遊戯王 INNOCENCE - Si Vis Pacem Para Bellum -   作:箱庭の猫

50 / 60

 ついに50話まで来ましたァーッ!!

 50話目にして、この二人の決戦を書けるとは……何とも(おもむき)があって、テンション上がりますなぁ。



TURN - 50 FATED RIVAL - 1

 

 アリーナ・カップ6日目。

 

 準決勝・第1試合 ── カナメ vs 九頭竜(くずりゅう)くんの決闘(デュエル)は、開始早々(そうそう)、意外な展開を見せた。

 

 まず九頭竜くんが自分の意志で後攻を選択して、さらに ──

 

 

 

「俺のターン行くぜ! このモンスターを召喚!」

 

 

 

(エー)-アサルト・コア】 攻撃力 1900

 

 

 

 今まで使っていた竜の姿をした銃器・【機械龍(マシン・ドラゴン)】とは、似ても似つかない新たなモンスターを召喚してきたんだ。

 

 

 

「よく聞け鷹山(ヨウザン)ッ!! 学園〝最強〟・九頭竜 響吾(キョウゴ)が、この進化したデッキでてめぇを撃ち殺してやるぜっ!!」

 

「フッ、面白い……。ならば、どれほどの進化を遂げたのか……この学園〝最凶〟・鷹山 (カナメ)が試してやる」

 

 

 

 カナメ LP(ライフポイント) 4000

 

 九頭竜 LP(ライフポイント) 4000

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ── 鷹山 要と、九頭竜 響吾。

 

 決闘(デュエル)が全てを支配する街・ジャルダンにおいて、それぞれ『学園最凶』と『学園最強』の異名で恐れられている、デュエルアカデミア・ジャルダン校のツートップ。

 

 そんな二人が初めて出会ったのは、今から5年ほど前…… ── 中等部1年の時分だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「 ── 【リミッター解除】発動! 撃ち殺せ、【リボルバー・ドラゴン】!」

 

「ぐわああああっ!?」

 

 

 

 九頭竜のエースモンスターの一撃により、対戦相手はライフポイントを一瞬で(ゼロ)にされ敗北する。

 

 

 

「そ、そんなバカなっ……この俺が中坊なんかに……!」

 

「ケッ、この程度が高等部の実力かよ。三流もいいとこじゃねぇか」

 

 

 

 そう、当時13歳の九頭竜が一蹴(いっしゅう)したのは、自分より3つも歳上の、高等部1年生だった生徒。

 

 本来であれば勝つどころか闘う事さえ叶わない年齢差の相手を、赤子の手でも(ひね)る様に圧倒してみせた中等部の少年に、周囲で観戦していた生徒達の誰もが戦々恐々(せんせんきょうきょう)となった。

 

 

 

「す、スゲぇ……高等部の先輩をワンショット・キルかよ……なんなんだあいつ……!」

 

「な、なぁ、お前ちょっと挑んでみろよ」

 

「じょ、冗談じゃねぇ! あんな強くて怖そうなの、勝てっこねぇって……!」

 

 

 

 ()()の視線を向けてくる生徒達。

 そんな彼らを鬱陶(うっとう)しく思った九頭竜が睥睨(へいげい)すると、生徒達は(おび)えて、()()の子を散らす様に逃げ去っていった。

 

 それを見て九頭竜は、優越感から笑みを(こぼ)す。

 

 

 

「……ハッ」

 

(どいつもこいつもヘボ決闘者(デュエリスト)……。これなら俺が学園の頂点(トップ)()んのも、そう遠くねぇな)

 

 

 

 この時点で彼は確信した。自分に勝てる決闘者(デュエリスト)など、この学園には存在しないと。

 

 しかし……

 

 その自信は次の瞬間、粉々に打ち砕かれる事となる。

 

 

 

「……あ?」

 

 

 

 九頭竜の耳に届いたのは、歓声。

 

 目を向ければ、そこには大勢の生徒達が集まり、何やら熱狂していた。

 決闘(デュエル)が行われている様だとすぐに分かった九頭竜だったが、言うまでもなく、アカデミ(ここ)アでは(ごく)ありふれた光景だ。

 興味は湧かず、九頭竜はその場を通り過ぎようとした。 ── ところが……

 

 

 

「スッゲーっ!! なんて強さだっ! ()()()()中等部なんだろ!?」

 

「さっきの奴もヤバかったけど、()()()()()()()()()()()ッ!!」

 

( ── !?)

 

 

 

 ()()(うま)の生徒達が発した今のセリフを、聞き捨てる事はできなかった。

 

 何せ、間違いなく「さっきの奴」というのは、九頭竜本人の事を指して言っているのだから。

 

 それはすなわち自分と同じ中等部に、()()()()()強者(きょうしゃ)として、注目されている決闘者(デュエリスト)がいるということ。

 

 

 

(どういうことだ!? どこのどいつだっ!!)

 

 

 

 最強を自負する九頭竜にとっては、到底ガマンならない事態だ。

 

 

 

「どけっ!! 邪魔なんだよっ!!」

 

 

 

 彼は激情に駆られるまま、(むら)がるギャラリーを押し退()ける。

 

 そして、そこで目にしたのは ──

 

 

 

「 ── 〝(おう)()〟だ。【水陸(すいりく)の帝王】で直接攻撃(ダイレクトアタック)

 

「う、嘘だっ! 俺は『十傑(じっけつ)』なんだぞっ!? それがこんな中等部のガキなんかに ── うわああああっ!?」

 

 

 

 小柄な黒髪の少年が、ちょうど決闘(デュエル)に勝利した場面だった。

 

 

 

「……こんなものか、学園が認めた10人のエリート……十傑とやらの実力(チカラ)は。期待外れだったな」

 

 

 

 周りが興奮気味に騒ぎ出す()(なか)にも関わらず、少年が静かに(つむ)いだ一言を、九頭竜は確かに聞き取った。

 

 

 

(まさか……あの十傑を倒したって言うのか!? こんなガキが……!)

 

「この程度が学園のトップクラスなら、俺が頂点に立つ日も、そう遠くないな」

 

(!!)

 

 

 

 自分が高等部1年の凡百(ぼんびゃく)な生徒を負かして得意になっていた横で、目の前の少年は最上級生にして最高ランクの実力者を相手に完勝し、さらには自分を差し置いて、この学園の頂点に立つと言い放った。

 

 

 

( ── 気に入らねぇっ!!)

 

 

 

 九頭竜がキレるには、もはや充分過ぎる理由だ。

 

 

 

「おいてめぇっ!!」

 

 

 

 気づけば九頭竜は、立ち去ろうとする少年を、怒鳴り声で呼び止めていた。

 

 

 

「………俺のことか?」

 

 

 

 対し少年は、九頭竜の怒声にさして驚いた様子も見せず、ゆっくりとそちらへ振り向き……

 

 突然不躾(ぶしつけ)に怒鳴りつけてきた色黒の男子生徒を、その鮮やかな青い瞳で見据えた。

 

 

 

「っ!?」

 

 

 

 少年と目が合った、その途端 ── 九頭竜の総身は戦慄(せんりつ)に打ち震えた。

 

 

 

(こいつ……(つえ)ぇ……! 俺が今までに()った誰よりも……!)

 

 

 

 九頭竜も(よわい)13にして、すでに一流と言っても差し支えない実力を備えた、百戦錬磨の決闘者(デュエリスト)。相対するだけでも、敵の力量は計り知れる。

 

 だが ── (いま)だかつて、ここまでのレベルは見た事がなかった。

 

 生まれてこの方、決闘(デュエル)もケンカも負け知らずで、常に周りの人間を屈服させ、怖いもの無しだった九頭竜に……

 人生で初めて、他者への『恐れ』を経験させるほどの()()などと言うのは……!

 

 最も、当人がそんな屈辱的な事実を認められる筈もなく ──

 

 

 

(っ……ふざけんな……この俺がこんな奴にビビるわけねぇだろうがっ!! そうだ、最強は俺だ……! 俺より強ぇ決闘者(ヤツ)なんてのは、いたらいけねぇんだよっ!!)

 

 

 

 そう自分を鼓舞し、九頭竜は(いさ)ましく()える。

 

 

 

「 ── 俺と勝負しろっ!!」

 

「…………良いだろう、相手になってやる」

 

 

 

 かくして ── (のち)に学園の双璧(そうへき)を成す、二人の絶対強者の……最初の決闘(デュエル)が幕を開けた。

 

 結果は……

 

 

 

「っ……!!」

 

 

 

 九頭竜 LP(ライフポイント) 0

 

 カナメ LP(ライフポイント) 1800

 

 

 

(俺が……負けたっ……!?)

 

 

 

 初めて味わった敗北のショックに、九頭竜は(ひざまず)き、(ひど)く打ちひしがれた。

 

 

 

「あー、やっぱこうなるかぁ」

 

「そりゃそうだよな、良い線行ってたけど」

 

「やっぱり、十傑に勝つ様な奴に勝てるわけがねぇよな」

 

「……ぐっ……!」

 

 

 

 決闘(デュエル)を見届けていた他の生徒達は、思い思いの感想を口にする。

 その言葉の一つ一つが九頭竜のプライドをズタズタにしているとも知らずに。

 

 そんな九頭竜に少年は歩み寄ると、そっと手を差し伸べた。

 

 

 

「そう気を落とすな。ここまでライフを削られたのは初めてだ。少なくとも ── さっき倒した、()()()()()(たの)しめたぞ」

 

「……あ"ぁ……!? ざけんなっ!! 哀れみのつもりかてめぇ!!」

 

 

 

 九頭竜は少年の手を乱暴に振り払うと、怒りと気力で闘志を震い起こし、フラつきながらも立ち上がる。

 そして血走った眼で少年を()めつけ、再びデュエルディスクを構えた。

 

 

 

「もう一度だぜっ……もう一度、俺と闘えっ……!」

 

「………」

 

(フッ……まるで飢えた猛獣だな)

 

「断る。今のお前では、これ以上は愉しめそうにないのでな。どうしてもと言うのなら、腕を磨いて出直してこい」

 

「くっ……くそがぁ……!」

 

 

 

 少年の率直な物言いに、反論の余地は無く……

 食い下がれなくなった九頭竜は、ただただ拳を握り締め、歯噛みする他なかった。

 

 

 

「……てめぇ……名前は?」

 

「……鷹山。鷹山 要だ」

 

「鷹山か……覚えとくぜ。俺は九頭竜……九頭竜 響吾だ!! 忘れんなよ……てめぇを撃ち殺す男の名だっ!!」

 

 

 

 ここでようやく、お互いの名前を知った二人。

 

 そして九頭竜の宣戦布告を受けた少年 ── 鷹山 要は、口元に手を当てた上品な仕草で、何故だか笑い出す。

 

 

 

「フッ、フフフッ……」

 

「てめぇ! なに笑ってやがるっ!!」

 

「いや、すまない。この俺に負けても(なお)、そこまで噛みついてくる奴も初めてだったものでな。……面白い。やはりお前は他の奴らとは違う。これは期待できそうだな……気に()った」

 

 

 

 カナメはそれまで冷めた眼差しとポーカーフェイスで固定していた表情を(ほころ)ばせ、心底楽しそうな笑みを(たた)えると、九頭竜の横を通り抜ける。

 

 

 

「良いだろう……覚えておいてやる、九頭竜 響吾。自信がついたならいつでも挑んでこい。 ── 愉しみにしているぞ」

 

 

 

 最後にそれだけ言い残し、カナメは決闘(デュエル)フィールドを後にした。

 

 

 

「……鷹山 要……」

 

(今に見てやがれ……必ずてめぇを撃ち殺して、俺の前に這いつくばらせてやるっ!!)

 

 

 

 この時より、九頭竜 響吾と鷹山 要は、追う者と追われる者の深い因縁で結ばれる事となった。

 

 それから5年の月日が流れ……

 

 ついに二人は、この学園での『最終決戦』の時を迎える ──

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………思い出すな」

 

「あ?」

 

「覚えているか九頭竜? 俺とお前が、初めて決闘(デュエル)した時の事を」

 

「……忘れたくても忘れらんねぇよ、今思い出してもムカつくぜ。てめぇの()()を舐め切った態度は、あの頃から全く変わってねぇな」

 

「そうかも知れないな。だが九頭竜……お前から感じる決闘者(デュエリスト)としての闘気と殺気は、あの時よりもさらに()ぎ澄まされ、鋭さを()している。……俺は嬉しいよ。この学園で、お前の様な男に巡り会えた事が」

 

「……くだらねぇ。そういうとこがムカつくっつってんだ」

 

「だからこそ、お前が総角(アゲマキ) 刹那(セツナ)に負けたと聞いた時は本当に驚いた。俺以外の奴にやられるとは、弱くなったかと心配したが……」

 

「俺と()ってる時に他の奴の名前なんざ出してんじゃねぇよ、殺すぞ」

 

 

 

 ……えーっと……ボク達は今、何を聞かされてるんだろう? ノロケ話?

 

 

 

「フッ……これは失礼した、続けてくれ」

 

「 ── 俺は手札から永続魔法・【前線基地】を発動! メインフェイズに一度、手札のレベル4以下のユニオンモンスター1体を特殊召喚できる! 出撃しろ、【(ビー)-バスター・ドレイク】!」

 

 

 

(ビー)-バスター・ドレイク】 攻撃力 1500

 

 

 

「さらに魔法(マジック)カード・【アイアンドロー】を発動! 俺のフィールドのモンスターが、機械族の効果モンスター2体のみの時、カードを2枚ドローする!」

 

 

 

 九頭竜くんの右手に鋼鉄のグローブが装着され、その手で2枚デッキから引いた。

 

 

 

「まだまだ行くぜッ! 【B-バスター・ドレイク】のモンスター効果発動! 【アサルト・コア】に【バスター・ドレイク】を合体!」

 

 

 

 2体の機械(マシーン)モンスターがロボットアニメさながらの変形合体を始めた。

 

 

 

『これぞユニオンモンスターの真骨頂! 自らを装備カードとして、別のモンスターに装備できるのだッ!』

 

「バトルだッ……! 【アサルト・コア】で攻撃!」

 

 

 

 【A-アサルト・コア】がカナメの裏守備モンスターに、ビームライフルの照準(しょうじゅん)(さだ)めた。

 

 

 

「永続(トラップ)発動、【連撃(れんげき)の帝王】」

 

「!」

 

『あぁーっとッ! やはり鷹山選手は(わな)を仕掛けていたァッ!! 【連撃の帝王】は、相手のメインフェイズ及びバトルフェイズにアドバンス召喚できる、まさに【(みかど)】デッキには打ってつけの(トラップ)カードッ!!』

 

「俺のデッキの特徴を踏まえて、後攻有利と見たのだろうが……詰めが甘いな、九頭竜。 ── 俺はセットモンスター・【カイザー・サクリファイス】をリリースし……現れろ、【雷帝(らいてい)ザボルグ】」

 

 

 

雷帝(らいてい)ザボルグ】 攻撃力 2400

 

 

 

「チッ、出やがったか……!」

 

「【カイザー・サクリファイス】をリリースしてアドバンス召喚に成功した時、このカードは手札に戻る。そして【ザボルグ】の効果。召喚に成功した場合、モンスター1体を破壊する。 ── 消え去れ、【アサルト・コア】。『デス・サンダー』」

 

 

 

 【ザボルグ】は天から(いかずち)を落とし、【アサルト・コア】に命中させた。

 

 ところが……落雷による煙が晴れると、消滅したのは装備されていた【B-バスター・ドレイク】だけで、【アサルト・コア】はまだフィールドに生存していた。

 

 

 

「……装備した【バスター・ドレイク】を身代わりにさせてもらったぜ。さらに【バスター・ドレイク】がフィールドから墓地へ送られた場合、デッキからユニオンモンスターを1枚、手札に加える事ができる。俺は【(シー)-クラッシュ・ワイバーン】を手札に」

 

「……なるほど、俺への対策は万全ということか」

 

「当たり前だろうが。てめぇと何年()ってきたと思ってやがる。てめぇを一番分かってんのは俺だけなんだよ。 ── 俺はカードを1枚伏せて、ターン終了(エンド)だ!」

 

『さぁ九頭竜選手、鷹山選手に上級モンスターの召喚を許しはしたが、(ひる)む事なくすぐさま態勢を立て直した! まずは、互角の滑り出しと言ったところ! 果たしてこの(あと)は、どの様な展開になるのだろうかぁーッ!!』

 

 

 

 ……カナメにとって、九頭竜くんのデッキ変更(チェンジ)は、たぶん予想外だった筈。

 逆に九頭竜くんは、カナメのデッキを知り尽くして圧倒的なアドバンテージを得ているかも知れない。

 

 この決闘(デュエル) ── 九頭竜くんの新しい戦術が、カナメにどこまで通用するか……そこが勝敗の分かれ目になりそうだ。

 

 

 

「俺のターン。【ザボルグ】で【アサルト・コア】を攻撃。『ローリング・サンダー』」

 

 

 

 【ザボルグ】は(てのひら)から雷撃(らいげき)を放ち、今度こそ【アサルト・コア】の撃破に成功する。

 

 

 

「っ……!」

 

 

 

 九頭竜 LP 4000 → 3500

 

 

 

『おぉーっとッ! この試合、最初にダメージを受けたのは、九頭竜選手となったァ!』

 

「……ケッ、たかが500程度のライフ、くれてやるよ」

 

「ずいぶんと余裕だな?」

 

「【アサルト・コア】が墓地へ行った事で、効果発動だ。墓地からこいつ以外のユニオンモンスターを1体、手札に加える。俺は【バスター・ドレイク】を加えるぜ」

 

 

 

 これで九頭竜くんは次のターン、【前線基地】も使って、また2体のユニオンモンスターを並べられる。

 

 

 

「……俺はカードを1枚伏せ、モンスターをセット。ターンエンドだ」

 

 

 

 あのセットモンスターは間違いなく、【カイザー・サクリファイス】だろうね。

 放置しておくと、またアドバンス召喚の為のリリース要員になりかねない。地味に厄介なモンスターだ。

 

 

 

「俺のターン! 【C-クラッシュ・ワイバーン】を召喚!」

 

 

 

(シー)-クラッシュ・ワイバーン】 攻撃力 1200

 

 

 

「さらに【前線基地】の効果で、もう一度【バスター・ドレイク】を特殊召喚!」

 

 

 

【B-バスター・ドレイク】 攻撃力 1500

 

 

 

「くくくっ……鷹山。今からてめぇに、おもしれぇモンを見せてやる!」

 

「ほう、それは愉しみだ」

 

「俺はフィールドの【クラッシュ・ワイバーン】と【バスター・ドレイク】、そして墓地の【アサルト・コア】をゲームから除外し ── こいつらを合体融合する!!」

 

「!」

 

 

 

 おぉ、今度は3体で合体か!

 

 【アサルト・コア】の砲身の右側に【バスター・ドレイク】が、左側に【クラッシュ・ワイバーン】がドッキングし、さながら2つの首と()(つい)の翼を持つ、1体の機械(マシーン)モンスターが誕生した。カッ、カッコいい!

 

 

 

「融合召喚!! レベル8・【(エー)(ビー)(シー)-ドラゴン・バスター】!!」

 

 

 

【ABC-ドラゴン・バスター】 攻撃力 3000

 

 

 

『こ……攻撃力3000~ッ!?』

 

「それがお前の新たなエースモンスターか……」

 

 

 

 墓地のモンスターまで素材に出来て、その上【融合】カードを必要としないだって!?

 こうも手も無く最上級モンスターを呼び出せるのか、進化した九頭竜くんのデッキは……!

 

 

 

「モンスター効果発動! 【ABC】は1ターンに一度、手札を1枚捨てる事で、フィールドのカード1枚を除外できる! 失せな! 【雷帝ザボルグ】!」

 

「……誰に(くち)を利いている。速攻魔法・【帝王の(ごう)()】を発動」

 

「!!」

 

「【ザボルグ】をリリースし、【ABC-ドラゴン・バスター】の効果を、このターンの終わりまで無効にする」

 

 

 

 【ザボルグ】は自分の身体に(カミナリ)(まと)わせ、【ABC-ドラゴン・バスター】に突撃した。

 除外される前に、カードのコストとして墓地に送って有効活用するとは、抜け目ないね。

 

 

 

「その()、俺は1枚ドローする」

 

「ハッ、しゃらくせぇ! 【ABC-ドラゴン・バスター】! 奴の守備モンスターを蹴散らせっ! 『A・B・C トランセンド・バスター』!!」

 

 

 

 文字通り(さん)()一体(いったい)となった、巨大戦闘機の放つレーザー砲が、カナメの裏守備モンスター・【カイザー・サクリファイス】を撃砕(げきさい)する。

 

 

 

「……!」

 

「オラァどうした鷹山! てめぇの実力(チカラ)はこんなもんじゃねぇだろ!」

 

「……フフッ、さすがだ九頭竜……。お前の決闘(デュエル)の輝きは誇っていい。称賛に(あたい)する」

 

「あぁ? まだ余裕があるって言いてぇのか!」

 

「お前のその輝きに応える為にも、俺も全力で行かせてもらおう。俺のターン」

 

 

 

 ……いよいよカナメも、スイッチが入ったみたいだね。

 

 

 

「……手札より永続魔法・【進撃(しんげき)の帝王】を発動。このカードがある限り、俺のフィールドのアドバンス召喚されたモンスターは効果の対象にならず、効果では破壊されない」

 

(……うぜぇカード出してきやがったな……どうする、消しとくか?)

 

「………」

 

「……チッ! 【ABC】の効果! 手札を捨てて、【進撃の帝王】を除外するぜ!」

 

「!」

 

『え、永続魔法まで除外されたァーッ!? あの効果は相手ターンでも発動できるのか!? なんと恐るべき制圧力ッ!!』

 

 

 

 ……! いや、これは ──

 

 

 

「あぁ、そう来るだろうと思っていた」

 

「!?」

 

「【進撃の帝王】はただの(おとり)だ。お前はこのターン、もう()()効果を発動できない」

 

「てめぇ……わざと使わせやがったのか!」

 

「その通りだ。これで心置きなく、本命(こいつ)が使える。 ── 俺は手札から装備魔法・【再臨(さいりん)の帝王】を発動。墓地の【雷帝ザボルグ】を効果を無効にして特殊召喚し、このカードを装備する」

 

 

 

【雷帝ザボルグ】 守備力 1000

 

 

 

「そして装備モンスターをアドバンス召喚の為にリリースする場合、1体で2体分として扱える。【雷帝ザボルグ】をリリースし……現れろ ── 【(ごう)雷帝(らいてい)ザボルグ】」

 

 

 

 カナメも負けじと最上級クラスのモンスターを召喚した。

 【雷帝ザボルグ】よりも、さらに(ワン)ランク上を行く、雷を司る帝王のご登場だ。

 

 

 

(ごう)雷帝(らいてい)ザボルグ】 攻撃力 2800

 

 

 

「【轟雷帝ザボルグ】の効果。アドバンス召喚した場合、モンスター1体を破壊する。対象は当然 ── 【ABC-ドラゴン・バスター】だ」

 

「っ!」

 

「『サンダー・デストラクション』」

 

 

 

 いくつもの稲妻(イナズマ)が【ABC】めがけて撃ち放たれる。

 

 

 

(クソがぁ!)

 

「【ABC】! 分離しろっ!」

 

 

 

 破壊される直前、【ABC】は合体を解除。

 バラけた3体が九頭竜くんのフィールドに帰還した。

 

 

 

【A-アサルト・コア】 守備力 200

 

【B-バスター・ドレイク】 守備力 1800

 

【C-クラッシュ・ワイバーン】 守備力 2000

 

 

 

「おっと、かわされたか……まぁいい。永続(トラップ)発動、【真源(しんげん)の帝王】。ターン(ごと)に一度、自分の墓地から【帝王】と名のつく魔法・(トラップ)カードを2枚デッキに戻し、1枚ドローできる。俺は墓地より、【再臨の帝王】と【帝王の轟毅】を戻し、ドロー。 ── バトルだ。【轟雷帝ザボルグ】で、【アサルト・コア】を攻撃。『インペリアル・ライトニング』」

 

 

 

 名の通り轟轟(ごうごう)と雷鳴を響かせ……【轟雷帝ザボルグ】は、再び稲妻を降らせて【アサルト・コア】を粉砕した。

 攻撃力が一番高いからか、もう3回も雷に打たれてる【アサルト・コア】。そろそろ()(びん)に思えてきた。

 

 

 

「チィ……!」

 

「カードを1枚伏せ、俺のターンは終了だ」

 

(上等じゃねぇか……ぶっ潰してやるッ!!)

 

「俺のターンだ! ……鷹山、【ABC】が消えて良い気になってんのか知らねぇがな……(あめ)ぇよッ!」

 

「……!」

 

「墓地の【()(かん)融合】を除外して、効果発動! 墓地から【ABC】をエクストラデッキに戻し、1枚ドローする!」

 

 

 

 ── ! そうか、【ABC】の効果のコストとして、あらかじめ墓地に送ってたのか!

 これでまた【ABC】の召喚が可能になった。転んでもタダでは起きないってわけだね。

 

 

 

「俺は【バスター・ドレイク】と【クラッシュ・ワイバーン】をリリースし、【()(へん)機獣(きじゅう) ガンナードラゴン】をアドバンス召喚!」

 

 

 

【可変機獣 ガンナードラゴン】 攻撃力 2800

 

 

 

「さらに! 墓地の【A】、【B】、【C】 ── 3体のユニオンモンスターを除外し、【ABC-ドラゴン・バスター】を再び合体召喚だッ!!」

 

 

 

【ABC-ドラゴン・バスター】 攻撃力 3000

 

 

 

「モンスター効果発動! 手札を1枚捨て、【轟雷帝ザボルグ】を除外だ!」

 

「!」

 

 

 

 【轟雷帝ザボルグ】の姿がフィールドから消えて無くなる。

 これでカナメの壁モンスターは居なくなった。九頭竜くんにとっては恐らく、またとない大チャンスだ。

 

 

 

「このターンで撃ち殺してやる ── バトルだっ! 【ABC】でダイレクトアタック!!」

 

 

 

- トランセンド・バスター!! -

 

 

 

 ()()一人に撃つには行き過ぎた破壊力のレーザーが放射され ── あっさりと、カナメを直撃した!

 

 

 

「っ……ぐあぁっ!」

 

 

 

 カナメ LP 4000 → 1000

 

 

 

 倒れはしなかったものの、カナメの身体は大きく後退させられた。靴の爪先(つまさき)から一直線に伸びる()(さつ)の跡が、カナメを押した圧力の重さを物語(ものがた)っている。

 

 

 

『き、決まったァァーーーッ!? なんと凄まじい一撃! 鷹山選手のライフが、一気に3000も削られてしまったァァーッ!!』

 

「っ……!」

 

 

 

 でも次の瞬間、さらに驚くべき事が起こった。

 

 衝撃に耐え切れなかったのか、カナメが体勢を崩し ──

 

 

 

「くっ……!」

 

 

 

 そのまま、床に片膝(かたひざ)を突いてしまったんだ。

 

 

 

『なっ……なっ、なんという事だァァァッ!? あの鷹山選手が、対戦相手の前で(ひざまず)いてしまったっ!! こ、こんな事が有り()るのかァァーッ!?』

 

 

 

 マック伊東さんの口振りから察するに、きっとカナメのこんな姿を見た者は、今まで誰もいなかったんだろう。

 観客席は一気に騒然とし、何なら軽くパニックになりかけていた。

 

 

 

「…………素晴らしい……ッ!」

 

 

 

 ── !

 

 

 

「この痛みだ……この痛みこそが俺を本気にさせるッ……!」

 

 

 

 その時、カナメが顔を上げ……今まで見た事のない笑みで、表情を(ゆが)ませていた……!

 

 

 

 





 今回は九頭竜とカナメの馴れ初め……ではなく、過去編も交えての頂上決戦パート1でした!
 この二人の過去については、これだけ語れば事足りるでしょう。

 最後のカナメさんは、マンガ版の黒咲さんみたいな顔芸をイメージして頂ければと思います(笑)

 次回、因縁の対決 ── ついに決着です!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。