4限目の終了を告げる鐘が鳴り、昼時となった。今日は弁当を持ってこなかったので購買でイチゴミルクとサンドイッチを買って机に戻ると錬土と委員長が昼食を取りながら何やら話していた。
「お、昼飯は購買で買ってきたのか。ところで戈咒、お前
「守掌の都市伝説?」
この町に住んで2年になるが未だに聞いたことのない話題だった。
「最近この学校で話題になってるのよ。そんな心霊現象なんてものが実在するはずもなし、いたずらに風紀を乱されるのは困るから真相を突き止めようと思って。ほら、乾君はうちの学校でも無駄に顔広いし都市伝説の正体も知らないかなーって聞いてみてたのよ。」
「んー、でもよー。悪いが俺も学校で噂になってる程度までしか知らねぇなぁ。」
「そもそも、その都市伝説ってどんな内容なんだ?」
興味が湧いてきたのでつい尋ねてみてしまう。
「幾つかあるんだが、有名なのは
「鎖山森で最近狼人間を見かけたって噂が1年生の子達の間で流行ってるのよ。なんでも人のように見えたけど叫び声がどう聞いても獣のものだったらしいわ。
人喰い鬼には人を襲って食べる化物が守掌市に最近現れたって噂よ。私に言わせればどちらも眉唾物ね。まぁでも最近行方不明者が増えてるのは事実みたいだし注意を呼びかけておいて損は無いと思うんだけども。」
鎖山森とは俺達の家や学校がある平斗町から
「あと1つの平斗の幽霊屋敷はお前のが詳しいんじゃないか?お前の家から駅を挟んでちょっと行った辺りだったろ。」
「あぁ、あの空き家の洋館だろ?お前とも昔行ったことあるじゃないか。なんで都市伝説になってるんだ?」
平斗町にある幽霊屋敷は俺も過去に錬土や他の同級生との肝試しで使ったことがあるがただの空き家の洋館であり何もいなかったということを覚えている。というよりこれは平斗町側の子供にとっては常識レベルのことであり、今更都市伝説になるほどのことではないと思うのだがーー
「俺もそう思ってたんだがな、どうやら見たらしいんだわ、それも小さな女の子の幽霊をガチで、だとよ。」
「ただの噂じゃないのか?」
「……その話を聞いたのは俺らと一緒に肝試し行った奴らからなんだよ。」
錬土は弁当の野菜スティックを齧りながら声色に真剣味を帯びさせて話を続ける。
「だから、さ。ここからが本題なんだか今夜辺りでも行ってみねぇか?真相を確かめに幽霊屋敷によ。」
ーーなるほど。ここまでのは前フリに過ぎなかったということか。
「ちょっと。私の前でクラスメイトが不法侵入の計画を立ててるのを私が止めないとでも思ってるの?」
俺が錬土の案に賛同しようとした瞬間、委員長が待ったをかける。
元は委員長が持ち込んだ話題だがクラスメイトが問題に取られかねない行動とるのを見過ごしてくれる程甘くはなかったらしい。
「でもこれ委員長が持ち込んだ話題じゃないか。なんで委員長が止めるんだよ。」
俺としてもこの件には強い興味があるのでで錬土に対し援護射撃を送る。
「ぐっ……それはそうなんだけど……でもクラスメイトが不法侵入を行おうとしてるのをみすみす見逃す訳には……」
「でもここで真相をはっきりさせてこれば学校に広まる噂の根を1つ断ち切ることが出来るよ?」
「うーん……そ、それは……」
よし、これならもう一押しでいけるぞ!
そう考えた矢先である。
「なら委員長も一緒に来れば?」
俺の思考が凍りついた。
ーーーな、何を考えてやがるんですかこの巨乳好きの変態はーーー!?
俺だからこそ分かる、コイツ絶対に「胸が足りねぇ、ボインがよぉ」とかそんな理由で委員長の同行を提案しやがったーーー!!
「い、いやそれはちょっと。慣れてる俺らだけで行ったほうがやっぱり、ね?」
「確かに……私が同行すればこの2人の悪さを止められるかも……」
や、やばい委員長も思いの外乗り気だ!これじゃ折角の
「ちょ、ちょっと待ってよ委員長。それは女の子としてどうなの?夜に俺らみたいな男2人と、それも錬土みたいな女好きと一緒にいたら何されるか分からないよ!?」
「た、確かに……やっぱやめておく方が安全よね……」
よし、勝った!
そう思ったのもつかの間。
「あ、てめぇずりィぞ戈咒!お前だってどうせ幽霊のロリにコナかけるつもりだってのに俺だけ無しとかそんなんねぇぜ!」
やっぱり俺の考えは向こうも読んでいたらしい。でもそれはそれとして曝露しないでも良かったじゃん……委員長が急に俺から距離とりはじめたよ。
「そ、そうだった……!忘れてたわ、あなた達両方とも変態四天王の1員じゃない……!伍道君が私を行かせないようにしてたのはもし幽霊の女の子がいたら邪魔だからだったのね。その幽霊が不憫になってきたわ……」
なんか、話が妙な方向に進んでいるような。
「よし、決めたわ。幽霊をあなた達から性的な意味で守るために私も同行します。」
「っしゃーーー!!よく言ってくれたぜ委員長!」
「ハァーーー!?え、ちょ、なんでそうなるの!?というか俺はロリがいても性的な意味で手出ししたことは無いから!」
「いつやってもおかしくないからそう言われるってことを自覚なさい。それと、乾君。もし何か私にやらかしたら死んだ方がマシって思える程の責め苦を与えてあげる。」
「げ……ハイ、ワカリマシタ。」
俺の目論見も失敗したが錬土の目論見も失敗したようだ。ザマァ。
「とりあえず、今日の夜11時に平斗の駅前広場に集合しなさいね。遅れたらシバくわよ。」
「「……ハイ。」」
書き溜めがあるうちな毎日1話から2話投稿する予定です
書き溜め切れたらできる度に更新……という形で
……書き溜め無くても週一更新出来るようになりたい