フィリピン海域
ここに10隻の艦艇が輪形陣を組んで航行していた
6隻の大型輸送船に4隻の護衛艦娘が輸送船を守るように配置されていた
この艦隊はルクラニア本拠地へ送る鉱石を輸送するための輸送艦隊だ
燃料に関しては付近の石油プラント及び生成所から十分入手可能だが、鉱石に関してはまだ、海中鉱石抽出装置が開発できておらず、鉱山から輸送するしかない
派遣されているのは旗艦キーロフと矢矧、響、不知火だ
「穏やかな海だな・・・やはり寒い海より温かい南国の海だと気持ちがいいな」
「キーロフさんは以前では寒い地域で活動されていたのですか?」
「うむ、それはまさしく船体が凍ってしまうようなものだったな・・・ロシアの海は冷たいからな・・・」
キーロフ級重原子力巡洋艦は世界最大の巡洋艦、大型ミサイル運用、原子力機関搭載などロシアの戦略思考体現したような設計だが、技術の未熟、予算問題など様々な出来事によりキーロフ級一番艦キーロフは解体されてしまった
しかし、それまで留守番が多かったキーロフは時々水面が凍結し、動けなくなることもあり、それを思い出すかのように少し遠い目をしながら言う
「それはわかるね・・・私もヴェールヌイになってからロシアに行ったけど、あの海の冷たさは忘れないよ・・・」
「そうえば、響もロシアに渡ったことがあったね・・・」
「まあ・・・改修されたりして、長年使用されたけど、あれはあれで中々良い思い出だったよ」
「お!そうか、よし、帰ったらジェラードに頼んでウォッカを調達してもらおう!」
「大丈夫かな?」
「大丈夫だろう!ジェラードももうすぐ他国との外交を始めると言ってたし、是非ともロシア・・・いや、今はソ連だったかな?ソ連と交易してほしいよ」
「けど、ジェラードはアメリカと日本と取引はするようだけど、ソ連とはする予定はないと聞きましたよ?」
不知火が思い出したように言うと
「なん・・・・だと・・・・ウォッカが入手できないではないか・・・・」
「アメリカ・日本から入手できるのでは?」
「Her(ニエット)!!!!!祖国とは味が違うのだ!味が!」
「はあ・・・」
不知火が困ったように表情を作るとアラームが鳴る
「!・・・レーダー探知、距離32000、駆逐艦2隻、巡洋艦1隻の艦隊」
「え、えーと・・・データリンク、同期良し」
「ミサイル攻撃開始、私は目標a、bを狙う、そちらは目標cを頼む」
「うむ・・・目標照準よし、ミサイル開放」
「Orohb!(アゴーニ)」
「発射!」
キーロフと矢矧のVLSの蓋が開き、ミサイルが飛び出すと高速で目標へ飛行する
「・・・目標へ真っすぐ飛行中・・・命中まで5秒・・・4・・・3・・・2・・・1・・・命中」
「目標撃破」
「・・・すごいですね・・・それにしても司令官が開発したこのレーダーシステムとみさいるというものは」
「私も始めて今回使うけど、やっぱり戦場の戦い方が変わるわね・・・でも、素晴らしい兵器ね」
「ミサイルだからな、砲雷撃戦も悪くはないが、どうしてもこちらに被害が出てしまうからな・・・ジェラードも被害が出てしまうことは極力避けるよう言われているし、これはありがたいよ」
「でも、今回新しく開発できたレーダーシステムとミサイルの試験を同時に行うって・・・大丈夫かな?と思っていましたけどね・・・」
ミサイルというものがどうなものか、理解に難しい彼女たち(キーロフ、ミラ、セラを除く)は当初ミサイルに対して懐疑的な気持ちがあったが、効果を見るとそれが綺麗さっぱりなくなった
これがあれば深海棲艦との戦いで有利に運べるから当然と言える
「まあ・・・どうしても素材がかかってしまうことは仕方がないけどね・・・」
「そのために今回の分も運んでいるので、大丈夫では?」
「まあな・・・どっちかというと艦隊決戦をしたいだがな・・・もしくは対地攻撃でもいいからやらせてくれないかな〜!」
「ははは・・・」
キーロフが全力攻撃、それは即ち彼女の弾薬補給が必要となり、とてつもない量が減り、ジェラード達の胃にクリティカルヒットしてしまうからできるだけ大破だけはして欲しくないな・・・と思いながら矢矧は苦笑する
艦隊は2時間後、指定の位置に着き、妖精さんが次々と輸送船に積載された鉱石を基地内部へ運ぶ
そこへジェラードとアイオワ、ビスマルクがやって来る
「お疲れ、ご苦労だった」
「できれば、次は大規模な艦隊に打ち込みたいものだ・・・あ、試験は良好だった、ミサイルは機能したぜ」
「それは良かった、あと少しで対潜ミサイルも艦娘用にできるから、それも搭載すれば対潜能力が格段に上がること間違いなしだな」
「おお!それは期待できるな!」
「ええ、ただ、この技術は他国にはあまりないものだから他国の手に渡らないようにしないといけないけどね」
「う〜・・・確かにな・・・」
「うん?しかし、アドミラール、ミサイル自体他国で研究されているのだから、さほど問題じゃないのでは?」
「いや、ビスマルク、この時代、確かにミサイルの研究はされているが、まだそれを艦娘へ搭載できるレベルにはいたってない、それが完璧とも言える技術を持つミサイルが艦娘サイズへ搭載できるのだ、世界中がこぞってほしがるだろうな」
「あ・・・なるほど」
「いつか、開発されるかもしれない技術、だけどこれが一歩間違えれば大きな過ちを犯してしまうことがある、科学とは常に進化するが、進化するには犠牲となるものが時に必要な時もある
通常試行錯誤されて洗練される技術がいきなりその場で出て来てしまえば思わぬ出来事も起きるかもしれない、もうすぐ他国との交流を始めるとはいってもな」
ジェラードの目には若干悲しみの目をさせながら言う
「では、私は開発部門へ言って来る、午後からの任務のほうも休憩が終わったら頼む」
「了解しました!」
さてと・・・資源は徐徐に集まり、兵器の質も上がった、本当妖精さんってチート級だと思う・・・え?何がチート級?未来兵器を設計図・細かな情報・指導するだけでパパッと作るのだからな
しかも資源と開発資材があれば何とかなると来たもんだからな・・・
ああ〜本当にこの世界はファンタジー要素が強いものだ・・・
前世では私の艦載機搭乗員が読んでいた書物であったな・・・
まあ、いい・・・とにかく今はできる限り上げれるものは上げ、力を付けないとだめだからな
深海棲艦の動きも活発だが、脅威はそれだけではなく人類も脅威となる可能性は十分ある
ミラとセラに情報収集させているが、やはり人類側は未だ艦娘がいない国は追いつめられている、特にアジアの大陸国が最もひどい状況で内部紛争・汚職・食料問題など山積みだ
アメリカはともかく最も必死な国は島国だろう
十分な資源は確保できず、イギリス・日本といった国は領海を取り戻せなければ国として成り立たなくなるからな
「はあ・・・アメリカ、日本と仲良くできればいいが」
「oh!大丈夫です!いざとなればあっちに乗り込んで砲身を突けばなんとでもなります!」
「・・・アイオワ、人はそれを脅し、恐喝と言うのだぞ?しかも祖国に」
「あんた・・・なにを言っているのよ・・・」ほれ・・・ビスマルクは呆れているぞ
「アドミラール?私は確かにアメリカ艦であるけれど、どうでもいいのです、ここが祖国なのですから、私はアドミラールに付いて行きます!!!」
「・・・最悪祖国と戦うことになってもか?」
「アドミラールはどこぞの独裁者のように無茶苦茶なことはしませんからね、むしろ、祖国が狙って何かやらかすならミーの16㌅主砲をお見舞いするわ!」
「・・・私もよ、アドミラール、別に祖国と戦いたいというわけではない、ければいざとなれば私も付いて行くのはアドミラールだからね!」
「そうか、それはありがたい、これからもよろしく頼むぞ」
「「了解!」」
基地内部の開発研究部
「やったー!!!!!これだけの資材があれば、もっと開発できるぞ!さあ・・・覚悟しろよ・・・深海棲艦め・・・私たちの基地へ砲撃した代償は高いよ・・・」開発主任は身体を僅かに震えさせながら目の前の大量の資材を前に何かオーラを出していた
「・・・最近主任の目がおかしいような気がするのは私だけかなー?」
「大丈夫大丈夫私たちもだから、ジェラード様に会ってからだよねー?」
「主任は変わってしまったかー・・・」
「・・・・・・・さあ!やるぞやるぞー!!」
「おおー」
さあ・・・艦娘の装備は開発が進んでいるし、練度を上げるために試験的に使用している・・・次は衛星レーザー・・・いや、空間テレポートミサイル・・・いや、空間転送システム・・・ぐふふふふ・・・夢ロマンが溢れますな〜!!!!!!
とある海域で
「う〜ん・・・ここはどこだろう・・・まさか、途中で嵐に合うなんて聞いてないよ!!!泣
うう・・・嵐でコンパスと海図も流されてしまったし、私どうなるだろう・・・
何とか積んでいる物資で持っているけど、それも長く持つか、分からない・・・
おーい、私はここだよー!誰か助けて下さいー!泣
って叫んでも仕方ないよね!泣」
彼女の妖精さんも必死に現在地、どこへ行けばいいのか、探っているが、コンパスや羅針盤も壊れてしまってはさすがにやれることは限られ、漂流してから長い時間が経ち、むしろ、今まで深海棲艦に見つからないだけ運がいいと言える
彼女が現在航行しているエリアは台湾南西部であり、位置からしてもう敵影響範囲へ入っている
彼女の周りはどこを見ても海、海、海・・・
行き先がわからなくなった彼女は果たしてどうなるか・・・
次回作
「漂流の艦娘」です!