遊戯王 INNOCENCE - Si Vis Pacem Para Bellum - 作:箱庭の猫
たたた、大変お待たせしましたぁーっ!!
今回のデュエルは決着まで書き切ってから、まとめて投稿したかったので、前編・中編・後編と3話に分けて書いていたら相当な時間がかかってしまいました……!
その分、我ながらファイナルに見合う内容にはできたかも知れないと自負しております、お楽しみいただければ幸いです!
『アリーナ・カップ決勝戦!!
カナメみたいな格上の相手に対して、下手に出方をうかがおうと受け身に回っても、主導権を先取りされちゃうだけだ。
だから今回はあいさつがてら、ボクのデッキで最強の
「君のターンだよ、カナメ」
最後に魔法・
するとカナメは、両手をパチパチと軽く打ち鳴らした。
「お見事。狙ったカードを1枚目で、しかも見ずに引き当てるとはな。デッキと心が真に通じ合ってなければ、できない芸当だ」
「……カナメに誉めてもらえるなら、素直に嬉しいよ」
『さぁ開始早々、
「俺のターン、ドロー。……さて、全力で闘う約束だったな。早速おもしろいものを見せてもらった礼だ…… ── こちらも、最初から本気で行くぞ」
「……!!」
カナメの放つ闘気が、より一層迫力を増した。
(すごい気迫……! 前回も凄まじかったけど、あの時とは段違いだ……!)
「手札より、フィールド魔法・【真帝王領域】を発動する」
「!」
カナメってフィールド魔法も使うのか。いったいどんな効果を持ったカードなんだろう?
「そして【ゾルガ】を召喚」
【ゾルガ】攻撃力 1700
「さらに魔法カード・【
……これは、早くもレベル6の【帝】をアドバンス召喚してくる流れかな……!
「【真帝王領域】の効果を発動。1ターンに一度、自分のメインフェイズに、手札の攻撃力2800、守備力1000のモンスター1体のレベルを、ターン終了時まで2つ下げる。俺が下げるのはレベル8の…… 【
「っ!!」
(あのモンスターは……!)
「これでレベルが6となり、リリース1体での召喚が可能となった。俺は【ゾルガ】をリリースし、【爆炎帝テスタロス】をアドバンス召喚」
【爆炎帝テスタロス】攻撃力 2800
「……久しぶりだね、【テスタロス】……!」
前回の
ボクにとってはまさしく、
「アドバンス召喚のために【ゾルガ】をリリースしたことで、俺はライフを2000回復する」
カナメ LP 4000 → 6000
「ライフ6000……!」
「続けて【テスタロス】の効果発動。アドバンス召喚に成功した時、相手の手札を確認し、1枚を選んで墓地に捨てさせる。もっともお前の手札は、すでにその1枚のみだがな」
手札はモンスターカードの【フェアリー・ドラゴン】…… 墓地に送られたら、さらに【テスタロス】の効果で、レベル × 200ポイントのダメージを受けてしまう。
「悪いけど、二度も同じ手は食わないよ!
【爆炎帝テスタロス】守備力 1000
「ほう…… まぁこれくらいは止められるようでなければ、張り合いがない。俺はカードを1枚伏せ、ターン
「ふぅ……」
無事カナメのターンを乗り切れたことに安堵して、ボクは胸を撫で下ろす。
ある程度は予測してたけど、いきなり最上級の【帝】が出てくるなんてヒヤヒヤしたよ。
「……フフッ」
「? なにがおかしい」
「いや、本当にボクに本気になってくれてるんだなって分かって、嬉しいんだよ」
「フッ、そうしろと言ったのはお前だろう? この俺に本気を出させるからには…… 簡単に潰れてくれるなよ?」
「っ……! ……善処するよ、ボクのターン! 【フェアリー・ドラゴン】召喚!」
【フェアリー・ドラゴン】攻撃力 1100
「
「!?」
「相手フィールドのカードが3枚の時に発動し、3つの効果から1つを選択して適用する。俺が使うのは1つ目の効果だ。このターン、俺のモンスターは戦闘で破壊されない」
【テスタロス】の周りに、
「【テスタロス】は守備モンスター。攻撃したところで俺のライフは無傷だ、残念だな」
「ぐっ…… 【もの忘れ】の効果を
「俺のターン、ドロー。── 手札より魔法カード・【
【爆炎帝テスタロス】攻撃力 2800
「さて…… 俺の反撃だ」
「っ……!」
「バトル。【テスタロス】で── 【ラビードラゴン】を攻撃」
「えっ!? 【フェアリー】じゃなくて!?」
「【真帝王領域】のもうひとつの効果。アドバンス召喚した自分のモンスターが、相手モンスターを攻撃する時、ダメージ計算時に攻撃力を800アップする」
「!」
(てことは、【テスタロス】の攻撃力は、3600……!)
「『インペリアル・ブレイズ』」
【テスタロス】は高々と掲げた
── そのタイミングで、ボクは2枚ある伏せカードの内、直前にセットした方の
「リバースカード・オープン!
「!」
「フィールドにいる全ての効果モンスターの攻撃力・守備力を入れ替える!」
【爆炎帝テスタロス】攻撃力 2800 → 1000 守備力 1000 → 2800
(……そう来たか。俺はすでに攻撃宣言を完了している、この攻撃は止まらない……!)
バトルステップがダメージ計算時に移行して、【真帝王領域】の効果が【テスタロス】に適用される。
【爆炎帝テスタロス】攻撃力 1000 + 800 = 1800
だけど攻守が反転した今、【ラビードラゴン】には遠く及ばない!
「【ラビードラゴン】の
- ホワイト・ラピッド・ストリーム!! -
【ラビードラゴン】が
「っ……!」
「やったッ! 【爆炎帝テスタロス】撃破!!」
カナメ LP 6000 → 4850
(よしッ! ついにカナメのライフを減らせた!)
『おぉーっとッ!
「守備力の低い【帝】には、【
「フッ、やられたな。俺はカードを2枚伏せてターンエンドだ」
カナメのフィールドにモンスターはいない…… 一気に攻め込むチャンスだ!
「ボクのターン!」
「
「えぇーっ!?」
ま、またしても攻撃を止められちゃった……!
(くぅ~っ! 絶好のチャンスだったのに……!)
「仕方ない…… ボクは魔法カード・【命削りの宝札】を発動! カードを3枚引く! ……よし、【魔法除去】発動! 【真帝王領域】を破壊!」
「!」
これで少なくとも最上級レベルの【帝】は、簡単には召喚できなくなったはず……
「【フェアリー・ドラゴン】を守備表示に変更!」
【フェアリー・ドラゴン】守備力 1200
「さらにモンスターをセットして、ターンエンド!」
「……フフッ、礼を言わせてもらおう」
「え?」
「このエンドフェイズに
「!?」
「相手フィールドのカードの数が、自分の手札とフィールドの合計より多い場合、その差の枚数分ドローすることができる。俺の手札はゼロ、フィールドには【裁きの天秤】1枚。お前のフィールドのカードは4枚。よって俺も3枚、カードを引かせてもらう」
「なっ……!?」
「お前が【真帝王領域】まで破壊してくれたおかげで、その分1枚多くドローすることができた。感謝するぞ」
「っ…… 【命削りの宝札】の効果で、エンドフェイズに残った手札は墓地に送るよ」
「俺のターン、ドロー。── 墓地の【爆炎帝テスタロス】を除外し、【
【邪帝家臣ルキウス】攻撃力 800
「こいつは墓地からレベル5以上のモンスター1体を除外することで特殊召喚できる。さらに【ルキウス】をリリースし── 【邪帝ガイウス】をアドバンス召喚」
【邪帝ガイウス】攻撃力 2400
【ガイウス】……
「アドバンス召喚のためにリリースされたことで【ルキウス】の効果発動。相手フィールドにセットされたカードを全て確認する。この効果に対し、お前はカードの効果を発動できない」
「!?」
ボクの場に出ている裏守備モンスターと伏せカードが、表側表示にさせられた。
「ふむ、守備モンスターは【ボマー・ドラゴン】。伏せカードは【ガード・ブロック】か」
(まずいっ…… 手の内がバレた……!)
「続いて【ガイウス】の効果だ。アドバンス召喚した時、場のカード1枚を除外する。俺は【ラビードラゴン】を除外。『ダーク・エクスクルージョン』」
【ラビードラゴン】が【ガイウス】の放出した闇に
「【ラビードラゴン】!?」
「さて、たしか【ボマー・ドラゴン】は、攻撃してきたモンスターを道連れに自爆するモンスターだったな。ならばこのカードで対処するまでだ── 手札より永続魔法・【進撃の帝王】を発動」
「あのカードは……!」
「これによりアドバンス召喚した俺のモンスターは、効果の対象にならず、効果では破壊されない。── バトルだ。【ガイウス】で裏守備モンスターを攻撃。『シャドウ・ブラスト』」
【ボマー・ドラゴン】守備力 0
【ガイウス】は紫色の光を発するエネルギーの球体を発射し、【ボマー・ドラゴン】を撃破した。
「【進撃の帝王】によって【ボマー・ドラゴン】の効果は不発だ、ターンエンド」
「くっ…… ボクのターン…… ドロー! ……カードを1枚伏せて、ターンエンド……!」
(セットしたのは【カウンター・ゲート】。これと【ガード・ブロック】の二段構えで、少しでも時間を稼ぐ……!)
「俺のターン、ドロー。……フフッ、いいカードを引いた」
「!」
「こいつを発動させる前に、まずはバトルと行こう。【ガイウス】、【フェアリー・ドラゴン】を
【フェアリー・ドラゴン】も【ガイウス】に破壊され、ついにボクのモンスターは全滅する。
「そして── 手札から速攻魔法・【ライバル・アライバル】を発動する」
(っ! 【ライバル・アライバル】……!?)
「そう、このカードにより、バトルフェイズ中にアドバンス召喚が行える。俺はアドバンス召喚した【邪帝ガイウス】をリリースし── 【
【ガイウス】の全身が
【怨邪帝ガイウス】攻撃力 2800
「【怨邪帝ガイウス】の効果。アドバンス召喚に成功した場合、フィールドのカード1枚を除外し、相手に1000ダメージを与える。ただし、闇属性モンスターをリリースして召喚された場合には、除外する対象を2枚にできる。その2枚の伏せカードには消えてもらおう── 『ダークネス・ドラッグ』」
頼みの綱であった伏せカードまでもが、闇に引きずり込まれてしまった……!
「そんなっ……!?」
(ダメだ…… なにをしてもカナメには通用しない……!)
「そしてお前には1000ポイントのダメージを受けてもらう」
「ぐっ……!」
セツナ LP 4000 → 3000
「さらに【怨邪帝ガイウス】で、プレイヤーに
【怨邪帝ガイウス】は浮遊する霊魂を
「うっ…… うわあああああっ!!」
セツナ LP 3000 → 200
衝撃で吹き飛ばされたボクは、床に背中を打ちつけ、大の字で倒れ込む。
「がはっ……!」
『す、凄まじいぃぃっ!! あのアゲマキ選手がまるで子ども扱い!? 鷹山選手が完全に圧倒しているぅーっ!!』
「俺はこれで、ターンエンドだ」
……ボクのターンだ…… 早く立って、カードを引かなくちゃ……
そう思うのに…… なぜだか身体に力が入らなくなっていた。
(うっ…… まぶしい……)
照明に目が
視界が暗転した途端…… 精神的にも、目の前が真っ暗になってしまった気がした。
(あぁ…… 心が折れるって、こんな感じなんだ……)
(ライフ200で手札はゼロ、伏せカードもない…… さすがに今回ばかりはもう…… 勝てる気がしないや……)
(……伏せカードを除去されて戦意が揺らぎ、【ガイウス】の一撃で完全に折れたか…… ここまでのようだな)
「残念だ。今のお前であれば、もっと愉しめるものと期待していたんだがな…… どうやら俺の見込み違いだったようだ。もはやこの
「おいキサマっ!! いつまで寝ている!? さっさと起きろっ!!」
「!?」
どこかから飛んできた
「……
観客席の最前列で、髪の赤い男子生徒が腕を組んで仁王立ちし、ボクを見下ろしていた。
「なんだその
「……!」
「立てぇセツナ君!! 最後まであきらめんなぁーッ!!」
別の方向から今度は
そちらに目を向けると、見知った顔が2つあった。大間くんと
(大間くん……! 良かった、立ち直れたんだねッ……!)
1回戦でカナメに敗れて、心が折れるほど追い詰められてたから心配してたんだけど、彼の明るい笑顔を見て安心した。
「── セツナ!!」
「……アマネ……!」
「なーにボサッとしてんのよ。ここからがあなたの見せ場でしょッ!」
「そうだよセツナくーんッ!! イイトコ見せてぇ~ッ!」
「が、がんばってくださいっ、セツナ先輩っ!」
「男を見せてくだせぇ!! セツナの
「気張れぇーっ!! アゲマキぃーっ!!」
アマネ、マキちゃん、ルイくん、ケイくん、コータ。
他にもたくさんの人達が、ボクにエールを送ってくれた。
「みんな……!」
「フフッ、ここまで1人の選手に声援が送られるのも珍しいな。……どうする、総角 刹那。お前は彼らの声に、想いに、どう応える?」
「……ハハッ……!」
カナメも意地悪な聞き方するね…… どう応えるかなんて、そんなの……
(そんなの── もう最後までやり切るしかないじゃん……!)
ボクは── ゆっくりと立ち上がって、デュエルディスクを構え直した。
「お待たせ、カナメ……
「……いいだろう、受けて立ってやる」
「ボクのターン!!」
『アゲマキ選手、立ち上がったァァーッ!! さぁ今、その右手がデッキにかかる! 最後に意地を見せて
これがボクのラストターンになるかもしれない……
たとえなにもできないまま敗北することになったとしても…… ライフが尽きるその時まで、みっともないところはもう見せない!
(このドローに、全てを賭ける!!)
「ドローッ!!」
(っ…… ── !)
「……そっか。勝ちたいんだね、ボクのデッキは」
ボクは笑みをこぼし、ドローしたそのカードをカナメに突きつけて宣言する。
「墓地の【ミンゲイドラゴン】の効果発動! 自分のスタンバイフェイズに自分フィールドにモンスターがいない時、墓地から特殊召喚できる!」
【ミンゲイドラゴン】攻撃力 400
「そして【ミンゲイドラゴン】を、自身の効果でモンスター2体分としてリリース! 【トライホーン・ドラゴン】を、アドバンス召喚!!」
【トライホーン・ドラゴン】攻撃力 2850
「【怨邪帝ガイウス】を攻撃!!」
- イービル・ラセレーション!! -
【トライホーン】はその鋭い爪で、【ガイウス】を切り裂いた。
カナメ LP 4850 → 4800
「……フッ、ダメージこそかすり傷だが…… これまで以上に想いの込められた一撃だったな」
「勝負はこれからだよ── ターンエンド!」
明日の21時以降に中編の57話を、明後日の同じ時間帯に、後編の58話を投稿させていただきます!