Fate/erosion   作:ロリトラ

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3日目/大切なもの

放課後の、校舎裏。

人気のなく、それでいて開けているこの場所はコイツを相手にするのには一番適している。

 

「それで……こんな校舎裏にまで連れてきて、何のようですか?戈咒君。」

 

何を今更、白々しいことを言ってやがる。

 

「おふざけはいい。単刀直入に聞く、お前…何が目的なんだよ。」

 

するとレアの顔から貼り付いたようなたおやかさが消え、そこには可憐(じゃあく)な笑みが残る。

 

「何って……さっきセイバーちゃんには伝えたじゃない。そんなことも忘れちゃったの?それとも聞かされてないほど仲が悪いの?」

「違う。お前の神の庭が云々とかいうどうでもいい目的じゃねぇ。そんなんは聖杯戦争での目的だろう。俺が聞きたいのは、なんで学校に、うちのクラスに来たかってことだ。」

 

レアはいつもの様に笑みを崩さず、されど口端で嗤いながら答える。

 

「何故って、私だって学校生活を楽しみたくなることぐらいあるでしょう?」

「セイバーは魔術師なんてロクな奴がいないとか、魔術の探求以外どうでもいいって人種だって言ってたぜ。そんな奴がそんな為に来るとは思えねぇよ。」

「酷いなぁ、君は目の前のいたいけな少女と、いきなり君の前に現れて君を殺し合いに巻き込んだ幼子の姿をした人外、どっちを信じるんだい?」

「なーにがいたいけな少女だよクソババア。んなもの聞かれるまでもねぇ、ロリを信じるに決まってるだろうが。」

「………いやー、君。筋金入りだね。まぁいいさ、その過ちは君がいつか気づくといい。」

 

レアはそう意味深に呟くと、再び顔にたおやかな笑みを貼り付けて理由を話し出す。

 

「で、私が来た理由だったね。それは君に興味があるからさ、伍道 戈咒。今までで私の毒を弾いたのは君が初めてなんだよ。セイバーちゃんの呪い(どく)のお陰ってのは分かってはいるけど、それでも私としては興味深いことに代わりはない。」

「だから、俺を捕らえる為に、学校を人質に取って迫りに来たってことかよ……!!」

「うーん、まぁ、そんなとこかなー。だからほら、私の『子』になりなよ。心配しなくても悪いようにはしない。永遠に近い生も与えてあげられるよ。」

「ふん、何を言いよる。騙されるなよ、ますたぁ。」

 

と、そこでいきなり霊体化していたセイバーが実体化する。

 

「いや、今みたいなあからさまなのに騙される奴はいねぇよ流石に……竜王の誘い並に怪し過ぎるだろうが。」

 

「あ、セイバーちゃん久々ー。どう?戈咒君説得してくれない?」

「する訳でなかろう、阿呆。」

 

セイバーのすげない反応にレアは唇を尖らせながらとんでもない言葉を放つ。

 

「ちぇー。ならさ、この学校中に設置した私の病毒を、発動してもいい?」

「なッーーー!!」

 

その時、セイバーが背中に手を置いて言う。

 

「落ち着くのじゃよ、ますたぁ。お主が焦っては思うつぼじゃわい。それに、お主が『子』になったところでこの魔性が約定を守るなど到底思えないしのう。」

 

セイバーの諭す声で、思わず冷静になる。

 

「そう……だな。それに、魔術師は無駄と目立つことを嫌うんだったか。そんな大袈裟なことやるはずがない。」

「あららー、気づかれちゃったかー。やっぱ私って化かしあいに向いてないなぁ。」

 

自嘲するようにへらへら嗤うレア。

だがもう種は割れた。躊躇う理由はない。

 

「ここまでだ、レア。観念して大人しく斬られるんだな。」

「ふふふー、調子に乗ってるとこ悪いけどさ。私、誰か特定の人間に病毒を仕掛けなかったとは、言ってないよ?」

「な……に……?」

「惑わされるなますたぁ!ハッタリに決まっとる!」

()()()()()()と、()()だっけ。昨日から転校してきたばっかの私にも色々 構ってくれてさ、それこそ仕掛けるチャンスはいくらでもあったとも。」

「なっ……てめぇ!」

 

咄嗟にそのままで斬りかかろうとするが、目の前に手を突きつけられて思わず身体が動きを停止してしまう。

 

「だから、待ちなよ。私には戦闘の意思は無いんだってば。それにさ、これで無理やり『子』にしたいとも思わない。だから、さ。」

 

そうして指を構える。指に魔力が集中しており、何か魔術式を、いや。この状況で発動するとしたらアイツらに仕掛けたソレしかない。

 

「私に、これを使わせないでよ。」

「ーーーーッ!!」

 

これ以上、振れない。振り下ろせない。

 

「分かってくれたならいいんだ。それじゃあ、これからクラスメイトとしてよろしくね、戈咒君。」

 

そう言い放つと俺とすれ違うようにしてレアは去っていく。

その時、追い放つように声をかけ、言葉を放つ。

 

「1つ……言っておく。俺はロリコンだ。ロリが大好きだ、愛してる。」

「と、突然何を言い出すんじゃお主……」

「いや、知ってるよ?私もそれくらいは流石に。」

 

セイバーは俺に呆れ顔を向け、レアも俺に苦笑いを向ける。

 

「けどな……ロリコンにもそれ以外に大事なものはあるんだよ。アイツらは、ベクトルは違えど幼女達と同じくらい大切なんだよ。だから……もし何かあったら、絶対殺してやる。」

 

「ふ、ふふ、ふふふふ。ふははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは!!!!いやぁ、いいなぁ!最っ高の殺害宣言(ラブレター)だ!!ふふ、ふふふ、そうならないといいなぁ!ははははははは!!!」

 

そう、高笑いと、微かに鼻の曲がるような残り香を残して。レアは消え去った。

 

「………セイバー、この聖杯戦争。勝つぞ、何があっても。」

「うむ、任せよ。……それはそうと、先程の啖呵は。様になっておって、なかなかカッコよかったぞ、ますたぁ。」

 

な、な、ななな〜〜〜〜!!!

 

思わず顔が熱くなる。

 

「ど、どうしたのじゃますたぁ、顔を赤らめてまさか奴の毒でも食らったか!?」

「ち、違ぇよそんなんじゃねぇよ問題ないぞ!とりあえず今日は帰るぞセイバー!」

「え、あ、うむ。なんじゃ、この釈然とせんのは……」

「なんでもないっ!」

 

そうして、茜色の空の下。

俺達は家へと帰宅した。

 




殺害宣言(ラブレター)のルビ振りは割とお気に入り
それにしても、今回で初期からの課題の一つであったシリアスなロリコンってのに一つの答えを見つけられたようなかもするのですが、どうでしたでしょうか

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