大本営へ無事帰還することができた神威はそのまま上層部へ今までの内容を報告した
報告内容に上層部も驚愕の事実ばかりであったが、納得してもらい、神威は入渠した
「ふ〜・・・独立軍の入渠設備も良かったけど、故郷のものがいいわね〜・・・」
神威は気持ち良さげに目を細めながらゆっくり入ると、そこに入渠施設のドアが開く
「うん?あ!神威さんじゃないですか!」
そこには何も見に纏わぬ姿の速吸が入渠のためにタオル一枚を片手に現れた
「あ、さっきぶりね〜」
「もう報告が終わっているなら、連絡してくれたら良かったのに」
「ごめんね、私の無線機故障してて・・・」
「あ〜・・・それは災難ね・・・」
「本当にそうね・・・無線機が使えたら遭難なんてしなかったのに・・・って今はつくづく思うよ・・・」
「ははは・・・無線機は繊細だからね・・・ドイツからの新型無線機によって雑音が良くなって相手の声が拾えるらしいけど、まだまだ少数に留まっているものね・・・」
「早くこっちにも欲しいよ〜!」
「あ、そうえば、さっきの報告は何だったの?」速吸が思い出したように言う
「ああ〜・・・あれはね・・・」
神威は上層部に話した内容を話せる範囲だが、すべて話す
「ええええ〜〜〜〜!!!!???嘘ーーーーーー!!!?」
「ちょ、声が大きいよ・・・」
神威は少し頭を抑えながら苦笑する
「あ、ごめんね・・・つい内容が内容だからね・・・」
「そりゃあ。私だって、信じられないこともあるけど、実際に経験しちゃったからね・・・」
「へ〜・・・独立軍って国に属さない軍ということでしょう?仲良くできるといいな・・・」
「それは大丈夫よ、あちらも艦娘には良心的だから」
「そうなんだ・・・でも、すごいね、ジェラードさんって話を聞くと指揮しているのが艦娘でしょ?しかも、未知の技術を持ち各国が喉から手が出るほどの戦力というね・・・」
「艦娘の数はまだ少ないかもしれないけど、それはこれから増える可能性があるわ、だから独立軍と日本は軍事協定、同盟関係でいないといけないわ、何としても・・・」
「・・・でも、各国も黙ってはいないよね?それ程の組織なら」
「ええ・・・そうね、アメリカ、ロシア、中国、ヨーロッパ諸国等狙う国は多い、けど、独立軍の敵対関係なんて私にとって悪夢でしかないわ・・・もし敵対するなら投降するか、おとなしく独立軍へ亡命するわ」
「あら?大本営直属といたわれた神威さんが亡命なんて考えて大丈夫なの?」
「流暢に考えている暇なんてないし、うちの大本営なんてほとんどが黒みたいなもの。それなら新しいとはいえ、絶対負ける戦争を仕掛ける国より本心が定まってて他国に屈しない組織に仕えたいわ・・・」
「う〜ん・・・まあ、そう考えるなら仕方がないわね・・・私も給油艦として輸送作戦に従事するけど、ぞんざいに扱われるし、今の一部の上層部を何とかして欲しいわ・・・」
「あら?あなたこそ、そんなこと言って大丈夫なのかしら?」
「別にそれはお互い様じゃないですか〜」
苦笑しんがら神威は言う「まあ、それもそうね・・・どうかしら?上がったら間宮さんの飲食店か、鳳翔さんの店にでも行きませんか?」
「いいですね〜よし!神威さんが無事帰ってきたことを祝って盛大に盛り上げよう!」
「え?・・・いや、そんなこと別にいいわy「いいわじゃないわよ!私の大親友が帰って来たこともあるけど、あなたは大本営にとって仲間なの!なら当然祝わないとね?」・・・分かったわ・・・ただ、あまり羽目を外さないようにね・・・」
「よっしゃ〜!そうと決まれば・・・神威さん・・・・」
速吸はぎらついた目で神威を見る
「・・・え?」
神威がまるでレイプの目で見る速吸から距離を取ろうとするが、一歩遅くあっという間に迫られる
「久しぶりに胸を揉ませろ〜!」
「え〜!?ちょ、ちょっと!?展開が急すぎませんか!?」
「そんな都合知らないわ!あなたまた大きくなったわよね?・・・私にも分けろ〜!」
「ひええええええ〜!!!!」
と補助艦娘同士そんな茶番が繰り広げられ、次の艦娘が入るまで続いた
と少し場所が変わり、大本営の一室で葉巻を吸いながら大柄の男と艦娘が座っていた
その男は金髪の筋肉質な肉体を持ち、白い将校の服装を着ていた
艦娘のほうは修道院のシスターを連想させる服装を来た、白髪の艦娘であった
「・・・いつになったらあいつらは報告に来るんだ・・・ち、折角こっちが仕入れてやった装備を最終的に見つかったとはいえ、嵐で紛失しかけるとはとんだ間抜けな連中だ・・・やっぱりあいつらはただのイエローモンキーにすぎんな・・・・なあ・・・お前もそう思うだろ?ノースカロライナ」
「はい・・・」
艦娘は少し諦めた目で一点を見つめ、ただ返事だけをしていた
「あっ?もっとはっきり声を出せ、それでも合衆国の艦娘か?」
「はい・・・失礼いたしました、ジェラルド少将」
「全く・・・近頃の艦娘は教育が行き届いていないものだな、あの猿どもも鬱陶しい程この上ないが、お前ら艦娘も兵器の癖に感情があるだなんてとんだ厄介事だな」
「・・・・・・・・」
と不穏な空気を漂う部屋にコンコンとノック音が響く
「待たせてしまったな、ジェラルド少将」
「うむ、貴様らイエローモンキーどもは人を待たせることが相変わらず好きなようだな?まあ・・・ワインを飲みながら聞かせてもらおうか?参謀長?」
「それはいいですな、少将殿」
二人は高級な椅子に腰を下ろし、参謀長がワインを注ぐ
「おお、50年物か、このワインは良い、さすがフランス産というのもあるな・・・この香りは落ち着かせてくれる」
「それは良かった、料理も用意させているから存分に食べてくれ」
「ふふふ・・・で?どうだったんだ?」
「驚愕するような事実ですよ・・・まさか、艦娘と妖精だけで運用されている基地に世界各国の技術も到底敵わない技術力があるときたようです」
「ほう?我が合衆国でも掴んだ情報では東南アジアに我が国で開発中の新型兵器が実用段階の兵器を艦娘に搭載しているとは聞くが、人間が一切関与していないとは・・・」
「現在調査中ではありますが、魚どももこいつらの対応に苦戦しているようで・・・技術力も現在開発中の誘導兵器、新型の艦娘、短期間で大規模な施設を建造可能とする高度な技術力を持つ妖精等他にもある可能性がある」
「ふん、所詮魚は魚というものだよ・・・なるほど・・・それはぜひとも我々が徴収したいものだ」
「近いうちにうちからは接触するために特別艦隊を派遣するようで、ヨーロッパも感づいてきたようだし、これは荒れるな」
「高度な技術力と一国を相手に対抗可能な艦娘を多く運用していればそうなる・・・」
「そうですな・・・まさかうちの実験台として艦娘を横流ししてますが、未だに精神と肉体が壊れていないときたものですからね」
「あいつらはそうやって使えばいい、所詮は兵器だ、なら、人間の好きに使っても構わないだろう」
「ああ、それともう一つ面白い情報がありましたよ」
「ほう?それはなんだ?」
「補給艦神威がもたらした(ジェラード達が意図的に流した)資料に水上艦艇と陸上兵器もありました」
「む?水上艦艇に陸上兵器だと?」
ジェラルドは頭を捻る、水上艦艇なんぞ深海棲艦には無用な兵器だし、陸上兵器にいたってはそもそも海上へ出れない
「ええ・・・どうやら、独立軍は積極的に水上艦艇と陸上兵器を開発しているようで、何か裏があるじゃないか、と思い、調査に当たらせてる。」
「独立軍か、こちらではコードネーム「ファントム」と呼んでいるな」
「ファントム・・・正体が判明しない謎の勢力ですからあながち間違いではないですな・・・」
「うむ・・・今まで人類は水上艦艇のみならず、航空兵力、陸上兵器等すべてを投じて魚どもを撃滅しようとしたが、結果何割か、を撃滅できてもこちらが全滅する、あえてそれを開発建造しようとすることは何か有効な兵器を持っているのに違いない」
「はい・・・調査にも限界があるとはいえ、もうすぐ例の計画は実行されます。それが成功すれば我々が存分に力を発揮できる
そして、独立軍を我が物とすればあの忌まわしい魚どもを駆逐できるだろう・・・」
深海棲艦は主な戦法としては敵対勢力が現れたら、その近くまで潜航し、近くにて一気に浮上攻撃する、人間サイズで艦艇並みの防御力と主砲並みの攻撃力を持ち、更には空母型にいたってはラジコンサイズの艦載機でも一発の爆弾で駆逐艦一隻を轟沈させ、100機の艦載機で一つの地方都市を壊滅させることも可能だ
つまり、簡単に言えば人間サイズにイージスシステムのような射撃システムと高度な技術力を必要とする誘導兵器等があっても撃滅が難しい深海棲艦に対してわざわざ的が広い多くの人員を必要とする艦艇を動かしても結局被害が大きくなるだけ。
深海棲艦が全世界に対して攻撃を開始した当時、人類側は必死な抵抗をするが、僅か半年で東南アジア、ヨーロッパの一部、南米の半分、アフリカの一部等が占領された
人類側は英知を結集させ、何とか新型兵器を開発しても対抗できずにいた
その中で独立軍・・・ジェラード達が持つ技術はすべて公開している訳ではないとはいえ、「通常兵器が深海棲艦に対抗可能な兵器を開発保有している」という事実だけで、注目を集める。
「それにしてもお前は鬼畜だものだな・・・自国に魚どもを襲撃させるとは」
「この国は少し厄介な人間が増え過ぎた、それを一気に浄化するだけだよ」
「・・・そうか、では計画成功を祈るぞ・・・さて、私は少しこのガラクタと遊んでから帰るとしようか」
と聞いていたノースカロライナがピクッと肩を震わせる
「ほう・・・相変わらずそちらさんももの好きなもので・・・では、部屋に必要な『道具』は揃っております・・・どうぞ、お楽しみに」
「ふふふ・・・すべては我々の利益のために・・・いくぞ」
ノースカロライナは少し引きずられるように二人は奥の部屋へ消えた
「・・・そっちも鬼畜な癖してとぼけてやがるな・・・これから始まることは間違いなく日本が改革されるかもしれない、同時に米軍も艦娘を太平洋側へ移動させる動きがあるっていうことはアメリカにも警戒したことに越したことはないな・・・おい」
「はっ」
一声に答えたのは陸軍服を身につけた士官であった
「計画は順調なんだろうな?やつらを殲滅できなければ、こちらとて損害を出すことになる」
「ご心配には及びません、魚どももこちらと取引するような勢力がいることも事実ですから既に日本周辺へ大艦隊を移動済みとのことです」
「ふん、なら、俺は丁度大事な取引がある・・・そっちは任せたぞ?」
「了解です」
参謀長はそう言うと窓のほうを見てぎらついた目で上層部の建物を見る
「さあ・・・ショータイムの始まりだ・・・お前らがどれほど対応できるか、じっくり見てやろう・・・ふふふ」
日本にとって史上最悪ともなる事件が今起ころうとしていた
日本近海水深1200m地点
平凡な海にカモメが飛び交う、そこには誰一人おらず、平和な海であったが、海底ではそうではなかった
海底には黒い物体がゾロゾロと移動し、真っすぐ日本へ向かっていた
そこに巨大な艤装に不気味な手と口が付いた怪物を撫でる女性が居た
そこへ駆逐イ級が近寄る
「戦艦水鬼様!強襲部隊と攻撃艦隊、機動艦隊の配置はあと少しで終わります。」
「そう・・・絶対にミスがないよう各自に厳命しろ」
「はっ」
「ふふふ・・・後少し、待ってなさい、人間どもめ・・・ガラクタと共に海底へ葬ってあげるわ・・・」
「・・・・・あちらさんは大丈夫かしら?」
そこへ巨大なイ級のような艤装を身につけた白い肌の潜水棲姫が現れる
「・・・大丈夫だ、あちらの情報では我々が見たことのない装備を持っているとはいえ、所詮ガラクタの集まりに過ぎん・・・物量攻勢を前に壊滅するさ」
「そう、だけど、私の部下の報告に面白い情報があったわよ」
「・・・なんだ?」
「謎の勢力、どうやら水上艦艇を建造しているようよ」
「ふん、所詮はガラクタの集まりに過ぎん・・・そんなもの我々には通用しない」
「あら?そうとは限らないじゃないかしら?」
戦艦水姫は潜水棲姫へ睨め付けるように言う
「なぜだ?」
「今まで偵察艦隊を何度も送ったけど、すべて相手艦隊に対し一撃も与えられず撃沈している、一撃も与えられないということはそれだけ相手の素早い攻撃方法があるということよ?人類側からもたらされた情報では誘導兵器が最もな理由らしいけど、それを水上艦艇へ搭載されると厄介じゃないかしら?少なくとも『`艦娘の力』を借りずに『人類のみ』で攻勢に出たら」
「・・・・・ふん。そんなものよくあるほら話しか、戦場伝説に過ぎん、過大評価するのも良いことばかりではないぞ?」
「そうかしら?どのみち今回で決着が着くと思うし、どうなるか、楽しみだけどね」
「そんなことを言うために来たのか?失せろ、でないと貴様の身体を握り潰す」
「はいはい〜」
「・・・ち、食えない奴だ・・・・・・だが、やっとあの忌まわしい艦娘と人間を始末できる・・・ふふふ」
と彼女は野望を燃やしながら進む
彼女の周りには駆逐艦・巡洋艦・戦艦・空母だけではなく多くの輸送艦を抱え、輸送艦内部にはズラリと陸上兵器が満載していた
それは現在の大本営が見たら、失神するような光景であった
そんな彼女達は悠々と真っすぐ侵攻した
その背後で追跡する<何か>がゆっくりと侵攻部隊の後を追っていた