もし裏切ったら歳星が無くなります。
『いやーバルバトスだけじゃなくグレイズまでタダで整備してくれて、その上イサリビに治療用ポッド三機、生活用の備品も大量にタダでくれるなんてテイワズのボスも太っ腹ですねー!』
「ちょっと待て、シン。鉄華団の口座にこの前のエイハブリアクターの金が目じゃない位の大量の金が振り込まれてんだが……」
『やだなぁ団長!きっとどっかの誰かが勝手に振り込んできただけですって!』
「……それにテイワズの整備長って人もついてくるって話なのは……?」
『本人の意思を尊重してくれたんじゃないですか?いやーテイワズって本当にいい組織ですね!』
「…………」
『そうそう、交渉とかでも特に了承無くテイワズの名前を使って良いってテイワズのボスから言われてます』
「………………マジか」
『マジです。全責任はアイツが取るのも約束させてきました』
「……シン、お前一体何をしたんだ?」
『あんまりに舐めた態度取ってたのでオトシマエを』
「………………そうか」
『あ、このこと名瀬さんは知らないので内密にお願いします』
「……………………」(冷や汗ダラダラ)
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テイワズのあいつを脅して色々と絞り取った後、さらに2日程かけてグレイズの改修を終えた。その間にイサリビの方でも医療用ポッドや細かい備品の搬入も終えていた様で、俺達のグレイズの搬入作業が終わり次第出航する、という事になっていたらしい。
グレイズをモビルスーツデッキに固定する作業をしていると昭弘が機体が届いた事を聞いてやって来た。
『お、昭弘久しぶり』
「おう、話せるようになったって聞いてたが随分と上手いな」
『それはあの整備長のお陰だね』
尻尾でグレイズの背部ユニットに取り付いている整備長を指す。
「あれがテイワズから来たっていう……」
『そうだね。まぁいい人だよ、少し変だけど』
昭弘が生まれ変わったグレイズを見上げる。
「随分とゴツくなったな」
『実はね、バルバトスのリアクターに替えてみたんだ』
「バルバトスの?ならあのバルバトスに付いてるリアクターは……」
『俺が新しく造った』
「お、おう……凄いな、シンは」
『いや……昭弘も見ない間に随分とまた筋肉を上げたんじゃないか?』
「分かるのか?」
分かるとも!ゴジラのレーダーは見逃さない!
『あぁ!その筋肉ならこのグレイズを使いこなすのに相応しい!!』
「……!あぁ、任せろ!」
お互いに尻尾と拳をコツンとぶつける。
『いいね!……さて、前の機体との変更点なんだけど……』
暫くは新しいグレイズの説明をしていたが話が次第に逸れていき、終いには筋肉談義で昭弘と盛り上がってしまった。
整備長が機体の固定を終えた様なので会話を止めて、昭弘を整備長に紹介した。
「さて、ここが私の新しい仕事場だね!」
『はい。ここが俺達の家、イサリビです。ようこそ!』
「どうも、シン君。これから宜しく頼むよ!」
『はい!ではまず団長の所に案内しましょうか?』
「いや、君は彼と一緒にこのグレイズの阿頼耶識の調整をしたまえ。私なんかに時間を使うのは勿体ない」
『えっと、一人で道分かります?』
大丈夫!何とかなるさ!と整備長は言うが何とも不安である。
そこにモビルワーカーの手入れをしていたヤマギが通りかかり、
「俺今から団長達の所にモビルワーカーの件で行くけど、ついでに整備長も連れて行こうか?」
タイミングのいい申し出だったので、お言葉に甘えてヤマギに整備長を任せる事にする。
『さて、じゃあ早速筋肉号の調整を始めようか!』
「おう。……筋肉号?」
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筋肉号の調整を終えて数日後。
今俺は艦内の掃除をしながら艦内を泳いでいた。
(テイワズから掃除用具貰って良かったな。結構汚れてたし換え時だったのかも)
そんな事を考えていると、向こうからタカキとビスケットがやって来る。
『急いでるみたいだけど、どうしたの?』
「あ!シンさん!」
「火星のクッキーとクラッカーから手紙が来てね」
(成る程、家族からの手紙か)
「俺は妹のフーカからです!」
適当な座れる所を探してて、とビスケット。
『そっか……食堂ならさっき掃除したから綺麗だし、そこはどうかな?』
俺の言葉に二人とも顔を輝かせた。
「うん、ありがとう。そうさせて貰うよ」
「掃除今度俺も手伝います!」
『分かった。今度ね』
そう言って手を振って二人とも食堂へと向かって行った。
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場所は変わってイサリビのブリッジ。
あの後掃除を続けていたのだが、途中で召集がかかったのでやってきた。
名瀬さんが今後の俺達の移動ルートを説明してくれる。
アリアドネを目印にしつつ、見付からないようにテイワズ独自のルートで行くらしい。
ただアミダさん曰く海賊まがいの連中が出るらしく、そいつらに注意するとの事だが、
『あの、海賊って事は当然モビルスーツを持ってますよね』
「ああ、それで強襲を掛けてくるのが一般的だな」
『それ海賊殺してエイハブリアクターとか回収したらいいお金稼ぎになりますね』
「……まぁそうだな」
名瀬さんが何か諦めた様な表情になった。
話は続き俺達にテイワズからのお目付け役としてメリビット・ステープルトンって人が付くことになった。
お目付け役、その言葉に俺が怒る事は無い。
当然歳星でアイツを脅した時に仮に目付け役が俺達に不利益な行動を取ったら歳星を消すと言ってあるので下手な真似はしないだろう。
建前上は鉄華団はテイワズの下の組織なのでしょうがなく受け入れる事にしたのである。
商売の事に詳しい、との事で色々と役に立ちそうな人だった。
(まぁ裏切ったら殺すけど)
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メリビットは緊張していた。
最初は新しくテイワズの傘下に入った少年達のグループ、鉄華団のお目付け役をするだけだと思っていたのだが、異動の話をテイワズのボスであるマクマード・バリストンから直接説明された事で異常な事態であると知った。
その時マクマードはしつこい位に何度もシンという見た目はデカイトカゲの奴だけは絶対に怒らせるなと言ってきた。
目の前の男は圏外圏で最も怒らせてはいけない男、として知られている。それがそのシンについて話すだけで脂汗を滲ませ震えながら話すのである。
マクマードに何度も絶対に怒らせないと約束して屋敷を出たのだが、メリビットはこの新しい仕事に不安を感じずにはいられなかった。
そして、今目の前にはあのシンがいる。
正直メリビットは生きた気がしなかった。
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話し合いも終わりブリッジから出る。
(そう言えばそろそろデブリ帯だし哨戒も始まるからデッキの方に行っておくか)
そうしてやってきたモビルスーツデッキ。丁度バルバトスに三日月さんがいて昭弘は筋肉号に乗り込みラフタさんとシミュレーション戦をしている。
『三日月さん、そろそろ哨戒の時間ですけどどうしましょう』
尻尾で昭弘の筋肉号を指し示して、
『まだシミュレーションかかるみたいですし、もし準備出来てたら三日月さんに出て貰っていいですか?』
「うん、出れるよ」
『お願いします!スラスターの調整具合も後で教えて下さい』
「分かった」
そうして、バルバトス・ルナノーヴァは宇宙へと飛び立った。
そうして本来の歴史とは全く異なる戦闘が幕を開けるのである。
本来よりシミュレーション戦に時間が掛かってるのはラフタが筋肉号の名前を知って暫く笑いが止まらなくて開始が遅れたからだったり。