遊戯王 INNOCENCE - Si Vis Pacem Para Bellum - 作:箱庭の猫
あけましておめでとうございました!(3月)
今年もマイペースな更新頻度になりそうです。完結は何年後になるやら……
「うえぇ~~~ん! 負けちゃったよアマネたぁ~~ん!
「わ、分かったからあんまり引っつかないで……」
普段くっつかれた時は文句を言って押し
「お疲れマキちゃん。良い
ボクはアマネの胸に顔を
本当に紙
まぁでも当のマキちゃんは今がチャンスと言わんばかりに、アマネの胸の谷間にグリグリと顔を突っ込んで「ぐふふふふふっ」とか言ってるので、たぶん大丈夫だろう。
「ほらマキちゃん、帰るわよ」
「え~っ、なんか冷たくな~い? あたしガンバったんだよ~? 頭撫でてよしよししてよぉ~」
「んなっ……!」
「アマネ、今くらいは甘やかしてあげなよ」
「っ……よ、よしよし。よくやったわよ」
アマネは仕方なしとため息をついて、マキちゃんの頭を優しく撫で回す。
「これでいい?」
「……まだ足りなぁ~い」
「も、もう!」
どうにもこの甘えん坊ちゃんは、簡単には引き
「今日はアマネたん
「はぁ? ……全く、しょうがないわね。夕飯は何食べたい?」
「お肉ぅ~」
「あはは、アマネがなんかお母さんみたい」
「うっさいわね。せめてお姉さんって言いなさいよ」
「ママ~、おっぱい吸わせて~」
「あんたも悪ノリすな!」
激戦の後とは思えないほど平和な会話を交えつつ、ボク達は校内に残る用事も特に無い為、今日のところはそろそろ下校する事にした。
「お待たせルイくん、ケイくん」
「あ、セツナ先ぱ~い!」
「チッス!」
一緒に帰る為に待ち合わせしていた一ノ瀬兄弟の元へ到着すると、ルイくんがパァッと明るい笑顔をこちらへ向けて、嬉しそうにトテトテと駆け寄ってきた。
彼はボクを見かけると、いつもこうして
「フフッ、いい子いい子」
ルイくんの頭をなでなでしてあげると、上目遣いでボクの顔を見て「えへへ」っとはにかんだ。天使だ、地上に舞い降りた天使だ。
いや~良かった。
「先輩、準決勝進出おめでとうございます!」
「おめでとうごぜぇやすッ!
「ありがとう二人とも」
「セツナくんだけズル~い! あたしもルイちゃんなでなでする~!」
「ひゃ、マ、マキノさん!?」
マキちゃんがルイくんを後ろから抱き締めて、さっき自分がアマネにしてもらった様に頭を撫でながら
「ところで
「ん?」
「お~、ここいつの間にできてたんだね」
ボク達5人が
ボクがこの街に引っ越してきた時からずっと建設中だったものが、先日ついにオープンしたらしい。
ルイくんとケイくんに「帰りに寄らないか」と誘われたので、せっかくだから見に来てみたというわけだ。
アマネとマキちゃんも、「帰宅に使う駅のすぐ側だし、もう負けちゃってヒマだから」という理由で付き添ってくれた。
とりあえず小腹も空いたし、まずは案内板を頼りにフードコートへ向かう事に。
すると真っ先に目についたクレープのお店を、マキちゃんが指さして声を
「あっ! クレープ屋さんあるよ! タピオカもあるって! タピろタピろ~!」
「タピオカって……あのカエルの
「ケイくんその例えは
なんて言ってる間に、マキちゃんはアマネを連れてそそくさとクレープ屋に直行した。そこそこ並んでるからボクらも急いで後に続こう。
……数分後、各自の注文したクレープとタピオカを持って、ボク達は空いていた丸テーブルを囲み、おやつの時間としゃれ込んだ。
「ん~、おいし~! やっぱクレープと言えば、バナナチョコホイップだよね~!」
本当に美味しそうにクレープを頬張るマキちゃん。幸せそうで見てるこっちも和む。
「俺はこういうの滅多に食わねぇんスけど、なかなかイケるッスね」
「ケイちゃん普段はお肉ばかり食べてるもんね」
「兄貴ももっと肉を食おうぜ。んで、筋トレしてでっかくなりゃあよ、女に間違われる事もなくなるぜ?」
「そ、そうかな?」
もしルイくんがケイくん並みに大きくなったら……いや、正直そのままでいてほしいかも……
……あっ。
(クリームついてる……)
「ルイくん、ジッとしてて」
「え?」
ボクはルイくんの口元についたホイップクリームを指先で
「……ん、
「っ~~~!?」
ボクが唇の端を舐めて微笑みかけると、急にルイくんの顔が真っ赤になった。
「は、恥ずかしいことしないでくださいよぉ~っ!」
「えぇっ!?」
((( バカップル…… )))
ルイくんの気に
ボクが「ごめんね」と謝ると、彼は困った様な照れた様な表情で許してくれた。
(アマネたんアマネたん! 口にクリームつけて! 今がチャンスだよ!)
(やるわけないでしょバカ!)
(え~? つまんないの~。……そうだ!)
「……ねぇねぇ、セツナく~ん」
「なぁにマキちゃ ── んんっ!?」
呼ばれて振り向いたボクの目の前で、マキちゃんが制服の胸元を開き、チラリと見えるピンクのブラジャーに包まれた豊満な胸の谷間に、クレープの生クリームを乗せていた。
「あたしもクリームついちゃった~。取って~?」
「絶対わざとでしょ!?」
「ほら、は・や・く~」
マキちゃんは
今朝ボクが散々揉みまくった胸である事も相まって、ボクの視線は
い、良いんだろうか……? いや、早く取ってあげないと、誰かにこんなとこ見られたら色々マズイし……そもそも本人が頼んでるんだから、これは合意、そう、合意の上であって ──
「食べ物で遊ぶんじゃないの」
「あいたっ!」
その時、アマネがマキちゃんの頭に軽めのチョップを叩き込んで止めてくれた。た、助かった……
「てへへ~、ごめんごめん」
するとマキちゃんは、なんと自分の手で胸の谷間をむにぃっと広げながら、もう片方の手を使って中の
「やぁ~ん、奥まで入っちゃってベトベトするぅ~」
(エ、エロい……っ!!)
指につけたクリームをペロリと舐めるマキちゃん。そのエロチック過ぎる行動に、またしてもボクは見入ってしまう。
ふと一ノ瀬兄弟に目を向けると、ケイくんはほんのり顔を赤らめてマキちゃんの胸をガン見し、ルイくんは「はわわわっ」と
……うん、やっぱりルイくんも男の子なんだね。
ティッシュも駆使して何とか胸を綺麗にしたマキちゃんは、きちんとシャツのボタンを留めてリボンを付け直した後、携帯端末を取り出した。
「は~いみんなこっち向いて~!」
高く掲げた端末を自分の方に向けて、それを見上げながらタピオカドリンクの容器を持った手でピースするマキちゃん。
画面はカメラモードになっていた。どうやら集合写真を撮りたいみたいなので、ボク達もカメラの枠に納まる様に身を寄せ合って端末を見つめた。
「はい、チーズ☆」
シャッター音が鳴る。
撮れた写真をマキちゃんが確認して、「よく撮れてるよ~!」と見せてくれた。
一番手前で良い笑顔で写っている撮影者のマキちゃん。
その後ろには、タピオカのストローを口に
そして右手にクレープ、左手にタピオカのルイくんと、その横で何故か眉間にシワを寄せているケイくん。
口角が少し上がってるので、たぶん本人は笑ってるつもりなのかも?
手ブレも無く、とても良い写真が撮れたと思う。まさしく青春を切り取った思い出の1枚だ。
「あはは、ケイくん顔怖いよ~」
「ど、どんな
「イ○スタ
そんな感じでスイーツと談笑を満喫した後は、腹ごなしにゲームセンターで遊んだり、アパレルショップで服を見て回ったり、アマネが入った試着室を
一部だけだったけど、モール内をみんなで仲良く散策してから解散したのであった。
── そして翌日。
選抜試験は6日目を迎え、会場であるセンター・アリーナには、例のごとく大勢の観客が詰めかけていた。
『ハローエブリワンッ!! 皆さんお待ちかね! アリーナ・カップ、
今日も今日とてMCのマック伊東さんが観客を盛り上げ、場内をこれでもかと温めてくれている。
その様子を、ボクはいつもの控え室……ではなく、観客席の後ろの出入り口に通じる通路に立って、柵に腕を乗せた姿勢で眺めていた。
なんてったって、これから始まる第1試合の対戦カードは、あのカナメ
この
そしてボクの隣には、その次の第2試合でボクと闘う、
『まずはここまで勝ち残ってきた4人の
会場の巨大モニターに、カナメ、九頭竜くん、狼城くん、そしてボクの顔写真がデカデカと表示された。な、なんか気恥ずかしい……
ていうか女性陣の歓声がスゴいなぁ。確かに他の3人は少女マンガから出てきたのかってぐらいイケメンだから納得だけど。
ついでに言えば、身長もこのメンツではボクが一番低いんだよね。ボクだって一応172センチあるのに……あ、なんか落ち込んできたかも……
「? どーしたよセツナ君? 目が死んでんぜ?」
「いや……みんなの顔面偏差値が高過ぎて……ちょっと
「なーに言ってんだよ。オマエだって、けっこー綺麗な顔してんぜ?」
「そ、そう?」
『見よっ、これぞまさにイケメンパラダイスッ!! 黄色い声援が凄まじいッ! ここは一体どこのホストクラブだぁ~~~っ!?』
「ほれ、実況のオッサンもあー言ってんじゃん」
── その頃、セツナと狼城の位置から少し離れた観客席にて。
「う~~~ん」
「どうしたのマキちゃん? 難しい顔して」
「あの4人だったらセツナくんは総受けかな~? アマネたんはどう思う?」
「聞くんじゃなかったわ」
などという会話が繰り広げられていた事を、当の本人達は知る
『さてさて! イケメン達の登場に会場の興奮も最高潮に達したところで、早速本日の第1試合を始めようかッ! 選手入場ッ! カモォーンッ!!』
マック伊東さんの合図を受けて、2つある入場ゲートの片方が、青い照明に照らされる。
直後、スモークの噴出に触発され、観客席全域から拍手喝采が沸き起こるのと同時に ──
一人の青年が、場内へと足を踏み入れた。
『一人目は優勝候補筆頭! その名を聞くだけでこの学園の……
名前を呼ばれた黒髪の青年 ── カナメは、足取り軽やかに
……心なしかモニターに映るその表情が、今日はどこかワクワクしている様に、ボクには思えた。
カナメが舞台に立ち、続けて九頭竜くんの入場を待っていた時、狼城くんがボクに喋りかけた。
「……そーいやよ、さっき控え室で会ったキョウゴの顔、見たか?」
「……うん」
昨日までの九頭竜くんは常時ピリピリしていて、不用意に近づいたら噛みつかれそうだったけど……今日は真逆で、怖いくらいに落ち着いていた。
本当に全神経をカナメとの決戦に集中させているのが皮膚感覚で伝わってきて、とても話しかけられなかった。
「オレが声かけても、『あ"?』とかも言わねーでガン無視されたわ。あんなキョウゴの
「そうなんだ……」
と、話してる
今回の照明の色は二人のイメージカラーに合わせたのかな?
『さぁ二人目の選手の入場だ!! こちらも鷹山選手と同じく、今や言わずと知れた十傑の
熱のこもったMCに呼応して
「………よぉ」
「やっとこの時が来たな九頭竜。お前との最後の決戦、心から待ちわびていたぞ」
「………」
「どうせなら今年も決勝戦で当たりたかったがな……まぁ、こればかりは仕方がない。……今日はお前がこの学園で俺を倒す、最後のチャンスだ。せいぜい俺を愉しませ ──」
「ゴチャゴチャうるせぇよ」
「!」
「俺はお喋りしにここに来たんじゃねぇ……。 ── てめぇを撃ち殺しに来たんだっ!!」
── !!
いきなり、場内の空気が一変した。
カナメ一人にだけ向けられている筈の、九頭竜くんの殺気。
その
ボクもゾクッと肌が
「お? ビビっちゃった? セツナ君」
「ちょ、ちょっとビックリしただけだよ」
なんで狼城くんは平気そうなんだか。
カナメじゃなきゃ、あんなの食らったら絶対に口から泡を吹いて気絶してるよ。
「おい実況っ!!」
『い"っ!?』
「何ボサッとしてやがる! とっとと
(は、はい九頭竜さんっ!)
『
「行くぞぉッ!!」
「フッ……せっかちなことだな。……良いだろう。来い ──、九頭竜」
二人は同時にデュエルディスクを起動させる。
いよいよ満を持して ──
『学園最強』と『学園最凶』、
「「
カナメ
九頭竜
「……鷹山」
「なんだ?」
「 ── 俺は後攻を取らせてもらうぜ」
「! ……ほう?」
『なっ、なんとぉ!? これは珍しい! 九頭竜選手が自ら後攻を選択したぁーっ!?』
「どうやら昨日の蝶ヶ咲との試合で少しは反省できた様だな。では、俺の
この大会で ── そしてボクが知る限りでも ── 初めてカナメが先攻を取った。
カナメは手札を抜き取り、ディスクにセットする。
「俺はモンスターをセット。そしてカードを2枚伏せ、ターン
『鷹山選手もこれまた珍しく、無難な初動で先攻1ターン目を終えたっ! さぁ九頭竜選手はどう動くのか!?』
「俺のターンだ…… ── ドローッ!」
九頭竜くんは勢いよくデッキからカードを引き抜くと、それをそのままディスクに、叩きつける様にセットした。
「俺のカードはこいつよ!」
【
── !? アレは、今までの【
「くくくっ、覚悟しな! この俺の進化した【
「……お前の進化したデッキか……。── 潰しがいがありそうだ」
ようこそ、ホストクラブ【
当店のトップ4をご紹介します。
No.1 カナメ
No.2 響吾
No.3 アキラ
No.4 セツナ
さぁ、あなたは誰を指名しますか?
※フィクションです。
セツナと狼城はホストでもやっていけそう(笑)