モモンガさんが冒険者にならないお話   作:きりP

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いやぁなんの気無しにどんな感じかなぁとgoogle画像検索したんですよ。
「ピンク ベビードール」

脳内ヒロイン像が無いもので、骨がこれ着た画像しか浮かばなくて困ったw




第九話

「ふぅ……とにかく……皆、一度落ち着きましょう」

 

 半狂乱で一番取り乱していたお前(アルベド)が言うなとは誰しもが思ったが、階層守護者六名は各々の椅子に座りだす。

 

 あの後アインズが倒れ、阿鼻叫喚の地獄絵図が展開されそうになったが、ペストーニャの「わん!!!」と言う名の一喝で冷静になり、適切に対処し始める面々。

 ナザリック最萌え筆頭は、さすがに格が違った。

 

 現在アインズはセバスによる人生初の『お姫様抱っこ(される側)』により自室へと運ばれている。護衛はプレアデスにエイトエッジ・アサシン、お世話係としてペストーニャという完璧な布陣だ。

 「アインズ様の為にお寝間着を取ってくるでありんす!」と言って一度席を外していたシャルティアも、「現在女性の身体であるアインズ様のお世話にセバス様は……わん」と言われ締め出されたセバスも、先ほどの玉座の間に戻ってきている。

 

 パンドラはアインズに頼まれていたもう一つの命令。カルネ村で捕らえた者たちの装備品や携帯品の鑑定仕分け作業があるらしく、「皆さまと語り合いたい事は星の数ほどありますが……ああ! ですが私への命令は急を要する作業であるやもしれません。きっとこの世界の金銭を穏便に取得するために最初に必要になるものでしょう」などとさすがに創造主の息子であるのか、なにげにちゃんとアインズの気持ちを理解していたパンドラはこの場を去っている。

 去り際に「皆様へのアインズ様からの命は一朝一夕で出来るものでは御座いません。この円卓はあと数時間は持ちますので、皆様の御語らいの場にご使用くださいませ」と、舞台挨拶をする主演俳優のような大仰な礼をして去っていくパンドラ。……いろいろとあれなのだがやはり出来る子なのである。

 

 セバスは給仕を引き継ぎ立ってはいるが、アルベド、デミウルゴス、コキュートス、アウラ、マーレ、シャルティアの六名は、パンドラによって少し小さくされた円卓に、やっとこ腰を下ろしたところだ。

 

「シャルティア、あんたなんかおかしくない? 頬もなんか赤くなってるし」

「な!? なんでもないでありんすよ!? いつも通りでありんす!」

「な~んかおかしいんだよなぁ」

 

 シャルティアに問いかけるアウラ。いつもの飄々とした雰囲気を感じさせぬ、先ほどの出来るお姉さん状態のアルベドに幾分か似た雰囲気に(いぶか)しげな声を上げる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 先ほどシャルティアが取りに行っていた寝間着と言うのはもちろん『ピンクのベビードール』の事だ。彼女がたまに着る紫のと色違いで、こちらの方にはまだ袖を通したことが無い。

 アインズの部屋を出たセバスを見越して、それを取り出すシャルティア。それを見て頬を染め制止しようとしたプレアデスたちだったが、押し切れるわけもなく、たやすくひん剥かれる御方の肢体(からだ)を「うわっ……」「すごい……」「綺麗ですわ……」と思わず嘗め回すように観察する彼女たち。もちろんシャルティアの瞳は情欲に濡れそぼり、それでも律儀にベビードールを着付けていく。

 だが、「ぐっ!?」「これは!?」「こちらの方が……」そう、とんでもなくエロかったのだ。

 

 流れる銀髪、薄くかいた汗、薄桃色の煽情的な衣装をまとった陶器のような白い肌。据え膳食わねばなんとやら、「すぅ… すぅ…」と聞こえる呼吸音と、ほのかに香る甘い汗のにおいがシャルティアの脳髄を焦がしていく。

 だがこれは危険だとペストーニャが声を上げようとした瞬間、御方の眼が開いたのであった。

 

「……シャルティア?  ……がんばるのだぞ」 

 

 うっすらと開いた赤い瞳(・・・)の端に涙を浮かべてそう言葉をかける至高の御方。片手をシャルティアの頭へ持っていき軽く一撫ですると、また「すぅ… すぅ…」と小さな呼吸音を出しながら、はかなく微笑みの表情を浮かべて再度眠りにつく。

 

 

 

 ドガンッッ!!

 

 

 

 アインズの私室に豪快な音が響く。

 

「……シャルティア……さま?」

「大丈夫。ペス、すまなかったわね。もう一度アインズ様の服を脱がして、お身体を拭いてから着せてあげられるかしら?」

「……はい! おまかせください」

 

 渾身の力で自分の頬をぶん殴ったシャルティアに戸惑いもしたペストーニャであったが、『間違った廓言葉』すら忘れ、頬を腫らし唇から血を流しつつも、透き通った瞳のシャルティアに笑顔になる。

 

 はたしてこれが美談だったのかなんなのか、プレアデスそしてペストーニャの忠誠心を無意識に眠ったまま爆上げしていく至高の御方。もちろんシャルティアが出て行った後の、至高の御方のお身体を拭く係を決める、無言で行われた壮絶なじゃんけん大会優勝者の花が咲くような笑顔は、御方の知る由もないことだが。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……言えるわけないでありんす!!

 

 シャルティアの頭の中は何気にぐっちゃぐちゃである。魅了の吸血鬼がLv16の人間種に魅了されたのだ。だがそれを嬉しくも思い、さすがアインズ様とも喜んでいる自分がいる。

 いや違うそんな話ではない、期待を込めて勅命を与えてくれた至高の御方に対して自分はなにをしようとしていた? 莫迦かっ!! 阿呆かっ!! 

 

 御方に撫でていただいた髪を手櫛で整える……いや同じ場所を触っていたかったのだ。

 

 アインズ様の瞳……血のように赤かった……先ほどはアルベドに少しの嫉妬があったのかもしれない。だが今ならわかる、ああ、お姉ちゃんだものなと。

 

 何故か二人目の姉への目覚め。妹萌えと言う名の『姉属性』がシャルティアに目覚めた瞬間であった。

 

 

 

「しかし、少し意外でしたよ。シャルティアもですがアルベドも。元のままが良いと言う言葉が出てもおかしくはない二人でしたが、好意的にすら感じる。何か思うところがあったのかね?」

 

 一応のセバスからの御方の経過報告が終わったあと。現状『睡眠』『疲労』のバッドステータス以外見られないというペストーニャの診察に安堵して、一息ついた後、最初に言葉を発したのはデミウルゴスのちょっとした疑問だった。

 

「それは! それは……そうでありんすねぇ……美の結晶、白き(かんばせ)確かにオーバーロードのアインズ様を好いているのは紛れもない事実でありんすえ。でも……あの……こうお呼びしても失礼ではありんせんかえ? 姫様(・・)に抱いている感情は……似たものもありんすが……ちょっと違うのでありんす……ねぇアルベド?」

 

 唐突にシャルティアから出てきたアインズの敬称ではあったが、何故かストンと守護者達の心に落ち、それに対しては誰も何もいう事は無かった。

 

「ええ……これに関しては皆もなにか感じるところがあったのではない? 声と言う明確なものがあるアウラとマーレは別にしても、うーん……なんと言ったらよいのかしらね。心を刺激されるのよ……そうね、至高の40人が創った御身体。 姫様に母性を感じているのかもしれないわね」

 

 人知れず本人の居ない所で母親認定される至高の御方。肩書がすごいことになりそうである。

 

「ああ! そういうことでしたか! 確かに私も先ほどアインズ様に……いえ姫様に褒められたとき、むず痒いような……たまらなく嬉しくて……ええ! 言葉になりませんでした」

 

 人知れず本人の居ない所で『姫様』が確定していく不思議。御方の『プリンセス』レベルが上がりそうである。

 

「なるほどねぇ。ねぇマーレ! マーレはどう思った? なんか今日はいつも以上におとなしかったじゃない」

 

 姉は弟を逐次観察している。出来る姉は少しの変化も見過ごしてはくれない。

 

「ぼっ、ボクは! 僕は不敬なことを考えてしまって……モモ……アインズ様に申し訳なくて……異世界に転移して良かったって……だってそうじゃなかったらアインズ様とお話をすることもなかったって思って」

 

 マーレから放たれた言葉に途端電流に貫かれた気持を味わう守護者達。そうだ、この異世界転移が無ければ、アインズ様はまた連日のごとく、りあるからナザリック外へ。私たちとなんの言葉も交わすことなく延々と死に物狂いでナザリックの維持資金を集めに奔走していたはずだ。そう、御方が今ここにいることこそが奇跡なのである。

 

「ソレハ……不敬……イヤ、ドウナノダ? デミウルゴス」

 

 忠義の武人コキュートスもマーレの気持ちが良くわかり、答えを返すことが出来ない。

 

「不敬ではあるのでしょう。ですが私はマーレを責めたりはしませんよ? この異世界転移はアインズ様の想定外の事であり、防ぎようがなかった事です。ですがその話は置いておいて、御方は現状を鑑みて私たちを頼って下さろうとしている。今まで御方に何もお返しすることができなかったんです! こんなに嬉しいことは無いじゃないですか!」

 

 身体を震わせて全身で喜びを表現するデミウルゴス。そう全員がマーレの言葉を否定できない。だから過去を、異世界転移を喜ぶのではなく、今を喜びましょうとマーレに、そして自分に言い聞かせるデミウルゴスであった。

 

 

 

「それはそうと、マーレはどっちのアインズ様がいいの? やっぱり姫様? それともオーバーロードのアインズ様?」

 

 出来る姉は弟の恋の応援すらする。そう弟はいぢるものなのである。

 

「お、お姉ちゃん、そういうのは……うーん……どっちのアインズ様も……うん……」

 

 もじもじと頬を染めて考え込むマーレ。

 

「もーはっきりしないなー。じゃぁアインズ様に抱きしめられるのと、姫様を抱きしめるのとどっちがいい?」

 

 出来る姉は弟の優柔不断を許さないのだ。そう弟は楽しむものなのである。

 

 

「…………アインズ様に …………抱かれたいかな」

 

 

 何故かハイライトに光が見えない弟の淫靡な微笑みに恐怖して、思わず一発殴るアウラ。

 

「い、いたいよ。お姉ちゃん、痛いよぉ」

 

 そうこれは教育なのである。出来る姉は弟を導かねばならないのである。

 

 

 

 何故か話が明後日(あさって)の方向に飛んでいく守護者クオリティ。だが『骨』だろうが『姫』だろうが、愛されている事には変わりはない。この守護者会議を聴いて、アインズが安堵するのかそれとも驚愕するのか。それは誰も知らないお話である。

 

 




次回はリアル事情でちょっと間が空きます。すまんのw

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