漸く俺達は歳星に到着した。
早速降りようとした所、団長から待ったが掛かる。
「待て、行くメンバーは少人数に絞る。それとシン、お前にはタービンズから注文が来てる」
何でも名瀬さんの指示で俺の容姿を誰にも見られないようにして連れて来て欲しいとの事。
(見た目がアレだからですかね?)
疑問を団長に鳴き掛けるとすかさず三日月さんが通訳してくれて、
「いや、お前の見た目がどうって話じゃない様だが……俺も詳しくは聞かされてねぇんだ」
(そうですか……)
取り敢えず限界まで小さくなってみる。その方が運びやすいだろうし。
「随分と小さくなれるんだな……まぁいい、行くメンバーだが俺、ミカ、シン、ユージン、ビスケットそれとクーデリアだ」
「シン、持つぞー……って軽ッ!?」
(そりゃ重力制御を全開にしてますからねー。見た目よりは全然軽いですよ)
俺を運ぶ役はユージンの様である。今俺は尻尾を折り畳んだ状態で全身をアトラが持ってきたシーツでぐるぐる巻きにされていた。
「大丈夫か?苦しかったりしねぇか?」
ユージンが心配してくれるが、
(全然大丈夫ですよーそもそも呼吸必要無いですし)
俺の鳴き声を完全には理解出来ないユージンだがニュアンスは伝わった様で、
「平気……なんだな?」
と呟いているのが聞こえてきた。
暫くすると何かに乗った音がして地面の感覚がゆらゆらとしたものになる。
(これは……舟か)
視界が閉ざされていてもレーダーはちゃんと機能しているので周囲の状況はちゃんと把握しているし、進行方向の先に目的地の館がある事も認識している。
そこにユージンが声を掛けてきた。
「しっかしスゲェなぁ。水溜まりの中に家があるぜ、それに階段みたいなのに木が沢山生えててよ!」
(?……あぁもしかして俺が周り見えないから教えてくれてるのかな?)
実はレーダーでバッチリ見えているのであるが……
(レーダーオフ)
レーダーからの情報を脳内で組み立てて現実と同じ様に見ることが出来るのだが、ユージンからの話を聞いて想像する方が遥かに楽しそうに思えたのである。
(ありがとねユージン)
「ん?羨ましいってか?えーっと、それに向こうの柱が……」
その後、俺は舟が着くまでユージンの話を聞いていたのであった。
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館の中に入ってようやく俺はシーツから解放された。
ぐっと伸びをした後、体のサイズも普段通りにする。
「いつもの大きさだね」
別の船に乗っていた三日月さんが声を掛けてきた。
(そうですね、やっぱこの大きさが一番落ち着きますよ)
そんな話をしていると名瀬さんが戻ってきて俺達についてくるように、と告げた。
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「成る程。お前らが……話は聞いてるぜ、いい面構えしてるじゃねぇか。それと、ソイツが例の……」
テイワズのボス、マクマード・バリストンが俺の事を一瞬だがじっと見た。
何なんだと思っていると名瀬さんがマクマードに話し掛ける。
「親父、俺はコイツに盃をやりたいと思ってる」
「ほぉ、お前が男をそこまで認めるか、珍しい事もあるものだな」
お互いの腹を探る様に視線が交わる。が直ぐにマクマードがニヤリと笑い、
「フッ、まあいいだろう。俺の下で義兄弟の盃を交わせばいい。タービンズと鉄華団は晴れて兄弟分だ」
隣で団長が俺達がタービンズと兄弟分?と驚くが、それを無視して話は続く。
「で貫目は?」
「五分でいい。どっちが上も下もない」
「ふむ……」
マクマードさんが此方を睥睨する。
次の瞬間。ズン、と途方もない重量の錘が乗せられたかの様な重圧が俺達にのし掛かってきた。
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「……!」
オルガはマクマードからの重圧を真っ向から受けていた。思わず引いてしまいそうになる。しかし、
(俺は……鉄華団の団長としてコイツらの前でカッコ悪ィ所は見せられねぇ……!)
腹に力を込めてその場に踏み止まる。その次の瞬間。
マクマードの重圧を遥かに凌駕する殺気がその場に満ちた。
殺気、確かにそうなのだが何故か安心感を覚える。気付けばシンが大型化していて、オルガを護る様に尻尾を纏わせていた。
オルガ達は気付かなかったが、その時シンの背鰭は僅かに紫色に発光していた。
マクマードに目を戻せば驚いた顔をして重圧を掛けるのを止めていた。
「シン」
ミカの一言でシンも殺気を放つのを止めた。
「成る程、俺の威圧にも臆さずその上ソイツがそこまで懐いているとはな……」
「なら、親父」
「合格だ。コイツらなら五分でいいだろう。周りには俺が言っておく」
NGシーン
「親父、俺はコイツに盃をやりたいと思ってる」
「えっ」(シンを見ながら)
「……こっちのオルガ・イツカにだ」