遊戯王 INNOCENCE - Si Vis Pacem Para Bellum - 作:箱庭の猫
4月から【レダメ】禁止!? 困る!!(豪炎寺くん涙目)
【サンダー・ボルト】が制限復帰!? 高騰不可避!!
ハッ、すみません。今回のリミットレギュレーションが色々と衝撃的過ぎて取り乱してしまいました。
セツナ vs 豪炎寺 後半戦です! どうぞ!
『勝って当たり前みたいなデッキを使って、何が面白いの?』
──黙れ。
『誰が使っても勝てるデッキなんてつまんねーだろ』
『勝ちに固執して、カッコ悪い』
『
──ふざけるなっ!! キサマらそれでも
──強い者が認められる……! それがジャルダン……それが
──アカデミアに入学してから常に勝つ事だけを考え、勝つ為のデッキを構築し、そして勝利の実績を積み重ねてきた……
そうやって次期十傑候補の筆頭という地位まで、
──だと言うのに何故だ!? 何故勝てば勝つほど否定されるのだ!!
──〝勝利〟を追い求める事の、一体何が悪いと言うんだっ!!
『こっちはファンデッキなんだから、ガチデッキ相手じゃ負けて当然でしょ』
『ガチデッキは
──奴らは負ければ口を揃えて『デッキのせいだ』と言い訳を並べ立て、
──反吐が出る! どいつもこいつも、
──……いいだろう……キサマらが俺の
──半端な気持ちで
フィールドを制圧していた3体の【
正直もうちょっと【
「おのれ……この俺の【レッドアイズ】に、ザコを
「まだ勝負はこれからだよ、豪炎寺くん」
セツナ
「セツナ先輩すごいです!!」
「伝説の【
「ほ、惚れたなんて、ケイちゃんやめてよ……!」
えっ!? なになに! 今マキちゃんが聞いたら飛んで喜びそうな
「……【
【
「……確か、豪炎寺くん言ってたね? この
「……それがどうした」
「じゃあボクは、どんなに弱いカードでも、使い方次第で強いデッキにも勝てるって事を教えてあげるよ。この
「……っ! キサマ……!」
【アルケミー・サイクル】の効果で自分のモンスターの命と引き換えに補充した3枚の手札……このカード達の使いどころが勝敗を左右する。大事に使わないとね。
「ボクはカードを2枚伏せてターンエンド!」
「どこまでも勘に障る奴だ……調子に乗るなよ半端者が! 俺のターン! 俺は墓地の【
「ッ! という事は……また【
「残念だが【
「──! 早速来たか……!」
「手札の【
「デッキのモンスターまで融合素材に!?」
最初に【
「
身体の至るところから炎を噴き出した、【
【流星竜メテオ・ブラック・ドラゴン】 攻撃力 3500
「攻撃力3500!? これが君の奥の手ってわけか……!」
「【流星竜メテオ・ブラック・ドラゴン】は、融合召喚成功時に手札・デッキから【レッドアイズ】モンスターを墓地に送る事で、そのモンスターの攻撃力の半分のダメージを相手に与える事ができる。……が」
「そう。【一時休戦】の効果で、このターン、ボクにダメージは無い」
「ならば──そこでチョロチョロしている
「!」
「【流星竜メテオ・ブラック・ドラゴン】! 【
【流星竜】が咆哮を響かせると、天から無数の隕石が降り注いだ。隕石はフィールドを思うがまま蹂躙し、やがて守備表示の【
「うわあぁっ!! くうっ……!」
うひゃあー、たまげた。最近の
「俺は1枚カードを伏せてターンエンドだ!」
(ククッ、俺が伏せたのは
「俺は負けない……! 〝勝利〟のみを追及し続けたこの俺が! 遊び半分で
「…………ねぇ、豪炎寺くん」
「なんだ?」
「──最後に
「……なんだと……!?」
「いや、いつもそんな風に
「ふざけるなぁ!!」
「!」
「
「……本当に?」
「やはりキサマも同じか……! 楽しければ勝ち負けはどうでもいいのか!?」
「誰もそんなこと言ってないよ」
「……なに?」
「
そうでなきゃ人目につく場所で堂々と『打倒!
このままじゃ終われない。
もう一度カナメと闘いたい。
次こそは勝つ!
そんな内なる衝動が、ボクをこの大会に駆り立てたんだ。
「勝とうとするのはボクにとって
「……楽しんで勝つ……だと……!?」
「だからボクは豪炎寺くんの
「ッ……何が言いたい!?」
「だけど、皆が皆ボク達みたいに勝ちたいと思って
「……!」
(俺の
「……ならば……俺に勝ってみせろ! キサマの言う、楽しんで勝つ
「オーケー。男と男の──いや、
そう、ボク達は
そしてここは、
白黒つけたい時は、何よりも
「このスタンバイフェイズに墓地の【ミンゲイドラゴン】の効果を発動! 自分フィールドにモンスターがいない場合、攻撃表示で復活できる!」
【ミンゲイドラゴン】 攻撃力 400
「続いて
(──! これは……!)
(……確か奴の【ミンゲイドラゴン】は、ドラゴン族限定で2体分のリリースとして使えた筈……この局面で復活させてきたという事は……)
「フフッ……行くよ豪炎寺くん!」
(来るか!)
「ボクはこのモンスターを召喚する──攻撃表示でね!」
【ポケ・ドラ】 攻撃力 200
ポンッと出てきたのは、小さくて愛らしいドラゴンの子ども。木の実を美味しそうにかじる姿は実に愛嬌たっぷりで、見ていると
(なにっ!? 攻撃表示!? まさか……まさか攻撃力200の最弱モンスター・【ポケ・ドラ】だとぉぉぉっ……!!)
「くっ……ククク……! キサマが勝負を諦めるのは自由だ……だがよりによって、そんなザコモンスターを出すとは……!」
「……」
「そいつはデュエルモンスターズの中でも最も攻撃力の低い、最弱最低レベルのカード。そんなカードをデッキに入れている奴など見た事がない……そのカードに我々の
「それは違うよ、豪炎寺くん。このカードこそ、君の【メテオ・ブラック】を倒す為のキーカードなのさ!」
(な、なんだと……!)
「さぁ、お楽しみはこれからだ! この子が召喚に成功した時、デッキから2枚目の【ポケ・ドラ】を、手札に加える事ができる! さらに
【ラヴァ・ドラゴン】 守備力 1200
「続けて【ラヴァ・ドラゴン】の効果! 表側守備表示のこのモンスターをリリースする事で、手札と墓地からレベル3以下のドラゴンを、1体ずつ特殊召喚できる! 出ておいで! 2体の【ポケ・ドラ】!」
【ポケ・ドラ】 攻撃力 200
【ポケ・ドラ】 攻撃力 200
「有象無象がゾロゾロと……!」
「さらに! 手札から
フィールドに並んだ2体の【ポケ・ドラ】の姿がチェスの駒へと変わる。
「【ポケ・ドラ】2体をリリースして、デッキからレベル8のドラゴンを特殊召喚する! 現れろ! 【ラビードラゴン】!!」
【ラビードラゴン】 攻撃力 2950
(ほう、ようやくマシなモンスターを出してきたか……)
「お次はエース対決と行こうか」
「ふん! だが【メテオ・ブラック】の攻撃力には届かん!」
「だったら届かせるまでさ。いよいよこのカードを使う時が来た!」
そう言ってボクは、自分の足下に伏せられたリバースカードに手を
「それは最初に伏せたカード……!」
「そのとーり。
墓地に眠る仲間のドラゴン達の魂が、【ラビードラゴン】に力を与えていく。
「ボクの墓地のモンスターは、7体。よって攻撃力は、700ポイントアップ!」
【ラビードラゴン】 攻撃力 2950 + 700 = 3650
「バカな! 【メテオ・ブラック】を越えただとっ!?」
「まだまだ行くよ!
除外するのは【ポケ・ドラ】2体。
さっき【メテオ・ブラック】が【
2体の【ポケ・ドラ】の霊魂が【メテオ・ブラック】を取り巻いて、【ラビードラゴン】の時とは逆に、力を奪っていく。
【流星竜メテオ・ブラック・ドラゴン】 攻撃力 3500 → 0
「こ、このザコ共があぁぁぁっ!!」
「バトル! 【ラビードラゴン】で、【流星竜メテオ・ブラック・ドラゴン】を攻撃! 『ホワイト・ラピッド・ストリーム』!!」
白い光の奔流が隕石と化した竜を葬り去る!
強化した【ラビードラゴン】の攻撃力の数値が、まるまる超過ダメージとなって豪炎寺くんのライフを直撃する。
「うぐあああああっ!!」
豪炎寺 LP 4000 → 350
(よし! 後は【ミンゲイドラゴン】で攻撃すれば──)
「まだだぁ!!」
「っ!」
「【メテオ・ブラック】がフィールドから墓地へ送られた事で、効果発動ッ! 墓地の通常モンスター1体を特殊召喚できる!」
(負けてたまるか……! 勝つのは俺だっ!!)
「よみがえれ──【
【
【
再びフィールドに舞い戻った伝説の黒竜は、主人を守る様に防御の態勢を取る。
「クククッ……終わりだ
「…………」
「これで解っただろう……? 楽しんで勝つなど、半端者の甘えに過ぎないという事が!
勝たなきゃ意味ない……か。なるほど、昨日アマネが言っていた、『豪炎寺くんは最もジャルダンの住人らしい
確かにジャルダンのアカデミアの理念は『勝利至上主義』。結果を重視した教育方針で、強い
だからこそ『ランク』という制度で、下位に格付けされた者を冷遇する事で生徒達のお尻に火をつけ、常に
豪炎寺くんの勝利への貪欲さは、そうしたシビアな環境に、特に色濃く影響を受けている事から来ているのかも知れない。
──だけど。
「……悪いけど、君に次のターンは回ってこないよ」
「なに!?」
「手札から速攻魔法──【竜の闘志】発動! 君が特殊召喚したモンスターの数だけ、【ラビードラゴン】は攻撃回数を増やす!」
「連続攻撃だとっ!?」
「【ラビードラゴン】!! 【
- ホワイト・ラピッド・ストリーム!! -
追撃で放たれた光線を受けた【
「うおおおっ!!」
(こ、これが本当にファンデッキの強さなのか……!?)
【
いや、1枚だけ伏せカードがセットしてあるけど、これだけ攻めて発動してこないって事は心配しなくていいだろう。タブンネ。
「……チェックメイトだ」
「ぐっ……!」
「【ミンゲイドラゴン】で──プレイヤーにダイレクトアタック!!」
トーテムポールを模した小型のドラゴンが、豪炎寺くんに突進攻撃を決め、この
「ぐわぁあぁぁーっ!!」
(バカな……この俺が……負けるだと……!)
豪炎寺 LP 0
「ボクの勝ちだね!!」
決着がつき、広い場内が歓声に包まれる。
チラリと客席に目をやると、ルイくんとケイくんがハイタッチしながら大喜びしてくれていた。
ハイタッチと言っても背の高いケイくんがルイくんに合わせて
実際は小さい方がお兄さんなんだけどね。あぁもういちいち可愛いなぁ!
「くそぉ!!」
ガンッと固い音が聞こえて振り返ると、豪炎寺くんが床を拳で殴りつけていた。
「何故だ!! 何故俺が負けたんだっ!?」
「……今回は勝利の女神がボクに微笑んでくれただけだよ。あの土壇場で【竜の闘志】が手札になかったら、負けてたのはボクだった」
「ふざけるなっ!! これは勝つ為のデッキだったんだぞ!!」
「君のデッキが弱いわけじゃないよ。どんなに強いデッキでも、勝つ時もあれば、負ける時もある。たまたま今日がその時だった──それだけの事じゃないかな」
「っ……! ちくしょう……!」
悔しさを噛み締め
「──
「……! 俺が……
「うん。……好きだからこそ、そこまで勝ちにこだわって、本気になれるんだよ。でも、最初は君にだってあったんじゃないかな?
「…………っ」
「真剣勝負も良いけどさ、ボクとの
顔を上げ、ボクと目を合わせた豪炎寺くんは、少しの
(……ハッ!?)
「~~~っ! 敵の情けなど受けん!!」
「いてっ!?」
そのまま快く握手──かと思いきや、またしても手をひっぱたかれた。本日二度目。
「負けた俺が楽しいわけがないだろう!! 俺は帰らせてもらう!」
(素直じゃないなぁ……)
お
「……総角 刹那!!」
「ん?」
「俺に勝った以上、次の決勝で敗れる事は断じて許さん!!」
「……あはは、なんだそんな事か。言われなくても、必ず勝つよ!」
「……ふん、それでいい」
「?」
最後に何か呟いてた気がするけど聞き取れなかった……まぁいいか。
豪炎寺くんの背中を見送ってから、ボクも観客の皆に笑顔で手を振りつつ退場した。
次は、いよいよ決勝戦か。長かった様な、あっという間だった様な……
とにかく本選まで後一歩だ。ここまで来たら、絶対に負けたくない!
待っていなよ、カナメ。
「……
(認めたくはないが……確かに奴との
「ふん……完敗というわけか。だが次こそは俺が勝つ!」
12時から1時間の
昼食もしっかり済ませ、身体も十分に休めた。というか早く
入場してみると、観客の数は準決勝よりもさらに増えていた。同じく決勝進出を果たしたアマネやマキちゃんも、今頃はこうして大観衆に囲まれているんだろうか。
デュエルディスクを着けて
そこにはすでに、予選最後の対戦相手が待ち構えていた。
ボクは驚き、目を剥いた。
「──! 君は……!」
「お久しぶりです、総角先輩」
ボクの前に立っていたのは、ポニーテールにした緑色の髪が特徴的な少女──
「
以前、暴走族に絡まれていたところをカナメとボクで助け出した、高等部1年生の女子生徒──
今回は『ガチデッカーとファンデッカーの価値観の違い』をテーマに書いてみました。
セツナも言っていた様に、デュエルに対する考え方は人それぞれなので、ガチデッカーさんもファンデッカーさんも、互いのデッキを否定せず、自分のデッキに愛を持って全力でデュエルできれば、それがTCGの理想なのではないかと思うのです。(掲示板の荒れ具合を見るに、相容れるのはなかなか難しそうですが)
価値観を押しつけず、負けてもデッキのせいにして言い訳したりせず、思いやりの心で遊べたら良いですね。
思想はどうあれ、カードゲームが好きという部分は、全プレイヤー共通のはずですから。
ルールとマナーを守って楽しくデュエルしよう!