火星へ帰る途中、イオクがダインスレイヴをぶっ放した宙域に立ち寄った。
(あれが偽装したハンマーヘッドか)
見れば船体には何十もの穴が空いていた。
(……ん?俺が知ってるダインスレイヴの威力なら艦に突き刺さるだけのハズなんだが……?)
艦を回り込み検分すると反対側から突き抜けかけて漸く止まっていた。
(マジか。俺が知ってる奴より威力上がってるじゃねぇかよ)
ダインスレイヴ、俺を仕留める為に作られた武器。奴等はそれをさらに改良している。
(そこまでして俺を殺したいのか、ギャラルホルンは……)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
筋肉号を駆り漸く火星の上空に到着する。
俺一人ならさっさと降りるのだが、これからジャスレイの所にカチコミに行くので二度手間にならないよう火星のステーションに筋肉号をしまいに行く。
第五形態に戻り一人で機体を固定していると背後から声が掛けられた。
「シンじゃないか!久しぶりだね!」
『あ、お久しぶりです!アミダさん』
話を聞けばここにハンマーヘッドごと隠れているのだとか。
「アンタ達のお陰でうちらは皆無事さ。ありがとね」
『いえいえそんな……』
話しつつ作業を終えて人の姿をとる。
「よし完了っと。俺はこれから火星に戻りますけどアミダさん達はこれからどう動きます?」
「………………」
「?」
「………………」
ポカーンと此方を見つめている。割りとレアな表情ではないだろうか?
「アミダさ~ん?」
「し、シン!?」
ガシッと肩を捕まれた。
「は、はいぃ?」
どうしたんだ急に!?それとアミダさんやっぱ近くで見ると美人ですね!?
「女の子だったのかい!?」
「え?……あ」
すっかり忘れてた。俺人の姿だと何故か女の子になるんだった。
「あ~そうみたいですね。自分でもびっくりですけど」
「はぁ~まさかアトラが言ってたのが正しいなんてねぇ」
アトラ?
「アトラが何か言ってたんですか?」
「いや、前に少し話した時にシンの性別はどっちかって話になってね。私はさばさばしてるし男じゃないかと思ってたんだが、アトラは『絶対女の子ですよ!だって三日月の事大好きですし!』って」
……俺が三日月さんの事好きだって?
「……アミダさん、貴女から見て俺の三日月さんに対する態度ってどう見えてました?」
「お互いに信頼しあってて何と言うか……戦友?でもアンタが女の子って考えると献身的に尽くしてて……好きって見えなくもないねぇ」
「…………」
「まぁウチにも一人称が『俺』の娘だっているし変ではないさ」
「俺男ですよ?」
「チンコついてんのかい?」
何て事を真顔で訊いてきやがりますか。
「いや身体的には女の子ですけど……」
「三日月の事好きかい?」
「仲間として好きですけど」
「他の鉄華団の仲間と比べたら?」
「家族ですから誰が一番って……訳…………」
あれ?三日月さんが一番な気が。
待て待てマテまて……これ以上考えるのはまずい。
アミダさんが獲物を見つけたライオンの様な笑みを浮かべる。
「…………何か」
「何だアンタにも可愛い所があるじゃないか!何時でも相談してくれて構わないからね!」
そう言ってギューっと抱き締められた。
だから、待ってくれって……決めつけんなーー!!
だが反論する気が何故か起きず、エーコや他の皆がアミダさんを探しに来るまで暫く抱き締められ続けたのであった。
……その後更にタービンズの皆から質問攻めに合ったのだが割愛させて貰おう。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
鉄華団に戻ってきた。
あの後は第五形態になっていつぞやと同じく自由落下で火星に降り立った。
団長や他の皆に挨拶して早速裏手の青い薔薇を見に行く。
周囲には誰も居ないのて人の姿をとって歩いていくと、
「久し振りー……ってデカッ!?」
最初は鉢植えサイズだったのに今や本部の建物と同じ位の大きさになっていた。
(何で!?何があった!?…………あ)
すっかり忘れていたがこの場所、俺が初めて第三形態になった時に血をダバダバと流した場所だった。
「俺の血の栄養かぁ~それにしても元気になりすぎじゃね?」
葉っぱを振って答えてくれる。
久し振りに会って向こうも嬉しいみたいだ。
そこへもう一機新たな仲間がやって来る。
『gyaaaaa!!gya!!』
「ちょっと待てよ!……どうしたんだよ凰華!」
ハッシュと凰華だ。
凰華は一直線に此方に向かってくる。
そのまま俺の胸に飛び込んでこようとする。
「よーしこーい……ガフッ」
(……人の姿になってたの忘れてた!)
「おい!凰華!人にぶつかって……!大丈夫?君?」
「大丈夫大丈夫、ゴジラ舐めんな」
凰華の首根っこを掴んで立ち上がる。
「はいハッシュ、これ」
「ありがとう……ってゴジラ!?シンさん!?」
タービンズと同じ反応だー……。
う~ん、そんなに驚く事かなぁ?
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ハッシュに三日月さんの場所を尋ねた所、今日は農場に行ってるらしいので徒歩で向かう。
途中で面倒くさくなり背中から第五形態の羽だけ生やして飛んでいった。
(到着……一つ気になってる事を試してみるか)
レーダーで探った所アトラに三日月さんも農作業をやっている。
二人とも少し離れて作業しているようなので三日月さんの方へ近付いていく。
後ろから声を掛けてみた。
「三日月さん、ただいま戻りました!」
「うん、おかえりシン」
三日月さんはこちらを振り向き何の疑問も浮かべず俺におかえりと挨拶してくれた。
「……何か疑問とか湧きませんか?その姿は?とか女?とか」
「?別に。シンはシンでしょ?」
「……っ」
今までポッカリ空いていた心の穴に熱いものが溜まっていく。
「三日月さん、俺……」
何を言おうと思った訳でもないがそれでも何か言おうとしていると、
「シンの声が聞こえた気がする!!」
左手にトウモロコシ、右手に鎌を持ったアトラが飛び出してきた。
「えーっと……」
俺を見て一瞬固まり、
「シンだーー!!可愛い!!おかえり!!!」
と言って抱き付いてきた。
何でこの人達は俺だって分かるんだろう。
……何だか嬉しかった。
次回アザーのギャラルホルン潜入記。
……ギャラルホルンの秘密が明らかになります。