やってやろうぜ。僕の中のもう一人の僕がそうささやく。だけど、やはり僕は中立派だ。中立の立場でいたい。このバカげた争いを終わらせたい。次第にそう思い始めてきた。だからこそこのサージエストで決着をつけようとしているんだ。この、バカげた争いに。PMS-001ヴェーゼス。それに唯一対抗できるのがTMS001-サージエストだ。この力は争いを終わらせるためだけに使って見せる。そうだ――パイロットは――
「ミシマさん」
「ん?」
「パイロット、ユウセイで登録します」
「……いいのか?」
「はい。けじめをつけたいんです。ヴェーゼスを、モビルスーツを生み出してしまった自分に対して」
「ならば行け」
そう言って僕を登録端末のある部屋まで見送ってくれた。そして僕は登録した――サージエストは、こいつは僕にしか扱えなくなった。
―賛成派―
ヴェーゼスのパイロットを決めるという表向きの名目……裏の目的は人口の低下への殺し。それがヴェーゼスのパイロットになるために与えられた命令だった。
正直興奮したんだ……俺が、アニエス・ルーフェという男をここまで夢中にさせるモビルスーツってやつに。そいつは今まで扱ってきたどんな兵器よりも固く――どんな兵器よりも強く――それでいて、正しさの象徴になろうとしていた。
反対派の掃討作戦。それは仕方のないことだ。しょうがないことだ。人類が次のステージへ上がるには不要と判断されたのだから。そんな人間たちを生かして置いたら後が怖い。
「ヴェーゼスのパイロット候補に挙がったのは君たち三名だ」
「やらせてくれよお……」
「え?」
「もっと、もっと!!」
「まて、こいつにはサディストシステムが!!」
「やらせろおおおおおお!!」
俺は強奪した。それでいて、正規軍。そう、俺がこうなることは賛成派の中では予測済みだったのである。理由は簡単だ。俺がこいつを動かすためだけに作られた存在――強化人間だからだ。
「こいつの使用は四回ぽっきり。行けるな?」
「俺は元々使い捨てなんじゃないのか?」
「そうにらむなよ」
そうして俺はヴェーゼスを強奪。それでいて任務を与えられるという通常では軍法会議にかけられてもおかしくないことをした。だが、そうなること自体を予想した賛成派は、俺以外を反対派から無理やり連れてきた少年兵にした。
そうして、俺に殺させたのだ。それが軍法会議の代わりだといって。
「アニー。こいつの使い方はわかるな?」
「もちろん」
「演習ではSSS(サディストシステム)を積まない」
「わかってますよ……SSSは人間の感覚をそれぞれが特化した動物のようにするもの。いわば拡張システムだ」
「ほう、わかってるな」
「聴覚はコウモリのように超音波を聞けるほどに――視覚はトンボのように遠くまで。感覚は研ぎ澄まされる――」
「ならば扱えるな?」
「扱えるかじゃないんですよお……扱うんです」
「そうだな」
こいつは俺を戦場に駆り立ててくれる――おもちゃだ。