「まだ寝ないで、オルガ」
「あー、大丈夫……まだ……起きてr……」
ここまで昭弘に肩を貸して貰い何とか歩いてきた団長だがいよいよ睡魔に負けそうになっていた。
(団長、後少しでイサリビですから!頑張って!)
「あぁ、分かってる……シン……いつも済まねえなぁ……」
俺の応援に答える団長だが、
「オルガ、それは昭弘」
向いている方向が逆であった。
案の定団長が寝てしまったので、昭弘に背負って貰ってイサリビを目指す。
今日マクマードの屋敷で起こった事をビスケットと昭弘に話す。
「成る程、クーデリアさんは実質テイワズ預りになるって事か」
「反対した方が良かったかな……大事な事だしオルガに相談せずに決めちゃって」
「組織間の戦争なんてことになったらうちじゃ手に負えないってことはオルガにだって分かってるはずだよ」
(仮にそうなったとして、全て焼き払っていいなら俺に任せて欲しいですね)
「……待て、シン今何か凄い事言わなかったか?」
「シン、その時は任せたよ」
(了解です!)
「ちょっと待て!」
「へぇ、シンは俺達よりもずっと年上だったんだ」
「うん、後バルバトスをここで整備して貰える事になった」
「タダで?それは大丈夫なのか?」
(大丈夫だよ、俺も整備に交ざるから)
「あぁそれなら安心だな」
他にもバルバトスとグレイズの改修プラン、アトラに追加して欲しい料理、団長にはもう少し俺らを頼って欲しい、等そんな話をしながら歩いていたが、
(と言うか皆さんお酒強いですね?)
「そうなのかな」
「筋肉のお陰だ」
「飲んだこと無かったけどそうみたいだね」
三者三様の返事であった。
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翌日、団長と名瀬さんが五分の盃を交わす予定の日である。
待ち合い室でアミダさんにラフタさんと話ながら待っていると着替え終わった皆が続々と入ってきた。
(おお、似合ってますよ三日月さん!)
「ありがとう、シンはいつもと変わらないね」
(俺は合う服がないもんで)
「流石にアンタに合う服作れる服屋はこの歳星には無いねぇ」
三日月さんの言葉に苦笑するアミダさん。
「あ!ユージンそこの結び違う!」
ラフタさんがユージンの着付けを直しに近付いて行った。
暫く他の人と話していたが、三日月さんが団長の様子を見てくると言ってきたので俺もついていく事にした。
着くと団長はまだ着替え中らしく、仕方ないので名瀬さんが習字をしているのを見て待つ事に。
「へぇ、これも字なの?」
(漢字ですね)
「字だよ。これで
「……この字って俺の名前にもあるの?」
「ん~、ちょっと待てよ」
少し考えると名瀬さんは予備の紙にさらさらと
「これが俺?」
「あぁ。どうだ?」
(纏まってて良いと思いますよ!)
「うん、確かに何か綺麗な気がする」
「そいつは良かった。シン、お前はもう名前決まっているのか?」
(あー【ゴジラ】か……名瀬さん、筆借りていいですか?)
「筆貸して、だって」
「ん?書けるのか?……って尻尾か」
尻尾で筆をくわえて
「へー、こう書くんだ。シンって」
(いや『シン』だけじゃなくて『シンゴジラ』です。三日月さんで言う所の『三日月』が『シン』で『オーガス』が『ゴジラ』ですね)
「ふーん」
漢字について三日月さんに話していると、着替え終わった団長が出てきた。
「失礼します。お待たせしました」
(団長も格好いいっすね!)
「おお~似合ってるじゃねぇか」
三日月さんが自分の漢字を団長に見せる。
「オルガ、同じ漢字が入ってる」
「同じ?」
「こことここ。『御留我』の『我』と『王我主』の『我』だ。『われ』とも読む』
名瀬さんは団長の目を見て、
「『自分』って意味さ。これからどんどん立場だって変わる。自分を見失うな。でないと家族を守れねぇぞ?」
自分を見失わない。その言葉に何故か俺も深く感じ入り、暫く団長と三日月さんの名前の中に有る『我』の文字をじっと見続けた。
特に口止めとかされなかったので、ビスケット達にテイワズが創始時から必死に集めてきた厄祭戦の機密情報をあっさりばらす三日月さん。
やっぱすげぇよミカは。