Fate/erosion   作:ロリトラ

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ひっさびさの更新となりました

サボってゲームばっかやってた結果がこれだよ!!
モンハンXXたーのしー!(ワールドですらない)


6日目/臨戦

初夏の日が、ちょうど暮れてきた頃。

夜の帳が街を包みかけるその時。

俺と錬土とセイバーはーーー自室でゲームに興じていた。

 

「だァァァァァちくしょうーーー!!キングデビルカード3枚も持ってくるんじゃねぇよこのクソッタレ!!!!」

「ハッハッハ、こういう時に日頃の行いがものを言うのだよ。さて、俺はのぞみカードで一気に目的地に近づかせてもらうとしよう………6!?ふざけんなよおいゴラァァァ!!」

「うるさいのぉ……もう少し静かに出来んのか、お主達は。」

「いや、だってさセイバー。錬土のアホはともかく俺がのぞみカードで6は悲惨すぎるでしょ、サイコロ5個なのに6って、6って……」

「お、儂の番か。1番遠いしここはぶっとびカードを使うかの……」

「え、ちょ、無視しないでー!」

「はははは、ついに自分のサーヴァントからも相手にされなくなったとか戈咒ざまぁww」

「よし来たお前のアレやコレやな情報を全部鎖姫ちゃんに流してやろうか、あぁん?」

「おいバカてめぇそれは卑怯だろ!?」

「卑怯もらっきょうもあるか、やられたらやり返す、それがハンムラビ法典の教えよ。」

「お前はいつからメソポタミア文明の人間になったんだよ!!」

「いや、だからうるさいんじゃが……え、お、おお!!!ゴールじゃ!!」

「うそぉん!!?」

「マジで!?ぶっとびカードでホールインワン!?ここで!!!?」

「ふふふふ、やはり儂には天運があるんじゃのう。序盤の新潜水艦でも釧路の近くまで行けたしやはり儂は持っておるのう」

「マジかよ……セイバーちゃん魔術とかでチートしてない?最初のは俺はいきなりサイパンのそばに浮上するしさっき夢のまた夢使っても全然近寄らないしで露骨に幸運の差を感じるんだけど……」

「……錬土、負け犬の遠吠えは見苦しいぞ。」

「うっせぇ!1番今資産が少ないのはお前だろ!3回ボンビラス星に連れてかれたくせに!!」

 

そう、何の因果か俺はキングボンビーに付かれた時にやたらとすぐボンビラス星に連れていかれるのだ

サイコロ10個の罰金とかカード全捨てとかキングデビルたちを呼ぶのではなくて即、ボンビラス星………なぜだ、俺の日頃の行いは悪くないはずなのに。けれど、これからは違う。やっとキングボンビーを押し付けられた上に今錬土は太平洋。そして俺は日本海(ただし真冬)、まず追いつかれない……!!真冬の日本海特有の赤マス地獄も既に所持金マイナスの俺からすれば徳政令1発で消えるので痛くも痒くもない……!!そしてセイバーは徳政令を持っている………ふふふふ、俺達セイバー陣営こと幼女同盟を甘く見たのが間違いだったな錬土……!!

 

『いや、勝手に儂をその怪しげなカルト組織に加えるのはやめんか阿呆。』

 

……あ、またダダ漏れだったのね俺の思考。

まぁ、それは置いておくとして。とにかくここからは俺のターン!

 

「ふふふふ……そんなこと言えるのも今のうちだぜ、錬土。今キングボンビーついてるのはそっちだからこれからそっちがどんどん物件を借金のかたにする番だ……」

「うるせぇ!だいたいお前が20回記念で始めようなんて言うから新潜水艦で変な方に出るんだろ!」

「あの時はお前だって賛同してたじゃねーか!」

「うるせぇ!」

「やるか!?」

「………いい加減にして欲しいわい。そもそも儂が勝ってるのもこの2人が潰し合いしてるのが1番大きい理由の気もするんじゃがのう…………お、オレンジカードじゃ。うーむ……所持金にも余裕はあるし、徳政令捨てるかの。」

 

………え、今徳政令カード捨てられた?

つまり、俺、真冬の日本海特有の赤マス地獄で更に借金増やすの?返済のあてもないまま?おおブルータス、お前もか……

 

「いや……何絶望的な目でこちらを見ておるのじゃ。そもそもこれは個人戦のゲームじゃろう……」

「ふははははは、自分のサーヴァント頼りにして見捨てられてやがんの!!やはり人を呪わば穴二つってことだなざまぁ!!」

「うるせぇ!待ってろすぐに借金は消してやるからな見てろよ……」

 

こうなったら一旦北に向かって北海道のワープ駅で一気にゴールの高知をめざすか……

 

と、その時。セイバーが纏う雰囲気が凛としたものに切り替わる。

 

『………セイバー。』

『……うむ、サーヴァントじゃ。今すぐにここを離れれば近所の公園まで誘導出来んこともないが……どうする?』

 

ううん……とりあえず、ここで戦うのはまずい。さり気なく……いや、錬土(コイツ)相手にそれは無理だな。なら手早くバラけて逃げるべきか。

 

「錬土、サーヴァントが近づいてきてる。俺達に勘づいたかどうかはまだ自信がないが、今動けばおれたちをおとりに誘導は可能だろう。」

「その間に逃げろってか……まぁ俺には直接戦闘は出来ねぇしな、それが妥当か。」

 

そう言うと錬土は玄関口に手早く向かう。

 

「よし、セイバー。目立つ用に俺たちは窓から出るぞ」

「うむ、了解した。掴まれますたぁ。」

 

そう言うとセイバーは俺を抱えあげる。

いや、しかしこれが一番とはいえロリに抱えられるというのは申し訳ない気が凄いな……

 

「……って、何ニヤニヤ笑ってんだよ錬土、早く逃げろよ。」

「いや、なに。それよりもこいつを貸しとこうとな。」

 

そう言いながら錬土は俺にコードを投げてくる。

 

「なんだこれ……ヘッドギア……か?」

「ちげーよ、骨伝導ヘッドホン。上手く髪に隠せば授業中に落語とか聞くのにも便利なんだぜ?」

「いや聞くなよ……じゃなくて、どういうつもりだよ。」

「お前にしちゃ鈍いな、戈咒。スマホを通話状態にしてそいつを繋げとけって言ってんだよ。Bluetoothだからコードでバレないし、そもそも魔術師ってのは基本現代技術に興味もない。まずバレねぇさ。」

「それでだからなにを……いや、お前に状況を伝えろ、と?」

「そういう事、だ。上手く情報を引き出せれば相手のサーヴァントの真名を俺がググることも可能だろ?」

「ったく……ホント抜け目ねぇなお前。」

「なぁに、友人をこれくらい手伝ってもバチは当たらねぇさ。」

「確かにそれもそうか。」

 

それに、万一これがレア達だったら既にここに錬土がいるのも割れているだろうし、ここぞとばかりに人質の錬土を有効活用してくるに違いない。それならば魔術師が魔術を使うのをはばかられるような人混みに逃げてもらいつついざとなればこちら側から鎖姫ちゃんと合流して逃げろと先んじて伝えられる通信手段はあって損は無い。

 

「よし、じゃあ俺は先に逃げるぜ……くたばんじゃねーぞ。」

「何言ってんだ、俺を世界中のまだ見ぬ幼女が待ってるんだぜ?こんな所でくたばれるかよ。つーかそのセリフはサーヴァントもいないまま妹とダチの為だけに聖杯戦争に首ツッコミ続けてるお前のセリフじゃねぇなぁ。」

「ハハハハハそれもそうだがそれこそ愚問だ。俺は顔もいいし頭もいい、巨乳美女が本来放っておかないイケメンだぜ?」

「寝言は寝て言え。」

「おーし見てろよ次遊ぶ時にはイイ女を引っ掛けてお前の前に現れてやる。」

 

そう言うと錬土は玄関から外へと繰り出す。

そしてそれを俺が見届けると同時にセイバーが窓を開けて向かいの家の屋根へと跳び移る。

あ、窓開けっ放しで泥棒入らねぇかな……

 

『くだらん心配しとる場合か、ますたぁ!?……向こうも気づいたのかこちらを追い始めたぞ!』

『いや別にくだらなくは……』

『聖杯戦争に比べれば些事じゃ阿呆!』

『はい……』

 

そう叱られつつ錬土に電話をかけ、そのままスマホを通話状態にする。

さて……誰が来てるのか。ライダーか、それともレアの奴かーー

 

◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

「さて、こんな所かしらね。」

 

スーパーから出てきた鎖姫は、手に持ったビニール袋の中を見ながら日の暮れた道を歩き始める。

 

『……ところでサキ。今からはお前の兄の下に行くだけだろう?なのに何故そこまで買い込んでいるんだ、それも酒の肴ばかりを。』

『そっちこそ何言ってんのよ。お兄ちゃんの所に行くんだから手土産は大量に持ってくのが筋ってものよ。それにお兄ちゃん、おツマミ系が好きなのよ。買っていかない理由がないわ。いくら魔術師じゃない半端者とはいえ、これくらいは繰空家の妹として当然の嗜みよ。』

『………………そうか、サキが良いならこれ以上何も言わぬがーー待て。』

『ーーどうしたの、ランサー。まさか……バーサーカー?』

『……いいや、方向が違う。それにバーサーカーのマスターの毒々しい気配もない。恐らく別陣営だ。』

 

鎖姫は軽く息をつき、緊張により閉ざされた口をゆっくりと開く。

 

『……そう。なら、今は避けて動くべきかしらね……こちらも一旦は休まなくては。』

『あぁ……1箇所にとどまっていることを考えると向こうもこちらには気づいて……いや、動き出した!それも急速に!』

『気づかれた……と見るべきかしらね。』

『いや……こちらに真っ直ぐ向かってきている訳では無い。おそらく、別のサーヴァントか私の知覚外からこの相手に接近している。』

『アサシン以外の気配遮断持ち……という可能性は?』

『無くはないが、その場合はこの相手が気配感知、またはそれに準ずるスキルを持っていない限りは奇襲時のランクダウンで知覚して逃走ということになる。だとすれば俺にも感知出来て然るべきだろう。』

『なら、やはり私たちは依然気づかれていない……?』

『少なくとも、この逃走したサーヴァントの追っ手には気づかれていないだろうな。』

『………その追手がバーサーカー達の可能性は?』

『……方向的に考えて俺たちの来た方向と真逆から迫っている。故に低い、と見るべきだな。しかし、無いとまでは言いきれない。』

 

その一言を受け、鎖姫は15秒程その場で思考する。

 

『このまま追われているであろうサーヴァントを感知ギリギリの距離を取りつつ追うわよ、ランサー。』

『了解した、マスター。だが戦闘は……』

『そんなことは分かってるわ。だから離脱体勢は崩さずにいて。少しでもこの戦闘を観察できれば御の字よ。』

 

鎖姫がそう言いきって念話を打ち切ると同時に、ランサーは実体化して鎖姫を抱えあげる。

そして、屋根や塀づたいに追走を開始する中。鎖姫はひとりごつように、歯噛みするように、ボソリと呟く。

 

「使い魔の1つ、即興で作れやしない。私にお兄ちゃんの様な才さえあれば……どうして。」

 

それを聞いてか、それとも風の切る音で聞き逃していてただの偶然か。その言葉を振り切るようにランサーは加速して追いかけて行った。

 

◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

「さて、と。ここいらでいいかのう。」

「あぁ、今の時間なら人もいないし問題ないだろ。それに見晴らしもいいから遠距離攻撃も対応出来るはずだ。」

『なんとか会話とかからヒント引き出してくれよ?そしたらグーグル先生で弱点調べてやるから。』

「わーってるよ……とはいえ、だいぶ無茶じゃねぇか?これ?」

『そりゃそうだろ、向こうだって簡単にばらすアホはいねぇよ。あくまで確率を上げるだけの手段だ、これ一つでどうにかなるほど甘いもんじゃないさ。』

「それもそうか……」

「おしゃべりはその辺にしておけ、来るぞますたぁ!」

「ああ!」

 

そうして俺は妖刀(セイバー)を抜く。

久方ぶりの全身に力が、呪が、魔が回り満ちる感覚。

彼女の意識(ほんのう)が血肉に流れ込む。

切り刻んで蹂躙するという欲も、渇望も。

 

ーーだが、彼女を受け入れた今。

俺達は1つだ。この邪も、妖も、畏れることも無く俺とセイバーのものだ。

なら、全て叩っ斬って勝つだけだーー

 

「……ふむ。どうやら、準備万端ってとこか。」

 

そうして、俺達の前に立ちはだかったのはライダーだった。昨日、俺達を地下下水道で圧倒したサーヴァント。気を引き締めなくてはーー。

 

「……あんた1人か?マスターはどうした。」

「奴なら本拠に引きこもってるよ。今日の俺はただの使いぱしりだ……ったんだがな。そこまでやる気とあっちゃあ仕方が無い。」

 

………え?ひょっとして交渉か何かだった??

それなのに臨戦態勢取ってたから襲われちゃうやつ?これ??あれ?しまった!?

 

「ちょっとばかし試練を与えてやるとするかーー!」

 

言うが早いか動くが早いか、ライダーは瞬速の踏み込みで俺達に迫る。

 

だが、それをいなしつつ俺達も距離を詰めて斬り上げる!!!

 

「ッッ!!」

 

入ったか……だが、浅い。

 

「なるほど……昨日見た時はさしたる覇気を感じなかったが……これは、良いな。なかなかのものよ。」

 

斬りつけた実感はあれど、そのギリギリで身を躱されていたのか。今の一太刀はライダーの薄皮1枚を裂くに留まった。

 

『くそ……浅いか……』

『じゃが、今のはほぼ完璧に近い一撃であった。確実に彼我の実力差は埋まっておる……!!』

 

そうだ…互いに肉弾戦に徹すれば、こちらにも勝ちの目がある。

そして、ここからは海も川も遠い。雨も降っていない。昨日のような水を操作して来ることも出来ない。

なら、こちらにも勝ちの目が……!

 

「今度はこっちから行くぞ!」

 

そう一気に踏み込み、間合いを一足飛びに詰めながら突きいれる。

ライダーもバックステップで躱すが、それでも間に合わず一撃を入れることに成功する。

 

「ふ、ふふふ、いいぞ!いいぞ!!愉しいじゃねぇか!!」

「はん、何を笑ってやがる。斬られて喜ぶとかマゾの豚野郎かよ。」

 

高揚した気分に任せて、つい煽ってしまう。

だが、この煽りが刺さったのか。ライダーは急に不機嫌になったかのように顔を顰める。

 

「豚野郎、だと?気に食わんな。その言い草が。身の程を弁えぬヒトには少々仕置きが必要かーーー!」

 

そう言うとと同時にどんどん奴に集まる魔力が膨れ上がっていく。

 

「や、やべぇキレさせちまった……!?」

『こ、この阿呆!魔術も絡めて全力で来られたらキツいのは分かっとるじゃろうが!』

「い、いやつい……!というかここまでキレるとは……」

『全く……じゃが。怒りで攻撃が単調になる可能性もある。技術と言うよりは純粋な力で今まで戦ってきている以上、戦士の英霊とは思いにくいし、そうあって欲しいものじゃがな……』

 

そう、内心のビビりを知ってか知らずか。

膨れ上がっていたライダーの魔力が急速に小さくなっていく。

 

「………あれ?」

「………勝手に戦ってたのがマスターにバレた。ここまで見越してたなら大したタマだ、セイバーのマスター。」

 

いや、見越してないです、ただのラッキーです。

 

「だが、今の罵倒。神の怒りを買っておいてそのまま済むとは思うなよーーー!」

 

そう言うと、ライダーは再び跳びあがり戦闘圏から離脱する。

そして、それを見て俺も妖刀(セイバー)を収め、俺達の戦闘態勢を解く。

 

「ふぅ………なんとかなったな。」

「なんとかなったじゃないわこの阿呆!」

『セイバーちゃんの言う通りだな、ヒヤヒヤしたぜ。』

「う、いや、なんか急にな。煽る気は別に無かったんだが口が滑って……」

 

セイバーと錬土の両方に責められて思わず苦い顔をしつつも答える。

 

『ふぅ……だが、いい。おかげで奴の候補をある程度までは絞り込めたと言っていいだろう。とはいえ、グーグル先生でもまだ答えが出せるほどの情報はないがな。』

「そうか……神と言っていたけど奴はどっかの神話の神なのか?」

「いや、それはないじゃろう。聖杯に神霊を呼ぶ力はない。そもそもそこまでの力があれば願望器として使う必要など無いからのう。」

『セイバーちゃんの言う通りだ、だから恐らく死後に神として祀られたパターンか、半神だろう。そして奴の見た目がポリネシア系のそれだと言っていたな?もしそうだとしたらポリネシア系の半神として1番に上がるのはマウイだが……マウイの権能は火や死にまつわるものだ、水じゃない。』

「くそっ……情報が足りないか……」

 

その時、突如目の前に現れた2人から声が掛かる。

 

「ふっ……お困りのようね?情けないロリコンさん?」

「お主らは……!」

「鎖姫ちゃん!?」

「少し、あのライダーについて話をしようじゃない。」

「話……?」

「………ええ。共闘の……相談よ。」




夢のまた夢カードでのホールインワンとか絶対ダイスの目で言うならクリティカルだしこれはセイバーの幸運をB+に上げてもいいのでは……?(ゲームでステータス変えるなや)

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