俺と音姫と猫かぶり優等生   作:焔火

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どうも焔火と申します!

このサイトに来てすぐの初投稿ゆえ、色々と不慣れですが、よろしくお願いします!


大きく設定を変更して再度投稿しました。
お初の方は気にしないでもらえればいいですが、既に読んでくださったり、お気に入り登録をしていただいたり、感想をくださった方々には、申し訳ありません。


プロローグ

午前七時半。

入学式当日の俺の耳に届いたのは、

 

ピピピピ! ピピピピ! ピピメキィ! ――……

 

なんて隣の部屋から聞こえる微かな電子音と破砕音だけだった。

当然,俺はその程度の妨害で起きるような育ちの良い人間ではない。むしろ粗悪な環境での生活に適応した男と言って過言ではない。

 

俺は再度微睡みの世界へと落ちていった。

 

それは心地いい時間だった。

春先の心地いい気温。干したての蒲団。開けた窓から聞こえる鳥のさえずり。

全ての要素が眠りの世界を堪能するのに十分な要素。

 

そしてあっという間に一時間経ち、午前八時半。

 

結論を言おう。

 

「寝坊したああああああああっっつつ!!??」

 

ぼろアパートの一室に野太い絶叫を響き渡せてしまった。とんだ近所迷惑野郎だ。

 

寝間着を脱ぎ散らかし、制服片手に狭い自室から飛び出す。

 

「親父っ! やっぱり無理だったじゃねえか!」

 

俺はリビングでのんびりと土木工事現場で使う作業着に着替えている親父に怒鳴り散らした。

 

「いや、俺が悪いわけじゃない」

 

言いながら親父が投げてきたのは、チョップでもくらったのか真っ二つになる勢いで粉砕されてしまった無残な目覚まし時計。

 

「貴重な目覚まし時計があああ!?」

 

「耐久度が足りん」

 

「ざっけんなっ! 何が『入学式の日くらい俺が起こしてやろう』だ! 案の定、いつも通り時計を破壊しただけじゃねえか! これ、デザインが古くなったからって秀吉がタダで譲ってくれたこの家最後の時計だぞ!? 買う金ないんだぞ!?」

 

「体内時計が残っている」

 

「腹が減った時間限定だろうが!」

 

「今は……朝食が欲しい頃合いだな」

 

「頃合い!? 体内時計超適当だな!?」

 

くっそ……! 一瞬でも親父を信じてた昨日の自分を殴り飛ばしたい!

――て、そんなやり取りしている時間すら惜しい。

 

「よし、着替え終わった! 親父、先行くからな! それと金!」

 

「何のだ?」

 

え? 何その全然意味わからんみたいなリアクション? 

 

「朝飯、昼飯、夕飯代!」

 

我が家では料理できる人間が存在しないし、親父も俺も帰ってくるかどうかも適当なので、こうして一日の食事代は全部もらっている。

 

「ほれ」

 

ピン! と弾かれたのは……百円玉?

 

「今月酒飲み過ぎた。それで我慢してくれ」

 

「しばくぞ!」

 

一食あたり三十円ちょい!? 足りるか!

 

「……スマンな、借金返済分が滞ってな」

 

「……あ、いや、それならいいんだ」

 

あまり詳しい事情は聞いていないが、ウチには結構な額の借金がある。それを返済するため親父は切り詰めた生活を送っている。

今まで三食五百円に対して文句を言わなかったのはそのためだ。

そして、そんな家庭事情があるから俺はあの学校を選んだのだ。学費がバカ安い、あの学校を。

そしてとある野望のため、俺は二年進学の振り分け試験を死ぬ気で勉強したのだ。

 

「何のために一年間死ぬ気で勉強したと思ってるんだよ。Aクラスに行けたら――」

 

「……友人に借りたままの酒代……返済が滞っててな」

 

「――死ねええ!」

 

渾身の右フック!

 

「甘い!」

 

ちいぃ! 避けやがった!

 

「ふっ、伊達に職場の後輩に『脳味噌まで筋肉でできているんですよね、先輩。だから異常なまでに身体能力が高いんです』などと褒められてはいないぞ」

 

「それはどう考えてもバカにされてるだろ!それくらい気付け!」

 

親父の遺伝子を受け継いだのか俺もかなり体が頑丈なのは嬉しいが、この目の前の男は人外の肉体スペックを誇っている。おそらく鉄人レベル。

そして脳味噌は明久レベル。

本当、その点は受け継がなくてよかったと思ってる。

 

「このオリハルコンゴリラを倒している暇はないか……!! ――て、親父は急がなくて大丈夫なのかよ?」

 

「俺は今日、仕事は昼からだ」

 

「それを早く言え!」

 

遅刻してるの俺だけかよ!

 

「早く行け」

 

「くそ……! 明日絶対に足りてない金請求するからな!」

 

捨て台詞を残して俺はぼろぼろの扉に手をかけた。

そのまま、錆びかけの階段を下りて、学校までのルートを全力疾走。

 

空腹を堪えながら、俺は父親譲りの強靭な足をフル回転させて学校へと走り出した。

 

 

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