一度目の奇襲が失敗してから一週間。反対派の中には、険悪な雰囲気が漂っていた。あいつに任せたから失敗したのだと。あいつに任せたのが失敗だったのだと。それ故に僕は反対派で少し窮屈な思いをすることになっていた。だけど、それもそのはず。だって――だって、失敗したのは事実だから。僕が行かなきゃ成功したのも事実だから。
「……失敗したなら取り返せばいい。何回でも当たって砕けろ」
「……ミシマさん……」
「なあ。お前は何を望む?」
「僕は――」
世界に何を望むのか。そんな質問だった。僕は――僕は――世界に何を望んでいるんだろうか。その答えが出たとき、体の底から力が湧いて出る。ミシマさんはそう言っていたけど……
「世界の救済か? 世界の滅亡か?」
「そ、それは……」
「ゆっくり考えろ。戦場でしか見つからないかもしれないしな」
「その……ミシマさんはなんで優しくしてくれるんですか?」
「優しく? うーん。そうだな。あえて言えるとすれば困った人を見過ごせないから……かな」
「……困った人を、見過ごせない……」
その言葉は今の僕には痛いほどわかる気がしてならなかった。だって、それが世界の罪かもしれないから。困っている人間を見捨てる。まさにそれなんだ、今は。
全世界で西暦を捨てようとしている。ならば困っている人はどうする? ならば困ることになる人々はどうする? 置き去りか? いや、ちがう……あっちゃいけないんだ。そんなこと。人が人らしくあるために。それを目指して僕は再びコックピットに乗った。
「いいか、戦場に行くまでSSSはオフだぞ」
「わかってますって」
そうして僕は再び戦場へ――ヴェーゼス討伐へ向かった。
「あー、つまんねえなあ……」
「そういうな、アニエス」
「だってよ、MS一体止まりでまともに演習もできねえんだぜ?」
「仕方ないさ。上の人間が一体だけと決めたんだから」
「あー、むしゃくしゃするなー」
その時、警報が鳴った。
「襲撃です! タイプはこの間のヴェーゼスタイプです!」
「ヴェーゼスと一緒にすんな! あれはサージエストだ!」
「す、すみません、アニエス曹長!」
「んじゃあ、行ってくる」
「ああ。死ぬなよ」
「平気だってば」
そうして俺は戦地へ赴いた。
「よお、久しぶりだなあ! サージエスト! わくわくさせてくれよおおおお!」
ぎゅおおおおおお。いつもの二倍でスラスターを吹かせる。
「あいつ、推進剤を無駄にするつもりか!?」
「この日のためにアーミーナイフ二本の格闘特化にさせてきたんだ……負けられっか!!」
目に追いつけない速度で加速したヴェーゼスはサージエストの元へまっすぐ向かった。