僕が父さんを殺して三週間がたっただろう。だけど、父さんの死をいまだに誰も知らない。興味がないんだ。だからこそ賛成派は僕を見逃している。今のあいつらに治安より大事なものがあるからだ。……そう。未来へつなぐための欠片だ。それだけじゃない。あいつらは考えてないんだ。反対派が存在すること自体を。
「やるのか?」
「やって見せるさ……」
そう。ヴェーゼスを奪われたなら抑止力を作ればいい。作るんだ。サージエストを。
その日僕はアーティスト育成学校「クルーザー」を辞めた。そして――反対派へ加わった。そこから世界が変わったようだった。なぜなら、多くの技術者が反対派にはいたからだ。
「歓迎するよ、ナナト・ユウセイ君」
「これが……反対派……?」
「ああ。今賛成派が君の設計図を入手したと情報がはいってな」
「え?」
「あれ? 君反対派では有名なんだぜ? 科学者でもないのに設計図を作ってる変わり者って」
「そ、そうなんですか……」
意外だった。僕はてっきり歓迎されないものかと思っていたから。でも、違った。反対派リーダー、「ソウジ・ミシマ」さんは歓迎してくれた。それだけじゃない。ほかの皆さんもだ。僕は確信した。ここなら――サージエストを任せらると。
そして始まる。たった二機の小さい戦争。リベリオンが。
「サージエスト。こいつは換装によって戦局を変えれるいわば局地仕様です」
「おお、そいつがヴェーゼスに対抗できる唯一の希望か」
「ええ。ですが反対派の資金的にも、時間的にも一機が限界だと思います……」
「確かにな」
「予備パーツもない、一発きりの切り札と考えてください」
「なるほど。MS戦が行われている間は俺ら人間の正念場か」
「そうなりますね……」
無謀な賭けなのはわかっていた。だけど、襲撃をすれば向こうのヴェーゼスも一機で抑えられる。そうしないと勝ち目がなくなってしまうんだ。故に勝負は一度だけだった。
「時間ねえな。よし、早急に取り掛かれ!!」
「イエッサー!」
「あ、ありがとうございます……」
「なあに。みんなこいつに賭けてるんだ。西暦の未来を」
ここまで西暦を嫌うのは理由があった。要は、地球を捨てることになる宇宙世紀に移行するなら地上に残る道も選択できるはずだ。という反対派の意見もわかる。だけど、増えすぎた人類が宇宙へ行こうとするのもわかる……
僕はヴェーゼスで見届けたかった。人類の未来を。
「そういや」
「はい?」
「なんでヴェーゼスを作ったんだ?」
「……見届けるためです」
「……そうか」
ミシマさんはそう言って深くは聞いてこなかった。