遊戯王 INNOCENCE - Si Vis Pacem Para Bellum -   作:箱庭の猫

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 セツナ vs 九頭竜 決着です!デュエルシーンって難しいけど書いてて楽しいですね!( * °ω°)



TURN - 3 Aimed Muzzle - 2

 

 その日、『デュエルアカデミア・ジャルダン校』にて高等部1年生の担任を務め、未来ある若者に、正しき『デュエル道』を教え導くべく教鞭を振るうベテラン教諭・高御堂(たか み どう) (エイ)()の元に、興味深い速報が届いた。

 

 

 

 --- 『学園最強(ランク・A)九頭竜(くずりゅう) 響吾(キョウゴ)と、命知らずの転入生(ルーキー)が第4デュエルフィールドで決闘(デュエル)を始めている。』

 

 

 

 放課後、生徒達が口々に噂しているのを小耳に挟んだ高御堂(たか み どう)は、先程から妙に校内が騒がしい理由を推知し、整ったアゴ(ヒゲ)に指先を添えると、納得した(てい)で頷いた。

 

 

 

(……転入生……ふむ……あの子(・ ・ ・)が…ねぇ……)

 

 

 

 結果を何よりも重視し、『実力主義』を教育方針に掲げるこの学園に()いて、苛烈な競争を勝ち抜いた成績優秀者のみが(かん)する事を許される最上位(ト ッ プ)の称号。それが『ランク・A』。

 

 そんな栄誉ある位階を(いただ)生徒(エリート)決闘(デュエル)となれば、それだけでも学園中の注目を集めるには申し分ない話題(イベント)となる。

 自分が尊敬する生徒(プレイヤー)の応援に駆けつける、熱烈な追随者(フ ァ ン)もいれば、ランク・A(トップランカー)の座を奪う為に、彼等のデッキを研究して対策を練るという目的で、偵察に訪れる、熱い野心を秘めた生徒も複数いるからだ。

 

 だが今回の挑戦者は、学園に籍を置いて間もない中途入学の転入生。一見すると、勝敗の分かりきった、ミスマッチにも思えてしまう。

 

 それでも高御堂(たか み どう)は、その組み合わせに関心を寄せた。正確には、()転入生のデュエル(・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・)に着目した。

 

 それは恐らく、高御堂が誰よりも、転入生 --- 総角(アゲマキ) 刹那(セツナ)の事を、知っていた(・ ・ ・ ・ ・)(ゆえ)に。

 

 

 

 気づけば彼の足は、誘われる様に『第4デュエルフィールド』まで向かい始めていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ごきげんよう、トレードマークは赤メガネ!総角(アゲマキ) 刹那(セツナ)だよ!誰に名乗ってるんだろうね、ボクは。

 

 ただいま絶賛デュエル中。相手は、このジャルダン校の高等部3年生にして、学園の上位(トップ)と名高い硬派でイケメンな決闘者(デュエリスト)九頭竜(くずりゅう) 響吾(キョウゴ)くん。

 

 

 

 セツナ LP(ライフポイント) 4000

 

 九頭竜 LP(ライフポイント) 3050

 

 

 

「す、すごいです、セツナ先輩…!最強クラス(ランク・A)の九頭竜さんから、先にリードを奪うなんて…!」

 

「そうね……確かに今は、デュエルの主導権はセツナが握ってる様に見える。……けど…九頭竜は転んでも、ただじゃ起きない。そこが恐ろしいのよ…!」

 

 

 

(……ボクの場には上級モンスターの【ラビー・ドラゴン】が1体。対して、九頭竜くんの場は、さっきの戦闘で【ガンナードラゴン】が墓地に送られた事で現状ガラ空き……状況は一見ボクの優位に見えるけど……)

 

「…やりやがったな…このガキィィッ…!」

 

(まだ九頭竜くんのターンは続いてる……なんだか嫌な予感がするんだよね…)

 

「…そんな(にら)まないでよ、九頭竜くん。怖いから」

 

「ハッ!たかが【ガンナードラゴン】1匹(いっぴき)倒した程度で、勝った気になってんじゃねぇよ」

 

「…!……」

 

「お前が攻撃力で劣るラビー・ドラゴンを、わざわざ攻撃表示で出してきた時点で、(わな)を張ってる事なんざ簡単に予測できたぜ」

 

「……分かってて攻撃を仕掛けたって、そう言いたいの?」

 

「邪魔なトラップは早めに使わせときゃあ、後が楽だからな」

 

「だとしても、ここから一体どうするつもりさ?ランク・A」

 

 

 

 ボクが少し煽る様な言い方をしてみると、九頭竜くんは何やら、怪しげな薄ら笑いを浮かべた。

 

 

 

「見せてやるぜ!手札から【シャッフル・リボーン】を発動!」

 

「ッ!」

 

「墓地から(よみがえ)れ!ガンナードラゴン!」

 

 

 

【可変機獣 ガンナードラゴン】 攻撃力 2800

 

 

 

「わっ!また出た!?」

 

「だが【シャッフル・リボーン】で復活させたモンスターは、エンドフェイズに除外されちまう。だから、その前に有効活用させてもらうぜ!魔法(マジック)カード・【生け贄人形(ドール)】!!」

 

「!そのカードは…!」

 

「ガンナードラゴンをリリースし、手札からレベル7のモンスターを特殊召喚できる!俺が呼び出すのはこいつだ!リボルバードラゴン!!」

 

 

 

【リボルバードラゴン】 攻撃力 2600

 

 

 

「かっ…カッコイイ!!」

 

「言ってる場合じゃないですよ先輩ー!」

 

「リボルバードラゴンのモンスター効果発動!『ロシアン・ルーレット』!!」

 

 

 

 九頭竜くんが宣言すると、リボルバードラゴンの頭部と両腕を成す、計3丁の回転式拳銃(リ ボ ル バ ー)のシリンダーが勢いよく回り始めた。

 

 『ロシアン・ルーレット』という能力名からして、あの3つの弾倉には、それぞれ1発ずつ、銃弾が装填されてると推察できる。

 

 やがて、シリンダーは全て回転を止め、その内2つの銃身から『カチッ』『カチッ』と、小気味よい音が鳴るのが聞こえた。えっ、これって、まさか…!

 

 

 

Hit(ヒ ッ ト)だ!!吹き飛びな!ラビー・ドラゴン!!」

 

 

 

 リボルバードラゴンは両腕の銃口から、同時に弾丸を撃ち放った。耳を(つんざ)く銃声がフィールド全体に(とどろ)く。

 

 そして、2発の銃弾が瞬く間に、ラビー・ドラゴンの身体に被弾した。

 首と胴体を撃ち抜かれたラビー・ドラゴンは、爆発して消し飛んでしまった。

 爆風が真下に立っていたボクを襲う。

 

 

 

「うあっ…!?くっ…!」

 

(せっかく召喚したラビー・ドラゴンが…こんなあっさり…!?)

 

 

 

「ああっ!!先輩の切り札が!?」

 

「セツナ!?」

 

 

 

「ッ…!」

 

 

 

 ラビー・ドラゴンが破壊された事で、今度はボクのフィールドが(さら)()同然の状態になった。

 

 

 

「くくっ、他愛もねぇ。俺は最後に、カードを1枚セットしてターン終了(エンド)だ!」

 

 

 

 九頭竜くんの見事なカードプレイングで、ボク達のデュエルを見守っていた観衆が大いに盛り上がり、歓声が上がった。

 ついでに、ボクへの心ない野次なんかも激化してるけど、無視して自分のターンを開始する。

 正直そっちに意識を()く余裕すら、今は無い。

 

 

 

「ボクの…ターン……ドロー!」

 

 

 

「…悔しいけど、やるわね…九頭竜の奴。一瞬で形勢を立て直すどころか主導権まで奪い返すなんて…」

 

「これが…ランク・Aの力……うぅ…セツナ先輩…!」

 

「アマネ!ルイくん!二人(ふたり)とも心配しないで!すぐにまた巻き返してみせるさ!」

 

(……なんて強がってはみたけど……この手札じゃ、あのリボルバードラゴンは倒せない……今はターンを凌ぐしかない!)

 

「モンスターをセット!更にカードを1枚セットする!これで……ボクはターンエンド……」

 

 

 

 とうとう手札が(ゼロ)になった。今のボクに出来る事は、これが精一杯。

 外野から「いきなり弱気になってやがんの!」とか「最初の威勢はどうしたァ!」とか茶々を入れられるけど気にしない。

 

 

 

「なんだよ、自慢のエースモンスターが()られた途端に意気消沈か?面白くねぇ。俺のターン!ドロー!」

 

「………ッ…」

 

「…良いところで来やがったぜ。魔法(マジック)カード・【強欲で貪欲な壺】!デッキの上から10枚カードを除外し、その()2枚ドローする!」

 

(!!ここで手札増強カード!?ボクの方が欲しいよ!)

 

「……さぁて、まずはリボルバードラゴンの効果を、また使わせてもらうぜ!『ロシアン・ルーレット』!!」

 

 

 

 リボルバードラゴンの、3つの蓮根状の回転式弾倉(シ リ ン ダ ー)が再び高速回転を始める。

 

 あの黒光りする3丁の銃身の内、2つ以上のシリンダーで、弾丸を装填した薬室が銃口に入った時、リボルバードラゴンの効果が成立して(タマ)が発射される。

 それにより、前のターンで運悪くヒットしたラビー・ドラゴンの様に、ボクのモンスターは破壊されてしまう。

 正に生きるか死ぬか(デッド・オア・アライブ)。命を賭けた大博打(ギャンブル)だ。

 こんな危険な運試しを世界で最初に考え出した人は、相当クレイジーだったのでは!?

 

 そんな事を頭の片隅で思い見ていると、シリンダーの廻転が間もなく止まろうとしていた。

 

 

 

(確率は2分の1…!)

 

 

 

 (ひたい)を汗が伝う。ボクだけでなく、会場の誰もが固唾を飲んで、ルーレットの結果が出るのを待っていた。不発に終わってくれたら幸運(ラッキー)だけど…

 

 シリンダーが停止した。耳朶(じ だ)を打つ固い音が2つ。

 

 

 

「はははっ!2連続でHit(ヒ ッ ト)だ!食らいなぁ!!」

 

「!!」

 

 

 

 またもや2発の銃弾が撃ち込まれて、ボクが(しゅ)()表示でセットしたモンスターに命中した。裏向きのカードが粉々になり、爆煙と共にフィールドから消滅する。

 

 

 

「これで、お前を守る壁モンスターはいない!!撃て!リボルバードラゴン!『ガン・キャノン・ショット』!!」

 

 

 

 バトルフェイズに移行するや否や、リボルバードラゴンは次なる標的(ターゲット)のボク自身に狙いを付けて、3発の弾丸を撃発した。

 

 

 

(こんなの、実質2回攻撃(こうげき)してきてるみたいなもんだ…!えげつないモンスターを使うね…!)

 

 

 

 銃弾は全て、寸分の狂いも無い弾道を(えが)き、ボクの身体を容赦なく貫通した。重い衝撃が全身を駆け巡る。痛みが無いのが逆に怖い。

 

 

 

「ガッ…!」

 

 

 

 ボクは呻き声を上げ、たまらず床に片(ひざ)を突いた。

 やっぱり撃たれる系の攻撃は苦手だ。立体映像(ソリッドビジョン)と分かっていても、なんかこう……心臓にクる。

 

 

 

 セツナ LP 4000 → 1400

 

 

 

「せ…先輩!!」

 

 

 

 ルイくんが悲痛な声で叫んだ。

 

 

 

「思い知ったか!ジャルダンは弱肉強食の世界だ!お前みてぇな弱小デュエリストが生き残れる程、(ぬる)かねぇんだよ!!」

 

「……く…ッ…」

 

 

 

 九頭竜くんが吠える。

 

 会場の皆には、この決闘(デュエル)は結局、九頭竜くんの勝利で幕を閉じ、ボクの敗北は(すで)に決定的だと判断されたらしく、序盤の盛況は何処(ど こ)へやら、つまらない試合(ゲーム)を退屈そうに傍観(ぼうかん)する様な、冷めた空気(ムード)が場内に漂い始めていた。

 

 

 

「うーわ、やっぱランク・Aは(つえ)ぇなぁー」

 

「あの転入生、九頭竜さんから先手を取った時は、もしや…と思ったけど…」

 

「まぁ最初から、結果は見え見えだったしな」

 

 

 

 達観、諦念、嘆息。

 

 デュエルの行方(ゆくえ)に関心を失った観戦者(ギャラリー)の何人かが席を立とうとした、その時だった。

 

 

 

「まだ分からないでしょっ!!!!」

 

 

 

 アマネの声が会場中に響き渡った。鋭くも芯があり、力強くも凛とした一声(いっせい)で、館内が数秒間、静黙(せいもく)した。急に音が消えて、訪れた沈黙が耳に痛い。

 

 

 

「あ……アマ…ネ…?」

 

「セツナ、ライフは1400も残ってる。戦意喪失するには、まだ早いんじゃない?」

 

「……アマネ…」

 

「黒雲さん…」

 

「ケッ、くだらねぇ。女に励まされてやがる」

 

 

 

「…はっはっは。なかなか盛り上がっているじゃないか」

 

「…あっ…!」

 

 

 

 出入り口の方から小さく拍手を打つ音と、年輩の男性らしき低い声が聞こえてきた。

 それに反応して、アマネとルイくんが背後を振り返ると、靴音を鳴らして二人の前まで歩いてくる、グレースーツを着こなした中年の男性と対面した。

 

 勿論(もちろん)ボクも、アマネの一喝に驚いて、そちら側に顔を向けていたので、彼が入場してきた事には二人と一緒に気づいた。

 

 男性は灰色(はいいろ)の短髪と、開いてるのか分からない糸目が特徴的で、生え揃った口髭(くちヒゲ)とアゴ(ヒゲ)は、手入れを施しているのか清潔感があり、とてもオシャレ。ダンディな紳士(ジェントル)を思わせる風貌をしていた。

 柔和な微笑みと穏やかな口調からは、全く荘厳(そうごん)さ等は感じず、むしろ見る者を安心させる、温和な雰囲気を(まと)っている。

 

 ボクは目を輝かせて、その人を、こう呼んだ。

 

 

 

「先生!!」

 

 

 

 そして、デュエルフィールドから飛び降りて男性の元まで駆け寄り、彼の左手を両手で掴んで上下に振った。

 

 

 

高御堂(たか み どう)センセー!!久しぶりー!実技試験以来だよね!?今日からよろしくねー!!」

 

「はっはっは。こらこら、今はデュエル中だろう?挨拶(あいさつ)は後で良いから、早くフィールドに戻りなさい」

 

「あっ、そうだった。急がないと!」

 

「……総角(アゲマキ)くん」

 

 

 

 (あわ)てて自分のフィールドに戻ろうと転回すると、ボクが『高御堂(たか み どう)先生』と呼称した男性に名字で呼ばれた。

 

 

 

「なに?先生」

 

「素晴らしいデュエルを、見せてくれたまえ」

 

「……うん!」

 

 

 

 満面の笑顔で返事した後、ボクはステージの手前で力いっぱい跳躍(ジャンプ)して、ひとっ飛びでフィールド上に帰還した。脚力には自信があってね。

 

 ……九頭竜くんは(イラ)立ちを(あらわ)にした表情で、ボクを(げい)()していた。(こわ)っ、今にも食い殺されそう。

 

 

 

「いやーごめんごめん。お待たせ、九頭竜くん」

 

「チッ!」

 

 

 

 アマネとルイくんが味方になってくれてるし、お世話になった高御堂(たか み どう)先生まで観に来てくれたんだもの。カッコイイとこ見せなくちゃ!

 

 

 

「デュエル再開!……さっきのリボルバードラゴンの直接攻撃(ダイレクトアタック)は効いたよ。だけど!転んでもタダじゃ起きないのは、ボクも同じだよ!」

 

「…!」

 

「リバースカード・オープン!【ダメージ・ゲート】!」

 

(!?…ダメージ・ゲートだぁ?)

 

「ボクが戦闘ダメージを受けた時に発動し、そのダメージの数値以下の攻撃力を持つモンスター1体を、墓地から特殊召喚できる!ボクが召喚するのは、さっき『ロシアン・ルーレット』で破壊されたモンスター・【プチリュウ】!」

 

 

 

【プチリュウ】 守備力 700

 

 

 

「何が出るかと思えば……そんな低級モンスターを苦し紛れで場に残すのが精一杯か!俺はカードを1枚セット!」

 

(…リボルバードラゴンの破壊(はかい)効果は1ターンに一度しか使えねぇ…まぁどうせ、あんなザコ1匹じゃ(ヤツ)には何も出来(で き)やしねぇよ!)

 

「ターンエンド!」

 

 

 

「……これで次は、セツナ先輩のターンですね……でも、ドローしても手札は1枚…ここから一体どうしたら……」

 

「ふむ…」

 

「…………ねぇ高御堂先生?こんな時に聞くのも(なん)だけどさ…」

 

「おや、どうしたかね?黒雲くん」

 

「さっき、セツナが『実技試験以来(・ ・ ・ ・ ・ ・)』だって言ってたよね?もしかして、セツナの試験デュエルで相手をしたのって、先生?」

 

「えっ、そうなんですか?高御堂先生」

 

「……うむ、ご名答。その通りだ。君達は、総角(アゲマキ)くんのデュエルを見るのはこれが初めてかね?」

 

「え?まぁ、うん」

 

(……(ぼく)は今朝、先輩に助けてもらった時に見たけど……わけを説明したら、ややこしくなりそうだから言わないでおこう……)

 

「そうか。では、その目で(しか)と見届ける事をオススメするよ。君達にとっても良い刺激になるだろう」

 

「「?」」

 

総角(アゲマキ) 刹那(セツナ)…」

 

 

 

「ボクのターン!ドロー!」

 

 

 

「彼のデュエルは……予測不可能だ」

 

 

 

(…!やった!ボクの手にも来た!)

 

「魔法カード発動!【馬の骨の対価】!」

 

「!お前もドローカードか…悪運の強い野郎だ!」

 

「プチリュウを墓地に送り、2枚ドローする!」

 

 

 

 たった2枚、されど2枚。この手札から活路を見出だす!

 

 

 

「さて……」

 

 

 

 ここでボクは今朝のデュエルの時と同じく、赤メガネを外して、制服の胸ポケットに差し込んだ。

 

 レンズには度が入ってないから、視界に変化は無いけれど、()(がん)になると今まで以上に集中力が増すんだよね。なんとなく。

 漫画の主人公が闘い(バトル)の前に、マントやら上着やらをカッコ良く脱ぎ捨てるのと、意味合い的には一緒だ。男なら一度は憧れを(いだ)いたはず。

 

 

 

「それじゃあ始めようか!手札から【一時休戦】を発動!お互いにカードを1枚ドローし、次の相手ターンが終わるまで、互い(ボクら)が受けるダメージは全て(ゼロ)になる!」

 

「ふん…」

 

「続いて、ボクは【ドラゴラド】を召喚!モンスター効果で、墓地から【プチリュウ】を再び特殊召喚!」

 

 

 

【ドラゴラド】 攻撃力 1300

 

【プチリュウ】 守備力 700

 

 

 

「それで……プチリュウには何度も悪いんだけどさ、また墓地に()ってもらいたいんだ。ごめんね?」

 

 

 

 ボクが手札にあるカードを見せながら先に謝ると、プチリュウに凄く()(げん)な顔をされた。ごめん、ごめんて。

 

 

 

「次は活躍させるから!魔法(マジック)カード・【ドラゴニック・タクティクス】を発動!」

 

「!」

 

「フィールドのドラゴンを2体リリースして、デッキからレベル8のドラゴンを特殊召喚できる!現れろ!【トライホーン・ドラゴン】!!」

 

 

 

【トライホーン・ドラゴン】 攻撃力 2850

 

 

 

「なんだと!?こいつがこんなレアカードを!?」

 

 

 

「ほほぅ、まさかトライホーンとはねぇ」

 

「先輩すごいです!」

 

「よーし!やっちゃえセツナ!!」

 

 

 

「さぁ(あと)は攻撃あるのみだ!行け!トライホーン・ドラゴン!!リボルバードラゴンを攻撃!!」

 

 

 

 トライホーン・ドラゴンは両腕の鋭利な3本の爪で、リボルバードラゴンを引き裂こうとする。

 

 

 

「させるかよぉ!リバーストラップ・【重力解除】!モンスターの表示形式を変更する!」

 

 

 

【トライホーン・ドラゴン】 守備力 2350

 

【リボルバードラゴン】 守備力 2200

 

 

 

「あらら、上手く行かなかったかぁ……ざんねん。ボクはこれで、ターンエンド!」

 

「……驚いたぜ、トライホーン・ドラゴンか…良いじゃねぇか!お前ごときには勿体(もったい)ねぇ!アンティルールで俺が(いただ)くのは、そのカードだ!」

 

「……良いよ、ボクに勝てたらね」

 

「俺のターン!!」

 

 

 

「ど、どうしましょう黒雲さん…!このままだと、トライホーンが破壊されちゃいますよぉ…!」

 

「くぅ…すんなりと攻撃を通してはくれないのね…でも【一時休戦】の効果で、このターン、セツナにダメージは無いから…まだ1ターンはチャンスがあるわ!」

 

「そ、そうでしたね!よかった…」

 

「…果たして、本当にチャンスを与えてくれるかな?あの九頭竜くんが」

 

「……!」

 

「九頭竜くんのデッキは、確かに重量級モンスターが(ひし)めく、パワー(タイプ)の構築だが…決して単調な攻めのみで押し切る戦法(スタイル)などではない。それだけで『学園最強(ランク・A)』の座を、勝ち取れるわけがないからね」

 

「…じゃあ…九頭竜の真髄って一体…」

 

「初めて知った時は、私も目を見開いたよ」

 

 

 

「……くっくっく…引いたぜ…!俺の完璧な『コンボ』を成立させる、キーカードをなぁ!!」

 

「!?…コンボ…?」

 

「お前に今から……地獄を見せてやるよ!」

 

 

 

「…あの男…九頭竜(くずりゅう) 響吾(キョウゴ)は……IQ(アイキュー)200の頭脳を持つ、本物の天才デュエリストだ…!」

 

 

 

「俺がドローしたカードは【アームズ・ホール】!デッキの上から1枚を墓地に送り、デッキから装備カードをサーチできる!俺は【魔界の足枷(あしかせ)】を手札に加え、リボルバードラゴンに装備する!」

 

 

 

【リボルバードラゴン】 攻撃力 100 守備力 100

 

 

 

(えっ…リボルバードラゴンがパワーダウンした…!?)

 

「魔界の足枷を装備したモンスターは攻撃力・守備力が100になり、攻撃は封じられる」

 

「……わざわざリボルバードラゴンを弱体化させて、何を企んでるのさ…?」

 

「くくっ、これで良いんだよ!更に俺は、手札から【機械複製術】を発動!俺のフィールドにいる攻撃力500以下の機械族モンスターと、同名のカードをデッキから特殊召喚する事が出来る!!」

 

(!!そうか…この為にリボルバードラゴンの攻撃力を下げて…!)

 

「とくと味わえよ転入生…!俺の機械龍(マシン・ドラゴン)デッキの威力を!!新たに2体のリボルバードラゴンを、特殊召喚!!」

 

 

 

【リボルバードラゴン】 攻撃力 2600

 

【リボルバードラゴン】 攻撃力 2600

 

 

 

「リボルバードラゴンが……3体…!?」

 

 

 

 同じ大型モンスターがフィールドに3体も並ぶ圧巻の光景に、会場が再び熱狂した。

 

 

 

(だけど、その内1体は、魔界の足枷で弱体化している!少なくとも攻撃要員(よういん)にはなれない(はず)…)

 

馬鹿(バ カ)め!俺のコンボに(すき)なんざねぇ!!墓地にある【シャッフル・リボーン】の、2つ目の効果を発動!」

 

「なっ…!魔法(まほう)カードを墓地から(・ ・ ・ ・)発動!?なんて離れ(ワザ)を…!」

 

「フィールドに出ている【魔界の足枷】をデッキに戻し、1枚ドローする!」

 

 

 

 魔界の足枷が外れた事で、リボルバードラゴンのステータスが元に戻った。

 

 すごい…!1ターンで自分に有利な戦況を整え、デメリットは回避して、オマケに手札の補強まで…!

 九頭竜くんの抜け目ない戦略に、ボクは感服する他なかった。

 

 

 

「守備表示のリボルバードラゴンを攻撃表示に変更!」

 

 

 

【リボルバードラゴン】 攻撃力 2600

 

 

 

 3体のリボルバードラゴンが一斉に攻撃の態勢を取った。合計9つの銃口がトライホーン・ドラゴンとボクに向けられる。

 毎ターン、1体につき1回…計3回も『ロシアン・ルーレット』を撃てるってわけか。もう(イチ)(バチ)かの運試し(ギャンブル)どころか…ほぼ必中の銃殺刑じゃない。

 

 

 

「本当なら、このターンで撃ち殺してやりたいところだが…お前が発動した【一時休戦】のせいでダメージは与えられない…どの道『ロシアン・ルーレット』を使う意味もねぇ。なら普通に攻撃して、そのドラゴンだけでも消しておくぜ!!」

 

 

 

- ガン・キャノン・ショット!! -

 

 

 

「トライホーン・ドラゴン、粉砕!」

 

「ッ…!」

 

 

 

 頼みの綱だったトライホーン・ドラゴンまで破壊されて、いよいよ窮地に追い込まれてしまう。

 一時休戦のおかげで直接攻撃は(まぬが)れたけど、このままじゃ次のターンで確実に()られる…!

 

 

 

「案外あっけなかったな。シャッフル・リボーンのテキストに従い手札を1枚、除外する。これで俺はターンエンドだ!」

 

(さぁ足掻いてみせろよ転入生。俺のフィールドは磐石(ばんじゃく)だ!!)

 

「…………ボクの、ターン……」

 

 

 

 このドローで何も出来なかったら、ボクの負け。いよいよ崖っぷちだ。デッキに伸ばす右手が震えて、鼓動が高鳴るのを感じる。

 ……それでも、不安や恐怖は無い。震えだって()(しゃ)(ぶる)いだ。むしろ、こんな絶体絶命の状況を、楽しんでいる自分がいる…!

 

 

 

「ドロー!!」

 

 

 

 命運を分かつ、ディスティニードロー。……引いたカードは……

 

 

 

「…ボクの引いたカードは……【命削りの宝札】!」

 

(-!?こいつ…!またドロー効果を持つカードだと!?何なんだ、その無駄な引きの良さは!)

 

(7年も連れ添った、掛け替えの無い相棒(デッキ)だからね!追い詰められれば追い詰められる程、ボクのデッキは応えてくれる!)

 

「【命削りの宝札】の効果で、ボクは手札が3枚になる様にカードを引く。今、ボクの手札は(ゼロ)枚。よって、デッキから3枚ドロー!」

 

 

 

 このターン、ボクは【命削りの宝札】の効果により、特殊召喚を行えず、相手にダメージも与えられない。でも…この手札なら!

 

 

 

「ボクは魔法(マジック)カード・【スペシャルハリケーン】を発動!手札1枚をコストに、フィールド上の特殊召喚されたモンスターを、全て破壊する!!」

 

「なにっ!?」

 

 

 

 フィールド上空に雷雲が立ち込め、霹靂(へきれき)と暴風が全フィールド上を蹂躙(じゅうりん)する。

 九頭竜くんの場に存在する3体のリボルバードラゴンは、1体が【生け贄人形(ドール)】の効果で、他の2体が【機械複製術】の効果で特殊召喚(・ ・ ・ ・)されたものだ。

 

 

 

「つまり、これで3体のリボルバードラゴンは破壊される!!」

 

「くっ…ぐおおぉぉっ!?」

 

 

 

 フィールドを制圧していた上級モンスターが一掃(いっそう)された事で、九頭竜くんの場に残ったのは伏せ(リバース)カード1枚のみとなった。アレは1体目のリボルバードラゴンを召喚した後から、ずっとセットされているカードだ。

 

 

 

「ボクは……カードを1枚セットして、ターンエンド!」

 

 

 

 会場全体に、何やら(どよめ)きが広がっているのが分かった。ボクが劣勢を切り抜けた事が信じられないと言った様子で、ざわざわと。数ターン前までの熱い歓声とは毛色の異なる騒々しさが場内を包み込んだ。

 

 

 

「さっすがセツナ!」

 

「すごいです先輩!」

 

「はっはっは。天は彼を見放してはいなかった様だね」

 

 

 

「くそ…!よくも俺のリボルバードラゴンを…!ドローだ!」

 

(…チッ!出せるモンスターが手札にねぇ…!……屈辱だが…このターンは何も出来ねぇ……まぁいい…まだ俺には、()があるからな…!)

 

「…ターンエンドだ…!」

 

「…!?」

 

 

 

 意外にも、九頭竜くんは何も行動(アクション)を起こさずにターンを終えた。

 それを受けて、観客席には更に不穏な(ざわ)めきが増していく。こんな展開は恐らく誰も予想すらしていなかったんだろう。「有り得ない」という声が方々(ほうぼう)から聞こえてくる。

 

 

 

「セツナ!今が好機(チャンス)だよ!」

 

「ボクのターン!このスタンバイフェイズ、ボクのフィールドにモンスターが存在しない時、墓地に眠る【ミンゲイドラゴン】を特殊召喚できる!」

 

 

 

【ミンゲイドラゴン】 攻撃力 400

 

 

 

「…スペシャルハリケーンのコストで捨ててやがったか!」

 

「大正解。伏せ(リバース)カード・【闇の量産工場】を発動!墓地から通常モンスター2枚を手札に加える。ボクが戻すのは、【プチリュウ】と【ラビー・ドラゴン】!」

 

「!」

 

「ミンゲイドラゴンは、ドラゴン族モンスターをアドバンス召喚する時、1体で2体分のリリースとして扱える!ミンゲイドラゴンをリリースして、【ラビー・ドラゴン】をアドバンス召喚!!」

 

 

 

【ラビー・ドラゴン】 攻撃力 2950

 

 

 

「バトル!ラビー・ドラゴンで、九頭竜くんにダイレクトアタック!『ホワイト・ラピッド・ストリーム』!!」

 

 

 

 白銀(はくぎん)に煌めく破壊光線が九頭竜くんに炸裂した。

 

 

 

「ぐあああああああっ!!!」

 

 

 

 九頭竜 LP 3050 → 100

 

 

 

 今の一撃で、九頭竜くんのライフポイントは大幅に削られた。残り、100ポイント。もう風前の灯火だ。

 

 デュエルの流れが急変すると、またもや会場内に歓声が鳴り響いた。興奮からか集まった生徒達は次々に総立ちしていく。

 

 

 

「うおおっ!!おいヤバくねぇか!?これって、もしかして…!」

 

「まさかの番狂わせ…大物食い(ジャイアント・キリング)が来るか!?」

 

「あのランク・Aの九頭竜さんが……負けちまうのか…!?」

 

 

 

「…………俺が……負けるだと……?」

 

(……ふざけるな…!ふざけるなふざけるなふざけるなッ!!!俺が負けるわけねぇだろうが!!俺のプレイングは完璧だった!これは勝てる決闘(デュエル)なんだ!あんな転入生に俺が実力で劣るなんざ、絶対に有り得ねぇ!!)

 

「……九頭竜くん?」

 

 

 

 ラビー・ドラゴンの攻撃を受けて、体勢を崩していた九頭竜くんだったけど、フラつきながらも徐々に立ち上がってきた。

 

 ---…彼が顔を上げると、その眼は凄まじく攻撃的で、明確な敵意と殺気に満ちていた。

 ゾクッと、ボクの背筋が凍った。とうとう本気で怒らせたみたいだ。彼の刺すような気迫に気圧(け お)されて、足が無意識に後退(あとずさ)る。

 

 

 

「そうだ…最強は俺だ…!俺より(つえ)ぇ奴なんてのは……いたらいけねぇんだよ!!リバースカード・オープン!【ダメージ・コンデンサー】!!」

 

(ッ!?アレはボクの使った【ダメージ・ゲート】と同じ…!だから今まで発動しなかったのか!)

 

「手札を1枚捨て!俺が受けた戦闘ダメージの数値以下の攻撃力を持つモンスターを、デッキから特殊召喚するッ!!出やがれえぇぇっ!!【ブローバック・ドラゴン】!!」

 

 

 

【ブローバック・ドラゴン】 攻撃力 2300

 

 

 

「また破壊効果のあるモンスターを!?…ッ…ボクは1枚カードを伏せて、ターンエンド!」

 

「俺のターン!ドロー!」

 

(…【奈落の落とし穴】か…ちぃとばかし来るのが(おせ)ぇが良いカードを引いた…!)

 

「ブローバック・ドラゴンのモンスター効果!2分の1の確率で、相手のカードを破壊する!!」

 

 

 

 言うが早いかブローバック・ドラゴンの効果処理が行われる。その結果は…

 

 

 

「……Hit(ヒ ッ ト)だ…!ラビー・ドラゴンを破壊!!」

 

「くっ!?」

 

 

 

 ボクにとっては不幸にも、効果は成立。ブローバック・ドラゴンは1発の弾丸でラビー・ドラゴンを射撃し、無惨に破壊した。

 

 (うん)も実力の内とは言うけど、彼は本当に恐るべき相手だ。外れる可能性だってある『コイントス』効果を、リボルバードラゴンに続いて連続で成功させている。強運…いや、違う。

 

 九頭竜くんは、カードに選ばれているんだ。

 

 

 

「フッ、ははは…!はーっははははっ!!ざまぁみやがれ転入生!勝利の女神は俺に微笑(ほほえ)んだ様だなァ!!」

 

「……ッ」

 

「後はブローバック・ドラゴンで攻撃すれば、お前のライフは(ゼロ)になる…!理解したか?俺が最強だ!!」

 

 

 

 バトルフェイズ。ブローバック・ドラゴンの銃口がボクの心臓に照準を合わせた。

 

 

 

()れ!ブローバック・ドラゴン!!」

 

「……あいにく、ボクは諦めが悪くてね!トラップ発動!【ガード・ブロック】!ダメージを(ゼロ)にして、1枚ドローする!」

 

 

 

 戦闘ダメージを回避して、デッキから1枚カードを引く。

 

 

 

(…!このカードは…)

 

 

 

「くそがッ……しぶとい野郎だ!俺はカードを1枚セット!」

 

(もし奴が強力なモンスターを出してきても、今セットした【奈落の落とし穴】で叩き落とせる!次の俺のターンで、今度こそ確実に仕留めてやる!)

 

「ボクのターン!ドロー!」

 

 

 

 カードをドローした後、ボクは静かに目を閉じた。それから、言葉を紡ぐ。

 

 

 

「九頭竜くん。(きみ)とのデュエル、久々にスリルがあって、本当に楽しかったよ。……でも、今回は…ボクの勝ちだ!」

 

「……あぁ?」

 

 

 

 突然の勝利宣言をしてみせると、九頭竜くんの(ひたい)に青筋が浮かんだ。

 そんな事はお構い無しに、ボクは手札から1枚のカードを取り出して、彼に見せつける。

 

 

 

「覚えてるかな?このカードは、君がボクにプレゼントしてくれたカードだよ!」

 

「…なんだと…」

 

 

 

 そう、このカードは…ボクとルイくんが高等部3年生の教室にお邪魔した時、九頭竜くんから挨拶(あいさつ)代わりとか言って投げつけられた、あの(・ ・)カードだ。

 デュエルの直前、興味本意で自分のデッキに投入してみたんだけど、こんな土壇場で引き当てるとは思いもしなかった!

 

 

 

「出ておいで!【メガ・サンダーボール】!」

 

 

 

【メガ・サンダーボール】 攻撃力 750

 

 

 

「…!…この状況で、そんな雑魚(ザ コ)モンスターを攻撃表示だと?俺を舐めてやがるのか!!」

 

「いいや、真剣だよ!ボクは手札から魔法(マジック)カード・【財宝への隠し通路】を発動!このターン、攻撃力1000以下のモンスター1体は、相手プレイヤーに直接攻撃できる!」

 

「!?なっ…な…!」

 

「これで……チェックメイトだ!メガ・サンダーボールで、九頭竜くんに直接攻撃(ダイレクトアタック)!!『サンダー・ラッシュ』!!」

 

 

 

 (トゲ)の生えた球体が電撃を放ちながら九頭竜くんに突撃し、ビリビリと電流を浴びせかけた。

 

 

 

「うああああああッッッ!!!?」

 

 

 

 九頭竜 LP 0

 

 

 

 ボクの勝利で決闘(デュエル)が終わったのと同時に、割れんばかりの大歓声と驚嘆が混じり合って、場内を埋め尽くした。

 

 

 

「九頭竜さんが負けたぁーッ!?」

 

「あ、あんな…ランクも付いてねぇ転入生に…!」

 

 

 

 すっかり騒然としちゃってるけど……うん、そろそろ慣れた。

 

 九頭竜くんを見ると、床に両(ひざ)と両手を付けて項垂(うなだ)れていた。

 ボクは、そんな彼の側まで歩み寄る。渡さなきゃいけないものがあるからね。

 

 

 

「九頭竜くん。これは君に返すよ」

 

 

 

 そう言って、彼に【メガ・サンダーボール】のカードを差し出す。

 九頭竜くんが憎々しげな顔で、ボクを睨んだ。

 

 

 

「ッ…!ざけんな!誰が()るか!んな(クズ)カード!!」

 

「……そっか。じゃあ、このカードはアンティルールに(のっと)って、ボクが(もら)うね」

 

「…………!くそぉッ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おめでとうセツナ!まさか本当にランク・Aに勝っちゃうなんてね!」

 

(ぼく)…感激しました!おめでとうございます!セツナ先輩!」

 

 

 

 戻ると、アマネとルイくんが祝福してくれた。いつ以来だろう。デュエルに勝って、誰かが誉めてくれるのって。久しく忘れてたよ、こんな嬉しい気持ち。

 

 

 

「ありがとう、アマネ!ルイくん!…あれ?高御堂先生は?」

 

「なんか…決闘(デュエル)が終わった途端に、どっか行っちゃったわよ?」

 

「ええーっ?先生にも誉めてほしかったのに…」

 

 

 

 まぁ後日どっかで会った時にでも抱き着けば良いか。そんな事を考えながら、ボクは勝利の余韻に浸った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……フフッ、総角(アゲマキ) 刹那(セツナ)くんか……教師として贔屓(ひいき)はしないが…面白い子が入ってきたな」

 

 

 

 





 今回の最強カードは【メガ・サンダーボール】でした!!

 九頭竜くんはライバルキャラですね。またデュエルさせるのが楽しみです!
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