遊戯王 INNOCENCE - Si Vis Pacem Para Bellum -   作:箱庭の猫

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 ギリギリ年内に間に合ったぁぁぁぁっ!!



TURN - 48 Shall we DANCE?

 

『さぁ始まるぞッ! 選抜デュエル大会・本選── アリーナ・カップ! トーナメント2回戦・第4試合! 狼城(ろうじょう) (アキラ) vs ()(づき) マキノ!! イィ~~~ッツ! タイム・トゥ──』

 

「「 決闘(デュエル)!! 」」

 

 

 

 マキノ LP(ライフポイント) 4000

 

 狼城(ろうじょう) LP(ライフポイント) 4000

 

 

 

「行きますよぉ~、狼城センパイ! あたしの先攻(ターン)!」

 

 

 

 ついにトーナメント2回戦、最後の試合が始まった。

 

 狼城くんの実力は未知数……気をつけてねマキちゃん。

 

 

 

「あたしはモンスターをセット! さらにカードを2枚伏せてターン終了(エンド)です!」

 

「お? なんでぇ、意気込んでた割りにゃあ慎重じゃねーの。んじゃオレのターンな、ドロー」

 

 

 

 さて、狼城くんは今回、どう動くのだろうか? 昨日(きのう)と同じく伏せカードをセットして終わるのか、それとも──

 

 

 

「……オレは手札を1枚捨て── 【THE() トリッキー】を特殊召喚」

 

「!」

 

 

 

THE() トリッキー】 攻撃力 2000

 

 

 

『おぉーっとッ! 狼城選手、今回は1ターン目からモンスターを繰り出したァーッ! それもレベル5のモンスターを、リリース無しでの召喚だぁーっ!』

 

「やっぱし去年と同じ……【魔法使い族(マジシャン)】デッキでしたか!」

 

「んで、リバースカードを2枚セット。攻撃──」

 

「!!」

 

「……しないでおこっと。ターンエンドだぜ」

 

「センパイだって慎重じゃないですか~っ!」

 

 

 

 マキちゃんの伏せカードを警戒したのか、攻撃は取り()めた狼城くん。

 何だかのらりくらりとしている彼を見て、ボクの隣に座るアマネが(いぶか)しげに呟いた。

 

 

 

「やる気あるのかしら、あの人」

 

「う~ん、どうだろねぇ~……」

 

 

 

 豹堂(ひょうどう)くんに似て飄々(ひょうひょう)として掴みどころが無いって言うか……何を考えてるか分からない人だからなぁ。

 

 だからこそ──

 

 

 

「……何をしてくるか、サッパリ()()()()よね」

 

「……!」

 

(それって……)

 

 

 

 3ターン目、マキちゃんのターンだ。

 

 

 

「あたしのターン、ドロー! そっちが来ないなら、こっちから行きますよ~っ! 反転召喚! 【()(シン)アーク・マキナ】!」

 

 

 

()(シン)アーク・マキナ】 攻撃力 100

 

 

 

 おぉ、早くも来た、マキちゃんの十八番!

 

 

 

「おーおー、守備力2100もあったのかよ。攻撃しなくて正解だったな」

 

「バトル! 【アーク・マキナ】で【THE トリッキー】を攻撃!」

 

『こ、攻撃力たったの100で、攻撃力2000の【THE トリッキー】に攻撃ぃーっ!?』

 

「………」

 

「この瞬間、(トラップ)発動! 【反転世界(リバーサル・ワールド)】! 効果モンスターの攻守を入れ替えます!」

 

 

 

 やっぱりあの(トラップ)を仕掛けてたか。

 早速マキちゃんお得意の攻守逆転戦術・『コンバット・トリック』が決まった。これで【THE トリッキー】を倒せる!

 

 

 

「ははぁん。やっぱ(わな)を仕掛けてやがったな? ── なら!」

 

「「 カウンター(トラップ)・【トラップ・ジャマー】!! 」」

 

(なに……!?)

 

 

 

 す、スゴい偶然!? 二人とも全く同じカードを発動した!

 

 

 

(トラップ)をカウンターしてくる事は読んでましたよ。センパイの【トラップ・ジャマー】は無効にさせてもらいます! よって【反転世界(リバーサル・ワールド)】の効果は、有効!」

 

 

 

【魔神アーク・マキナ】 攻撃力 100 → 2100

 

【THE トリッキー】 攻撃力 2000 → 1200

 

 

 

「『ディストーション・ウェーブ』!!」

 

 

 

 サイボーグの悪魔が(ひず)んだ音波を響かせ、奇怪な格好のマジシャンを撃破する。

 

 

 

「っ……!」

 

 

 

 狼城 LP 4000 → 3100

 

 

 

「センパイは魔法(マジック)カードを使うのは上手いみたいですけど……(トラップ)を使わせたらあたしの右に出る決闘者(デュエリスト)はいないですよッ!!」

 

「……ふ~ん? おもしれー女」

 

 

 

 自分の【トラップ・ジャマー】を発動できるように、()えてバトルフェイズに入ってから【反転世界(リバーサル・ワールド)】を使ったのか。やるね、マキちゃん。

 

 

 

「【アーク・マキナ】が相手に戦闘ダメージを与えた事で、効果発動! 手札から【スロットマシーン】を特殊召喚!」

 

 

 

【スロットマシーンAM(エーエム)(セブン)】 攻撃力 2000

 

 

 

「行っけーッ! 狼城センパイに直接攻撃(ダイレクトアタック)! 『プラズマ・レーザー(キャノン)』!!」

 

 

 

 【スロットマシーン】の右腕の砲口から高出力のレーザーが放たれ、狼城くんに命中した。

 

 

 

「うおおおおっ!!」

 

 

 

 狼城 LP 3100 → 1100

 

 

 

『観月選手、開始3ターン目にしてあっという間に狼城選手を追い込んだァァーッ!!』

 

「……あたしはカードを1枚伏せて、ターンエンド!」

 

「……フゥー、今のァ効いたぜ。なかなかやるねぇ、お嬢ちゃん。キヨマサに勝っただけはあるぜ」

 

「えへへ~、それほどでも~」

 

「オレも……ちぃとばかし火ィ点いちまったわ」

 

「……っ!」

 

 

 

 狼城くんの雰囲気が、今までと明らかに違う……! カナメや九頭竜くんに匹敵するほどの闘気が、観客席にまで痛いくらいに伝わってくる。いよいよ本気になったみたいだね……!

 

 

 

「オレのターン、ドロー! ── 【ジェスター・コンフィ】は、手札から攻撃表示で特殊召喚できる」

 

 

 

 狼城くんが次に召喚したのは、小太りな玉乗りピエロだった。

 

 

 

【ジェスター・コンフィ】 攻撃力 0

 

 

 

(攻撃力(ゼロ)? なんか怪しいのが出てきたね~……)

 

「さらに手札から魔法(マジック)カード・【ワンチャン!?】発動。オレの場にレベル1モンスターがいる時、デッキからレベル1モンスターを1枚、手札に加える。そのカードもしくは同名カードをこのターン中に召喚できなかった場合、オレはエンドフェイズに2000ポイントのダメージを受ける。── オレが手札に加えるのは……【ジェスター・ロード】。そんでこいつを通常召喚だ」

 

 

 

【ジェスター・ロード】 攻撃力 0

 

 

 

 ……マキちゃんの上級モンスターを前に攻撃力(ゼロ)のモンスターを2体も並べてきた……

 またトンデモコンボを狙っているのかな……?

 

 

 

「さてと、このままじゃ次のお嬢ちゃんのターンで、こいつらは攻撃されちまう……。そこでコレだ── 【光の()(ふう)(けん)】!」

 

「!?」

 

 

 

 (そら)から()(そそ)いだいくつもの光の(つるぎ)に足止めされ、マキちゃんのモンスターは3ターンもの間、攻撃を封じられてしまった。

 

 

 

「ぐぬぬっ……!」

 

「最後にカードを1枚伏せて、オレのターンは終了だ」

 

 

 

 これで狼城くんの手札は尽きた。

 

 あのピエロ達を守る為に【護封剣】まで使ってきたんだ、何かありそうだね……

 

 

 

「あたしのターン、ドロー!」

 

(むぅ……モンスターが来ない……)

 

「ここで(トラップ)を使わせてもらうぜ。【捨て身の宝札(ほうさつ)】発動」

 

「!」

 

「自分フィールドのモンスター2体以上の攻撃力の合計が、相手フィールドの一番低い攻撃力のモンスターよりも低い場合、2枚ドローする」

 

 

 

 狼城くんの場にいる2体のモンスターは、どちらも攻撃力(ゼロ)。合計しても(ゼロ)のままだから【捨て身の宝札】を容易に発動できる。

 

 攻撃力(ゼロ)である事を、こんな形で活かしてくるとは……

 

 

 

「手札を増やされちゃったかぁ~……あたしは、カードを1枚伏せて、ターンエンド!」

 

「この瞬間── 【ジェスター・コンフィ】のモンスター効果!」

 

「!」

 

「自身の効果で特殊召喚された【ジェスター・コンフィ】は、次の相手のエンドフェイズに、相手モンスター1体と一緒にそれぞれの手札に戻る」

 

 

 

 【ジェスター・コンフィ】が手を振りながら煙と化して消え去ると、同時に【スロットマシーン】までドロンと姿を消してしまった。

 

 

 

「えぇ~っ!? 【スロットマシーン】が手札に戻っちゃった……!」

 

 

 

 【ジェスター・コンフィ】に、そんな効果があったのか……!

 

 しかも次のターンで再び特殊召喚すれば、また同じ効果が使える。なかなかに厄介なモンスターだ。

 

 

 

「オレのターンだ、ドロー」

 

 

 

 さっき狼城くんは手札を全部使い切ってたのに、もう前のターンと同じ4枚に戻った。

 

 

 

「……どうやらこのターンで終わっちまいそうだな」

 

「え?」

 

「オレはカードを2枚伏せ、手札から【ソウルテイカー】発動! この効果で【アーク・マキナ】を破壊!」

 

「っ!」

 

「そしてお嬢ちゃんのライフを1000回復するぜ」

 

 

 

 マキノ LP 4000 → 5000

 

 

 

「これで場のモンスターは、【ジェスター・ロード】だけになったな」

 

「……? それがどうかしたんですか?」

 

「聞いて驚け。【ジェスター・ロード】の効果! フィールドにこいつ以外のモンスターがいない時、フィールドの魔法(マジック)(トラップ)ゾーンのカード1枚につき、攻撃力を1000アップする!」

 

「っ! て、事は……!」

 

「オレの場には【光の護封剣】と伏せカード2枚。お嬢ちゃんの場にも伏せカードが2枚。よって【ジェスター・ロード】の攻撃力は……」

 

 

 

【ジェスター・ロード】 攻撃力 0 → 5000

 

 

 

「こ、攻撃力5000~っ!? 冗談は顔だけにしてよぉ~っ!」

 

「さて、楽しいショーはオシマイだ。── 【ジェスター・ロード】! ダイレクトアタックで幕を引きなッ!」

 

 

 

 細身のピエロが5つの火の玉を器用にジャグリングしながらマキちゃんに迫っていく。

 

 

 

『この攻撃が通れば観月選手のライフは、ワンショット・キルで(ゼロ)になってしまうっ!!』

 

「なんの! (トラップ)発動! 【敵襲警報-イエローアラート-】!」

 

「!」

 

「相手の攻撃宣言時、手札からモンスターを特殊召喚できる!」

 

 

 

【スロットマシーンAM(エーエム)(セブン)】 攻撃力 2000

 

 

 

 マキちゃんのフィールドに、【スロットマシーン】が再び現れた。

 

 

 

「センパイが【スロットマシーン】を手札に戻してくれたおかげですよ!」

 

「……なるほどねぇ。【ジェスター・コンフィ】の効果を逆手に取ったのか」

 

「フィールドに新たなモンスターが召喚された事で、【ジェスター・ロード】の攻撃力は、(ゼロ)になる!」

 

 

 

【ジェスター・ロード】 攻撃力 5000 → 0

 

 

 

「へぇ? やるじゃん」

 

「ふぅ~、間一髪(かんいっぱつ)。バトルフェイズ終了ですね、【スロットマシーン】は手札に戻ります」

 

 

 

【ジェスター・ロード】 攻撃力 0 → 4000

 

 

 

「んじゃオレは【ジェスター・コンフィ】をもっかい特殊召喚して──」

 

 

 

【ジェスター・コンフィ】 攻撃力 0

 

【ジェスター・ロード】 攻撃力 4000 → 0

 

 

 

「ターンエンドだ」

 

「また出たな~、この……どんぐりピエロ!」

 

「なんじゃそりゃ」

 

『これで観月選手がモンスターを召喚しても、エンドフェイズにまた手札に戻されてしまう! そうなれば、再び【ジェスター・ロード】がパワーアップ! 実にクレバーでトリッキーな戦術! トリック・スター・狼城 暁、その本領を、ついに発揮だぁ~~~ッ!!』

 

 

 

 低レベルモンスターだけで、ここまでマキちゃんを追い込めるなんて……!

 

 この奇想天外で予測不可能な戦術。これが狼城くんの真髄(しんずい)か……!

 

 

 

「アマネ……これってけっこうヤバイんじゃない?」

 

「……いえ、モンスターを召喚しなければ、【ジェスター・コンフィ】の効果は不発になるわ。そうすれば【ジェスター・ロード】も攻撃力は0のまま。少なくとも、新たなモンスターを召喚されない限り、攻撃される心配はない筈……」

 

「あ、そうか。それなら次のターンは凌げそうだね」

 

「【光の護封剣】で攻撃もできない現状では、それが最善の手だと思うわ」

 

 

 

 マキちゃんも、その事には気づいてる筈。

 

 

 

「さぁ~て、お嬢ちゃんはどんな踊りを披露してくれんのかな?」

 

 

 

 【ジェスター・ロード】と【ジェスター・コンフィ】が、マキちゃんを挑発するかの様にケラケラと(わら)う。

 

 

 

「ぐぬぬっ……思い通りに踊らされてたまるもんですか! あたしのターン!」

 

(! ラッキー!)

 

「【強欲で貪欲な壺】! その効果で、デッキの上からカードを10枚、裏側で除外して、2枚ドロー!」

 

 

 

 まだマキちゃんにもツキは残されてたみたいだ。このドローで何か打開策が見つかれば良いけど……

 

 

 

「…………イイコト思いついちゃった~♪」

 

 

 

 何やら目を細めて、ニカッと笑ったマキちゃん。彼女がこういう笑い方をする時は、大抵よからぬ事を考えてる時だ。

 

 

 

「あたしは【アイアイアン】を召喚!」

 

 

 

 両手にシンバルを持った、猿のオモチャのアイアイバージョンみたいな、ゼンマイ仕掛けのロボットが出現した。

 

 

 

【アイアイアン】 攻撃力 1600

 

 

 

「ちょ、何やってんのよマキちゃん!? 攻撃できないのにモンスターなんか出したら……!」

 

 

 

 アマネが慌てた声を上げる。マキちゃんは一体どうするつもりなんだろう?

 

 

 

「モンスター効果発動! 【アイアイアン】は自分のメインフェイズに一度、攻撃力を400アップします!」

 

 

 

【アイアイアン】 攻撃力 1600 + 400 = 2000

 

 

 

「ただし、この効果を使ったターンはバトルできない!」

 

「【護封剣】で攻撃できねぇのを上手く利用したか。だがいくら攻撃力を上げたところで、【ジェスター・コンフィ】の効果で手札に戻るだけだぜ?」

 

「フッフッフ~、それはどうかな? ですよ☆」

 

「なに?」

 

「あたしはカードを1枚伏せて……手札から永続魔法・【(おう)()神殿(しんでん)】を発動!」

 

「!」

 

「1ターンに一度、(トラップ)カードをセットしたターンに発動できる! あたしは今伏せた(トラップ)カード・【(はか)()らし】を、はっつどォーうッ!」

 

「【墓荒らし】だと?」

 

「この(トラップ)は相手の墓地にある魔法(マジック)カードを1枚、手札に加える事ができちゃいます! センパイの墓地から、【ソウルテイカー】をいただきです!」

 

 

 

 墓荒らしの()(びと)が、狼城くんの墓地に置いてある【ソウルテイカー】を奪い取って、(かな)()り声で笑った。

 

 

 

「そしてすかさず【ソウルテイカー】発動! 破壊するのはもちろん── 【ジェスター・コンフィ】!」

 

 

 

 【ジェスター・コンフィ】が消滅し、引き換えに狼城くんに1000ポイントのライフが与えられる。

 

 

 

 狼城 LP 1100 → 2100

 

 

 

「だが【墓荒らし】で奪ったカードを使った場合、お嬢ちゃんは2000のダメージを食らうんだろ?」

 

「あっ」

 

 

 

 えっ、その反応は……

 

 もしかして、素で忘れてた?

 

 

 

「あばばばばばっ!」

 

 

 

 マキノ LP 5000 → 3000

 

 

 

「くっ……やってくれましたね、センパイ!」

 

「いやオマエが勝手に自滅しただけだろ」

 

「とにかく! これでセンパイのコンボは崩れました! あたしはターンエンドです! さぁ、次はセンパイが踊る番ですよ~?」

 

「……おンもしれぇ……このオレを踊らせようってのか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ── セツナとアマネの二人とは別の観客席で、一人の女子生徒が難しい顔をしながら、狼城とマキノの試合を静かに観戦していた。

 

 

 

(気をつけなよ、観月……)

 

 

 

 赤紫色の長髪が特徴的な、スタイル抜群のグラマーな少女。

 

 彼女の名は蛇喰(じゃばみ) 紫苑(アザミ)。今大会の予選でマキノと対戦した、次期十傑候補の一人である。

 

 そんな蛇喰の脳裏には今、過去に初めて狼城の決闘(デュエル)を観た時の記憶が思い起こされていた──

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ── それはある日の事。

 

 たまたま学園内にある決闘(デュエル)フィールドの近くを通りかかった蛇喰は、場内から漏れ聴こえてくる歓声を耳にした。

 

 

 

(何だい? 騒がしいね……)

 

 

 

 よほど注目度の高い決闘(デュエル)でも行われているのだろうか? 蛇喰が興味本意で()()の様子を(うかが)うと……

 

 

 

「!?」

 

 

 

 決闘(デュエル)フィールド上空で、1体の巨大なドラゴンが翼を広げていた。

 

 

 

【ホルスの黒炎竜 LV(レベル)(エイト)】 攻撃力 3000

 

 

 

(こいつは【ホルス】!? しかもあいつは……確か、十傑(じっけつ)(わし)()!)

 

 

 

 鷲津 LP 4000

 

 

 

 ドラゴンを従えているのは、ベージュ色のショートヘアの美青年・鷲津 秀隆(ひでたか)

 大型モンスターを召喚した事で優越感に浸っているのか、満足げな笑みを浮かべている。

 

 

 

(相手は誰だい?)

 

 

 

 その鷲津の対戦者は、癖毛な灰色の髪を持つ、鷲津に引けを取らない美貌の男子生徒。

 蛇喰は当時、まだ彼の名を知らなかったが、身に纏う雰囲気からかなりのやり手である事は(ひと)()で見抜いた。

 

 

 

「1ターン目からずいぶんと張り切ってんなぁ、ヒデタカの()っちゃんよぉ」

 

 

 

 狼城 LP 4000

 

 

 

「フフフ、僕の実力を思い知ったかい狼城? 【LV8】がフィールドにいる限り、君が発動した魔法(マジック)カードの効果は無効化される!」

 

「なるほどねぇ。そんで永続(トラップ)・【王宮のお()れ】がある限り、オレぁ(トラップ)カードも使えなくなっちまったってわけか。まさに絶体絶命だな」

 

「その通りだ。フフッ、理解が早いじゃないか」

 

 

 

 攻撃力3000の最上級モンスターを前にして、魔法も(トラップ)も封じられるという、圧倒的に不利なハンデを背負わされた状況。並みの決闘者(デュエリスト)なら、絶望してもおかしくない。

 

 

 

(こりゃあ、決まりかねぇ……)

 

 

 

 蛇喰でさえそう思った。ところが──

 

 

 

「まっ、さすがって言っとこうか。1ターンでここまでやるってのァな」

 

「ナメてもらっては困るねぇ。君になど、みすみす負ける僕ではないよ!」

 

「ナメてんのは、オマエの方だぜ」

 

「ふん。この布陣で、僕を倒せるとでも?」

 

「話になんねーな、楽勝だぜ」

 

 

 

 狼城は全く臆していないどころか、余裕の表情だった。

 

 一体どこからそんな自信が出てくるのか。興味をそそられた蛇喰は、この決闘(デュエル)を見届ける事にした。

 

 

 

「オレぁ手札を捨て── 【THE トリッキー】を特殊召喚」

 

 

 

【THE トリッキー】 攻撃力 2000

 

 

 

「さらに【ジェスター・コンフィ】も特殊召喚するぜ」

 

 

 

【ジェスター・コンフィ】 攻撃力 0

 

 

 

「ターンエンドだ」

 

「フッ、ハハハハッ! なんだいそれは? 余裕ぶった割りにザコモンスターしか呼べてないじゃないか!」

 

「オマエのレベルに合わせてやったんだよ。さっさと来いよ」

 

「なに……!? こ、この選ばれし十傑の一人である僕に向かって、どこまでもナメた口を……! 後悔させてやる!! 僕のターン! 【ホルスの黒炎竜 LV8】よ! あのザコを粉砕しろっ!!」

 

 

 

 いきり立つ(あるじ)の指示を受け、【ホルス】は口の中から炎を吐き出し攻撃する。

 標的は当然、攻撃力(ゼロ)の【ジェスター・コンフィ】。

 

 

 

「墓地の(トラップ)カード・【仁王立ち】の効果発動!」

 

「!?」

 

「このカードを除外する事で、このターン、オマエの攻撃対象はオレが決める事ができる。【THE トリッキー】に対象を変更だ!」

 

 

 

 放たれた火炎は方向を変え、【ジェスター・コンフィ】から()れて【THE トリッキー】を消し飛ばした。

 

 

 

「………」

 

 

 

 狼城 LP 4000 → 3000

 

 

 

「チッ、【THE トリッキー】を召喚する際に、捨てていたカードか……」

 

「【王宮のお触れ】は墓地で発動する(トラップ)にゃ意味ねーからな。詰めが甘いぜ、十傑サマよ?」

 

「ふん! それがどうしたと言うんだ! たかが1ターンを凌いだだけでイイ気になるなよ。()(ぜん)僕の優位に変わりは無い! ターンエンドだ!」

 

「……あーあ、せっかくチャンスをくれてやったってのに。やっぱオマエはその程度だったか」

 

「……えっ?」

 

「今のターンで【ジェスター・コンフィ】を処理できなかったのが、オマエの敗因だ」

 

「っ!?」

 

 

 

 言外に勝利宣言をする狼城。そして次の瞬間──

 

 

 

「【ジェスター・コンフィ】の効果発動! 自身の効果で特殊召喚された【ジェスター・コンフィ】は、相手のエンドフェイズに相手モンスターと共に手札に戻る!」

 

「なっ……!」

 

「あばよ、【LV8】」

 

 

 

 【ジェスター・コンフィ】と【ホルスの黒炎竜 LV8】が、同時にフィールドから消え失せた。

 

 

 

「なにィィィィッ!?」

 

(せ、せっかく召喚した【LV8】が、そのまま手札に戻されただとぉぉぉっ!?)

 

「オレのターン。オレはカードを3枚伏せ── 【ジェスター・ロード】を召喚」

 

 

 

【ジェスター・ロード】 攻撃力 0

 

 

 

「【ジェスター・ロード】、ダイレクトアタックしてやんな」

 

「は……ははっ! 攻撃力(ゼロ)でダイレクトアタック? 何を考えてるんだか!」

 

「チッチッチ。【ジェスター・ロード】の攻撃力は、フィールドにこいつ以外のモンスターがいない場合、魔法(マジック)(トラップ)カード1枚につき、1000アップするんだぜ。今、オレとオマエの場に出ている魔法(マジック)(トラップ)は合計4枚。つまり……4000にアップだ」

 

 

 

【ジェスター・ロード】 攻撃力 0 → 4000

 

 

 

「なっ……なんだとォォォォォッ!?」

 

「『ゲーム・オーバー』だな、坊っちゃん」

 

 

 

 【ジェスター・ロード】は火の玉を4つ出現させると、一斉に鷲津目掛けて投げつけた。

 

 

 

「そんな、バカなぁぁぁぁぁっ!!」

 

 

 

 鷲津 LP 0

 

 

 

「言っただろ? 楽勝だって」

 

 

 

 誰の目にも鷲津が優勢かに見えた決闘(デュエル)

 しかし(フタ)()けてみれば、狼城が鷲津を一蹴(いっしゅう)する結果に終わった。蛇喰の他に観戦していた生徒達は驚嘆(きょうたん)と歓声を上げる。

 

 

 

「つーわけで、今日から十傑の座はオレのもんだ。負け犬はとっとと失せな」

 

「こ、この僕が負けるなんて……ウソだぁ~~~っ!」

 

「あっ、そだ。実はよ、前からオマエに言いてぇ事があったんだよ」

 

「えっ……?」

 

「オマエ、弱いだろ」

 

(ガーーーーーンっ!?)

 

 

 

 目の前でいとも簡単に十傑のイスを奪い取った狼城に、蛇喰は畏怖の念を禁じ得なかった。

 

 

 

「……こいつはまた、とんでもないヤツが出てきたねぇ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(……狼城の真価はこんなもんじゃない筈さね。油断するんじゃないよ)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「オレのターン! ── 伏せカード・オープン! 【二重魔法(ダブルマジック)】!」

 

「!」

 

「このカードは手札の魔法(マジック)カード1枚を捨てて発動する。オレが捨てるのは、【大逆転クイズ】」

 

(うわ、ワニ嬢ちゃんを瞬殺した極悪カードじゃん!? 良かったぁ~、使われなくて)

 

「相手の墓地の魔法(マジック)カードを1枚、オレのフィールドで発動する事ができる」

 

「えぇ~っ!? ()()のカードを勝手に使うなんて……汚いですよ!」

 

「1ターン前に自分がやったコト忘れてね? ── オレが使わせてもらうのは……【強欲で貪欲な壺】だ!」

 

「っ!」

 

 

 

 狼城くんの空いている魔法・(トラップ)ゾーンに、マキちゃんの【強欲で貪欲な壺】が発動される。

 

 

 

「良いカードだよなぁコレ。デッキの上から10枚除外して、2枚引くぜ」

 

「むぅ……」

 

「オレは【ジェスター・ロード】をリリースし、【魔法の操り人形(マジカル・マリオネット)】を召喚!」

 

 

 

魔法の操り人形(マジカル・マリオネット)】 攻撃力 2000

 

 

 

「攻撃力は同じ2000……相討ち狙いですか?」

 

「ざんねん、不正解。オレは手札から魔法(マジック)カード・【おとり人形(にんぎょう)】を発動!」

 

「!?」

 

「相手の()(ほう)(トラップ)ゾーンにセットされたカードを1枚確認し、そのカードが(トラップ)なら、強制発動させる。そして発動タイミングが正しくなかった場合は、効果を無効にして破壊するのさ。── さぁ見せな! その伏せカードを!」

 

 

 

 マキちゃんの場に1枚だけ残っていた伏せカードが、強制的にリバースされる。

 

 セットしていたのは……永続(トラップ)カード・【闇の増産工場】だった。

 

 

 

「……チッ、【闇の増産工場】か。発動タイミングは合ってるな」

 

「この際だから使っちゃえ! 【闇の増産工場】の効果! 1ターンに一度、自分の手札かフィールドのモンスター1体を墓地に送り、1枚ドローする! 手札の【スロットマシーン】を墓地へ!」

 

「【おとり人形】は発動後、墓地へ送らずデッキに戻す」

 

「フフッ、魔法(マジック)カードを1枚ムダにしちゃいましたね」

 

「構わねぇよ、本命は()()()だからな」

 

 

 

 そう言って狼城くんは、自身が従える【魔法の操り人形(マジカル・マリオネット)】を、親指(おやゆび)()した。

 

 

 

「え?」

 

 

 

魔法の操り人形(マジカル・マリオネット)】 魔力カウンター × 1

 

 

 

「ま、魔力カウンター!? いつの間に!」

 

「【魔法の操り人形(マジカル・マリオネット)】は魔法(マジック)カードが発動する度に、魔力カウンターを1つ置く。そしてカウンター1個につき、攻撃力を200ポイントアップする!」

 

 

 

魔法の操り人形(マジカル・マリオネット)】 攻撃力 2000 → 2200

 

 

 

「ヤッバ……!」

 

「バトルだ。【魔法の操り人形(マジカル・マリオネット)】で、【アイアイアン】を攻撃!」

 

「うぅっ!」

 

 

 

 マキノ LP 3000 → 2800

 

 

 

「ターンエンド。どうやら、この舞台(フィールド)で踊り続けるのは、お嬢ちゃんの方だったみてぇだな?」

 

「……勝った気になるのは、まだ早いですよ?」

 

「強がんなよ。もうお嬢ちゃんに勝ち目はねぇ。降参(サレンダー)したらどうだ?」

 

「嫌ですよ、もったいない。例え勝ち目が無くっても、最後まで諦めずに闘った方が、高く評価してもらえるかもじゃないですか」

 

 

 

 そうだ、すっかり失念してた。

 

 この大会の通称は『選抜試験』。学園のテストの一環だったんだ。

 

 

 

「そうでなくても、あたしはサレンダーなんかしません! ── あたしの……タァーンッ!!」

 

「……良いぜ、見せてもらおうじゃねぇか。お嬢ちゃんのラストダンスを」

 

「あたしは手札から【マジック・プランター】を発動! 自分フィールドの永続(トラップ)カード1枚を墓地へ送り、デッキから2枚ドローする!」

 

魔法(マジック)カードを発動したな! 【魔法の操り人形(マジカル・マリオネット)】にカウンターが乗るぜ!」

 

 

 

魔法の操り人形(マジカル・マリオネット)】 魔力カウンター × 2 攻撃力 2200 → 2400

 

 

 

「……【闇の増産工場】を墓地に送って、2枚ドロー!」

 

 

 

 よし、手札が3枚もあれば、まだ(ゆう)()はある!

 

 

 

(……この手札なら!)

 

「カードを1枚セット! 【王家の神殿】の効果で、永続(トラップ)・【強化蘇生】を発動! 墓地から【アーク・マキナ】を復活させます!」

 

 

 

【魔神アーク・マキナ】 守備力 2100

 

 

 

「このカードで特殊召喚したモンスターはレベルが1つ上がり、攻守が100アップします!」

 

 

 

【魔神アーク・マキナ】 レベル4 → 5 攻撃力 100 + 100 = 200 守備力 2100 + 100 = 2200

 

 

 

「壁モンスターで時間稼ぎってか? 芸のねぇこって。そんなんじゃ(どう)()は務まんねぇぜ」

 

「あたしは道化じゃありませんよ! さらにカードをもう2枚伏せて、ターンエンドです!」

 

『ここで3ターンが経過した! 【光の護封剣】の効果が切れる!』

 

 

 

 ようやくロックを解かれ、次のターンからマキちゃんの攻撃が可能となった。

 

 

 

「さぁかかってきてください! この戦略を読み切ったら、ハダカ踊りを踊ってあげますよ!」

 

(……2枚の伏せカード……か。おもしれぇ)

 

「オレのターン。【魔法の操り人形(マジカル・マリオネット)】の効果発動! 魔力カウンターを2つ取り除き、相手モンスター1体を破壊する!」

 

 

 

魔法の操り人形(マジカル・マリオネット)】 魔力カウンター × 0 攻撃力 2400 → 2000

 

 

 

「【アーク・マキナ】を破壊だ!」

 

「永続(トラップ)発動! 【デモンズ・チェーン】!」

 

「!」

 

 

 

 悪魔の鎖が【魔法の操り人形(マジカル・マリオネット)】を縛り付けて、動きを封じた。

 

 

 

「これで【魔法の操り人形(マジカル・マリオネット)】は攻撃できず、効果も無効になります!」

 

「……がんばるねぇ~。ターンエンドだ」

 

「あたしのターン……ドロー!」

 

(!!)

 

「来たァーーーッ!! 今からセンパイに面白いものを見せてあげますね!」

 

「へぇ? よっぽど良いカードを引けたみてぇだな?」

 

「自分の墓地のモンスターが機械族だけの時、このモンスターは特殊召喚できる! 出ておいで! 【ネジマキシキガミ】!!」

 

 

 

【ネジマキシキガミ】 攻撃力 100

 

 

 

 キツネのお面を被り、両肩からゼンマイのネジが伸びている、着物姿のカラクリ人形が現れた。

 

 

 

「レベル8で攻撃力100だと? 確かに面白いステータスだが……何を考えてやがる?」

 

「フフッ、大抵の人はこの子の攻撃力だけを見て(あなど)るんですけど、センパイは違うみたいですね、さすがです! ── 【ネジマキシキガミ】の効果発動! 1ターンに一度、相手モンスター1体の攻撃力を、ターンの終わりまで(ゼロ)にします!」

 

 

 

魔法の操り人形(マジカル・マリオネット)】 攻撃力 2000 → 0

 

 

 

「なにィ!?」

 

「バトル! 【ネジマキシキガミ】で、【魔法の操り人形(マジカル・マリオネット)】を攻撃! 『ジンツウリキ』!!」

 

 

 

 【ネジマキシキガミ】の放った念力を浴びて、【魔法の操り人形(マジカル・マリオネット)】は【デモンズ・チェーン】の鎖もろとも粉々に砕け散る。

 人形対決は【ネジマキシキガミ】の勝利だ。

 

 

 

「チッ……!」

 

 

 

 狼城 LP 2100 → 2000

 

 

 

「やったーッ! あたしはこれで、ターンエンドです!」

 

「……こりゃあ……ちぃとヤベーかもな」

 

 

 

 狼城くんのフィールドにモンスターはいない。マキちゃん、このまま押し切っちゃえ!

 

 

 

「オレのターン、ドロー……」

 

(……!)

 

「ククッ……ハハハハハッ!!」

 

「!?」

 

「惜しかったな、お嬢ちゃん。なかなか見応えのあるショーだったが……そろそろ舞台から降りる時間の様だぜ」

 

「えっ……!」

 

「この決闘(デュエル)は── オレの勝ちだ」

 

「!!」

 

 

 

 突然、勝利を宣言した狼城くん。マキちゃんは驚いて目を剥いた。

 

 

 

「手札から魔法(マジック)カード……【思い出のブランコ】を発動!」

 

「っ!」

 

「自分の墓地から通常モンスター1体を特殊召喚できる」

 

「で、でも! センパイの墓地に通常モンスターなんて……!」

 

「よ~く思い返してみろよ。あっただろ? 一度だけ、通常モンスターを墓地に送れた機会が」

 

「……? ── あっ!」

 

 

 

 ── 『オレは手札を1枚捨てて、【THE トリッキー】を特殊召喚』

 

 

 

「あの時に……!」

 

「正解だ。さぁ、本日の主役の出番だぜ! ── 現れろ、【コスモクイーン】!!」

 

 

 

 現れたのは、大きな(かんむり)の様な被り物を頭に乗せた、妖しいオーラを漂わせている女性のモンスターだった。

 

 

 

【コスモクイーン】 攻撃力 2900

 

 

 

「攻撃力、2900……!」

 

「綺麗だろ? こいつがオレのデッキのエースだ。【コスモクイーン】の攻撃で【ネジマキシキガミ】を倒せば、与える戦闘ダメージは2800ポイント。そんでオマエのライフもピッタリ2800。── これで、幕引きだな」

 

「くぅ……!」

 

「バトルだ。【コスモクイーン】で、【ネジマキシキガミ】を攻撃! 『コズミック・ノヴァ』!!」

 

 

 

 【コスモクイーン】は胸の前に黒いエネルギーの球体を生成し、両手を突き出してそれを発射した。

 

 

 

(トラップ)発動! 【パワー・フレーム】! 相手モンスターの攻撃を、無効にします!」

 

「!」

 

「その()、【パワー・フレーム】は【ネジマキシキガミ】の装備カードとなり、戦闘を無効にした、相手モンスターとの攻撃力の差だけ、攻撃力をアップします! 【ネジマキシキガミ】と、【コスモクイーン】の攻撃力の差は、2800!」

 

 

 

【ネジマキシキガミ】 攻撃力 100 + 2800 = 2900

 

 

 

「……なるほど。そんで次のターンに【ネジマキシキガミ】の効果で、オレのモンスターの攻撃力を(ゼロ)にして、アップした攻撃力で叩く腹だったっつーわけか」

 

 

 

 【思い出のブランコ】で蘇生させたモンスターは、エンドフェイズに墓地へと戻る。

 

 攻撃力2900となった【ネジマキシキガミ】で狼城くんにダイレクトアタックすれば、マキちゃんの勝ちだ!

 

 

 

「認めてやるよ。確かにお嬢ちゃんの(トラップ)の扱いはピカイチだ。……が。魔法(マジック)に関しては、オレのが一枚(うわ)()だったな!」

 

「!?」

 

「伏せカード・オープン! 速攻魔法・【ダブル・アップ・チャンス】!」

 

 

 

 ── !! アレは、ボクのデッキにも入っている魔法(マジック)カード!

 

 

 

「このカードはモンスターの攻撃が無効になった時に発動できる。そのモンスターは2回目の攻撃が可能となり、ダメージステップに攻撃力が倍になる!」

 

「ウソ……!?」

 

「バトル続行だ── 【コスモクイーン】! もう一度【ネジマキシキガミ】に攻撃しろ!」

 

 

 

- コズミック・ノヴァ!! -

 

 

 

【コスモクイーン】 攻撃力 2900 → 5800

 

 

 

「『ゲーム・オーバー』だ、お嬢ちゃん」

 

 

 

 1発目の倍近いサイズに膨張した2発目のエネルギー弾が、ついに【ネジマキシキガミ】に炸裂する。

 

 マキちゃんの受けるダメージは、2900ポイント……!

 

 

 

「わああぁぁーっ!!」

 

 

 

 マキノ LP 0

 

 

 

『決着ゥゥーーーッ!! ウィナー・狼城 暁!! 魔法のエキスパートと(トラップ)のエキスパートの対決を制したのは、魔法のエキスパート── トリック・スター! 狼城 暁だァァァァッ!!』

 

「……はぁ……負けちゃったか~」

 

「2年にしちゃあ、やるじゃねーのよ。ちょっとヒヤヒヤしたぜ」

 

 

 

 狼城くんが差し伸べた手を取ってマキちゃんは立ち上がり、そのまま握手を交わす。

 

 

 

「セツナくんは手強いですよ~? あたしよりも、ずーっとね」

 

「……そいつァ楽しみだな」

 

 

 

 ……マキちゃんと狼城くんの健闘を拍手で讃えながら、ボクはアマネに話しかける。

 

 

 

「二人とも良い決闘(デュエル)だったね、アマネ」

 

「……やっぱり似てるわね」

 

「? 似てるって、何が?」

 

狼城(あの人)決闘(デュエル)……セツナに似てる気がするのよね」

 

「えっ、ボクに?」

 

「さっきセツナが『何をしてくるかサッパリ読めない』って言ってたから、もしやとは思ってたんだけどね」

 

「……そうなのかな……?」

 

 

 

 確かに【ダブル・アップ・チャンス】とか【ソウルテイカー】とか【思い出のブランコ】とか……それから昨日の試合では【コンフュージョン・チャフ】や【魔法除去】と言った、ボクも愛用しているカードをちらほら使ってたけど。

 

 

 

「まぁ私が見た限りではそう思えたってだけよ。何にせよ、明日(あした)は面白い決闘(デュエル)が観れそうね」

 

「そっか……明日のボクの相手は狼城くんかぁ。しんどいな~」

 

「とか言ってる割りに、楽しそうじゃない」

 

「あ、バレた? あはは」

 

 

 

 うん、正直ワクワクしてる。十傑な上に去年の第3位で、しかもボクと似た様な決闘(デュエル)をする相手……

 

 どんな決闘(デュエル)ができるのか、明日が楽しみだよ。

 

 

 

『さぁこれにてトーナメント2回戦は全て終了し、準決勝に勝ち進んだ4(きょう)が出揃った!! この中から決勝戦への切符を手にするのは、果たして誰なのか!? ()()の闘いも壮絶を極めること間違いなし! みんな期待して待っていてくれッ! それでは今日の興奮と感動を胸に! トゥービーコンティニュード! シーユー!!』

 

 

 

 





 切りが良いので何とか今年中に投稿できて良かったです。
 急ピッチで書き上げたので、いつも以上に粗が目立ってるかも……

 来年からは準決勝! いよいよ選抜デュエル大会編も大詰めです!

 皆さま、よいお年を!
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