クリュセの守護神   作:ランブルダンプ

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シンと三日月、イサリビと無事に合流。


整備中

あの後直ぐにイサリビに辿り着き、MSデッキから船内に入った。

 

俺のデカさに集まっていた皆は驚いていたが、数分で俺が元の小さいサイズに戻るともっと驚いていた。

 

(一度サイズダウンした経験とエイハブリアクターの重力制御のお陰だなぁ……ホントこの体凄ぇ)

 

ただサイズダウンするだけでは俺の大きい時の体重が小さい時の面積に全て掛かり、歩くだけでイサリビの床が壊れるのは必至だっただろう。

エイハブリアクター様様である。

 

 

 

今俺はおやっさんの手伝いでユージンのモビルワーカーを修理している。隣ではユージンが修理を手伝いながら、アンカーを爆破した時の自分の機転について自慢していた。

 

「……でだな、その時俺は咄嗟にモビルワーカーのタンクを……」

 

本当に、ユージンの活躍が無かったらイサリビは小惑星と激突して全員死んでいたかもしれない。

 

(流石だよ副団長)

 

「おっ?今の鳴き声は褒めてんのか?」

 

頷くとユージンは嬉しそうな顔をして、今度は昔のCGSの時代の自慢話を始めた。

 

(あー……話を聞くのは楽しいけど、手動かしてよユージン……)

 

その後やって来たおやっさんに「シン一人にやらせてんじゃねぇ」と叱られるまでユージンの自慢話は続いた。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

修理が終わったのでユージンと別れ次の指示をおやっさんに貰いに行く。

 

「おやっさん、装甲の補強ってモビルワーカーと一緒でいいの?」

「装甲にナノラミネートアーマーを使ってるモビルスーツと一緒なわけねぇだろ……ちっと待ってろ今調べて……」

 

丁度バルバトスの整備に取り掛かり始めた所の様だった。

 

ったく、ろくな記録が残っちゃいねぇ、とぼやくおやっさんに近づいて修理が完了したと鳴いて伝える。

 

「シンか、オメェが来たってことは修理が終わったのか」

 

(イエス!こっちはバルバトスの整備ですか)

 

意味は伝わらないがバルバトスを見て鳴けば何となく伝わった様で、

 

「あぁ、俺はモビルワーカー専門だってのに…… ヤマギも今は手が放せねぇ、手伝ってくれ」

 

(大変みたいですねー。了解です)

 

同情しつつ、改めてバルバトスを見やる。

 

(モビルワーカーの整備なら今までやってきたけど、バルバトスの整備は初めてだなぁ……)

 

いつも軽やかに動くバルバトスを見ているので、こうしてじっとしている姿を見るのは新鮮だった。

 

「バルバトスの方にデータが残ってないか見てるんだが……300年も前の遺物だ、随分勝手が違ってな」

 

そう言い、ホレとバルバトスに繋がっているデバイスを見せて来る。

 

(ふ~む?……ん?んんん!?)

 

デバイスを尻尾で叩いて操作していく。突然操作を始めた俺におやっさんは驚いた様だが、それ以上に俺は自分自身に対して驚いていた。

 

(あれ?何で操作が解るんだ俺?)

 

考えてする動作では無い、手慣れた、何度も同じ事をした事があって考える前に手が動く様な……

 

(出てきた……バルバトスの機体のメンテナンス方法……初期の機体だから後期の機体に比べてメンテも全然楽……うん、何で知ってるんだ俺?)

 

戸惑いながらおやっさんにデバイスを返す。

 

「シンおめぇ……コレどうやって出した?」

 

おやっさんが驚きながら聞いてくるが、俺にだって分からない。首を横に振って分からんと伝える。

 

「んー、まぁいい理由はともあれデータが手に入ったんだ……おーいヤマギ!そっちの仕事が終わったらバルバトスの方へ来てくれ!」

 

ワカッターと遠くからヤマギの声。

 

「よし、じゃあ俺達で始めるぞ」

 

(了解!)

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

バルバトスの整備を終えた俺は休憩をおやっさんから貰ったので三日月さんの所へ行き、そのままアトラの手伝いで皆に配る弁当を運んでいた。

 

そこへクーデリアが通りかかる。

 

「クーデリアさん?」

「何してんの?」

「今後の方針について団長さんたちと話し合ってきました。……三日月は何故参加しなかったのですか?」

「別に、俺難しいこと苦手だし聞いてもよく分かんないから」

 

なら仕方ないのか?と疑問に思いながらも一応納得したクーデリア。そして、二人と一匹が同じ荷物を持っている事に気が付く。

 

「それは?」

「皆の分の弁当」

「作業中の人に配ってるんです」

 

それを聞いて少し考え込むクーデリア。

 

(あぁフミタンが通信レーダー係になって、自分にも何か出来ないかって考えてるって所か)

 

三日月さんに鳴き掛ける。

 

(誘ってみます?人手は多い方がいいですし)

 

俺の鳴き声にアトラは首を傾げたが、三日月さんは頷いて、

 

「クーデリアも手伝う?」

 

(直球!)

 

「私も!私もお手伝……えッ?」

 

「だから、クーデリアも弁当配るの手伝うかって。アトラもいいよね?」

 

「うん!クーデリアさんが手伝ってくれるならすっごく助かるよ!」

 

決意を込めて言いかけた台詞を先に三日月に言われ暫し固まってしまったクーデリアであった。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

(ごはんですよー!!)

 

俺が大声で鳴くと、何だ?と皆が一斉に振り向き、俺達の姿と持ってきた弁当を発見し顔が輝く。

 

 

その後も順々に弁当を配って回り、最後に整備班のいるモビルスーツデッキへと移動してきた。

 

途中クーデリアが何故地球へ向かいたいのか、の話があったが……

 

(最悪俺が地球を滅ぼせば、ある意味火星の独立成功だよな~それが出来るスペックが俺には有るし)

 

地味に恐ろしい事を考えてる俺だった。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

デッキに着くと、俺達に気付いた子供達が群がって来た。

 

(押すな押すな!全員分あるから!アトラの所にも行って!)

 

何故か俺は人気で、直ぐに持ってる弁当を配り切った。せがまれたので背中に乗せてデッキ内をゴジラゴーカートをする。

 

「シンさんスゲー!」「次俺!俺!」「俺尻尾掴んでいい?」

 

(はーいよっと、順番守ってねー)

 

スーッとデッキ内を二、三人ずつ乗せて泳いで行く。途中グレイズの側にいるおやっさんの横を通り掛かると、「シンおめぇ、休憩中なのに働いてんのか」と呆れた顔をされた。

 

(アトラの弁当来てますよー)

 

アトラ達の居る方を向いて鳴くとおやっさんも気付いた様で、

 

「おう、今貰いに行く。タカキー!飯にすっぞ!」

 

タカキの返事を聴きながら通り過ぎてデッキの奥まで行ってから元の場所へと戻り、また別の子供達を乗せてデッキを一周する。

 

そんな事を繰り返し全員分を終えた。三日月さん達の方を見ると、何かを話しているので体をくねらせて近づいていく。すると、着いていきなり三日月さんが話し掛けてきて、

 

「シンは文字読める?」

 

と訊いてきた。

 

(え?ハイ、読めますよ?)

 

訳が分からないが取り敢えず鳴き声を返す。

 

「そっか、色んな本とか読めるんだな」

 

(え、何いきなり)

 

びっくりしている俺を見たおやっさんが三日月さんに話し掛ける。

 

「三日月おめぇもうちっと前後の脈略考えろよ、シンがびっくりしてるじゃねぇか」

 

ドユコト?とアトラの方を見ると「今字が読めるかどうかって話してたの」との返事が。

 

(あぁそういう事か……三日月さん、いつか農場やる為にも文字を読めるといいと思いますぜ?)

 

そう鳴き掛けると、三日月さんも同じ事を思った様で、確かにと頷くとクーデリアに文字の読み方を教えてくれと話し掛けた。

 

それに反応してタカキや他の子供達も字を習いたいと騒ぎ出す。

 

(整備は俺がやっとくのでどうぞどうぞ~)

 

 

ガヤガヤと騒ぐ皆と整備室を出ていく三日月さんを見て思った。

 

いつか三日月さんの作った火星ヤシを食べたいなぁ……と。




三日月農場への布石……!
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