シンフォギアを二日間くらいかけて一気見してたので全然進みませんでした……いやでもめっちゃ面白いですねシンフォギア
クリスちゃん可愛いです、作者は紛うことなきロリコンなのに一番好きです
吹き飛ばされながらなんとか姿勢を立て直すとそのまま一気に縮地の技法で間合いを詰める。
アイツの力を借りた副産物だろうか、より妖刀の内に秘められた人斬りの術理や技法が身体に馴染み、セイバーに身体を委ねなくともそれを行使できるようになっている。これなら、俺1人でも……!
そうして一月に首を狙うが当然その突きは防がれる。そうしてそのまま弾かれた勢いで刀を振り回し、遠心力に任せて首を落としに振り抜くが、これもダメ。逆にその出来た隙に右眼を狙われて回避を余儀なくされる。
経験とスピード、片方が上回り、もう片方が下回る。
それ故に互いに拮抗し槍を上回る速度で急所を狙う刀。
それ故に互いに切削し刀の軌道を読んで防ぎ生まれる隙を狙う槍。
幾分、幾合打ち合ったか。互いに再度間合いを取ったタイミングでランサーが口を開く。
「解せないな。この間の夜よりも確実に太刀筋には磨きがかかっている。同時に禍々しさも増しているが……それほどの実力ならわざわざアサシンと組んでの魂喰らいなどせずとも、寧ろ他の陣営と組んだ方がメリットが大きいだろうに……いや、そこまでの強さだからこそ地下に隠れ、アサシンの手数に頼り情報収集を行うつもりだったのか。」
何を……言ってる?
今の言い方では、まるで俺達をアサシン共の仲間と認識しているような……まさか、ランサー達もアサシン達と敵対している……のか?
『いや、簡単に信じるのは危ういぞ、ますたぁよ。ブラフや罠の可能性もある。それにアサシン側でなかっとしても、向こうが攻撃の止めない以上背を向けるのも武器を下ろすのもリスクが大き過ぎるじゃろう……』
セイバーか念話で彼女の意見を伝えてくる。
確かに、その通りだ。それに、先に不意打ちを仕掛けたのがこっちである以上仮にアサシン側でなかったところで味方につけるのは難しいだろう。
そう思考を続けるうちにどちらとも無く距離を詰め再び戦端が開かれる。
先程の焼き直しのようになるが、この均衡はギリギリの上に成り立っているに過ぎない、どちらかが宝具を切ればそれで一気に崩れる天秤は傾くだろう。
更にそれだけでなく俺達の場合は真名がハッキリしない以上、宝具の開放にも難がある。かといってこの間の擬似解放は精神と肉体に負担があり過ぎる。ランサーを倒してもまだアサシン達がいる上にこのような敵の本拠地で活動できるのがセイバー1人というのはかなりまずい……故にここは多少の無理をしてでも、宝具を使わせずに倒さなくてはならないだろう。
ココロが、震える。
ーーそうだ、だからこそ。大事なのは迅速な勝利。迅速な斬人。迅速な殺戮。さぁ、振るえーー
心が、ブレる。
ーーならばこそ。防ぐのは致命傷のみ。肉を、骨を穿たせて命を斬る。心の内から、精神の底から、そんな考えが。ふと浮かんでくる。
澱のような、呪詛のような、ぼんやりとした濁り。朱黒く、血の様にこびり付いて心を侵す。白装束に包まれた、彼女のような
心も、躰も。この呪いに侵されていく。その時身体から何か大事なものが抜け落ちたような錯覚。だがそれは、
そうだ、肉体のダメージなど気にはならない。この身は刀だ、刃がこぼれようと、折れようと、斬れればいいのだ。
そう、歪な決意が胸に宿ると。空いた8mほどの距離を縮地で瞬時に詰める。
脇腹をカウンター気味に抉られているが致命では無い、無視だ。
『お主、何を考えておるっ!!』
後ろから何かが言っている様だが
しかしその致命の筈の一撃はギリギリで防がれる。
ーーまだだ。
もっと、もっと、鋭く、刳れ。
もっと、もっと、素早く、斬れ。
今度は向こうも読んだか、こちらの進行方向、心臓の前に槍を置いてきた。
ーーだが、構わない。
心臓の前に右腕を突き出し、刺し貫かせる。
「こいつ、右腕と引き換えに槍を……!!」
これで槍は封じた。肘から槍が飛び出て、神経と骨がやられたが大したことではない。そのまま突き進み、右腕全体で振れなくする。
「ますたぁっ!もうやめるのじゃっ!何故、何故儂がお主の身体から追い出されるのじゃ!?頼む、やめてくれますたぁっ!!」
また
刀は既に喉元に。
槍は未だ背後に。
さぁ、
……そう、刃がスルリと首筋に入る瞬間。
「全力で下がって!!ランサー!!」
鋭く地下下水道に響く声。
同時にランサーより更に奥から発光する赤色の光と多大な魔力。
即ちーー令呪。
三角のみの絶対命令権にして聖杯戦争参加者の証。
それは振り抜いた刀を空振らせ、ランサーを引き合う磁石のように物凄い勢いで後ろへと引かせる。
更に奴が握ったままの槍も同時に吹き飛び、己(おれ)の右腕の肘から先はその勢いでバラバラに吹き飛び散った。
『ますたぁっっっ!!頼む、引いてくれ!やめるのじゃっ!』
再度脳裏に響く
だが、今の
わからない……?
そんな訳はない。
届かない……?
あってはいけない。
そんな奴は畜生にすら劣る
幼女の涙を流させるようなら勝利も、斬人も、殺戮も。必要ない。
そう思った瞬間心の澱が流れていく。淀みは薄れ、沈んでいく。
俺は……いや、今の力こそがアイツとの契約の結果、か。右腕を見ると、飛び散ったはずのそれは既に
後ろを見るとセイバーが座り込んでいる。彼女をまた、悲しませてしまったのかもしれない。
「ます……たぁ。戻った、のか?」
「あぁ……心配かけて、ごめんな。」
「全くじゃ……アソコまで進行していたとはの……いや、まさかお主……伏せろますたぁっ!!」
セイバーが鋭く叫んで俺の頭を抑えつける。
そして地に伏した俺達の頭上を通り過ぎた飛来物が地面に突き刺さるーー包丁だ。
と、いうことは。奴らのお出ましか。
振り向くとグラサンをかけ、キャップを斜めに被ったラッパー風味のアサシンが肉を持ちながら複数のアサシンと共に現れていた。
「Hey!YO!これ食べれる肉、どうせ普通の肉?」
そう言うと抱えた肉を口に含み咀嚼する。あれは……俺の、飛び散った右腕の肉か。
そう気づくと途端に胃の奥から不快感が湧き上がってくる。
だがそれにも構わずラッパーアサシンは肉を咀嚼し続けると突然叫び出す。
「ん〜〜〜〜!!ジュゥゥゥシィィィィィーーーーー!!!やっぱ魔術師の肉は最っ高だぜぇぇぇ!!さぁ皆、こいつのお肉を食べたいかー!!」
「「イエーー!」」
「世界の人間を食べたいかー!!!」
「「イエーー!!」」
「よーし、なら、解体の時間だぜベイベー!!」
な、なんなんだコイツ……
そう思うが否や、目の前のラッパーアサシンが先陣を切って襲い来る。
「セイバー!!」
「ぐ、ぬぬぬ……仕方ないっ、儂が全力で瞬殺してやるのじゃっ!」
構えると同時に流れ込む呪い。それはいつも通り俺に斬人の感覚を覚えさせるが、さっきのアレを知った後ではそれに深い思いやりも加わっていたことがハッキリ伝わる。
彼女を心配させない為にも、より早く倒れてくれよーー!
裏話として、今回のラッパーアサシン、最初は仮○ライダーグミのCMのジューシーボーイみたいになる予定でしたが流石にギャグ過ぎるので変更になりました