「シンゲツ・モンターク……?それがシンの名前なのか?」
マクギリスの反応を聞いた団長が俺に問い掛ける。
『いや?……あー……そうだったかもしれないです』
何だかじわじわと思い出してきた。
モビルアーマーの気配にアグニカの面影があるマクギリスがいたからかな?
『確かに……阿頼耶識を作ったのは俺でしたし……あれ、俺が乗ったモビルスーツ?』
全然心当たりが無い。
なので、マクギリスに訊いてみた。
「覚えていないのか?かつて君が乗りその後英雄アグニカ・カイエルが乗ったガンダムフレーム一号機、バエルを」
『バエル?……あー……微妙ですね。ん?……そういや、何で俺はゴジラになってるんです?』
「分からんよ!?こっちが知りたい位だ!」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
アーブラウから少し離れた荒野。
そこには三機のモビルスーツが佇んでいた。
ダインスレイヴ発射機構を内臓し肥大化した両腕と対照的に細い脚をしている異形の機体。
その正体はかつてのカルタの部下の成れの果て、グレイズツヴァイ、ドライ、フィーアである。
『…………』
思考は完全に制御され、操縦者は命令で動くロボットと成り果てていた。
彼等に命じられた指令は戦闘が開始されて暫くしてから両陣営のモビルスーツの抹殺。
それをダシにゴジラを誘き寄せダインスレイヴを撃ち込み凍結させる。
そして命令を果たした暁には速やかに生命維持装置が停止する事となっていた。
彼等はそれに何の疑問も持たない。
ただ朧気にカルタ様の仇を獲れる事が出来る、と信じていた。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
巨大化したゴジラが咆哮を上げる。
その咆哮を上げるのと同時に今まで打ち消してきたエイハブウェーブの反応を解き放つ。
今や体内で無数のエイハブリアクターが並列稼働している今のシンが放つエイハブウェーブはアーブラウの通信機能とレーダーを麻痺させ、街の中心に眠っていたモビルアーマーを目覚めさせた。
自身のエイハブリアクターに繋げられていたコードを引き千切りモビルアーマーが300年ぶりの雄叫びを上げる。
しかし、それを打ち消すゴジラの咆哮が辺り一帯の空間を震わせた。
すぐさま反応したモビルアーマーが街を飛び出しゴジラへと一直線に向かう。
それを皮切りに戦闘が開始された。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「蒔苗のじーさんはもう少し待っててくれ。今シンが町からモビルアーマーを引き剥がす」
仮に蒔苗を送り届けた所で敵が掟を破り街中へモビルスーツを向かわせた場合、モビルアーマーが目覚めて全てを破壊する可能性があった。
その追加でもたらされた情報を加味したオルガは作成変更し、シンにモビルアーマーを呼び寄せさせて倒させ、後はシンとモビルワーカーで蒔苗を送り届け、背後から迫る敵モビルスーツはミカ達が撃退するという作戦にした。
「何と、儂のアーブラウにあんなものが……」
蒔苗といえば街から飛び出してきたモビルアーマーに驚きを隠せないでいる。
何故都市部にエイハブリアクターを持ち込んではいけないのか。それはエイハブリアクターに反応するモビルアーマーを都市の電力として利用しているからであった。
マクギリスの話では仮に街の電力をモビルアーマーが賄っているのだとしたら、プルーマが全滅した事に気付かずガンダムフレームと相討ちになったモビルアーマーが自己修復の為休止し続け、それをわざわざ壊す為にモビルスーツを近づけて再起動させるよりはこのまま動力として利用しようと考えたのだろう、という話だった。
ゴジラにモビルアーマーが飛び掛かる。
だが圧倒的な体格差で体勢は崩せず逆に尻尾に打ち払われる。
果敢に組み付き内蔵してあったダインスレイヴの発射体勢をとる。
しかし、ゴジラの重力制御により打ち出した弾丸は停止し撃ち返された。
その威力でモビルアーマーの半身が吹き飛ぶ。
破れかぶれにビームを撃ち出すが、そもそもそのビームは300年前にゴジラを凍結した後、効率的に人類を殺す為に付け加えられた機能である。
なのでゴジラの装甲には傷一つつけられずに逆に全身を重力制御でひしゃげさせられ、モビルアーマーは何の成果も上げる事なくその機体を破壊された。
300年前の戦いではゴジラは50体ものモビルアーマーと渡り合っていた。その上今はダインスレイヴに対抗する為の重力制御まで身に付けている。
そもそも壊れかけのモビルアーマー1機でゴジラに勝てというのが無茶な話であった。
次回三日月さん達の戦いです。