それは数日前の事。
学校返りのハンバーガーショップで、俺たちはだべっていた。
「くっそー! 全然モテねえぞ本当に!!」
俺の悪友の松田が、日ごろの不満を炭酸と共に吐き出した。
身体能力がかなり高く、運動部にでも入れば全国だって狙える坊主頭。だけど写真部に入ってエロいショットばかり狙っているため、ついたあだ名がエロ坊主。
「まったくだ。何のために女の子ばかりの駒王学園に入ったと思っている!」
と、同じくぼやくのは元浜ってやつ。
おっぱいのサイズを計測できるっていう、スカウターじみた能力を持つエロ眼鏡だ。
二人とも、女にもてたいハーレム作りたいという願望を持っているエロスに生きるエロ餓鬼だ。どんだけエロいかって女の子が多いって理由で偏差値の高い駒王学園を受けて本当に受かっちまうぐらいすごい。
まあ、俺も入学はしたんだけどね? なんたって女の子多いもん。
だけどまあ、そのせいでほかの友達は入れなかったりするんだけど。
「ま、あったりまえじゃない。モテたいんだったら持てるためにすることがいっぱいあるでしょうが、いっぱい」
と、ツッコミを入れるのはこのハンバーガーショップでバイトをしている俺たちの二つ上の先輩。名前を蛇野一樹。因みに女だ。
高校生の時から男遊びをそこそこしていたという割とビッチな姉ちゃんだが、家が近くだった俺は、彼女が中学を卒業するまで本当に付き合いが長かった。
大学生活はそこそこ楽しいらしく、高校を卒業してからはだいぶ疎遠になっちまった。だけど、俺たちの面倒を見てくれるいい姉さんだ。
「・・・それに、覗きばっかりしてるから女に嫌われるんだっての。モテたいのか嫌われたいのかどっちなんだか。ホントどっちなんだか」
「あ、それもそうか」
うん、松田も元浜もその辺全然自重しないからな~。
ま、俺もエロ本を貸し借りしたりはしてるし、エロい会話は学校でもしてるんだけどね。だって楽しいんだもん。
だが、松田も元浜も駒王学園に入ってからはピタリとやめてるはずだ。
なのになんで欠片も女子がやってこないのか・・・。
「「その節は本当にありがとうございます、蛇野の姉さん!」」
と、二人そろってぴしっとしたお辞儀を一樹にする。
え、どゆこと?
「な、なに? 何やってんの?」
よくわからず俺は首をかしげると、二人は何言ってんだお前って顔を向けてきた。
だが数秒立って納得すると、かわいそうなものを見る目で見やがった。
「いや、覗きをやめたら筆卸ししてくれるって蛇野姉さんが言ってきて・・・」
「今でも覗きたくなったら吸い取ってもらってるんだ」
「オイちょっと待て一樹! 俺が土下座した時は「バーカ」の一言じゃねえか!!」
どういうことだとこの女! 俺の童貞も食べてくれよ!!
彼女できたときに夜は上手に決めたいんだよ! 上手とまではいわなくても、大失敗はしたくないんだよ!!
あときれいなお姉さんとエッチなことしたいんだよ!!
だが、一樹は目を閉じるとため息をついた。
しかも長い長い溜息をついた。
「・・・いや、その、アンタはそういう目で見られないと、いうか・・・」
ガーン!
かっこよさでは高校でも松田や元浜より上扱いされてるのに、されてるのに!?
「付き合い長いせいで弟扱いしかされないだなんて! なんてこった!!」
「いや、そうじゃねムグ」
「はーい松田はちょっと黙ってようね。ホント黙ってようね?」
「いや、蛇野姉さんにも問題あるでしょ。遊びすぎ」
ん? 何が何やらわからないけど、しかし俺はショックだ!
ショックのあまり、代金注文時に払っているから気にせずに走り出した。
「ちくしょおおおおおおお! 狙ってた女の子に寄りにもよって彼女ができた俺を馬鹿にするならしてやがれぇえええええ!!!」
・・・ああ、本当に事実だ。
竹虎一美。中学時代のマドンナで、とてもいい子でかわいかった。
どんだけいい子かって? 覗きをそのころから繰り返していた松田と元浜を相手にしても「友達のために親身になれるいい人」として優しく接してくれた子だといえばわかるだろう。
駒王学園にこそ入学しなかったが、一緒に勉強をしたのもいい思い出だ。
だが、大学デビューならぬ高校デビューをしたのか、高校で彼女ははっちゃけた。
なんでも彼女ができたらしい。彼女がだ。
・・・女の子が好きな人だったなんてぇえええええ!!
俺脈無しじゃん! 畜生、畜生!!
いつの間にか走るのではなくとぼとぼ歩いていた俺。
ああ、覗きなんてしないようにしていたのに、結局こんなことになるなんてショックだ畜生
「あ・・・せ・・・」
「そりゃ、俺だってあいつらにたぶらかされて一回や二回は覗きをしたけどさ? 断られる可能性とかあったけどさ? そんなレベルじゃないとかショックだよ」
「あの・・・うど・・・」
なんだろう。俺、割と本気で死にたくなってきた。
これが、失恋の悲しみってやつなのか―
「あの、兵藤一誠くん!!」
と、大きな声で呼ばれて思わず振り返った。
そこには、黒髪の美少女がいた。
「その・・・私と付き合ってください!」
それが、天野夕麻ちゃんとの出会いだった。
冷静に考えれば、だれがどう見ても怪しいだろう、コレ。
くそぉおおおお! 振られることすらできなくてやけになった俺の馬鹿! 本当に馬鹿!!
これ、冗談抜きで死ぬぞマジで!!
投擲モーションで方向が読めるから回避ぐらいは容易だけど、いい加減バテてきた。
このままだとやばいな。どうも向こうはイラついてるけど汗一つ書いてないし・・・体力の差で負ける。
くそ、しかし何者だ夕麻ちゃん!?
これでも一応特訓は積んできたんだぜ? ワールマターとかが変なこと仕掛けてくるんだったら、そいつから父さんや母さん、一樹たちを守るために自衛隊に入ろうと思ってたからな。
だから、身体能力はすでに軍人クラス。松田を身体能力で上回れるのは俺ぐらいなもんだ。
それなのに、俺がバテかけてるのにこいつはぴんぴんしてる。
なんだ? マジで人間か?
と、思ったらバランスを崩してすッ転んでしまった。
・・・ヤバイ、これ最悪のタイミングだ。夕麻ちゃんは槍を投げようとしてる。
くそ、どうするどうするどうするどうする!?
「さようなら、イッセーくん!!」
そして、光の槍が放たれて―
「・・・ちょぉおおおおおおっと待ちやがれぇええええええええ!!!」
その瞬間、槍を踏み下りながら空から美女が落ちてきた。
ただ一つ問題がある。
落ちた美女は地面にクレーターを作ったのだ。
えええええええええ!? 人間の重さじゃないよぉおおおおおお!?
これどう考えても一tはあるよ!? キロでいうと千キロはあるよ!?
馬鹿な!? あんな細い美女がそんな重量級なわけが―
「―そこの坊主、大丈夫だな?」
と、その赤い髪の美女はものすごい頼りになる笑顔を見せた。
よくわからないけど、この人味方か!?
「・・・あなた、リアス・グレモリー!?」
「おうともよ! 俺様がリアス・グレモリーだ。・・・ここが俺の領地だって知ってて堅気に手を出してんのか、ああ?」
どすの利いた声で警告するが、リアス・グレモリーって・・・思い出した!!
駒王学園において絶世の美女でありながら、スケ番(死語だろこれ)をやっているとしか思えない男勝りの性格を持つ女傑。そして部活はオカルト研究部という謎の趣味をもつ御仁。
そ、その彼女が何でここに!?
リアスSide
ちっ! 見回りしてたら胸糞悪い光景に出会っちまったぜ!
俺様の名前はリアス・グレモリー。世間の言葉でいうなら悪魔ってやつだな。
ああ、安心しろ。別に悪魔だからって魂取って食ったりはしねえよ。最近はちゃんと何が対価になるかある程度調べてからやるし、等価交換で動いてるのが基本だぜ? ま、人は平等じゃねえからそううまくはいかねえがな。
それに俺様はこれでも貴族の跡取り娘だからな。72柱の貴族の本家、グレモリーの次期当主ってやつだ。
・・・あん? 次期当主にしては口調が荒いぃ?
仕方がねえだろ、産まれたときからこうなんだからよ。
自慢じゃねえが、俺様は前世の記憶ってやつがある。
悪魔なんて迷信の存在扱いされてる世界で、少年兵ならぬ少女兵をやってくたばった雌餓鬼だ。
いろいろと嫌な目にも合ってきたが、ワールマターってやつには感謝するべきか怒るべきか。
なにせ異世界侵略とかふざけたことぶちかましてやがるからな。欲望に目覚めさせてくれたことには感謝するがぁ、それとこれとは話が別だ。
・・・家族にはそういうわけでちゃんと説明した。兄貴も親父殿もお袋も、ショックは受けたが受けれいてくれたのは感謝しかねえ。
だからまあ、素を出すのはプライベートの時とかなんだが、まあ相手は堕天使だし気にしなくてもいいだろっと。
「オラ堕天使! 中級ごときでこのリアス・グレモリーをどうにかできると思ってんのか、ああ!?」
ちょっとすごみを入れてやりゃぁ、堕天使の女はビビッて後ろに下がる。
ま、上級と中級の間にゃ大きな差があるからよ。敵にまわしちまったらそりゃビビるか。
「・・・仕方がないわね。今日のところは引かせてもらうわ。だけどどうしてそんなことしてるのか、わかってんでしょ?」
「へいへい。俺様が面倒見ろってか?」
まあ、仕方がねえか。それぐらいしねえと、この餓鬼殺されそうだしな。
ま、転生させりゃあ殺されることはねえだろ。駒も余ってるちょうどいい。
舎弟はそこそこ多い方がいいからな。ここはしっかりと恩を売っとくとするか。
・・・堕天使の女がいなくなってから、俺は後ろを振り向いた。
「おう! 悪いが今からこっち来い。今から少し話があるぜ」
リアスも転生者。インパクト重視で姉御!って感じのキャラにしました。
イッセーが転生者の作品はそこそこあるけど、リアスが転生者の作品は少ないような気がします。
面白かったら一言でいいんで感想をくれるとうれしいです。マジモチベーションなんです。