クリュセの守護神   作:ランブルダンプ

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久しぶりにシン登場。


アーブラウ防衛軍発足式

『アーブラウの防衛軍も鉄華団の協力で何かと形になってきてな。発足式を行う段取りになった』

 

ここはクーデリアがクリュセに構える事務所の中。

 

地球の蒔苗が最近の経緯をクーデリアに話している。

 

「えぇアレジさんから案内状を頂きました」

 

『まあ難しいだろうな。いろいろと噂は届いて……』

 

「なので参加させて貰い……」

 

『…………』

 

「…………」

 

『「え?」』

 

そこから今クーデリアが動くのは色々不味い!と蒔苗による必死の説得が始まった。

 

 

まぁ、クーデリアもそこまで行きたい訳では無かったので直ぐに納得したのだが。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

「あれ?今日はアーブラウの人達は?……って例の発足式典の打ち合わせか」

 

「アーブラウ防衛軍な」

 

「だからしばらく訓練は休み」

 

鉄華団の少年達がモビルワーカーの回りで会話をしている。

 

「あんな使えねぇじじいどもが防衛軍かよ」

 

「まぁそうなったとして俺らはどうするんだろな」

 

「俺結構地球の暮らし気に入ってきてるんだけど」

 

「う~ん、団長からは何も聞いてないなぁ」

 

タカキは困った様子で頭を掻く。

 

「俺は好きだな、地球」

 

隣でボソッとアストンが呟いた。

 

「俺も俺も!」

 

「そういえばシンさん最近見ないよな」

 

「ラディーチェを泳がす為とはいえ、シンさんと遊ぶ時間が減ったらつまんねえんだよなー」

 

シンと最近遊べていない事に年少組は不満なようだ。

 

「そもそもいつまでラディーチェの野郎は居るんだよ?」

 

その疑問に向こうから筋トレを終えて帰って来た昌弘が答える。

 

「さっきシンさんとすれ違った時に話したんだが、ギャラルホルンの方でキナ臭い動きがあるらしいぜ」

 

「マジかよ昌弘!なら防衛軍発足式の時に何かしてくるかもしれないな!」

 

「それなら後少しの我慢だー!」

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

「おぉ!チャドさん!似合ってますよ!!」

 

発足式の為にチャド専用にしつらえたスーツが届いたとの情報を聞いてタカキ、アストン、俺はそれを見にやってきた。

 

「そうか?……本当に俺でいいのかな……」

 

「いいに決まってるじゃないですか!チャドさんは鉄華団地球支部のリーダーだし、蒔苗先生から指名されてるんです!もっと堂々として下さい!」

 

そうタカキが褒め称える横でアストンが驚いた様な顔をしてチャドを眺めていた。

 

「あ……やっぱ似合わねえか」

 

その視線に気づいたチャドがアストンに似合っていないと思われているのかと誤解をしてしまう。

 

「いや……そうじゃなくて……」

 

 

(ハイ、今良いシーンなんだから引っ込んでろラディーチェ)

 

ラディーチェが既に開いている扉を態々ノックして注意を引こうとした直前、俺の尻尾でラディーチェは廊下へと飛んでいった。

 

「……シン、今何か」

 

気にしないで!と目線でチャドに訴えたら通じたようだ。

 

「アストン、今何を言い掛けたの?」

 

タカキがフォローする。

 

「俺頭が悪いから何て言っていいのか分からないんだけど……正装したチャドさんを見て凄く驚いたっていうか……皆にチャドさんを見てほしいっていうか……」

 

「もしかして……誇らしい?」

 

「あ、それだ。誇らしい」

 

「何だよ……照れるじゃねぇか」

 

誤解が解け場が明るくなる。

 

俺はその間に廊下のラディーチェに目をやると当たり所が悪かったのか気絶していた。

 

(成る程。なら端末だけ貰うか)

 

乱暴に小突いて仰向けにし尻尾で服から端末を引き抜く。

 

戻ってチャドにそれを渡した。

 

「お、サンキュシン。……アーブラウ防衛軍発足式の最終確認か」

「そっか、いよいよだね」

 

「変更点は……ウチから出すモビルスーツの数?一個増えたのか?」

 

知ってるか?とチャドが二人に問う。

 

見映えを良くする為に手持ちのモビルスーツを全機出すつもりだったが、何故か一機枠が増えている。

 

「俺は知らない」

 

「俺もです」

 

二人とも否定する。

 

その二人の間からピョコンと尻尾が飛び出してきて左右に振れる。

 

「あぁシンか。なら問題無いな」

 

流石の信頼感というか、俺が原因だと分かるや否やその疑問はお流れとなった。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

そして式典当日。

 

鉄華団の出したモビルスーツの中に一際異彩を放つ機体が居た。

 

筋肉号の隣に直立する漆黒の機体。

 

羽の様な推進機と刀じみた何かを背中に着けている。

 

 

 

 

 

「鉄華団は軍事顧問としての仕事を立派に務め上げてくれている。今日という日が来たのも鉄華団のおかげだ。礼を言うぞチャド・チャダーン」

 

「あ、俺の名前……」

 

「ほっほっほ、これからも地球支部を束ねるものとして宜しく頼むぞ」

 

「いやぁ……俺なんかを、そんな」

 

照れるチャドを蒔苗が微笑みながら眺めていると、秘書の人が入ってきた。

 

「失礼します。蒔苗先生間もなく挨拶となりますので」

 

「ふむ、分かった。……そう言えばその机の上に爆弾があったんじゃよなあ……」

 

外に見える漆黒の機体を眺めながら蒔苗は感慨深く呟いた。

 

「シンのお陰です。見つけられたのは」

 

 

 

 

 

 

アーブラウ防衛軍発足式の会場から離れた酒場で二人の男が酒を飲んでいた。

 

「君は心が痛まないのかな?仮にも今まで寝食を共にしてきた子供達を戦火に放り込む事について」

 

「彼らは教育も受けず野放しにされた獣のようなものです」

 

そして、憎しみを込めて呟いた。

 

「特にあの憎たらしいトカゲめ……何度撃ち殺してやろうと思った事か」

 

「トカゲは嫌いかね?」

 

「私は動物にアレルギーがありましてね……特に宇宙ネズミ」

 

「ははははっ!そうか。いや君は実に面白いな」

 

そう言いガラン・モッサはラディーチェに話し掛けた。

 

「俺は面白い男が好きだよ」

 

「何ですか急に気持ち悪い事を……まさか貴方の機体がゲイレールだというのも」

 

「それは違うからな!?ゲイレールはギャラルホルンがつけた名前だっつうの!!」

 

とんでもない誤解が生まれそうだったのを阻止する。

 

(……というか爆弾が中々爆発しねぇな?)

 

 




漆黒の機体についてですが、黒いバエルにテイルブレードが付いてるのを想像して貰えればと思います。

次回筋肉弟の活躍です。
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