三日月さんを見送り、さてブリッジに戻ろうかと思った矢先にタカキが慌てて飛び込んできた。
「あ、シンさん!哨戒ってもう出ちゃいましたか!?」
『丁度今三日月さんが出た所だよ』
「あー、遅かったかぁ……シミュレーションも十分やったから一緒に行けると思ったのに……」
『一緒?……って哨戒に?モビルスーツが出てくるかもしれないし危ないよ?』
モビルワーカーは一応宇宙用にしてあるものの、密閉性は十分とは言い難く宇宙で好き好んで使うモノではない。
そして何よりモビルワーカーはモビルスーツに太刀打ち出来ない。火星での経験でそれは分かっていると思うのだが、
「さっき妹からメールが来たって言ったじゃないですか、俺それ見て思ったんです。フウカを絶対学校に入れてやろうって!」
決意に満ちた表情で宣言するタカキ。
『つまりお金が必要?』
俺の言葉に一気にしょんぼりとした顔になる。
「そうなんですよね……だから沢山他の仕事を覚えて……」
……決意した矢先に悪いのだが、実は十分なお金を鉄華団はもう持っているのだ。
『タカキタカキ、お金ならテイワズのアイツから絞り取ったのがあるから妹さん余裕で学校行けるよ』
「……え!?」
『クッキーとクラッカーも行けるし……多分鉄華団全員分位は有るんじゃないかな』
(無ければまた奪えばいいし)
驚いた表情のままのタカキにそのまま話し続ける。
『自分の命を削る稼ぎ方なんてしなくていいよ。だから今は将来必要になる技術を磨くのがいいんじゃないかな』
「えっ……でも」
タカキ達が命を張らなくても俺という存在がいるのだ。
『危ない仕事ならシンさんにまっかせなさーい!』
タカキに向かってそう言い放つと、一瞬ポカンとした顔になり、
「フフ……やっぱシンさんは凄いや。分かりました!俺なりに色々考えてみます!」
早速艦内に戻って行くタカキの後ろから声を掛ける。
『何ならライドとかも誘ってみたら?』
了解です!とタカキが返事をしてモビルスーツデッキから姿を消した。
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さて、タカキに危ない仕事は任せろと言ったし、一働きしますか。
『昭弘?シミュレーション終わったよね?』
そう声を掛けると、ばつの悪そうな顔をして筋肉号のコクピットから昭弘が顔を出した。
「……気付いてたか、話の邪魔しちゃ悪いと思ってな」
『昭弘……もしかしてこの前話してた弟さんの事思い出してた?』
「……シンにはこの前の筋トレの時に昌弘の事話したんだったな……鉄華団は俺の家族だが、俺にも本当の家族がいたんだってふと思い出してな……」
遠い目をしてデッキ内を眺める。
『……弟さん、案外海賊になって生きてたりするかもよ?』
「ハハッ……それは無いな。もう生きちゃいないだろうさ」
そう言って昭弘は寂しそうな表情をした。
どう慰めようか逡巡していると、俺のレーダーに反応があった。
『……!昭弘、筋肉号は直ぐに出せるね?』
「?ああ……。敵か?」
レーダーが接近する三個の物体を捉えていた。
恐らく海賊のモビルスーツで間違いないだろう。
そして直ぐにデッキに備え付けのスピーカーから団長の声が響いた。
『ミカから報告だ。イサリビの前方から三機のモビルスーツが出現、直ちに援護に向かってくれ』
『だってさ、行こう昭弘!』
「おう!」
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三日月はイサリビへ三機のモビルスーツが出現したのを報告し終えると直ぐに、相手のモビルスーツに向かって加速した。
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相手のマンロディの操縦者の予想を遥かに越えた速度で接近する。
バルバトスが腰からγナノラミネートソード【
更に機体を加速させる。
すれ違い様に相手の右腕を切り飛ばす。
圧倒的な推力を持って急旋回し、更に左腕。
そして瞬時に右足のスラスター吹かし180度回転し両足を切り裂いた。
一瞬にして鉄の棺桶と化したマンロディ。
慌てて残った内の一機がスモークグレネードを投げるが、バルバトスに蹴り返され自身の周辺を煙で満たす羽目になる。
視界は最悪、だがそれは相手も同じ条件だと考えマンロディの操縦者はバルバトスを待ち受ける。
しかし、その時既にバルバトスは相手の背後に回っており三振りでそのマンロディを行動不能に追いやった。
切り払われる煙幕、そこからカメラアイを光らせたバルバトスが飛び出してくる。
一機残ったマンロディ、操縦者は恐慌状態に陥り闇雲に銃を乱射する。
バルバトスはその銃弾を全て避け、相手に近付く。
最後のマンロディも他の二機と同じ運命を辿ることになった。
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『昭弘、こっちこっち』
『?オルガはイサリビの前方って……』
『そっちは囮、ほら来るよ』
モビルスーツ三機など今の三日月さんとバルバトスなら敵にもならないだろうし、
何より……
『ガンダムフレームだ』
アトラのアドバイスで刀の扱いは完璧な三日月さん。
モビルスーツのパーツは高値で売れるのです。
綺麗に切っておけば修理して売るのも楽ですしね。