遊戯王 INNOCENCE - Si Vis Pacem Para Bellum - 作:箱庭の猫
【ドリーム・ピエロ】と【ウッド・ジョーカー】と【仮面道化】……どうして魔法使い族じゃなくて戦士族なんや……
狼城に使わせたかった……(泣)
【2021/10/06 追記】 狼城が使った【奇跡のマジック・ゲート】を【精神操作】に変更して、その後のデュエルの内容も一部修正しました。
【奇跡のマジック・ゲート】に破壊耐性付与の効果があるのをすっかり見落としていた……
アリーナ・カップの
あれほどの激闘……最高潮まで沸き上がった観客達の興奮が
そしてそれは観客に限らず、ここに集まっている報道陣の人間も同様だった ──
「
雑誌記者の
「声がデケぇぞ
「ほれ見ろ、人目があんだからもう少し大人しくしとけ。生徒と間違われて追い出されても知らねぇぞ?」
「あ、すいませ~ん……でもでも! 観客も今まで以上にスッゴい盛り上がりだったじゃないですか~! あんなプロ並みの
「……まぁ確かにそうだな……俺も内容が
「ですよね!? そしてそしてー! 次はいよいよ私の
「またオタクが発動してるぞ新井。今は仕事中だ、抑えろ。……にしても、今日の相手は『
「大丈夫ですッ! なんてったってセツナ君は、1回戦で同じ十傑に勝ってるんですから!」
「あのなぁ……仮にも相手は去年のアリーナ・カップ第3位 ── 〝トリック・スター〟だぞ? それに……」
「それに?」
「……
(まぁ、だからこそ……あの意外性に
「むっ、むむむぅ~! いくら早瀬さんでも、セツナ君をディスるのは許しません!」
「別にディスっちゃいねぇよ。ただ客観的に見た印象を
「むぅ……」
「……そうむくれるな。何も絶対勝てないと言ってるわけじゃねぇんだ。 ──
「……くしゅん!」
「どしたんセツナ君、
「あー、ごめん狼城くん。誰か噂でもしてるのかな……」
ボクは今、次に自分が出場する準決勝・第2試合の始まる時間まで、狼城くんと二人っきりで仲良く雑談しながら、係員さんが呼びに来るのを
向かいのソファーに座る狼城くんは、さっきからずっとルービックキューブを組み立てて、ヒマを潰している。
ボクと喋ってる間も彼の両手は一切の
(……お? メッセージ、誰からだろ)
ボクの携帯端末にメッセージが届いたので開くと、
実はこれ、最近実装された端末の新機能で、グループに招待したメンバー全員に、
ちなみにこのグループのメンバーは、ボクとアマネとマキちゃん、そしてルイくんとケイくんとコータの6人で、グループ名はマキちゃんが提案した、『ファミレス仲良し連合』。
由来は選抜試験1日目に、ルイくんの初勝利を祝ってファミレスで乾杯した時のメンツだからだそうで、何名か微妙な反応を示したものの、最終的にまぁいいかって感じで採用された。
(フフッ、なんか嬉しいなぁ、こういうの。 ── 『ありがとうみんな、がんばるよ!』……送信っと)
「おーおー、なぁにニヤニヤしてんのよ? 彼女からの応援メッセージかぁ?」
「へっ!? そ、そんなニヤニヤしてた!? ていうか彼女とかじゃないし!」
「ハハッ、照れんな照れんな。……つーかさ、セツナ君って、本命とかいんの?」
「え?」
「女とっかえひっかえしてるって噂で聞くけどよ、本命の子はいねーのかって話」
「ま、まだそんな風に言われてるんだ……ボクはそんなんじゃないし、本命どころか恋愛的な意味で好きな子は、まだいないよ」
「……ふーん?」
「な、なにその意味ありげな『ふーん』は?」
「うんにゃ? オレぁてっきり、あの黒髪のエロい
「ア、アマネは友達だよ!」
「そうかい。そいつぁ何よりだ」
「?」
(良かったなミサキ嬢。まだフリーだってよ)
ボク達が年頃の男子らしい話題でボーイズトークしていた時、不意にドアがノックされた。
「
入ってきたのはもちろん、ボクらを呼びに来てくれたスタッフさんだ。
「あ、うん。行こう、狼城くん」
「おう」
狼城くんは返事してから、机の上にルービックキューブを置いた。
ふとそれに目をやると……
「!」
なんと6つの面が全て、同じ色に揃えられていた。
「 ── ほんじゃ、まっ……行こうか」
そう言ってボクと目を合わせ、静かに微笑んだ狼城くんから……凄まじい威圧感が放たれた。
「っ……!」
どうやら……彼もスイッチが入ったみたいだ。
「手加減はしねーぜ?」
「……望むところだよ」
ゴクッと
今回も今までと同じく……いや、下手したら今まで以上に厳しい闘いになるのは間違いないね……!
『 ── 第1試合の熱気がまだ冷めやらぬ中ではあるが、いよいよ第2試合の時間だッ!! これが本日最後の試合! みんなその高まった熱量を、次の闘いにも存分に注いでくれッ!! それでは! 選手入場ォォーッ!!』
始まったか……。いつもの流れで、スモークがゲートの周りを覆い尽くしたのを合図として、ボクは場内へ踏み
『まず現れたのは、今年の4強の中で唯一の2年生!!
おぉ、スゴい歓声。正直カナメと九頭竜くんの試合に比べたら、盛り上がりは
(……カナメもどこかで観てるのかな?)
お礼の意味を込めて観客席に手を振りながら
『だが! そんなスーパールーキーの前に、最後の
── 不敵な笑みを浮かべる狼城くんが、スラリとした長い
やがて舞台に上がった狼城くんは、ボクと向き合うと何故か小さく笑った。
「ハハッ、『最後の難関』だってよセツナ君。……イイねぇ、一度言ってみたかったセリフがあんだ」
狼城くんは、シックなデザインが渋い、グレータイプのデュエルディスクを左腕に装着して起動させた
「 ── ここを通りたけりゃあ、オレを倒してからにしなッ!」
「……!」
彼の勝ち気な言葉で、ボクの闘争心にも火が
「通らせてもらうよ、狼城くん!」
『さぁ両選手、共にいつでも
「「
セツナ
「ボクの
【デビル・ドラゴン】攻撃力 1500
「さらに【ラヴァ・ドラゴン】を通常召喚!」
【ラヴァ・ドラゴン】攻撃力 1600
(あとは次のターンで2体をリリースして……手札の【ホーリー・ナイト】を召喚だ!)
「カードを1枚伏せて、ターン
「オレのターン! 【
【魔道化リジョン】攻撃力 1300
……狼城くんのデッキは、モンスターが魔法使い族のみで統一された、
とりあえず一番警戒すべきなのは……やっぱり【大逆転クイズ】だね。あのカードは本当におっかない。
「 ── 【魔道化リジョン】の効果で、オレはこのターン……魔法使い族をもう1体、アドバンス召喚で場に出せる」
「っ!」
しまった、先を越されたか!?
「【リジョン】をリリース! 上級
【ミュータント・ハイブレイン】攻撃力 0
「………えっ?」
(攻撃力1300のモンスターをリリースして召喚したのが……【ハイブレイン】……? 攻撃力
……いや……あのモンスターから感じる、ただならない
わざわざこの局面で出してきたんだ、きっと何かある……!
「墓地に送られた【リジョン】の効果で、オレはデッキから ── 【コスモクイーン】を手札に加えるぜ」
「!!」
【コスモクイーン】……! マキちゃんとの
これはちょっと、開始2ターン目にして雲行きが怪しくなってきたかも……
「さてと……行くぜセツナ君。 ── バトル!」
(っ! 来るっ!?)
「【ハイブレイン】の攻撃! 『テレキネシス・ハンド・フォース』!」
【ミュータント・ハイブレイン】は、
「【
『ハンド・フォース』が【ラヴァ・ドラゴン】の頭部を掴んで捕らえる。
すると【ラヴァ・ドラゴン】は、その手に身体を無理やり動かされて、【デビル・ドラゴン】の方へと向かされた。
「なっ……!?」
「【ラヴァ・ドラゴン】で【デビル・ドラゴン】を攻撃!」
【デビル・ドラゴン】は味方からの攻撃を受けて、倒れてしまう。
「くっ!」
セツナ LP 4000 → 3900
「安心しな。バトルフェイズが終われば、コントロールはオマエに戻るぜ」
「っ……ボクのモンスター同士で闘わせるなんて……いきなりトリッキーな
そう言えばトーナメント1回戦で、
「誉め言葉と受け取ってやんよ。……おっと、忘れずに
『早くもアゲマキ選手に100ポイントのダメージ! たかが100、されど100! この差が
実況さんの言葉はごもっともだ。ボクは改めて気を引き締める。
「ボクのターン、ドロー!」
(攻撃力
「行くよ狼城くん! 【ラヴァ・ドラゴン】で、【ハイブレイン】を攻撃!」
【ラヴァ・ドラゴン】が燃え盛る
「まっ、そう来るわな。
「あっ!?」
【ハイブレイン】が裏側表示でセットされた事で姿を消す。
攻撃は止められず、そのままダメージステップに突入。攻撃対象となっていた【ハイブレイン】は、再び表側表示になった。今度は守備で。
【ミュータント・ハイブレイン】守備力 2500
【ラヴァ・ドラゴン】の攻撃は、【ハイブレイン】が張ったバリアに弾かれてしまう。
「うぐっ……!」
セツナ LP 3900 → 3000
「攻撃力
(やられた……!)
「おーい何やってんだぁーっ!」
「しっかりしろぉーっ!」
「何の用意もせず攻め込むなよーっ!」
『アゲマキ選手、立て続けに二度目のダメージ! これには観客もブーイングだぁーっ!』
うっ、情けないところを見せて申し訳ない……
「ほらほらどうしたセツナ君よぉ? そんなんじゃカナメに追いつけねーぜ?」
(……落ち着け、ボク。……うん、大丈夫)
「
ボクのモンスターが1体だけなら、【ハイブレイン】も攻撃はできない。ひとまずはこれで様子見かな。
「よし、ボクはターンを終了するよ」
「………」
(リバースカードが2枚か……まぁ一応確認しとくかね)
「ちょい待ち、オレぁエンドフェイズに
「えっ……?」
ディスクのスイッチは何も押してないのに、ボクの魔法・
狼城 LP 4000 → 3500
「ちょ、ちょっとぉ!?」
「ほれ、早く手札も見せなって」
「っ………」
こっちのモンスターを操るだけに飽き足らず、手札と伏せカードを覗き見してくるなんて……
仕方ない……ボクは
手札は【ホーリー・ナイト・ドラゴン】と【ヤマタノ
そして伏せカードは、
「ふむふむ、ほぉ~? 手札はとりま、【ホーリー・ナイト】を警戒しときゃ良いとして……【副作用?】たぁ、またマイナーなカード入れてんねぇ~。まぁオレがドローできんのはありがてぇから、いつでも使ってくれて良いぜ。 ── それよか【-ミラーメール-】は地味に邪魔だな。さて、どーすっか……」
(うぅ……手の内を見られるのって、なんかスゴく恥ずかしいな……)
「……決めたぜ」
「!」
「オレのターン、まずはカードを1枚セット! そんで ── 【闇・道化師のサギー】召喚!」
【闇・道化師のサギー】攻撃力 600
── ! あのモンスターは知ってる……
けど、攻撃力では【ラヴァ・ドラゴン】の方が
「さらに手札から魔法発動。【精神
「!」
「
またもや【ラヴァ・ドラゴン】のコントロールを、狼城くんに
「ま、またボクのモンスターを……! て言うか狼城くん、さっきからこっちのカード勝手に触り過ぎじゃない!?」
「立派な戦術と言ってほしいねぇ。何にせよ、これでオマエの場はガラ空きだ。モンスターがいねぇんじゃあ、【-ミラーメール-】も使い道ねぇよなぁ?」
「くっ……」
「バトルだ、【サギー】で
【サギー】は闇のエネルギーを圧縮させた球体で、ボクを攻撃した。
「ぐあっ……!」
セツナ LP 3000 → 2400
マズイ……ボクのライフが
「続けて【ラヴァ・ドラゴン】でダイレクトアタック! ……と、行きてぇとこだが……残念ながら【精神操作】で奪ったモンスターは攻撃できねぇ。オレぁターンエンドするぜ」
エンドフェイズで【精神操作】の効果は切れ、【ラヴァ・ドラゴン】は無事にボクの場へ帰ってきた。二度もフィールドを往復させられて本当お疲れさま……
にしてもヤバいな……狼城くんの場にはモンスターが2体
「ボクのターン!」
(さっきは失敗したけど、今度こそ!)
「バトル! 【ラヴァ・ドラゴン】、【闇・道化師のサギー】を攻撃だ!」
「 ── くくっ」
【ラヴァ・ドラゴン】の発射した溶岩が【サギー】に迫る。
「残念だね、セツナ君」
「!」
ところが ── 攻撃が当たる寸前、【サギー】の姿が一瞬にしてフィールド上から消え去った。
(なっ……消えた!?)
「
「じ、時間移動だって……!?」
「時間移動した【サギー】にダメージは与えらんねぇ。【コスモクイーン】の召喚を
「っ……ボクは、モンスターをセットして、ターンエンド……!」
「あーあ。結局2体とも残っちまったなぁ?」
「くぅ……」
「ほんじゃ、オレのターンだ。このスタンバイフェイズで、さっき除外した【サギー】が戻ってくる」
【闇・道化師のサギー】攻撃力 600
一足先に狼城くんのターンへタイムスリップしていた【サギー】が、フィールドに帰還するや否や ──
『キャハハハハッ★ キャハッ★ キャハハハハッ★ ハハハ★』
ボクを指差して高い声でケラケラと
「さぁ……ショータイムだ。 ── 【ハイブレイン】と【サギー】をリリース! 【コスモクイーン】をアドバンス召喚ッ!!」
【コスモクイーン】攻撃力 2900
『出たァァーッ!! 狼城選手のエース・【コスモクイーン】!!』
とうとう切り札を出されちゃったか……でも、こっちの場には【-ミラーメール-】が伏せてあるのは狼城くんも分かってる筈。
「【コスモクイーン】で攻撃 ── の前に……手札より速攻魔法発動! 【
「!!」
突然、無数の矢の雨が降り注いできて、ボクの伏せカード2枚を串刺しにした。
これじゃ発動できないっ……!
「おやおや……よっぽど重要なカードだったかな?」
「ぐっ……よく言うよ、知ってたくせに……!」
「くくくっ、これで安心して攻撃できるな。 ── 【コスモクイーン】! 【ラヴァ・ドラゴン】を攻撃しろ! 『コズミック・ノヴァ』!!」
宇宙を統べる女王は、巨大で黒いエネルギーの塊を【ラヴァ・ドラゴン】にぶつけ、一撃で粉砕する。
「うわぁぁぁっ!!」
セツナ LP 2400 → 1100
(つっ……強い!)
『【コスモクイーン】の強烈な攻撃が決まったァァーッ!! どうしたことか!? あのアゲマキ選手が、まるで歯が立たないっ! 一方、狼城選手はアゲマキ選手の攻撃をヒラリと
「相手が悪かったなぁ、セツナ君。どうする? 諦めてサレンダーするってんなら、認めるぜ?」
「……あいにく、ボクの辞書に『サレンダー』とか『諦める』って文字は無くてね!」
そうだ、ここまで来て負けられない。
今が正念場だ ── 意を決してボクは、メガネを外す。
集中モードに切り替わり、自分の身体から闘気が
「っ!! ……ハハッ、こりゃスゲぇ……カナメが
「ボクのターン……ドローッ! ── ボクは【ヤマタノ
【ヤマタノ
「さらに手札から
「ここに来て手札増強か……持ってんねぇ」
「……ボクはカードを1枚伏せて、ターンエンド」
「なんでぇ、本気モードになったって割りにゃあ、そんだけか? オレのターン、ドロー」
(……このターンで攻撃すりゃ、オレの勝ちだが……あの3枚目の伏せカードが
「どうしたの狼城くん? ボクはこの通り、丸腰だよ?」
言いながら、わざとらしく両手を広げて、ボクは狼城くんを
「……ハッ、このオレを挑発するたぁ良い度胸してんじゃねーの。……オーケー、乗ってやんよ。【コスモクイーン】でダイレクトアタック!」
- コズミック・ノヴァ!! -
来たね……! 【コスモクイーン】の攻撃力は、2900。ボクのライフは残り1100。
伏せカードの1枚 ── 【副作用?】で回復して持ち
「 ──
引いたカードは……やった!
「そのカードがモンスターだった時、攻撃表示で通常召喚できる! ドローしたのは、【ミンゲイドラゴン】! 召喚!」
【ミンゲイドラゴン】攻撃力 400
「ケッ、何が丸腰だよ。つーか、つくづく悪運の
「ボクのターン!」
【ミンゲイドラゴン】が来てくれたのは本当にラッキーだった。おかげで前のターンに引き当てた、このモンスターが出せる!
「【ミンゲイドラゴン】を自身の効果で、モンスター2体分としてリリース! 【ラビードラゴン】をアドバンス召喚!!」
ウサギに似た長い耳と白い体毛を持ったドラゴンがフィールドに着地する。
【ラビードラゴン】攻撃力 2950
「バトル! 【コスモクイーン】を攻撃!!」
- ホワイト・ラピッド・ストリーム!! -
【ラビードラゴン】は口から光線を放ち、【コスモクイーン】を撃破した。
「チッ……!」
狼城 LP 3500 → 3450
「やっとダメージが
「……やってくれんじゃん」
さぁ、ここから反撃開始だ!
今回のタイトルは、2014年に公開された映画・『ピエロがお前を嘲笑う』から引用させていただきました。
【マインド・ハック】も、それにちなんで使わせました。