ジェラード達が空母建造に乗り出した頃、人類側の活動は活発化していた
東南アジア南方は深海棲艦によって完全占領下となっている。
南方のシンガポールは深海棲艦の西太平洋艦隊の司令部が存在する付近ではフラグシップ級の個体が多く存在する海域の海中で潜航する潜水艦が居た。スクール水着に魚雷を片手に持って航海しているのは艦娘だ。
その潜水艦娘はある任務のために出撃しており、その任務とは艦娘が確認された海域の偵察だ。
南方という深海棲艦が占領下で絶対領域にも関わらず強行偵察部隊がいくつかの深海棲艦がなぜか、占領下の地域へ活発に艦隊を動かし、正体不明の艦娘が確認されたということだ。
前者であれば、大本営や政府も無視したが、後者は大問題だ。
今の日本海軍は艦娘によって領海を取り戻すことには成功したが、深海棲艦の物量攻勢には苦戦を強いられている。
もし、正体不明艦娘が所属していないドロップ艦娘だった場合、是非とも仲間にしたい、新型の姫クラスの深海棲艦だったら日本軍は新たなに対策を建てなければならない
どのみち、この情報はとても無視できる案件ではなく、大本営は呉鎮守府、横須賀鎮守府から偵察艦隊を結成し、旗艦伊401、伊19、伊8、伊168、伊13、伊58を送り出した。
この戦力は現在日本軍が保有する潜水艦のうち3割の戦力であり、日本軍はまだまだ戦力が大日本帝国海軍の最盛期に比べ少ないが、どれだけこの任務に重要性を抱いているかが分かる。
「ねー本当にこの海域に艦娘が確認されたの?今のところ大丈夫だけど、海上は深海棲艦でうようよしているよ?」
「私も思うけど、いくつかの艦隊が確認されたし、横須賀鎮守府の第3艦隊旗艦川内さんと他の艦娘の偵察機が見つけたらしいけどね・・・ただ、そのあと追尾しようとするといつの間にか、見失ったと報告にはあったけど」
「それって深海棲艦じゃないでち?」
「いや、少なくともいくつかの深海棲艦の残骸が漂着していたことから交戦があったのは間違いないらしいのね」
「うーん・・・深海棲艦の派閥が戦闘起こしたとか、ではなく?」
「それを私たちが偵察するのね、今回の結果次第で軍令部の作戦が変わるとか聞いているのね」
「うわ〜・・・オリョールクルージングでも頭を抱えているのに、また仕事が来るでち・・・」
「・・・!前方ソナー探知、水上艦発見」
「了解、潜望鏡上げるね」
「・・・・・・・どうでっち?」
「・・・深海棲艦・・・ね、駆逐艦6、巡洋艦10、軽空母3、補給艦4ね」
「え〜・・・大艦隊じゃん」
「どうする?撃ちかます?」
「いや、見過ごしましょう、今回はあくまでも偵察であって攻撃ではないね」
「了解」
潜水艦は基本的に海に潜むものだが、深海棲艦の個体によってソナーの性能差があり、ソナーは潜水艦のエンジン音、空気圧縮音、船内の騒音等を探知し、海上から爆雷を投下することが一般である。潜水艦にも当然対策はされているが、任務の性格と日本軍の潜水艦はエンジン音等が大きく、探知されやすい
エンジンを切って、海底に潜むものもこうした背景がある。
「・・・・・・・」
各自息を潜めるか、のように静かにし、艦隊が過ぎ去るのを待った・・・
暫く待ち、艦隊が離れたのを見て、潜水艦娘はホッとする
「良かったでち・・・ここで見つかれば作戦は断念せざる得ないでっち・・・」
「こんな敵地で戦闘もしたくないけどね・・・」
「ところでこの後どこに行く?」
「そうね・・・」
伊401が地図を取り出す
「現在位置はグアム島から南西500k地点、日本を出発してから硫黄島から補給を得て、真っすぐ航行。当海域には目的の艦娘はいないようね・・・」
「フィリピン方面の海域はどう?あそこならギリギリ行くことが可能でっち」
「別にギリギリに行かずとも私としおい(伊401)達で偵察すればいいじゃないかな?」
*正式名称は伊401ですが今後はしおいと表記します。
「そうね・・・なるべく航空機の発着時には安全にいきたいのね・・・旗艦はどうする?」
「そうね、残りの燃料も考えるとそれが妥当でっち、行き先をフィリピン方面で偵察して何も出なければ帰投でっち」
「了解!」
艦隊は進行方向を転進し、フィリピンへ向かう。
その艦隊を背後から追跡する存在が居た。
白髪のショートカット黄金色の瞳に白い肌の黒いウェットスーツにVLSの箱型を装備し、左手にタッチパネル、右手に空間投影式画面を表示させていた。
クリュード級三番艦アルバート・ミラだった
「・・・・・進路変更、フィリピン北部へ航行、我が基地へ向かう可能性ゼロね・・・こちらフォックス警戒隊、日本からの潜水艦隊は現在フィリピン北部へ航行中」
『了解、そのまま監視をお願いします。』
「了解・・・それにしてもこれで南方海域へ潜水艦を送るのは何回目かしら?潜水艦の行動範囲が確実に広まっている・・・余程私たちのことを探しているのかな?」
・・・ミラは片手に展開している画面を見ながら、航行していた
(日本海軍以外にもアメリカ海軍の艦娘も送り込んでくるところを見ると、どこから漏れたか、分からないけど私達の存在を知ったかも知れない、今のところ実害という被害は何もないから放置しているけど・・・)
ここ最近日本、アメリカの両国が潜水艦娘を送るようになってからミラ達で監視し、その動向を探っていた。
規模としてもやはり敵地なので少数が多いが、目的ははっきりしている。
接触に関しても見つけてもらうことも悪くないが、自分たちの優位性を上げるためにタイミングを見ていた。
見つけられて、どうするか、は外交次第だが、十中八九自国の勢力下に加われと言われるだろう
しかし、ジェラードは元々異世界の国の艦艇であり、自分の持つ技術がもたらす影響を良く知っている。
自分の持つ技術を他国に奪わせず、見せずに自分の安全を確保できる状態となれば、自分と多くの仲間で一つの勢力を作ることだ。
そのために戦力増強、周辺海域の制圧、天然資源の確保は絶対である。
基地の航空戦力、陸上兵器は充実してきたが、海上の航空兵力はジェラードを抜きにしてほとんどない。予定ではジェラードが開発するジェット機艦載機を搭載するために建造する空母にアングルドデッキ、耐熱装甲化、大型化の予定であり、データでは加賀級、信濃、エセックス級が最大空母だが、全長270m、これではどんなにギリギリ搭載しても30機〜40機ほどが限界とも言える。
なので、大型化させることで加賀、エセックスでも70機以上搭載可能にする。
人型の艦娘で改修することは可能か?と言われれば可能、艦娘は妖精の不思議な力によって艤装を改修することができ、妖精の技術力、艦娘の経験等が必要になる。
技術はどうにでもなるが、経験に関してはいきなりミニッツ級の原子力空母のような大型本格的な空母にせず段々慣れさせてから改修となり、過去に無理矢理改修し、艦娘の人格が崩壊する事故もヨーロッパで起きていた。
艦娘はデリケートな兵器で兵器とはいっても艤装を外せばごく普通の女子、女性であり、解体をすれば普通の女子、女性として人生を過ごすことが可能だ。
だが、艤装と肉体は魂との繋がりで切っても切れないものだが、それを妖精さんが艤装のみ解体することで肉体との関係を断ち切る。
しかし、解体は国家承諾が必要であり、何でもかんでも解体すれば戦力低下するし、同じ顔の女子、女性が溢れかえることになる。
話がずれたが、まだまだマスターの戦力は不足しており、まだ、接触するのは早期と判断され、こうした監視に留まっている万が一、艦娘に見つかり攻撃を受ける場合、攻撃許可は既にもらっており、反撃する。
なので、ミラは背後から監視しつつ、もしもの場合に備えてミサイル発射準備はいつでもできる。
一度撃てば目の前の潜水艦隊を追い払い、撃破するが可能だ。
「・・・・・お願いだから、気づかないでね・・・気づいて攻撃すれば、ちょっとめんどくさいからお願いね・・・」
一方、潜水艦隊は隠密に行動し、海底を航行していた、この辺の海は浅瀬で、珊瑚礁となっている。
「それにしても綺麗な海ね・・・戦争中でなければこの海を自由に泳ぎたいのにね・・・」
「提督も今大変な時期だというのは分かるけど、毎回オリョールクルージング、偵察、護衛任務に駆り出されて疲労が溜まっている状態できついわ・・・」
「・・・仕方ないさ、日本はまだまだ艦娘の数が足りないけど、十分に戦力が充実すれば休息することもできるようになるわ」
「はあ〜・・・まだ、ブラック鎮守府よりはマシだけど、ゴーヤ、そっちの鎮守府の提督は確か若いけど艦娘のことを考えてくれる無茶苦茶な提督じゃないでしょ?羨ましいわ・・・こっちの提督は頭が少し堅いし、威張っているから毎度毎度無茶な要求には困る・・・」
「う〜ん・・・まあ、潜水艦こそ少ないけど水上艦は横須賀・呉・舞鶴を中心に充実しているのでしょ?なら、そろそろ潜水艦建造も視野にいれてくれるわよ」
「う〜あ〜ネガティブな思考しかないでっち〜早く目的の艦も来るでっち!」
と伊58が近くにある石を八つ当たりのように殴ると黒い物体が動いた
「うん?今何か動いたような・・・」
「え?」
「・・・・・ガアアアアアア!!!」
「うええええええ!!!???」
そこにはイ級とへ級二隻が居た。
「いええええ!?!!?」
「しまった、さっさと退散するのね!」
「もう〜なんでこんなとこにもいるのよ〜!」
「・・・・・・信じられない・・・ソナーで見つけてると思っていたけど、深海棲艦は基本的に海から浮上するのだから予想くらいしなさいよ・・・」とミラは吹く
「キシャアアアア!!!」
イ級が大きな口を開き艦娘に噛み付こうとし、へ級が浮上し、ソナーを打った
「!?まずい!ソナーね、全速退避!」
「ぬ〜ここがこんなにも浅くなかったら、潜航するのに!」
と潜水艦娘達が言っている間にも爆雷が投下され、水中で爆発が起きていた
「く・・・いつまでも噛み付こうとしないで!魚雷発射!」
伊168から放たれた魚雷は真っすぐ近くに居たイ級に命中し、轟音を出しながら海上に水柱を立てた
「く、撃破したところで早く退避を・・・・!!!???」
戦闘している間にへ級の二隻のうち一隻が仲間を呼びに行ったせいか、どんどん深海棲艦が増えていた
「駆逐艦5隻、巡洋艦3隻、潜水艦1隻・・・これはきついでっち・・・」
「どうする!?このままだと囲まれるわよ!」
「!進路を北東部へ変更全速前進するわよ!!!」
「了解!!」
潜水艦娘達は全速で退避しようとするが、退避先には新たな艦隊が出現していた
「!く、ここにも・・・魚雷を撃つわよ!」
「きゃああああ!!!」
「!イムヤ大丈夫!?」
「く・・・これくらいじゃ沈まないわ!」
「拙い・・・囲まれている・・・」
「な!?」
潜水艦隊の周りに多数の深海棲艦が囲み、大破艦も出てしまった、このままでは全滅であった
「・・・ちょっと拙いな・・・このままだと全滅する可能性があるか・・・」
と画面を見ながら吹く・・・
(・・・・・・このまま全滅してしまえば、こちらへの干渉が薄くなるけどその分日本はさらに不利な状況になるわね・・・それはこちらとしても望ましい状況ではない・・・)
ミラは思案した後口元を微笑み
「・・・・少し手を貸してあげる」
ミラはすぐさまタッチパネルを操作し、ミサイル及び魚雷攻撃用意する
「現在の潜水艦隊達の北東部であればまだ、守りは薄いそこを攻撃すれば逃走可能のはず」
すぐに艤装から数発のミサイルが発射され、魚雷全弾も発射された。
発射されたミサイルは海中を高速に進み、深海棲艦へ迫る
「く・・・これはやばいね・・・」
目の前の光景では深海棲艦が迫っており、潜水艦隊は全滅する寸前であった、6割が大破し、その他も無事ではなかった。
「・・・無線はだめよね?」
「えー・・・さっきの爆雷攻撃で損傷したみたい・・・」
(く・・・どうすれば・・・どうすればいいの・・・お願い・・・誰か助けて・・・!)
とその時、轟音を響かせながら高速に接近する物体があった、その物体は目の前の深海棲艦に命中すると周囲に衝撃波を出し撃沈した、それが一度ではなく後続に来た何本ものロケットのような物体が深海棲艦を撃滅していく
その光景に潜水艦隊は動揺する
(何!?あれは一体何!?魚雷にしてはあまりにも早過ぎるし、噴式弾でも海中で進むことなんて不可能のはず・・・)
「!?道が開けたわ!このまま一気に進むわよ!」
「了解!大破艦は無事な艦に護衛してもらいながら全速力で進むわよ!」
さっきの謎の攻撃によって深海棲艦は撃破できたが、まだ残っている深海棲艦はいる
旗艦が他の艦娘を先導している時、フと振り向くとこちらを見る艦娘が居た。その姿は白髪のショートカット黄金色の瞳に白い肌の黒いウェットスーツ
艤装には見たことのない箱型のものを装備しており、かなり遠くであるが、視認できた。
直感的にその艦娘が助けてくれたと感じたが、今は声を上げる暇もなく撤退した。
「ようやく撤退できたか、少し姿を見られたが問題ないだろう」
さて、深海棲艦が向こうのほうに気を取られているうちにこちらも撤退しますか・・・とミラは薄暗い海中へと姿を眩ました・・・