Fate/erosion   作:ロリトラ

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お久しぶりです……やっとこさ創作意欲を出して書きました
続きも近いうちに書くつもりですのでどうか長い目で見ていてください(消えろレポートと期末考査)


6日目/森へ

「……で、何か言うことはあるかなアホロリコン。」

「で、って言われても……」

 

そうして、鎖姫ちゃんとの同盟を組んだ俺を待っていたのは。

何故かキレてる錬土だった。

 

「と言うより俺はなんで正座させられてるんだ、戈咒……」

「シャラァップ!だぁまらっしゃああいッ!」

 

そう俺に叫ぶと錬土は口に咥えたタバコを指で持ち息を吐く。そしてそのまま徐ろにタバコを齧り……ってこれタバコじゃねぇ!?ココアシガレットだ!!

 

「い、いやそんなココアシガレットをボリボリされながらいきなり説教タイム突入してるのは意味不明すぎるぞ……」

「うるさい、ココアシガレットはただの雰囲気だ。それよりも、なんでこんな状況かは理解してるしてるかバカロリコン。」

「えーと、あれだろ?無駄にライダーを挑発したから、とかそんなだろ?」

 

そう答えると、錬土は食べかけのココアシガレットを口にくわえ、深呼吸をして。

バリバリと噛み砕いて。

 

「ンなこたぁどうでもいいんだよ。てめぇ戈咒、誰に断わってうちの妹に手出ししてんだオラァん?」

「いやキレてる理由ただのシスコンかよ!?」

「筋金入りのロリコンに言われたかねぇな……それに、俺はただ妹が性犯罪者予備軍の手にかかるのが心配なだけだ。いやまぁウチの聡明な妹に限って万一どころか無量大数が1もねぇとは思うが、まさかまさかがあっちゃ困るからな。」

「はぁ……全く。そんなことなら安心しろよ錬土。俺は現状手を出す気は無い、向こうからの好感度もまだ高くないし、せいぜいがお茶に誘うくらぶベラっ!?」

「おぅこらそれがアカンのじゃボゲェ!!」

 

言い切るより早く、錬土の白銀の左ストレートが突き刺さり俺の言葉を遮る。

 

「全く……ホントに反省せんのう、ますたぁは。」

「いや、ちょっと待ったセイバー。これは日本男児ならとても普通な感情であって……」

「「普通であってたまるか!!」」

「ぐぅ…」

「ふん、阿呆ますたぁは置いておいて錬土よ。この同盟、お主はどう見る?」

「うーむ、悪くは無い……と言うよりこの状況だと最善ですらあるだろうな。このバカが手を出さない確証があればだが。」

「……ふっ、その心配はもう無用だぜ錬土。なぜならこの俺は他のあらゆる幼女よりセイバーを優先するとさっき約束したばかりだからな。」

「っっっっっ!!?な、なにをそんな堂々と言っとるのじゃド阿呆!?」

「ほう、ほう、ほうほうほう。戈咒にもついに春が来た訳か。うらやまけしからんな、よし今度飯奢れよ。」

「お主もなに乗っかっとるんじゃ!?別にそういう意図じゃないからの!?マスターとサーヴァントの関係として至極普通……」

「んじゃまぁ、そろそろ本題に入るか。」

「って聞かんかーい!!」

「ま、まぁまぁ落ち着いてセイバー。俺は分かってるから……」

「ま、ますたぁ……」

 

という訳で閑話休題、擦り寄ってきたセイバーを膝の上にちょこんと乗せて頭を撫でながら改めて今後の方針を話し合う。

 

「で、だ。同盟を組むのは悪くないが、正直それでも旗色は悪くないかと俺は考える。」

「うーん、やっぱ錬土もそう思うか……」

「ま、ますたぁ、勝算があって組んだ訳じゃなかったのか!?」

「いや、ない訳じゃないけど単純にライダー強過ぎるからなぁって。」

「んむむ……まぁ、確かにそれはそうじゃのう……」

「そこなんだよぁ……俺としては鎖姫に万一のこともあって欲しくないからな、もっと万全な体勢で事に臨みたいわけだ。俺が戦うなって言ってもアイツ聞かないだろうからなぁ……これが反抗期なのかなぁ……昔はお兄ちゃんお兄ちゃん懐いてくれてたのになぁ……」

「シスコンの嘆きは置いといても、確かにもう1陣営くらいは加えたいところではあるな。波状攻撃の作戦案は確かに戦闘長引かせるって目的の上じゃ有効なんだが……」

「それぞれの戦闘中はライダーとタイマンで凌がなくてはいけないということじゃものなぁ……やはり援護だけでも構わぬから、もう1陣営は欲しいところではあるのう。」

 

俺の言葉をセイバーが引き継ぎ纏める。

そしてその言葉を飲み込むかのように1拍置いて、錬土が口を開く。

 

「……やはり、キャスターを探すべきか。」

「アーチャーでなくか?あ奴は管理者(セカンドオーナー)と名乗っておったし同盟の申し込みも容易いと思うのじゃが。」

「あー……それはちょっと厳しいかも……」

「なんでだ、あのデカ犬なら戦力としては申し分ないだろう。それとも同盟を組んでくれる可能性が低いとかか?」

「あ、いやうん。それもあるんだけど。1番は鎖姫が多分……納得してくれない。なんかお前とアーチャーのマスターは絶対倒すリスト入りしてるらしいから……」

 

そう言われて初日の深夜、ランサーとアーチャーが戦っていたのを思い出す。その時のことを根に持ってたのだろうか。

 

「お主の妹、随分根に持つ性格なんじゃのう……」

「いや、どちらかと言うと負けず嫌いかな……基本勝つまで諦めないから昔から大変だったんだよ。ああなった鎖姫を抑えられたのは母さんくらいだったからな……」

「ならお主らのご母堂に頼めば……」

「……もういないんだ。悪いな。」

「いや、俺たちこそ悪い事聞いちまったな。にしてもそうなると……キャスターがどこにいるかをまず探し当てなきゃいけない訳か……何か手はあるか?」

「ある……と言いたいところだがお手上げだな。ニュースやらSNSやら噂話やらでもお前らや他の陣営の立ち回り以外に怪しい事象が一切出てこない。おそらく本当に引きこもっている状況だろうな。」

「まさに陣地作成のクラススキルを持つキャスターの面目躍如という所かのう。」

「だが引き込もれるということは、それだけの拠点があるということだ。逆に言えばここに元からいる魔術師とかそういう奴らの家とかがそうじゃないのか?」

「生憎だが、この街の魔術師の家系は繰空と爆霧の家だけだ。そして霊脈の要もそこに抑えられているからな、キャスターがしっかりと潜むような陣地を作れる場所がない。考えたくはなかったが、既にバーサーカー辺りに脱落させられている可能性もあるかもしれないな。」

「……くそ、八方塞がりかよ。」

「いや……待て。儂の記憶が正しければじゃが。」

「何か気づいたか!?」

「いや、本当に自信はないのじゃが……この街にデカい森とかあるかの?」

「森……?森は……鎖山森の事か。だが……なるほどそうか!!くそ、気づかなかったぜ畜生!」

「なんだなんだ何が一体どうしたんだよ、錬土。」

「あぁ……鎖山森にも霊脈の要があるんだ。まさか森でサバイバルしてるとは毛ほども考えなかったな……探しに行く価値はあるぜ。」

「なるほどな……だけどセイバー、どうして森だと思ったんだ?」

「下水道で監督役達が何やら話してたのを覚えとるかのう?あの時、何やら森に行ったとか聞こえた気がしたのじゃ。」

 

言われてみれば、確かにそんな気もする。

 

「おいおい……それはそれでもし本当に森にキャスターがいたらきな臭いな……監督役が1陣営に肩入れするのもおかしな話だし、何かあるのかもしれねぇぞ。」

「……けど、もう他に手はないだろ。虎穴に入らずんばってやつだ、俺たちだけで行けば鎖姫ちゃんに危険が及ぶこともないし問題ないだろ。」

「まぁ……仕方ねぇか。ホントは俺もついてきたいところだが、サーヴァント戦や魔術戦になっちゃ足でまといもいい所だからな、大人しく果報を寝て待たせてもらうぜ。」

「おう、任せと……っていや寝るなよ。」

「いいだろ、寝られる時に寝とくのも重要だぜ。」

 

そう言うと錬土は座布団を折り畳んで枕にして横になり始める。

俺の家で寝るのか……いやまぁいいんだけども。

 

「とりあえず、今夜中に森にも向かってみるか?セイバー。」

「そうじゃのう……夜闇で視覚こそ制限されるじゃろうが、殺気で反応は可能じゃし直接戦闘となればキャスターなどものの敵ではあるまいよ。そもそも、死合いに行くのではなく同盟の話し合いに向かうのじゃからな、早い方がええじゃろう。」

 

そうして、既にいびきをかき始めた錬土を家に放置して俺とセイバーは鎖山森へと向かう。せめて今度のマスターは話が通じるといいんだがなぁ……


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