ』
「……わかったわかった。乗ってやろうじゃん。その話!」
『よし!それなら私の入ったこの指輪を指にはめてくれ!』
「おう!」
水野は右手の人差し指に指輪をはめ、力強く拳を握る。
『そしてリリカルマジカル……』
「そぉい!」
『がっ!?』
「ミ゛っ!?」
『ウォータ』がとある危ない言葉を発しようとした瞬間、水野は全身のバネを使い、指輪をはめた右拳を全力で壁に叩き込む。……自分の手にも衝撃がかなり来ていたが。
『な、なにをするんだ』
「危ないんだよ!それは他作品!詩的で魔的な危険ワード発してんじゃねぇ!」
『作品とはいったい何のことだ!?』
「わかんねぇんだったらもうそれでいいよ!」
水野はそう言い捨てるとそのまま右手を抑えながら自分の部隊の基地へと向かった。
―――――
「お前か! 新入隊員の水野ってのは!」
「は、はぁ……あなたは?」
「ああ、俺か?俺はこのストリームスの副隊長、青嶋(アオシマ)現(ウツツ)! これからは一緒に戦う仲間だ! よろしくな!」
「あ、はい。よろしくです」
青嶋と名乗った男は、手を差し出して笑う。
そして水野は差し出された手を取り、握手した。暑苦しい、というのが大半の印象だが。
「そういえば……隊長は誰なんですか?見渡してもオペレーター以外見当たらないんですが」
「ああ、瑠(リュウ)さんのことか。なあ水野。ここの部隊の存在意義はわかるか?」
「確か……特殊部隊のGUTSよりも各部門に特化したエキスパートを集め、さらに摩訶不思議な出来事に対する防衛力を強くするためのSAG(Save the expert Ability Guard)計画、通称サグ計画により設立されたこのSAGの偵察、捜査専門のチームがストリームスでしたっけ?」
水野が顎に指を当てながら答えると青嶋は力強く頷く。
「ああ。お手本通りの回答だ。まあ、瑠さん、瑠|蒼(ソウ)隊長は、有体に言えば、今あの人は任務に就いている」
「そうなんですか……」
「しかし、山の中の通報、恐らくだがアンデッツ、ガードナイツの新入隊員の出番も近いんだろうな」
「炎、木野の出番がそんなに早く……」
「おいおい、何他人事みたいに言っているんだ?」
「は?」
思いがけない言葉に水野は言葉を失う。ストリームスは偵察、捜査専門。そして今隊長が直々に動いているといった。だとすれば今水野の出番はないはずである。
「お前も出るんだぞ。ストリームスにお前以上に戦闘機操縦適性のある人間はいない。戦闘適正なら瑠さんのほうが明らかに上のようだがな! しかしあの人は機械の類が苦手でな……音声操作で動くようになっていないと使えない。おかしな人だ」
「は、はぁ……でも、多分その瑠隊長もあなたには言われたくないと思います」
「む、中々に口が立つな。いいぞ! その歯に衣を着せぬその口、気に入った!」
「そこらへんがおかしいでしょって言ってるって気づかないかなぁ!?」
水野は全力で突っ込みながら机に置かれたパイロット用の手袋をはめた。
「なんだ、やる気満々じゃないか!」
「……一応、正義の味方になるためにここに入ったんで!」
その時、警報が鳴り響いた。
「……っ! 水野! 出撃だ!」
「了解!」
現の声を聴き、水野は格納庫へと駆ける。その目の中には、研ぎ澄まされた意志の光を宿して。
―――――
「……あれが……怪獣……」
水野は旋回性能、武器全体の貫通性能が特化したストリームス専用機『スクリューウィング』のキャノビー越しに怪獣の巨大な肉体を目の当たりにする。
「でかいし怖い……でも!」
水野は震える手を操縦桿を握りしめることにより落ち着かせる。
「逃げるわけには、いかねぇな!」
水野は操縦悍を思い切り前へと倒し、急降下。怪獣の真上から強襲する。
「とにかく、市街部から怪獣を引き離さないとダメだな……よし!」
そして水野はトリガーを引きレーザーを発射。怪獣の頭部へと命中させ、操縦悍を手前へ力強く引く。そうすることにより機首を上へと降り、ペダルを踏んでブーストをかける。
「こっちだ! 化物!」
水野はキャノビーの中から聞こえるはずのない挑発をかけ、その場から離れる。
「なッ!? 確かに命中させたろ!?」
水野は操縦悍を傾け急転換して怪獣の方へと向き直る。
「くそォォォォォォッ!」
雄叫びをあげながら攻撃するも、やはり効果無し。怪獣も流石に煩わしくなってきたのか、熱線を吐き、水野のスクリューウィングへと熱線が向かう。
「ちいっ……反応しない!?」
水野はそれを見てペダルを踏んで離脱しようとするが、急加減速を繰り返す荒い操縦に耐えきれなかったのか、反応が無くなり加速ができない状態へとなる。
「こんなところで、死んでたまるかぁぁぁ!」
その叫びに呼応するかのように光が迸り、水野の目の前に真紅と銀の巨人と、翠と銀の巨人が水野を庇うように現れた。
「「シェアァゥッ」」
「ウルトラ、マン?」
水野の呟きは虚空へと消え去り、二人の巨人は怪獣へと駆ける。
「ブォォォウ!」
「ジャッ!」
怪獣の熱戦を紅い巨人は防ぎながら光弾で怪獣を攻撃し、怪獣を怯ませる。
「ジェアッ」
そのまま緑の巨人のパンチがヒット。怪獣を大きくのけぞらせる。
「……おいおい。圧倒的過ぎやしないか」
『しないな』
「俺は必要あったのかよ。これを見る限り必要、ないだろ……」
水野は沈みながら呟く。だが、ウォータの一言が水野の身をこわばらせた。
『何を言っている。ヒートの契約者が、ウッドの契約者が。いくらすごかろうと奴に有効な攻撃は与えられないだろうな。まだ、覚悟も信念もない攻撃など、軽すぎる』
「は?」
その言葉と同時に紅い巨人と緑の巨人が怪獣の攻撃を諸に食らった。しかも、ダメージが重かったらしく、立とうとしてもその手を滑らせる。その胸の青いランプも、危機を示すように赤く点滅を始める。
「ブォウ!」
「ゼェァッ」
「ジャッ」
「なんだと!?」
水野の顔が驚愕に染まる。当たり前だ。これまで自分たちの世界を救ってきた存在が、目の前で呆気なく倒れようとしているのだから。
『どうした。地球人。戦わないのか!』
「……答えろ。ウォータ! 俺が戦うには、どうすればいいんだ!」
ウォータの煽りに、水野は力強く問う。状況を変えなければ、街に住む罪なき人々を守ることが出来ないのだから。
『君の名前は!?』
「水野光だ。応えろ、ウォータ!」
『わかった、ミツル! 私の名を、全力で叫べ! 私はそれに、覚悟に、信念に応え、君に力を与えよう!』
「応、行くぞ!」
水野は天に拳を突き出しながら叫ぶ!
「ウォォォォォォォタァ!」
その瞬間水野は青い光に包まれ、キャノビーから光とともに飛び出し、蒼と銀の巨人の姿となって地面へと土を巻き上げながら降り立つ。
≪これが……ウォータ!お前の力なのか!≫
【そうだ。君の覚悟、信念をぶつけてやれ!】
≪応!≫
蒼い巨人、ウルトラマンウォータとなった水野は左手を手刀の形にして突き出し、右手で拳を握り、腰に添える。これが、ウォータの力を得た水野の戦闘の構え。覚悟、信念『正義』を表す構えだ。
『ゼェア!』
「ブォッ!?」
そのまま右拳を突き出し、怪獣の顎をとらえる。それを食らった怪獣も、思わず後ずさってしまう。
『ゼィアァッ!』
ウォータもまだ止まらない。覚悟を魅せる為、信念を通すまで。止まるわけがない。そのまま怪獣の前足、腕をとり、勢いよく投げ飛ばす。
≪光線! 赤いのが撃ってたあれ、撃てないのか!?≫
【君の思いを、形に変えろ! 心に念じるんだ、見えない刃を!】
≪見えない、刃≫
その言葉を聞いたウォータは右拳を胸のランプ、カラータイマーの前に動かす。
≪親父が言っていた。見えない刃、それは、何もかもを、断つ力!≫
『ゼェアァァァァッ!』
その右拳は光を纏い、ウォータは叫びながらその光を纏った拳を突き出すと光線が発射され、怪獣をさらに大きく吹き飛ばし森林部に怪獣を飛ばす。
≪ウォータ、応えろ! 水は散る! 覚悟は散らない!≫
【光も散る! だが、信念は決して自分を見失わない!】
ウォータは飛び、怪獣と自分との間から障害物を失くす。そして、左手で円を描くとそこに光の楕球が生まれる。
≪【ウォータスプラッシュ!】≫
そのままウォータが楕球に拳を撃ち込むと、そこから光が溢れ出し、水飛沫が散るように、水滴が跳ねるように。大量の光弾が怪獣を襲い、怪獣を、爆発させた。
≪っふう。っ、そうだ! 赤いのと緑のは!≫
ウォータは思い出したように振り返る。そこには、もう飛び立っている紅い巨人と緑の巨人がいた。
≪……大丈夫だったんだ≫
【ああ。君が、救ったんだ】
≪……よかったぁ~っ≫
ウォータは安心して胸を撫で下ろす。そこには確かな安堵と、守りきれたという達成感があった。
≪そうだ。お前らはどこから来たんだ?あのウルトラマンも別の星から来たんだろう?≫
【流石に鋭いな。そう、私、ヒート、ウッドは、E44星雲の四聖の星からやってきた。絶交星人の魔の手から、地球を守るための、ウルトラフレンズとして!】
≪ウルトラフレンズ?≫
ウォータの中の水野が聞き返すと、それと同時にカラータイマーが点滅を始めた。
≪うぇっ!?≫
【時間がない、早く飛び立って変身を解くんだ!】
≪そうだ、なんで飛び立たなきゃいけないんだ! この地にいるんだ、この地に住んでいるんだ! ここで解いてもいいだろう!≫
【君は
≪……っ、わかったよ!≫
そのままウォータは飛び立つが、それを地面から眺める女性が一人。
「また、新しいウルトラマンか。実に、30年ぶりだな」
その女性は水野と同じ制服を着、腰には銃とナイフを付け、結った黒髪は風に揺られ艶やかに煌く。その背に書いてある文字は[STREAMS RYU]。
「面白いことになりそうだ」