遊戯王 INNOCENCE - Si Vis Pacem Para Bellum -   作:箱庭の猫

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 あけましておめでとうございます! 今回から新章として、また日常編がしばらく続く予定です!

 今回の主役はみんなのヒロイン(?)ルイくんです!



第3章 平穏な日常編 - HALCYON DAYS -
TURN - 59 Turn the tables


 

「── 俺の勝ちだ。総角(アゲマキ) (セツ)()

 

「っ………!」

 

 

 

 セツナ LP(ライフポイント) 0

 

 

 

『……! つ、ついに決着ゥーーッ!! 優勝は── 高等部3年・鷹山(ヨウザン) (カナメ)!! 史上初! アリーナ・カップ三連覇を達成だァァァァッ!!』

 

 

 

 勝者の名が告げられた瞬間に、観客席からスタンディングオベーションが沸き起こった。

 

 

 

(………負け…… か……)

 

 

 

 ボクは目を閉じて深く息を吸い…… ゆっくりと吐いた。

 

 それから赤メガネをかけ直して、カナメに右手を差し出す。

 

 

 

「── 優勝おめでとう、カナメ」

 

「……あぁ」

 

 

 

 カナメは(こころよ)く握手に応じてくれた。

 

 

 

「いや~、フィールドをガラ空きにした時は勝ったと思ったんだけど…… やっぱり強いねカナメは。悔しいけど全力は出し切れたし、完全燃焼って感じで悔いはないっていうか…… うん、とにかく楽しい決闘(デュエル)だったよッ!」

 

「俺も久しぶりに童心(どうしん)に帰ったような決闘(デュエル)(たの)しめた。感謝するぞ。お前と闘えたこと、心から誇りに思う」

 

『優勝した鷹山選手には、選抜デュエル大会の運営責任者にして、ここデュエルアカデミア・ジャルダン校の校長でもある(たか)()(どう) (よう)()様より、トロフィーが(じゅ)()されます!!』

 

 

 

 金色に輝くトロフィーを両手で抱えた年配の女性が、決闘(デュエル)フィールドに上がった。

 

 ボクが恩師と(した)っている高御堂 (えい)()先生の奥さんなんだっけ。開会式でモニター越しに初めて顔を見たけど、実物はまた一段と(うるわ)しい。

 

 

 

「── 鷹山 要くん。三度目のアリーナ・カップ優勝、おめでとうございます。こうしてあなたに優勝トロフィーを手渡すのも、今年が最後になるのね」

 

「……ありがとうございます、高御堂校長」

 

(おぉ……! カナメって、そんな優しい笑顔もできたんだ……!)

 

 

 

 今まで見たことないほど柔和(にゅうわ)な笑みを浮かべて、カナメはトロフィーを受け取った。ポーカーフェイスな印象だったけど意外と表情豊かな方なのかも。

 

 優勝トロフィーを手にしたカナメに、再び万雷(ばんらい)の拍手が送られる。ボクも惜しみない拍手で彼の勝利を讃えた。

 

 授与を終えた校長先生は、おもむろにマイクを取り出して(くち)を開いた。

 

 

 

『会場のお集まりの皆様、ごきげんよう。校長の高御堂 葉子です。決勝戦…… 例年に負けずとも劣らない、すばらしい決闘(デュエル)でしたね。そして今年は今大会の三連覇という、本校の創立以来、初となる快挙が成し遂げられました。一教師として、心より誇らしく思います』

 

「だってさッ、カナメ」

 

 

 

 ボクはカナメを(ひじ)で軽く()()いてみた。

 

 

 

「フッ……」

 

『今日まで7日間に渡り行われた、この〝選抜デュエル大会〟という試験の結果を、生徒たち一人一人が(しん)()に受け止め、今後の(かて)とし、決闘者(デュエリスト)としてさらなる成長を遂げることを期待しております。最後になりますが、今年も大会の運営にご協力いただいた関係者各位、そしてお忙しい中ご来場いただき、大会を大いに盛り上げてくださった皆様方に、厚く御礼申し上げます。── それではこれにて、今年度のアリーナ・カップを、閉会いたします』

 

 

 

 祭典を締めくくる校長先生のあいさつに、観客も改めて拍手で応えた。

 

 

 

『……と、行きたいところですが……』

 

「?」

 

『マック伊東さん。今ここで、例の企画の発表をお願いしてもいいかしら』

 

『えっ!? い、今? いいんですか?』

 

『えぇ。むしろベストなタイミングだと思うわ』

 

 

 

 そう言って校長先生はニッコリと微笑(ほほえ)んだ。

 

 例の企画? なんのことだろう?

 

 

 

『で、では…… えーっ、コホン』

 

 

 

 小さく咳払いしてから、マック伊東さんは天井を指差しながら声を上げた。

 

 

 

『── この会場に(つど)いし、決闘者(デュエリスト)諸君!! そして、ジャルダンに住まう全ての人々に告ぐ!! 今年、()()()()()()()()()()()()、デュエルモンスターズの大会を開催する!!』

 

「!?」

 

 

 

 街が舞台の決闘(デュエル)大会!? そ、それってもしかして……ッ!?

 

 

 

『かつてあの決闘者(デュエリスト)の聖地・()()()(ちょう)で、(かい)()コーポレーションが開催した伝説の大会・〝バトルシティ〟をオマージュした、ジャルダン初の試みにして最大規模となるイベントを! 私、マック伊東が店長を務めるカードショップ・GARDEN(ガーデン)と、デュエルアカデミア・ジャルダン校が合同で主催させていただくこととなった!! 参加人数は無制限! もちろん街の住人でなくても大歓迎だ!』

 

「うおおおスゲぇーッ!!」

 

「開催はいつだ!?」

 

『大会の開催は12月!! 今年の冬、この街は〝バトルガーデン〟と化すッ!!』

 

「バトルガーデン……!」

 

「ほう…… いい退屈しのぎになりそうだな」

 

 

 

 あの伝説の『バトルシティ』と同じような大会が、この街で開かれるのか……!

 

 ボクはさっきまで胸を絞めつけていた、敗北の悔しささえ吹き飛ぶほどの、興奮を覚えた。

 

 ……と、その時──

 

 

 

「………」

 

 

 

 なぜだかボクの方をジッと見つめる、校長先生の視線に気がついた。

 

 

 

「……どうかした?」

 

 

 

 ボクが話しかけると、真顔だった校長先生は、一瞬、目を見開いたあと、またにこやかな表情に戻った。

 

 

 

「……いいえ? なんでもないわ」

 

「?」

 

『── 詳細は後日、当店の公式サイトにて公表する! それでは今日の興奮と感動を胸に! シーユー・ネクスト・デュエル!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ── 選抜デュエル大会ことアリーナ・カップが、大団円で幕を閉じた二日後。

 

 大会の振り替え休日が明けて、またいつもの日常が始まった。

 

 二日ぶりに学園に登校したボクは、教室で担任の先生から驚きのニュースを聞かされる。

 

 

 

「えっ!? ボクとアマネがランク・Aで、しかも次期十傑(じっけつ)候補入り!?」

 

 

 

 クラスメートのみんながお祝いの言葉と拍手を送ってくれて、ボクは照れ笑いしながら頭をかいた。

 

 先生は自分の受け持つクラスから、二人も次期十傑候補にノミネートされたことを喜ばしそうにしていた。

 

 

 

「ついにセツナもトップランカーの仲間入りね」

 

「アマネもだねッ、おめでとう!」

 

「ありがとッ。ちなみにマキちゃんもランク・Aで、次期十傑候補入りですって。今メッセージが来たわ」

 

「そうなんだッ!? フフッ、みんなおそろいだね!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ── 昼休み。ボクとアマネ、それにとなりのクラスからマキちゃんも合流して、3人で食堂へと向かっていたら……

 

 

 

「……あっ…… あれって金沢(かなざわ)くん?」

 

 

 

 (ろう)()の向こうから金髪のケンちゃんこと、金沢 (けん)()くんが歩いてきていた。

 

 なんだか遠目でも分かるくらい顔色が悪いようだけど……?

 

 どうしたのかと思っていると、近くにいた生徒たちの会話が漏れ聞こえた。

 

 

 

「……おい、あいつだろ? ランク・Eに負けて格下げ食らったってヤツ」

 

「あぁ、CからDに下がったんだと。それも舐めプして負けたらしいぜ?」

 

「うわ、だっせぇ~」

 

 

 

 ……なるほどね。選抜デュエル大会の予選で、ルイくんに負けて初戦敗退したもんだから、ランクを下げられちゃったのか。

 

 周囲の生徒は金沢くんのことを白い目で見ながら、クスクスと嘲笑(ちょうしょう)している。

 

 

 

「ぐっ……! くそっ!」

 

 

 

 いたたまれなくなったのか、金沢くんは逃げるように駆け出してボク達の横を通り過ぎていった。

 

 

 

「あらら…… 言われ放題だね、金沢くん」

 

「ま、当然の(むく)いでしょうね。あんなふざけた決闘(デュエル)して、降格で済んだだけありがたく思うべきだわ」

 

 

 

 アマネの言うことももっともだ。これを機に少しは自分の行いを反省してくれればいいけど……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 食堂に着いたボクたちはテーブル席を囲んで、人気メニューの日替わり定食を味わいながら雑談していた。

 

 

 

「アマネたんもセツナくんも、例の『バトルガーデン』ってイベントには出るの?」

 

「えぇもちろんよ。こんなおもしろそうな大会、参加しない手はないわ。良い結果を出せれば学園も成績に反映してくれるそうだし」

 

「ボクも右に同じ」

 

「だよね~! アマネたんが出るならあたしも出る~ッ!」

 

「なんでも治安維持局も、この大会のために一肌(ひとはだ)脱いでるみたいね。当日はセキュリティが1番街の道路に交通規制を()くらしいわ」

 

「へぇ~! てことは道の真ん中でも決闘(デュエル)できたりするのかな~?」

 

「あははッ、アリーナ・カップ以上のお祭り騒ぎになりそうだね」

 

「セツナもまた鷹山にリベンジするチャンスなんじゃない?」

 

「……そうかもね。こうなったらもう、勝つまで()りたくなってきた。九頭竜くんの気持ちが分かった気がするよ」

 

「セツナくんも筋金(すじがね)入りの決闘者(デュエリスト)だね~ッ」

 

 

 

 と、今ジャルダンで一番ホットな話題でボクたちが盛り上がっていると……

 

 

 

「……あ、みなさん、こんにちは!」

 

「おぉ、ルイくん! そっち空いてるよ」

 

「おいで~ルイちゃん♪」

 

「はいッ。おとなり失礼します!」

 

 

 

 昼食を乗せたトレーを持ったルイくんが、マキちゃんのとなりに座った。

 

 

 

「なんだかご()(げん)だね、ルイくん。良いことでもあった?」

 

「えへへッ、実は僕…… やっとランクが上がったんです! ランク・Cになりましたッ!」

 

「ほんと!? おめでとうルイくん!!」

 

「ルイちゃんスゴーいッ! D飛ばしてCまで上がるなんて初めて聞いたよ~!」

 

「一気に(ツー)ランクも昇格なんて、めったにないレアケースよ。やるじゃないルイくんッ」

 

「えへへへッ、ありがとうございます……! これもみなさんのおかげです!」

 

 

 

 ルイくんは小首を(かし)げてはにかんだ。かわいいッ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 セツナたち4人が食堂で(なご)やかに談笑している頃── 金沢は独り、荒れていた。

 

 

 

「くそがぁああああっ!!」

 

 

 

 蹴り飛ばせるもの、殴りつけられるものに当たり散らしながら、怒鳴り声を上げる金沢。

 

 その様子を、普段から彼とつるんでいたクラスメートの厚村(あつむら)()(もり)平林(ひらばやし)が遠巻きに眺めていた。

 

 

 

「キレ方パねーなー、ケンちゃん」

 

 

 

 平林の呟きに、厚村が答える。

 

 

 

「そりゃあ、一ノ瀬(あのガキ)よりランクが下なんて気に入らねーだろうよ。どうする? 俺らでシメてやろうか?」

 

 

 

 と、厚村は提案するが、小森がこれを拒否した。

 

 

 

「いや、やめとこーぜ…… 一ノ瀬に手ぇ出したら総角のヤツがなにするか分かんねぇし…… こないだ俺らが総角シメようとしたの、センコーにチクられたりしたらダリーだろ? てかぶっちゃけ俺、もうあいつらとあんま関わりたくねぇよ……」

 

 

 

 新調したばかりのサングラスを外して、小森はそう言った。

 

 アリーナ・カップ1回戦の()(なか)、セツナを()()して乱暴しようとしたところを豪炎(ごうえん)()に阻止され、鉄拳制裁を受けたことは彼らの記憶に新しい。

 

 決闘(デュエル)が全てを決める街・ジャルダンのデュエルアカデミアで、暴力()()を起こしたなどという不祥事(ふしょうじ)(おおやけ)になれば、厳しいペナルティは(まぬが)れないだろう(豪炎寺にも同じことが言えるが、彼の場合は正当防衛とみなされ不問に()すと思われる)。金沢のように降格か、最悪、退学処分すらもあり得る。

 

 これ以上セツナの反感を買えば、自分たちの首が絞まるだけでしかない。

 

 厚村と平林もそれは重々理解しているため、小森の意見に反論もせず黙ってうつむく他なかった。

 

 しかし金沢だけは、ひとしきり暴れたあと肩で息をしながら、ルイへの逆恨みを(つの)らせていた。

 

 

 

「フゥー、フゥー……! ……マジふざけんじゃねぇぞ…… そもそもあのザコが勝ちやがったのはよぉ! こっちが手ぇ抜いてやったからだろうがっ!! そのくせあいつがランク・Cで俺がDだと……? 俺があのザコより格下だと!? 認めねぇ…… 認めねぇぞ…… あの野郎、ぶっ潰してやるっ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇねぇ、あたしたち全員のランクアップを祝ってさ~、放課後打ち上げしない?」

 

「いいねそれッ、賛成!」

 

 

 

 ()()しい学食でお腹を満たしたボクらは、そんな会話をしながら食堂を出た。すると──

 

 

 

「おい待てゴラぁっ!! 一ノ瀬ぇっ!!」

 

「っ!?」

 

 

 

 突然の怒号が和気あいあいとした空気を一変させた。

 

 そしてその声の主が息を荒げながら、こちらに近づいてくる。

 

 

 

「……金沢くん……」

 

「てめぇ……! マグレ勝ちのくせしてランク・Cだと? 調子乗ってんじゃねぇぞぉ!!」

 

「ひぅっ……!」

 

「金沢あんた、いい加減にしなさいよ! 見苦しいにもほどがあるわ!」

 

「ルイちゃん、下がってた方がいいよ」

 

 

 

 アマネが金沢くんとにらみ合い、マキちゃんはルイくんをかばうように前に立った。

 

 一触(いっしょく)即発(そくはつ)の空気に、たまたま居合わせた他の生徒たちもざわついている。ケイくんがいたら取っ組み合いになってたかもね……

 

 

 

「うっせぇな……! 邪魔なんだよてめぇら…… すっこんでろやっ!」

 

「……だったらリベンジする?」

 

「あ"ぁっ!?」

 

 

 

 ボクが問うと金沢くんはおっかない形相(ぎょうそう)(すご)んできた。

 

 

 

「そんなにあの決闘(デュエル)の結果が不満だって言うなら、ルイくんと再戦しなよ。今ここでさ」

 

「……セツナの言うとおりね。どうするの? 言っとくけどこんな人目につく場所で絡んできて、今さらルイくんに背を向けたらそれこそ負け犬よ」

 

「っ……!」

 

 

 

 アマネの言葉を受けて、金沢くんは周りの生徒たちをキョロキョロと見回した。

 

 

 

(くそっ……! どいつもこいつも格下を見る目で俺を見やがって……!!)

 

「……やってやるよっ…… 本気出しゃあ、俺が一ノ瀬なんぞに負けるわけねぇんだ!!」

 

「決まりだね」

 

「セ、セツナ先輩……」

 

「大丈夫、今のルイくんなら絶対に勝てるよ。それにもしなにかあったら…… アマネが守ってくれるから!」

 

「あんたも守ってあげなさいよ!?」

 

「ボク、ケンカとか暴力、大キライー!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 こうしてルイくんと金沢くんのリベンジマッチが始まった。

 

 

 

「おらおらぁぁぁっ!! 【サイバー・オーガ・(ツー)】! ぶっ潰せぇぇぇぇっ!!」

 

 

 

 目を血走らせながら果敢に攻める金沢くん。彼のエースモンスターがルイくんの守備モンスターを打ち倒した。

 

 

 

「っ……!」

 

「ギャハハハハッ!! 分かったかザコ野郎! これが俺とてめぇの(ちから)の差なんだよぉ!!」

 

 

 

 ルイ LP 4000

 

 金沢 LP 4000

 

【サイバー・オーガ・2】攻撃力 2600

 

【サイバー・ダイナソー】攻撃力 2500

 

【魔導ギガサイバー】攻撃力 2200

 

 

 

「……ちょっとセツナ、本当に大丈夫なの?」

 

 

 

 アマネが心配そうな顔をして、小声でボクに尋ねる。

 

 

 

「まぁまぁ見てなって、ほらッ」

 

「? ……!」

 

「ルイくんも、勝つ気満々って()()してるでしょ?」

 

 

 

 戦況だけ見れば不利なはずなのに、ルイくんの顔つきには、まだ余裕がうかがえる。

 

 いや、むしろ…… どこか楽しんでるようにさえ、ボクには見えた。

 

 

 

「……僕のターン…… ドローです!」

 

(どうしたんだろう、僕…… ()()はあんなに金沢さん(あのひと)のことが怖かったのに、手足が震えてない…… ちゃんと目の前の決闘(デュエル)に集中できてるッ……!)

 

「── 永続魔法・【凡骨(ぼんこつ)の意地】の効果! ドローフェイズにドローしたカードが通常モンスターだった場合、そのカードを相手に見せることでもう1枚ドローできます! 僕が引いたのは【バニーラ】! よってもう一度ドローします!」

 

(……来たッ!)

 

(トラップ)発動! 【一色(いっしょく)即発(そくはつ)】! 相手フィールドのモンスターの数まで、手札からレベル4以下のモンスターを特殊召喚します! 来て! 僕のモンスター達!」

 

 

 

【ハッピー・ラヴァー】攻撃力 800

 

【ララ・ライウーン】攻撃力 600

 

【ウェザー・コントロール】攻撃力 600

 

 

 

「さらに永続(トラップ)・【エンジェル・リフト】! 墓地から【ブークー】を特殊召喚します!」

 

 

 

【ブークー】攻撃力 650

 

 

 

「そして【バニーラ】を通常召喚!」

 

 

 

【バニーラ】攻撃力 150

 

 

 

「手札から魔法カード・【トライアングルパワー】を発動! 自分フィールドのレベル1通常モンスターの元々の攻撃力・守備力を、2000アップします!」

 

 

 

【バニーラ】攻撃力 150 + 2000 = 2150 守備力 2050 + 2000 = 4050

 

 

 

「……ルイくん、プレイングに(よど)みがなくなったわね」

 

「だねぇ~! なんてゆうか自信の表れって感じ~ッ」

 

 

 

 流れるように続々とカードを展開していくルイくんに、アマネとマキちゃんから称賛(しょうさん)の声が上がった。

 

 たしかに会ったばかりの頃は覚束(おぼつか)ない手つきだったのが嘘みたいに、キレのある動き(ムーブ)になってきている。

 

 

 

(なっ……!? フィールドにモンスターが、5体!? こ、この状況は……!)

 

「て、てめぇ…… まさかっ……!」

 

 

 

 さすがに金沢くんも察しがついたみたいだね、ルイくんの最後の手札がなんなのか……

 

 

 

「……魔法発動── 【弱肉一色(じゃくにくいっしょく)】!! 僕の場にレベル2以下の通常モンスターが5体存在する時、お互いの手札を全て捨て、フィールドのレベル2以下の通常モンスター以外のカードを、全て破壊します!!」

 

 

 

 金沢くんの手札が無くなり、フィールドに並んでいた大型モンスター3体も全滅する。

 

 

 

「うっ、うぎゃあああああっ!? お、俺の最強モンスター軍団がぁぁぁぁ……! ぜ、ぜん、め、めつ…… めつめつめつ……!」

 

 

 

 【エンジェル・リフト】も破壊されたから、1体ルイくんのモンスターが減っちゃったけど、それでも残る4体の攻撃力の合計は4150。金沢くんのライフを削り切るには充分だ。

 

 

 

「勝負あったね、まだ続ける?」

 

「あっ…… あが、がっ……!」

 

 

 

 敗北が確定した金沢くんは、足下にカードをバラバラと落としながら、自分も(ひざ)から崩れ落ちた。

 

 

 

「ルイちゃんスッゴォーいッ!! 圧勝じゃーん!」

 

 

 

 いきなりマキちゃんがルイくんを、ムギューッと抱きしめた。

 

 

 

「んむぅーっ!?」

 

 

 

 身長差のせいで、マキちゃんの豊満(ほうまん)な胸の谷間にルイくんの顔が埋まってしまう。

 

 マキちゃんに頭を撫でられている間、ルイくんは「んーっ! んーっ!」とくぐもった声を上げながら、両腕をパタパタ振っていた。

 

 

 

「マ、マキちゃんストップ! ルイくん窒息(ちっそく)しちゃうって!」

 

「あ、ごめ~ん」

 

「ぷはっ!」

 

「大丈夫ルイくん?」

 

「は、はひっ…… らいじょぶれす……」

 

 

 

 ……正直ちょっとうらやましいと思っちゃったのはナイショね。

 

 

 

「………」

 

(一応、釘を刺しとくか)

 

 

 

 ボクは、床に両手をついてうなだれている金沢くんの元へ歩み寄り、前屈(まえかが)みになって話しかける。

 

 

 

「……二度も同じ手を食らって負けてるようじゃ、何度やっても今のルイくんには勝てないよ。これに()りたら、もうあの子にちょっかい出さないでね」

 

「……っ……!」

 

 

 

 あんまりこういう言い方するのは好きじゃないけど、本人も今度こそ負けを認めただろうし…… これで丸く収まってくれることを願おう。

 

 

 

「── さてと! これにて一件落着ってことでいいかな。ルイくんもお疲れ! よくがんばったねッ」

 

「は、はい! あの、本当にありがとうございました!!」

 

「ボクは別になにもしてないよ? 全部ルイくんが自分の実力で勝ち取った結果さ」

 

「そんなことないです! 僕が勝てるようになれたのは、先輩のおかげです!」

 

 

 

 ルイくんは萌え袖の両手でボクの右手を取って、キュッと握った。

 

 

 

「ル、ルイくんっ!?」

 

「僕…… セツナ先輩と出会えて…… 本当に良かったですッ……!」

 

「……!」

 

 

 

 (ほほ)をほんのり赤くし、上目遣いでボクの顔を見つめるルイくん。

 

 

 

(近い、かわいい、いい匂いがする……!)

 

「キャ~ッ!! 見つめ合っちゃってお熱いですな~! ごちそうさまで~すッ!」

 

「見せつけてくれるわね~、お二人さん?」

 

「っ!」

 

 

 

 あまりのかわいさにドギマギしていたボクだけど、マキちゃんとアマネにからかわれてハッと我に帰った。

 

 

 

「ボ、ボクもルイくんと友達になれて良かったよ!」

 

「えへへッ…… 嬉しいです」

 

「ルイちゃん! その勢いでまたキスしちゃお! 今ならイケるよ!」

 

「ふえっ!?」

 

 

 

 マキちゃんの言葉にルイくんは耳まで真っ赤になってボクの手を離す。

 

 

 

「ちょ、ちょっとマキちゃん、そのことはもう忘れてよ……」

 

「えぇ~? あんな情熱的なキッス、一度見たら忘れられないよ~ッ」

 

「はうぅ……!」

 

「……ねぇルイくん。今日の放課後って時間あるかしら?」

 

「え? あ、はい。特に予定はないですけど……」

 

「えっ、なになにッ!? デートのお誘いッ!? セツナくんの前で!? まさかの三角関係!? ルイちゃん(ヒロイン)を巡ってラブコメ展開突入~ッ!?」

 

「マキちゃん静かに。ルイくん── 良かったら、私とも決闘(デュエル)してくれない?」

 

「ア、アマネ先輩と、ですか……?」

 

「えぇ、それも本気の決闘(デュエル)。私の── 【ヴァンパイア】デッキとね」

 

「!」

 

「あのセツナをあと一歩まで追い詰めたっていう、今のルイくんの実力…… 私も見極めてみたくなったわ」

 

「………!」

 

 

 

 どうやらルイくんの闘いぶりを見て、アマネの闘志に火が点いたみたいだね。

 

 次期十傑候補に決闘(デュエル)を挑まれて戸惑うルイくんだったけど、やがて意を決したように顔を上げて答えた。

 

 

 

「……わ、分かりました……! その決闘(デュエル)、受けます!」

 

「フフッ、そう来なくちゃね」

 

 

 

 アマネとルイくんの本気の決闘(デュエル)か……

 

 どんな決闘(デュエル)になるか、楽しみだね!

 

 

 





 長らく更新が止まってしまっていた間も、日常編に入ったら書こうと決めていた話がいくつもあるので、ようやく全て書けるのが今から楽しみです!

 ウフフな展開も書き放題だ、ぐへへ……(^q^)
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