・・・俺は、どうすればいいんだろうか。
助けられたと思ったら、いきなり連行されてしまった。
え? なに? もしかして俺結局殺されるの!?
くそ、こうなったら俺もやけだ。殺してでも逃げ出して・・・。
「大丈夫だよ」
と、部屋の中にいたイケメンがそう答える。
このイケメンの名前は木場祐斗。駒王学園が誇るイケメン男子として有名だ。
そして、部屋の中にはもう一人。お菓子を黙々と食べてるロリ可愛い子。
名前は塔城小猫。この子も駒王学園の有名美少女だ。
「・・・あげませんよ」
見てたらそう返された。いや、いろいろあって食欲無いです。
「おう! 待たせたな!」
と、リアスさんが部屋の中に戻ってきた。
「一応兄貴に伝えておかねえとよ、こういうことは筋を通さねえとな」
と、リアスさんは快活に笑う。
・・・そこから先はマジ驚くぜ。
なんでも、夕麻ちゃんの正体は俺を殺すために送り込まれた堕天使だそうだ。
ま、確かに人間とは思えないからな。と、思ったけど人間でも異能業界の実力者にはそれぐらいできる連中が意外と多いそうだ。驚くぜ!
そしてリアスさんたちの正体は悪魔。厳密には純粋な悪魔はリアスさんだけで、木場と塔城ちゃんはほかの種族だったらしい。
悪魔と堕天使、そしてもちろんいるだろう天使は、数千年前から殺し合っていた。今でもしっかり冷戦状態で小競り合いが頻発しているそうだ。
その戦いで、悪魔はかなり数を減らした。悪魔を率いている四大魔王に至っては、全員死んで今は称号みたいになってるそうだ。そのうち一人をリアスさんのお兄さんがやってるとか。
そして、減った悪魔を増やすために貴族は
たいていは実力があったり特殊な能力がある奴を選ぶようで、いわば貴族たちの親衛隊ってことになるらしい。純粋な悪魔からも選ばれるとか。それ本末転倒じゃね?
ついでに言うと、チェスの駒をモチーフにしていることもあってか、眷属同士を戦わせるレーティングゲームってのがある。これで活躍すると出世できるようで、中には上級悪魔にまで出世して悪魔の駒をもらうやつもいるとか。さすがにそれはいいのか?
で、俺が殺されそうになった理由は
なんでも天使を率いる聖書にしるされし神が作ったっていう神の奇跡。中にはかなり強い悪魔や天使をそれだけで殺せるすごいのもあるっていう話だ。
で、堕天使はそれを使いこなせないと判断した連中を殺してるとか。
まあ、わからない話ではないな。思うがままに暴れてる銃持った連中なんて害でしかないし、誰かが捕まえるか殺すかしないと被害が増える。そういう意味では言いたいことはわかるぞ。
だけどあんなやり方はねえだろう。俺、心が死にかけたぞ。
なんで初恋がある意味最悪の形で砕け散った後に、美人局なんぞ味わわなきゃいけないんだよクソッタレが! 女に逃げることすら俺には許されんのかい!
「・・・つーわけで、本来なら俺らも始末する選択肢を突き付けられてるわけなんだがな?」
と、言いにくそうに付け加えてからリアスさんは告げる。
「お前、俺様の眷属にならねえか?」
へ? 眷属?
「ああ、俺様は駒が余ってるからよ。それで俺様の眷属悪魔にすればなんとかなるんじゃねえかっておもってるんだ」
っていうかそれ、選択肢ないですよね
「大丈夫。上級悪魔の中には眷属悪魔を奴隷扱いする人もいるけど、部長は舎弟扱いだけど情はあるから」
「グレモリーは情愛にあふれることで有名な一族です。大丈夫です」
と、木場と塔城ちゃんが安心させるように言う。
・・・う~ん。これ、断れないよな。
「因みに、眷属悪魔でハーレム作ってるやつもいるぜ? 冥界は実力さえあればハーレム作っても誰も文句言わねえからよ」
「失恋の苦しみを数で補いたいのでよろしくお願いしまっす!」
即答してしまった。
いっけねー。やっちゃったー。
否でもほかに選択肢ないっぽいしなぁ。これは仕方がねえか。
「うん、仕方ないよなぁ。・・・はあ」
「気が乗らねえ返事だな。なんか夢でもあったのかよ?」
「いや、家族と友人を侵略者から守るために、自衛隊に入るつもりだったんで」
さすがに悪魔と自衛隊の兼業は許されないよなぁ。
「侵略者って、日本が戦争に巻き込まれると思ってるのかい?」
「・・・・・・・・・せ、戦争しかけてくる連中は、いるんじゃ、ないか? ほら、俺はそこが不安だからだし、必要な職業だろ?」
やっべえ! うっかりやばい子と口走った。
前世の記憶で侵略するつもりの奴が出たんですよー。なんて言えるわけがない!
しかしリアスさんは納得してくれたのか、うんうんとうなづいてくれた。
「ああ、わかるわかる。自分を産んでくれた親には俺様も感謝してるからよ。そういうのってやっぱあるよなぁ」
「そ、そうなんですよ」
よ、よし! このまま乗ってごまかそう!
「祖国防衛。愛国心あるんですか?」
「そうなんだよ塔城ちゃん。でもやっぱ自分の国は自分で守るべきっつーか、いい国だろ、ここ」
「結構不満を持ってる人も多いと思うけど?」
「そりゃぁ恵まれてることがわかってねえんだよ。生まれた子供がこんな平和に生きていける国なんて、実は意外と珍しいだろ。売られて子供を産むための道具にされたり、内臓取られたり・・・」
前世的にシャレにならないことをいうが、リアスさんはうんうんとうなづいてくれる。
話聞くと貴族の産まれっぽいけど、理解してくれるだなんてありがたいな。
よし、このままストリートチルドレンや少年兵に対する問題を語り合ってごまかそう!
「そうだよなぁ。そういうのどうにかしたいよなぁ。冥界もストリートチルドレン集めて教育してるけど、兵士を目指してほしいから軍事教育中心だしなぁ」
「そ、そうなの? まあ、戦力を増やしたいんだから仕方がないんですかね?」
「ちょっと事情があって急いで戦力集めないといけなくてよぉ。俺様から進言したんだが、一応ほかの選択肢だって与えてるんだぜ?」
リアスさんはそう困った顔を浮かべた。
この人も、しょせんは跡取りの一人でしかないから苦労してんだろうなぁ。
「・・・ホント、ワールマターの奴は迷惑だよなぁ」
「あ、それ同感。欲望を与えてくれたことはありがたいんだけど異世界侵略とかどうかしてるって―」
その瞬間、リアスさんは俺の肩をがっしり掴んで歓喜の表情を見せた。
「見つけたぜ同胞!!」
「え、あ、え!? ああ!? あれぇ!?」
ど、どどどどどどどうしようってかどういうことだぁ!?
しまったやばいこと口走った!? っていうかなんでリアスさん喜んでるのぉおおおおお!?
そのあと、リアスさんが俺と同じ来歴の転生者だってことを説明された。
だけどリアスさんは俺なんかよりもっとすごかった。
魔王であるお兄さんに直談判して、戦力を増強するための動きを活発化させたらしい。
戦争が再発しかねないってことでいろいろあったらしいけど、一生懸命頑張って何とか説得したそうだ。ついでに転生者を探すための研究機関も秘密裏に結成しているらしい。
さっき言ってたストリートチルドレンの軍事教育もその一環。ワールマターの異世界侵略に対抗するための富国強兵政策もあるけど、もう一つある。自分と同じ境遇のストリートチルドレンや少年兵に、せめてまともな環境を与えたくて動いてもらったらしい。
確かにそうだ。ただの道具として劣悪な環境で使われるより、魔王直属の兵団として誇りを持って生活できる方がいいに決まっている。
実際、魔王ルシファー直属ということで扱いはいいらしい。っていうか奴隷扱いした場合ルシファーの侮辱と受け取るとまで公言しているそうだ。
そのせいで戦争を起こすのが狙いかと教会にはにらまれてるけど、教会も孤児を拾って育てる過程で悪魔祓いに育成しているから文句を言われる筋合いはないとか言ってた。
人生の選択肢そのものは多いし、俺らよりはだいぶましだ。
だけど、俺のほかにも侵略なんて考えてない転生者がいたなんて驚きだ。
「・・・苦労したこともあるだろ? もう大丈夫だ、俺様がいるぜ?」
そういってにやりと笑うリアスさんに、俺は心底涙を流した。
両親が受け入れてくれているって言っても、俺が転生者という異物なのは事実だ。
心のどこかで、孤独を感じてた。
もし、ほかの転生者にあってもそれは言えない。だって俺は裏切り者なんだから。
だけど、これからはリアスさんがいてくれる。同じ思いをもってそれ以上に行動している人が俺の主なんだ。
マジで忠誠誓うぜこれは!
「これからよろしくお願いします、部長!!」
「おうよ! これからよろしく頼むぜ、イッセー!!」
原作よりも大幅に軍備が強化されている冥界。理由はワールマター対策。
つっても理由がリアスの言葉以外にない以上、ほかに対して説得力がないからこれまた大変。
さてさて、本格的にワールマターが出てきたらどうなるのかな?