遊戯王 INNOCENCE - Si Vis Pacem Para Bellum - 作:箱庭の猫
選抜デュエル大会編も、いよいよ決勝戦!!
でも、その前に……
デュエルアカデミア・ジャルダン校が、毎年
その本選となる決勝トーナメント── アリーナ・カップの
なにせこれは2年前…… 当時まだ1年生でありながら、
加えて、そんなセツナを決勝にて待ち受けるのが、その二人の内の一人── 鷹山 要だと言うのだから、期待値が最高潮に達した観客達に、眠れぬ夜を過ごさせたのも無理からぬ話というもの。
── そして準決勝から
学園の高等部に在籍する生徒達の中から、総勢500人超が
ついに
今年の大会期間中は連日
そんな大
「………」
長く伸びた茶髪を無造作に下ろしたその青年の名は──
カナメやセツナらと同じく、今年のアリーナ・カップに出場していた選手であり、学年は3年生。
去年、
しかし、宿願を果たした喜びも束の間……
満を持して臨んだ1回戦・第1試合において、カナメに圧倒的な才能の差を見せつけられた挙げ句、あからさまに手を抜いたプレイングで、オモチャ同然に
彼にとって一度きりだったアリーナ・カップは、初戦敗退という無念の結果を残し、
「総角 刹那…… 初出場で決勝か…… ははっ、スゲぇな…… 俺みたいな凡人とは、大違いだ……」
乾いた声で笑い、
自分が六年も前から出場を
それどころか決勝戦にまで勝ち登り、あの鷹山 要と優勝を巡って決戦する……
もはや大間には嫉妬心など通り越して、眩しく思えてくる存在だ。
「……こんなところで何を
不意に大間の背中に、男の声がかけられる。
それを聞き取った大間は驚くでもなく、むしろこの声の主を待っていたとばかりに目を閉じた後、ゆっくりと後ろへ向き直り、話しかけてきた男の名を呼んだ。
「……おう、
大間と対面したのは、深緑色の短髪をセンター分けにし、メタルフレームのオーバル型メガネをかけた理知的な男子生徒──
大間とは同級生で、彼もまたアリーナ・カップ出場選手の一人だった。
九頭竜に敗れて大間同様、1回戦で敗退しているが、
壬生はメガネのブリッジを人差し指でクイッと上げ、レンズ越しに切れ長の目で大間を見据えると喋り始める。
「ふん…… なんだその姿は? ずいぶんとみすぼらしくなったものだな、大間。まるで
「ははっ…… そうかもな。……落武者か…… 今の俺にはピッタリな言葉だぜ……」
普段は長髪を後頭部でひとつに
おまけに前髪の隙間から覗く目は、死んだ魚の様に
本選初日までの、
(……あの目は見覚えがある…… 鷹山 要に負けて心を折られた者は、
……期せずして、両者ともに沈黙する。
二人の周囲に他の人影は無く、冷たい風の吹く音だけが、ルーフバルコニーに虚しく響く中……
── 先に大間が、重い
「………壬生…… お前にだけは、言っておこうと思ってな」
「ん?」
そう話を切り出した数秒後── 大間は衝撃的な一言を口にする。
「……俺さ…… ──
「っ……!?」
突然、
「なんか…… もう分かっちまった…… 俺みたいな凡人が、どれだけ努力しても…… 才能には勝てっこねぇんだって……」
「………」
「あとで校長に退学届け出して、街も早めに出て実家に帰るつもりだよ…… すまねぇな、壬生…… こんな形で、お別れになっちまって……」
「ふぅ…… 何を言い出すかと思えば…… よほど鷹山に負けたのが
「あぁ…… 正直、自分でも驚いてるよ」
大間は再び壬生に背を向け、組んだ腕をバルコニーのフェンスに乗せてから話しを続ける。
「ずっと…… 憧れの
「………」
「結局どんなに努力したって、才能が無きゃ報われない…… それが現実だよ。
らしくもない後ろ向きな言葉ばかりが大間の口を
あの試合で
── だが……
ここで壬生が『ある事』に気づき、大間へひとつの疑問を投げ掛ける。
「……そう言いながら
「!!」
壬生の言う通り── 大間は腰のベルトに提げている革製のケースに、デッキを収納し携帯していた。
「退学届けを出すだけならば、デッキなど必要ない筈だ。
「………っ」
「全く…… つくづく呆れた奴だ」
ここで壬生は
「おい。こちらを向け、大間」
「……?」
言われるがまま大間が振り返ると、壬生は左腕にデュエルディスクを装着し、デッキを差し込んでいた。
「みっ、壬生? 何を……!」
「貴様もさっさと構えろ。大方、その足下のカバンには、デュエルディスクも入れてあるのだろう?」
「っ!」
「本気で退学すると言うのなら止めはしない。貴様の人生だからな。── だが、ならば最後に…… 私と闘えっ!!」
「……!」
「貴様との腐れ縁に、この
「っ…… だけど俺は、もう……!」
「問答無用!!」
「!?」
「行くぞ大間っ! ──
壬生
大間がディスクを準備するのも待たず、壬生は一方的に
「ま、待ってくれ壬生っ! 俺は……!」
「私のターン! 私は
【ストール】、【シトラ】の順に、手札からデッキの上にカードが差し込まれる。
一見、次に引くカードを相手に教えてしまうデメリットに思えるが……
この行為が何を意味するか── 壬生と
「さらに手札から、【森羅の
【森羅の
「このモンスターを召喚した時、デッキの一番上のカードをめくり、それが植物族モンスターだった場合、墓地へ送る!」
「……! 今、壬生のデッキの一番上にあるカードは確か……!」
「そう── 【森羅の蜜柑子 シトラ】だ。このカードは植物族モンスター。よって墓地に送る。そしてこの瞬間、【シトラ】の効果を発動! このモンスターがデッキからめくられ、墓地に送られた場合、私の場の植物族モンスターの攻撃力・守備力を、300アップする!」
【森羅の花卉士 ナルサス】攻撃力 1800 + 300 = 2100 守備力 1000 + 300 = 1300
(くっ…… いきなり攻撃力2000越えのモンスターが出てきやがった……!)
デッキの一番上にあるカードを、めくる効果をトリガーとして、真価を発揮する──
これこそ壬生の操る、【森羅】デッキの真骨頂。
独特かつテクニカルな戦術性の為、使いこなすにはそれなりの技量が求められるが……
秀才
「私はカードを3枚伏せ、ターン
「っ……」
(やるしかねぇのか…… でも……!)
辞めると決めた
「聞こえなかったのか? 貴様のターンだと言っている。まさかデッキとディスクを持ってデュエルアカデミアの地を踏んでいながら、挑まれた
「そ、そんなこと言われてもよ……」
「ふん……
「っ!!」
壬生のぶつけた挑発的な言葉は、大間にアリーナ・カップでカナメから味わわされた、屈辱の記憶をフラッシュバックさせた。
「……あぁ、くそっ、分かったよっ……! そこまで言うんだったら──
逆上した大間は、ついにカバンの中からデュエルディスクを引っ張り出し、左腕に取り付けてデッキをセットし、起動する。
「俺のターン…… ドローっ!」
大間
「俺は【
【漆黒の戦士 ワーウルフ】攻撃力 1600
「さらに【
【ワーウルフ】の得物が赤い
【漆黒の戦士 ワーウルフ】攻撃力 1600 + 1000 = 2600
「これで【ナルサス】の攻撃力を上回ったぜ!」
「………」
「バトル! 【ワーウルフ】で【ナルサス】を攻撃っ!」
(── チッ、なんと単調な攻撃だ、バカ者め……!)
「
「なっ!?」
ところが竜巻に斧を吹き飛ばされた事で、【ワーウルフ】の攻撃力は元に戻り、【ナルサス】より下回った。
【漆黒の戦士 ワーウルフ】攻撃力 2600 → 1600
「【ナルサス】! 【ワーウルフ】を
武器を失い
「ぐわっ……!」
大間 LP 4000 → 3500
「……どういうつもりだ、大間?」
「えっ……?」
「【漆黒の戦士 ワーウルフ】には、バトルフェイズ中の
「あっ……!」
壬生の鋭い指摘で自分が
(ちくしょう…… 【ワーウルフ】の効果を忘れるなんて、どうかしてたぜ……)
「くっ…… 俺は、カードを1枚伏せて、ターンエンド……」
「ならばエンドフェイズに永続
「!」
「そして私のターン! 【滝滑り】の効果により、カードをめくる! ── めくったカードは植物族モンスター・【森羅の影胞子 ストール】! このカードを墓地へ送り、そのモンスター効果を発動! 貴様の
「うわっ!?」
(しまった、【グレイモヤ】が……!)
「……【万能地雷グレイモヤ】か。前のターンに私が【ストール】をデッキに仕込んでいた事は、貴様も承知していた筈だ。だと言うのにみすみす
「っ……!」
(お、俺は…… また凡ミスを……!)
「バトルだ! 【ナルサス】で
「うわぁぁぁっ!!」
大間 LP 3500 → 1400
「私はターンを終了する」
「ぐっ…… 俺の…… ターン……!」
(っ…… 思考が、まとまらねぇ……! 俺は今まで、どうやって
大間は視界が
「俺は…… 【漆黒の
【漆黒の豹戦士パンサーウォリアー】攻撃力 2000
「……良いのか? それで?」
「なにっ……!?」
「攻撃力では【ナルサス】に劣る上、自分のモンスターをリリースしなければ攻撃自体できない【パンサーウォリアー】を、この局面で召喚したのには何か狙いがあるのだろうな?」
「うっ……!」
とにかく何かモンスターを召喚しなければという
(ど、どうする……!? 何か手を…… ── っ!)
「て、手札から、【一時休戦】を発動だ!」
「……互いにドローし、一時的にダメージを防ぐ魔法か。ならばチェーンして
壬生は3枚の確認を済ませると、順番を入れ替えてデッキの上に戻した。その後【一時休戦】の効果で、互いに1枚カードを引く。
「……ターン、エンドだ……」
運よく【一時休戦】が手札にあったおかげで次のダメージは
「………貴様っ……!」
見るからに精細に欠けるプレイングを続ける大間に対し、壬生は
「このっ…… 大バカ者がぁっ!!」
「っ!?」
とうとう、激昂した。
「私のターン! 今から貴様の不甲斐なさを思い知らせてやるっ! 【森羅の滝滑り】の効果で私はデッキから── 【森羅の
「── !? そ、そんなカード、いつの間に手札に……!」
「貴様が引かせたのだっ! 【一時休戦】の効果でなっ!」
(っ!)
「現れよっ! 【森羅の賢樹 シャーマン】!!」
【森羅の賢樹 シャーマン】攻撃力 2600
「それだけではない! デッキからめくり墓地に送った、【リーフ】の効果も発動する! 【パンサーウォリアー】を破壊!」
「ぐあっ!? 【パンサーウォリアー】……っ!」
「……もし前のターンで【一時休戦】が手札に無ければ、この時点で貴様の敗北は確定していた……」
「……!」
「貴様がこんな
「うっ…… あっ……」
自分の浅はかさを痛感させられた大間は、両の
「くそっ…… ちくしょうっ……! やっぱりダメなんだ…… 俺はもう…… 闘えない……! 俺は
「………」
無力感に
……すると、そんな大間の痛ましい姿を
「………大間。去年の私の選抜試験の戦績を覚えているか?」
「── アリーナ・カップ、初戦敗退だ。相手は鷹山 要。3日前の貴様と、全く同じだった」
奇しくも大間と同じ相手に、同じ1回戦で敗北を喫していたと話す壬生。続けて彼は、こう語る──
「私も今の貴様の様に、屈辱と絶望を味わい、打ちひしがれた。だが…… 去年の予選の決勝で鷹山に敗れても尚、諦めず努力を続ける貴様を見て思ったのだ。── こいつには負けられない、とな」
「……!」
「私は…… 私には無い『努力の才能』を持っていた貴様を…… 尊敬していたのだっ……!」
「!?」
それは大間の知る限りで、最も意外な相手からの、全く予想だにしない言葉だった。大間は驚いた目で壬生を見上げる。
(壬生っ……! お前が…… 俺にそんな事を言うなんて……!)
「そんな貴様が今、私の目の前で…… 去年の私の様に全てを投げ出そうとしている……! 私にはそれが
ずっと内に秘めていた本心を明かしていくに連れて、壬生の
── 会った当初は、ただの単細胞だと見
だが…… 周りの同級生達が、
格付けなどに囚われず
どれだけ高い壁が立ちはだかろうと、例え他人からなんと言われようと、自分を信じて夢に向かって
人並み外れた熱量と努力量で、
だからこそ今──
道
「いつか貴様は私に言ったな? 『バカだろうと凡人だろうと、
「!!」
付き合いは長いが価値観の
そんな壬生の
「っ…… 俺は…… 俺はっ……!」
大間は握り拳を震わせ、奥歯を噛み締めると、
そうして、あらん限りの力を振り絞って立ち上がった直後──
「── うおおおおおおおぁあああああああっっ!!!」
「!?」
突如、
「っ!!」
今度は固めていた拳で、自分の顔を本気で殴った。
「……はぁ…… はぁ……」
「………」
再び大間の首が、ガクリと前に倒れる。
次いで大間は上着のポケットからヘアゴムを取り出し、髪を頭の後ろに
「フゥー……… ── うしっ!」
気合いの入った
「──
「……フッ…… そうだ、その眼だ大間」
「さぁ行くぜ! こっからが本当の勝負だッ!!」
「良いだろう──
【森羅の影胞子 ストール】守備力 2000
「これで私はターンエンドだ! さぁ来い! 大間!」
「おうよっ! 俺のターン…… ドローッ!」
壬生に活を入れられ
迷いが吹っ切れた事で脳内にかかっていたモヤはすっかり消散し、クリアになった思考を目の前の
「俺の引いたカードは── 【手札抹殺】! お互いに手札を全て捨て、その枚数だけドローする!」
「むっ……! 私は1枚だ」
(── ! ほぉ、ここでこのカードが来るか)
「俺は3枚捨てて、3枚ドロー!」
(よし、来たぜ!)
「手札から【思い出のブランコ】を発動! 1ターンのみ、墓地の通常モンスターを特殊召喚できる! 俺が召喚するのは、たった今【手札抹殺】で墓地に送った── 【千年原人】だっ!!」
【千年原人】攻撃力 2750
「バトル! 【千年原人】で【シャーマン】を攻撃ッ!」
- ギガ・クラッシャー!! -
【千年原人】は背負っていた巨大な斧を
「くっ!」
壬生 LP 4000 → 3850
「っしゃあッ!! 決まったぜッ!」
「……フッ…… やってくれたな」
「俺はカードを2枚伏せて、ターンエンド! この瞬間、【千年原人】は墓地に戻る!」
「やっといつもの貴様に戻れた様だな。これでようやく、まともな
【森羅】モンスター以外をめくった場合は、実質ドローカードを相手に公開するだけとなり、情報アドバンテージを与えてしまうのが【森羅の滝滑り】の欠点だが── 今回は見せても問題にならないどころか、むしろ壬生からすれば好都合なカードを引けた様だ。
「【魔導書整理】発動! デッキの上のカード3枚を確認! その後、順番を入れ替えて戻す!」
壬生は続けて3枚めくると── 小さく笑みを
「フフッ…… 感謝するぞ、大間」
「ん?」
「貴様が【手札抹殺】を使ってくれたおかげで…… 私のデッキの最強のカードが、手札に舞い込んだのだからな!」
「なにっ!?」
「見せてやる……! 私はフィールドの【ナルサス】と【ストール】をリリースし── 【森羅の
壬生の背後に、
根元にしめ縄を巻き付けた極太の
【森羅の仙樹 レギア】攻撃力 2700
「レ、レベル8……! 【森羅】の最上級モンスターかっ……!」
「【レギア】の効果発動! 自分のメインフェイズに一度、デッキの一番上をめくる! そのカードが植物族ならば墓地へ送り、1枚ドローできる!」
「っ! そうか、この為にさっき、【魔導書整理】を……!」
「その通りだ。私は『運』などという不確定要素には頼らない! 私がめくるカードは── 【森羅の番人 オーク】! このモンスターを墓地へ送り、1枚ドロー! そして【オーク】の効果も発動させる! 墓地より植物族モンスター1体を、デッキの一番上に置く事ができる! 私は【シャーマン】を置く!」
(これで次の私のターン、【滝滑り】で【シャーマン】を墓地に送り、その効果で墓地から【森羅の施し】を回収する!)
「さて、準備は整った…… あとは攻撃するのみだ。── この一撃を受け切れるか大間っ!!」
壬生が右手を高く掲げた途端、【レギア】の額の
直後、ユラユラと宙を舞う葉が一枚、また一枚と発火し始め、やがて葉は全て火の玉と化した。
(来るっ……!)
「バトルだ…… 【レギア】でプレイヤーにダイレクトアタック!」
そして── 壬生は真上に伸ばしていた右手の人差し指と中指を、大間に差し向けた。
「食らえっ!!」
- シルバン・バレッジ!! -
その動作を合図に、大量の火の玉が一斉に大間へと飛来する。
(さぁ、どう出る大間!)
「──
「!?」
ところが火の玉は、空間に浮かび上がった透明な障壁に
さらには壁面に着弾した
「この戦闘で俺が受けるダメージを、そっくりそのままお前にお返しするぜッ!」
次の瞬間、壬生の頭上に新たな障壁が出現し、そこから先ほど吸収した火の玉の雨が降り注いだ。
「ぐおおおおおおっ!!?」
壬生 LP 3850 → 1150
(ぐっ……! 私とした事が…… まさかこれほどのダメージを受けるとはっ……!)
「……フッ、大間に偉そうな口を利いておきながら、私もまだまだと言うわけか…… だが次のターンこそトドメを刺してやる! ターンエンドだ!」
「………俺のターンだな」
(手札とモンスターは
何の因果か。アリーナ・カップでカナメと
(いや── 試されてんのかな…… あん時、俺は…… やっぱ鷹山には勝てねぇのかもって、途中で諦めそうになってた……
ディスクに差し込んだ愛用のデッキを見つめ、大間は一番上のカードに指先で触れる。
(だけど…… もう
「俺はこの引きにっ!
「……!」
「行くぜ…… っ! ── ドロォォーッ!!」
あの時と同じく、デッキに命運を
── そして、ドローしたカードを視界の端で捉えると……
大間は── 嬉しそうに
「ありがとう…… 俺のデッキ」
「!」
「俺は── 【不屈闘士レイレイ】を召喚ッ!!」
【不屈闘士レイレイ】攻撃力 2300
大間がこの土壇場で引き当てたのは、彼が昔から〝相棒〟と呼び、最も信頼するフェイバリットカードだった。
「……壬生。お前は俺を尊敬してたって言ってくれたよな? 俺も、お前の事を…… ずっとスゲー奴だって思ってたんだ」
「……!」
「俺ってバカだからよ…… お前みたいに頭使った、計算ずくの
「なに?」
「バトルだっ! 【レイレイ】で、【森羅の仙樹 レギア】を攻撃ッ!」
「攻撃だとっ!? バカな…… 攻撃力では【レギア】の方が上── っ!?」
そこまで言いかけた途端、壬生の脳裏に
(そうだ、確かあの時、大間は──)
「貴様…… まさかっ!?」
「あぁ、そのまさかさッ! リバースカード・オープン!
「っ!」
「俺の場のモンスターが1体だけの時、その攻撃力を、相手フィールドで一番攻撃力が低いモンスターの、攻撃力分アップする!!」
(まずいっ……! 伏せカードの【森羅の恵み】は、手札コストが無ければ発動できないっ……!)
【不屈闘士レイレイ】攻撃力 2300 + 2700 = 5000
「攻撃力…… 5000だと……!?」
「俺はもう、一歩も引かないッ!! これが俺の
- ダイナミック・インファイト!! -
【レイレイ】は固く握り締めた鉄拳で、【レギア】の額に光る
「いっけぇぇぇぇえええええっ!!!」
『おぉおおおおおおおっっ!!!』
大間が張り上げた声に、【レイレイ】も最大限の声量で呼応する。
そして、渾身の力で叩き込まれた【レイレイ】の
額の玉に亀裂を走らせ、そのまま巨木もろとも、粉々に打ち砕いた。
「ぐっ…… うおおおおおおおっ!?」
壬生 LP 0
「かっ…… 勝った……! ── おっしゃあああああっ!!」
勝利の喜びを両手のガッツポーズで体現する大間。
一方、壬生はメガネを指で押し上げつつ、大間に歩み寄る。
「……私の負けだ。見事な
「へへっ、お前もまた一段と強くなったよな、壬生。……っと、そうだ」
ふと自分のカバンから、一封の白い封筒を取り出した大間。表紙には『退学届け』と縦書きされている。
「こいつはもう……
それを大間は、なんら迷う事なく破り捨てた。
「………」
風に乗って青空へ飛び去っていく
「良かったのか?」
「あぁ…… お前のおかげで、自分の本音に素直になれた気がするよ。── やっぱり俺、まだ
「ふん、そうだろうと思っていたさ。でなければ私の挑発に乗るわけもない。── 貴様が
「ははっ、面倒かけちまってすまねぇな」
いつもの快活な性格に戻れた大間は、壬生と肩を組んで足取りも
「行こうぜ! 決勝戦を見届けによ!」
「あぁ」
「そんで終わったら世話かけた礼に、なんか奢らせてくれや」
「では2番街にある三ツ星レストランの高級フレンチを頂こうか」
「……わ、
「フッ…… 冗談だ。それより貴様はまず、保健室で
かくして、ひとりの若者が
そしてこの
── ついにアリーナ・カップの頂上決戦が、幕を開ける!
大間って『努力の天才』なところが、ナルトのロック・リーっぽいなと思ったので、主にリーを参考にして今回は書かせていただきました。
ちなみに作者がナルトで一番好きなキャラも、リーです。カッコいいし面白いし努力家なの憧れるし、声も良い!
いつか大間の努力がカナメの才能を上回る日が来るかも……?