遊戯王 INNOCENCE - Si Vis Pacem Para Bellum -   作:箱庭の猫

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 活動報告にて、リクエスト募集中でございます(*´∀`)♪

 どなたでも、お気軽にコメントくださいまし(・ω・。)



TURN - 8 Beast Beat

 

 頭を()で回される感覚に揺り起こされて、ボクは目を覚ました。

 微睡(まどろ)みの中に沈んでいた意識を、強引に覚醒させられて、薄く()(ぶた)(ひら)く。

 顔を上げると、ボクの銀髪をわしゃわしゃと乱暴に撫でくり回す、赤色のメッシュを混ぜた黒髪の少女・アマネの姿が寝惚(ね ぼ)(まなこ)(うつ)り込んだ。

 

 あぁ、そう言えば…ここ教室……学園だったね。

 

 

 

「…ん…やめてよアマネ~…髪型が乱れるぅ…」

 

「あ、やっと起きた。おはよう、セツナ。もう放課後よ」

 

 

 

 そっか。眠気に負けて机に突っ伏して、そのまま授業中に寝ちゃったんだ。

 周りを見れば、他のクラスメート達は(すで)に下校の準備を始めており、次々に教室から生徒の人数が減っていく。

 ボクも今日は、特に放課後の予定も無いし、まっすぐ帰ろっかな。

 

 

 

「ふあ…おはよ~…ねむっ…」

 

 

 

 小さく欠伸(あくび)して、手元に置いてあった赤縁(あかぶち)のメガネを取り、かけ直す。

 それから椅子(イ ス)に座ったまま、思いっきり背伸(せ の)びして、居眠りで()り固まった身体(からだ)を、軽く(ほぐ)した。

 

 

 

「結局、最後まで起きなかったわね。あんまり寝てばっかりだと成績に響くよ?」

 

「そうなったらアマネに助けてもらうから平気(へーき)

 

「はぁ…お気楽な(ヤツ)

 

「とか何とか言いながらも手を貸してくれるんだから、持つべきものは友達だよね~」

 

「調子に乗るなっ!」

 

「いてっ!」

 

 

 

 (ひたい)にデコピンされました。地味に痛い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「セツナさ、そんな(のん)()にしてて大丈夫なの?」

 

 

 

 教室を出て、二人で校内を歩いていた時、アマネがそんな質問をしてきた。

 

 

 

「成績の話?」

 

「じゃなくて、まぁそれもあるけど……『選抜試験』の話。記事、読んだわよ。あんな(・ ・ ・)大口(おおぐち)叩いたら、他の参加者が黙ってないんじゃない?」

 

 

 

 アマネの言った、『記事』については心当たりがある。

 

 選抜試験こと、『選抜デュエル大会』に参戦(エントリー)したボクは、数日前、学園の新聞部に所属しているという中等部の女子生徒・(はや)() ()(ふみ)ちゃんから『インタビュー・デュエル』を受けて、新聞部が配信した記事に掲載させてもらう(けい)()に至った。

 

 記事の内容は、『選抜試験』の参加者を特集したもの。

 

 その文面でボクは、最上位(ランク・A)にして学園最凶の決闘者(デュエリスト)と呼ばれている、ある(・ ・)生徒に対し、宣戦布告の意思を明言していた。

 

 『打倒・鷹山(ヨウザン) (カナメ)』と。

 

 

 

「うーん……そんなにマズイこと言ったかな?」

 

「出る杭を打とうとしてくる生徒は何人か来るかもね」

 

「げぇ…平穏じゃないのは()だなぁ…」

 

 

 

「それって、オイラみたいな奴のことを言ってんのかな~?」

 

「「!?」」

 

 

 

 何処(ど こ)からか人の声が聞こえた。ボクとアマネは周辺を見渡すけれど、誰も居ない。

 

 幻聴?いや、アマネも反応しているし…

 

 

 

「ここだよー。コ・コ」

 

 

 

 今度は廊下の窓を、コンコンとノックする様な音が耳に届いた。

 そちらに振り返ると、なんと窓の外の上部から、逆さまの上半身が宙吊りになって、顔を覗かせていた。

 

 

 

「ヤホッ☆」

 

 

 

 ぶら下がっていた人物は、ボクと目が合うと満面の笑顔を見せて、手を振ってきた。

 

 

 

「出たァァァーーーーッッ!!!?」

 

 

 

 あまりにも奇想天外な登場の仕方に度肝を抜かれたボクは、思わず絶叫して、アマネに抱き着いた。

 

 

 

「ちょ、セツナ!?」

 

 

 

 アマネは顔を赤く染めて動揺している。いきなり男に強く抱き締められたのだから当然か。

 

 両腕の中に、アマネの身体の感触が伝わってくる。

 その上、対面して抱擁(ほうよう)した事で、ボクの胸板には、アマネの大きな双丘が当たっていた。

 相変わらず柔らかい……って!こんな事してる場合じゃない!

 

 

 

「あっ!え、えっと、ごめん!」

 

 

 

 ボクは(あわ)てて彼女を解放する。危ない危ない。もう少し遅れてたら、また(・ ・)腹部に鉄拳(てっけん)を打ち込まれるところだった。

 

 

 

「ニハハッ!見せつけてくれんじゃーん。よっと!」

 

 

 

 一方、現れた男は、すぐ横の(ひら)いていた窓から身軽な動きで校舎内に飛び込み、華麗な着地を決めながら、(ゆか)の上に()り立った。

 

 ()(がね)(いろ)の短い髪と、(ケモノ)(よう)()()()が印象的で、小柄な体格の持ち主だった。

 

 ていうかここ4階だよね?どうやったら、そんなところに逆さ吊りになれるの!?アクションスターもビックリだよ!

 

 

 

「オイラは高等部3年の虎丸(とらまる) ()(すけ)!お前に決闘(デュエル)を申し込むぜ、メガネくん!」

 

虎丸(とらまる)…?まさか…『十傑(じっけつ)』の虎丸…!?」

 

 

 

 アマネは相手の名前を復唱すると、聞き慣れない単語を(くち)にした。

 

 

 

「『十傑(じっけつ)』?」

 

「セツナが知らなくても無理ないわね……『ジャルダン十傑(じっけつ)』…ランク・Aの生徒の中でも、特に(すぐ)れた実力を誇る、10人の天才決闘者(デュエリスト)()りすぐりのエリート集団よ」

 

「ニハハッ!お()めに(あずか)り光栄だねー!ちなみに補足するなら、メガネくんが(たたか)った、くーちゃんやカナちゃんも『十傑』だぜ~」

 

「えっ、誰それ?」

 

「たぶん…九頭竜(くずりゅう)鷹山(ヨウザン)のこと…だと思う」

 

「あの二人かぁ…納得」

 

「ピンポンピンポーン!大正解だぜ、お嬢ちゃん!」

 

「お嬢ちゃんは()めてよ。私は黒雲(くろくも) (アマ)()

 

「ボクもメガネくんじゃなくて、セツナって呼んでほしいな」

 

「んーじゃ、『アマネん』に『セッちゃん』ね!」

 

「「アダ名つけるの早ッ!!」」

 

 

 

 虎丸くんは「そんなことより」と前置きして、自分の左腕に、イエロータイプの決闘盤(デュエルディスク)を装着した。

 

 

 

「さぁ早く()ろうぜ!オイラはセッちゃんの噂を聞いてから、ずっとこの日を待ってたんだ!」

 

「……OK(オーケー)。デュエルなら(ことわ)る理由もないよ。やろっか」

 

面白(おもしろ)そうね。審判(しんぱん)()ねて、見物(けんぶつ)させてもらうわ」

 

 

 

 デュエルディスクを左腕に装着して、起動する。今回も頼りにしてるよ、ボクのデッキ!

 

 

 

「「 決闘(デュエル)!! 」」

 

 

 

 セツナ LP(ライフポイント) 4000

 

 虎丸(とらまる) LP(ライフポイント) 4000

 

 

 

「オイラの先攻で行くぜ!【隻眼(せきがん)のホワイトタイガー】召喚!」

 

 

 

隻眼(せきがん)のホワイトタイガー】 攻撃力 1300

 

 

 

「カードを2枚()せて、ターン終了だぜ!」

 

「ボクのターン、ドロー!【デビル・ドラゴン】を召喚!」

 

 

 

【デビル・ドラゴン】 攻撃力 1500

 

 

 

「へぇ~?」

 

「バトル!【デビル・ドラゴン】で、【ホワイトタイガー】を攻撃!」

 

「させねぇぜ!伏せ(リバース)カード・オープン!速攻魔法・【突進】!」

 

「あっ!?」

 

「ホワイトタイガーの攻撃力を、700ポイント上昇(アップ)する!」

 

 

 

【隻眼のホワイトタイガー】 攻撃力 1300 + 700 = 2000

 

 

 

「残念だったな!返り討ちだぜ!」

 

「うわーっ!しまった!……なぁんて、ね」

 

「なに?」

 

「手札から速攻魔法・【鈍重】を発動!」

 

「んおっ!?」

 

「【ホワイトタイガー】の攻撃力を、守備力の数値分ダウンする!」

 

 

 

【隻眼のホワイトタイガー】 攻撃力 2000 - 500 = 1500

 

 

 

 【ホワイトタイガー】と【デビル・ドラゴン】、双方の攻撃力は互角。戦闘(バトル)の結果は相討ちに終わった。

 

 

 

「んにゃろぉ…!やってくれんじゃん!」

 

「そっちこそ!ボクはカードを2枚セットして、ターン終了!」

 

 

 

(…二人とも…早速、火花を散らしてるわね。すごく楽しそう)

 

 

 

「オイラのターン!ドロー!」

 

(…おっ、来た来た!)

 

「【(おう)()ワンフー】を召喚!」

 

 

 

(おう)()ワンフー】 攻撃力 1700

 

 

 

「こいつがフィールドにいる限り、召喚・特殊召喚された、攻撃力1400以下のモンスターは破壊されるぜ!」

 

「ッ…!」

 

「行け!【王虎ワンフー】!プレイヤーに直接攻撃(ダイレクトアタック)!」

 

 

 

 王の名を冠する虎が(キバ)()いて、ボクに襲い掛かってきた。

 

 

 

「ぐあぁ!うっ…!」

 

 

 

 セツナ LP 4000 → 2300

 

 

 

「へっへーん!どうだ!」

 

「なかなか効いたよ……でも、ボクだってやられっぱなしじゃない!トラップ発動!【ダメージ・ゲート】!」

 

「!」

 

「ボクが受けた戦闘ダメージ以下の攻撃力を持つモンスター1体を、墓地から特殊召喚する!よみがえれ!【デビル・ドラゴン】!」

 

 

 

【デビル・ドラゴン】 攻撃力 1500

 

 

 

「デビル・ドラゴンの攻撃力は1500!【ワンフー】の効果には引っ掛からない!」

 

「にゃーるほどぉ。そんじゃオイラも」

 

「え?」

 

(トラップ)カード・【スリップ・サモン】!この効果で手札から、【魂虎(ソウル・タイガー)】を特殊召喚!」

 

 

 

魂虎(ソウル・タイガー)】 守備力 2100

 

 

 

「…あ、あれ?確か【魂虎(ソウル・タイガー)】の攻撃力って、(ゼロ)だよね?召喚(そんなこと)したら【王虎ワンフー】の効果で…」

 

 

 

 案の定、王虎ワンフーの効果が誘発(ゆうはつ)して、魂虎(ソウル・タイガー)は破壊されてしまった。

 

 

 

「ニハハッ、これで良いんだよ。自分フィールドの獣族モンスターが効果(・ ・)で破壊された時、1000ライフポイントを払う事で、【森の番人グリーンバブーン】を特殊召喚できる!」

 

 

 

【森の番人グリーンバブーン】 攻撃力 2600

 

 

 

「うそぉ!?そんなのアリ!?」

 

「ニハハハッ!オイラの(ほう)一枚(いちまい)(うわ)()だったなぁ!」

 

 

 

 虎丸 LP 4000 → 3000

 

 

 

 やられた…【ダメージ・ゲート】を使ったのが裏目に出た…!

 王虎ワンフーの効果を、こんな形で活用してくるなんて…!

 

 

 

「【グリーンバブーン】で、【デビル・ドラゴン】を攻撃!『ハンマークラブ・デス』!!」

 

 

 

 グリーンバブーンは、その巨体に見合った極太サイズの木製ハンマーを振り下ろし、デビル・ドラゴンを容赦(ようしゃ)なく叩き潰した。

 

 

 

「くっ…!」

 

 

 

 セツナ LP 2300 → 1200

 

 

 

「まっ、こんなもんだな。ターン終了(エンド)だぜ!」

 

「…フゥー……さすが『十傑』…と言ったところかな…」

 

 

 おちゃらけた言動とは裏腹に、一部の(すき)も無い攻撃的な戦術(プレイング)。恐るべき実力者だ。

 考えてみれば、カナメや九頭竜くんと同格って事なんだから、強いのは当たり前か。

 

 

 

「こうなったら、こっちも……全力全開で行かせてもらうよ!」

 

 

 

 ボクはメガネを(はず)して、全神経を決闘(デュエル)に集中させる。

 この状態だと、ボクの目付きが(するど)くなるらしいので、普段よりはイケメンになっていると信じたい。

 

 

 

「…!?」

 

(スンゲェー気迫…!いきなり豹変しやがった…!)

 

「ニハハッ!燃えてきたァ!!」

 

 

 

 虎丸くんも、ボクの変化に気づいたのか表情が真剣になった。

 ()(たん)、フィールドの空気がビリビリと震える。

 気を抜いたら一瞬で押し潰されてしまいそうな重圧(プレッシャー)を、虎丸くんは(はな)ってきた。まるで野生の猛獣を相手にしているかの様だ。

 

 だけど、(ひる)んでなんかいられない。ボクはデッキからカードをドローする。

 

 

 

「ボクのターン!ドロー!」

 

(…よし、これなら!)

 

「ボクは魔法(マジック)カード・【ソウルテイカー】を発動!【王虎ワンフー】を破壊!」

 

「ッ!」

 

「そして、相手のライフを1000ポイント回復する!」

 

 

 

 虎丸 LP 3000 → 4000

 

 

 

「…わざわざオイラのライフを元に戻すなんて、なに考えてんのさ?」

 

「こうするのさ。トラップ発動!【()(だん)(たい)(てき)】!相手のライフポイントが回復した時、相手モンスター1体を破壊する!」

 

「なにぃーっ!?」

 

「当然【グリーンバブーン】を破壊するよ!」

 

 

 

 グリーンバブーンが消滅して、虎丸くんのフィールドは文字通り、ガラ空きとなった。

 

 

 

「ぐうぅ…!先に【ワンフー】を消したのも、これが狙いか!」

 

「そう。【グリーンバブーン】は、自身が破壊された時には蘇生できないからね」

 

 

 

 ワンフーが居ない今なら、ボクは攻撃力の低いモンスターも、安心して召喚できる。この好機は絶対に(のが)さない!

 

 

 

「ボクは【レッサー・ドラゴン】を召喚!」

 

 

 

【レッサー・ドラゴン】 攻撃力 1200

 

 

 

「バトル!【レッサー・ドラゴン】!虎丸くんに直接攻撃(ダイレクトアタック)だ!」

 

「うわあぁあっ!!」

 

 

 

 虎丸 LP 4000 → 2800

 

 

 

「カードを1枚伏せて、ターンエンド!」

 

「チィ…!オイラのターンだ!」

 

 

 

 お互いの手札は(ゼロ)枚。でも、現状ではボクが優位に立っている。

 …の、(はず)なんだけど……相手は『十傑』。このまま黙っているとは思えないんだよな…。

 

 

 

「ドロー!」

 

(…!)

 

「ニハハッ、ラッキー!【命削りの宝札】を発動!」

 

 

 

 -!ここで手札を増やすカードが来たか…!

 

 

 

「オイラの手札は(ゼロ)!よって3枚ドローするぜ!」

 

 

 

 虎丸くんの手札が一気に(うるお)う。

 ヤバイ…これ下手(へ た)したら、負けるかもしれない。

 

 

 

「召喚!【焔虎(フレイム・タイガー)】!」

 

 

 

焔虎(フレイム・タイガー)】 攻撃力 1800

 

 

 

「行け!【焔虎(フレイム・タイガー)】!レッサー・ドラゴンを焼き尽くせ!」

 

「うあっ…!」

 

 

 

 【命削りの宝札】を発動したターン、ボクにダメージは無い。けど、状況は確実に悪化した。

 

 

 

「カードを2枚セット!オイラのターンは終了だ!」

 

「…ボクのターン……ドロー!」

 

 

 

 ()(かつ)にカード効果で【焔虎(フレイム・タイガー)】を破壊しようものなら、墓地に眠る【グリーンバブーン】が特殊召喚される。さて、どう動くべきか…

 

 と言っても、出来るのはこれぐらいだけど。

 

 

 

「ボクは……モンスターをセット!…ターン終了…」

 

「なら、オイラのターン!ドロー!【タイガー・アックス】を召喚するぜ!」

 

 

 

【タイガー・アックス】 攻撃力 1300

 

 

 

(ッ…モンスターが2体に…!)

 

「さらに伏せ(リバース)カード・【()(たけ)る大地】を発動して……バトルだ!【焔虎(フレイム・タイガー)】で、裏守備(セ ッ ト)モンスターに攻撃!」

 

 

 

 全身に炎を(まと)った虎…(いな)、虎の姿を(かたど)った、炎の(かたまり)(せま)ってきた。

 

 【焔虎(フレイム・タイガー)】の攻撃はダメージステップに入り、ボクがセットした守備表示モンスターがリバースされる。

 

 

 

軍隊竜(アーミー・ドラゴン)】 守備力 800

 

 

 

「ニハッ、他愛もねぇ雑魚(ザ コ)モンスターだったか。撃破!」

 

「ぐっ…!」

 

 

 

 セツナ LP 1200 → 200

 

 

 

(…!?守備表示だったのに、ライフが減ってる!?)

 

「ニハハッ!【吠え猛る大地】の効果で、貫通(かんつう)ダメージを与えたのさ!」

 

「…!」

 

 

 

 貫通…守備表示モンスターを攻撃した時、対象の守備力を攻撃力が上回っていれば、その差分の戦闘ダメージを相手プレイヤーに与える、特殊効果か。

 

 

 

「でも!【軍隊竜(アーミー・ドラゴン)】は破壊された時、デッキから同名カードを特殊召喚できる!」

 

 

 

軍隊竜(アーミー・ドラゴン)】 守備力 800

 

 

 

「悪あがきだぜ!()れ!【タイガー・アックス】!」

 

 

 

 巨大な(オノ)を振りかざす獣人の一撃で、軍隊竜(アーミー・ドラゴン)は全滅させられた。

 

 

 

「良かったなぁ?【タイガー・アックス】は獣戦士族だから、【吠え猛る大地】の効果を受けねぇぜ」

 

「ッ…!3体目の【軍隊竜(アーミー・ドラゴン)】を、特殊召喚!」

 

 

 

軍隊竜(アーミー・ドラゴン)】 守備力 800

 

 

 

(…なんとかモンスターを場に残せた…)

 

「ニハハハハッ!オイラの攻撃は、この程度じゃ()まらないぜ!トラップ発動!【キャトルミューティレーション】!」

 

「!?」

 

「【焔虎(フレイム・タイガー)】を手札に戻し、同じレベルの獣族を手札から特殊召喚する!オイラの手札は【焔虎(フレイム・タイガー)】1枚。よって、こいつを再び召喚だ!」

 

 

 

焔虎(フレイム・タイガー)】 攻撃力 1800

 

 

 

「……!」

 

「バトルフェイズ中に特殊召喚された【焔虎(フレイム・タイガー)】には、当然2回目の攻撃権が与えられる!つまり、【吠え猛る大地】の効果で貫通ダメージが発生し、お前のライフは(ゼロ)となる!」

 

「くぅ…」

 

「これが…『十傑』の強さ…!」

 

「ニハハハッ!な~に、へこむ事ないぜ?オイラが強すぎたんだよ!」

 

 

 

 【焔虎(フレイム・タイガー)】が(うな)り声を響かせて、防御(ぼうぎょ)態勢(たいせい)の【軍隊竜(アーミー・ドラゴン)】を()(かく)していた。

 

 

 

「なかなか楽しかったぜ、セッちゃん!つーわけで、バトル!【焔虎(フレイム・タイガー)】の攻撃!」

 

 

 

 - いいや、まだ希望は残ってる!

 

 

 

(トラップ)カード・【パワー・ウォール】発動!」

 

「!?」

 

「デッキの上からカードを墓地に送る事で、1枚につき、500ポイントの戦闘ダメージを軽減する!ボクが受けるダメージは1000。よって、デッキから2枚を捨てる!」

 

 

 

 【軍隊竜(アーミー・ドラゴン)】は破壊されたけど、半透明の防壁(バリア)が展開されて、ボクを貫通ダメージから守ってくれた。

 

 それに、墓地には良いカード(・ ・ ・ ・ ・)も来てくれた。次のターンで、あのカードを引き当てれば…!

 

 

 

「しぶとい野郎だぜ…ターンエンド!」

 

「…ギリギリで上手(う ま)(しの)いでるわね」

 

「ボクのターン!」

 

(-!)

 

 

 

 ……ドローしたカードを一瞥(いちべつ)して、ボクは勝利を確信した。

 デッキに対する感謝の念と、逆転への活路を見出(み い)だせた喜びから、自然と顔が(ほころ)ぶ。

 

 ありがとう、ボクのデッキ。

 

 

 

「手札から【復活の福音(ふくいん)】を発動!墓地の【ダークブレイズドラゴン】を特殊召喚!」

 

 

 

 荒れ狂う烈火の奥底から、闇の竜が飛翔する。

 

 ダークブレイズドラゴン。

 

 【ラビードラゴン】、【トライホーンドラゴン】に次ぐ、ボクの第3の切り札だ。

 

 

 

「墓地から舞い戻った【ダークブレイズドラゴン】は、攻撃力が(ばい)()する!」

 

 

 

【ダークブレイズドラゴン】 攻撃力 2400

 

 

 

「なっ…いつの間に…!?」

 

「さっき【パワー・ウォール】を使った時に、だよ。それと、もう1枚……(トラップ)カード・【スキル・サクセサー】を、墓地から発動!」

 

「墓地から(トラップ)だと!?インチキ効果もいい加減にしろ!」

 

「ダークブレイズの攻撃力を、800ポイントアップ!」

 

 

 

【ダークブレイズドラゴン】 攻撃力 2400 + 800 = 3200

 

 

 

「攻撃力…3200!?」

 

「バトル!【ダークブレイズドラゴン】!『バーンズダウン・ヘルファイア』!!」

 

 

 

 標的は【焔虎(フレイム・タイガー)】。その灼熱の身体とて、ダークブレイズの炎を食らえば、ひとたまりも無い。

 

 

 

「ぐあぁあああっ!!」

 

 

 

 虎丸 LP 2800 → 1400

 

 

 

「ち、ちくしょお…!だがまだ、オイラのライフは…!」

 

「……チェックメイトだ」

 

「へ?」

 

「【ダークブレイズ】は、戦闘で破壊した相手モンスターの攻撃力分のダメージを、相手プレイヤーに与える!『ブレイジング・ストーム』!!」

 

 

 

 これこそが【ダークブレイズ】の真骨頂。爆炎が全てを吹き飛ばし、相手のライフを灰にする!

 

 

 

「うおああぁーーーッ!?」

 

 

 

 虎丸 LP 0

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…ちぇー、オイラが負けちまうなんてな」

 

「いや、本気で危なかったよ。一歩でも間違えたら、ボクが負けてた」

 

「ニハハッ!でもさ……良い決闘(デュエル)だったよな」

 

「うん。楽しかった」

 

 

 

 ボクが右手を差し出すと、虎丸くんは(こころよ)く、握手をしてくれた。……と、次の瞬間。

 

 

 

「うりゃ」

 

「いだだだだだだだっ!?」

 

 

 

 万力(まんりき)みたいな握力で、強く握り締められた。痛い痛い折れる折れる!なんか手がミシミシ言ってる!

 

 

 

「ニハハハッ!冗談だよジョーダン!決闘者(デュエリスト)にとって、手は命だもん」

 

「ば、馬鹿力め…!」

 

 

 

 やれやれ。おっかない野生児もいたものだ。

 涙目になりつつ、()かれた右手を優しく(さす)っていると、虎丸くんが(きびす)を返して歩き始めた。

 

 

 

「そいじゃー、オイラはもう行くわ」

 

「あ…虎丸くん!」

 

「ん~?」

 

「また、決闘(デュエル)しようね」

 

「……ニハハッ。おうよ!今度はオイラが勝つからな?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 虎丸くんの背中を見送った後、ボクはメガネを掛け、床に放置していた自分の(カバン)を拾った。

 

 

 

「はぁー疲れた……お待たせ、アマネ」

 

「お疲れさま。どうだった?十傑との決闘(デュエル)の感想は」

 

「……う~ん…あんな強いのが他に…えっと?虎丸くんで3人目だから……あと7人もいるのかと思うと、(こわ)くて泣きそうだよ」

 

「…うそつき。そんな嬉しそうな顔しちゃって」

 

「あはは。バレた?」

 

 

 

 にやけてしまうのを隠し切れなかったみたいだ。流石(さすが)に、アマネの目は誤魔化(ご ま か)せないか。

 決闘者(デュエリスト)の本能って奴かな。正直に言うと、ワクワクしてる。

 

 

 

「さて、帰りますか」

 

「そうね」

 

 

 

 『選抜試験』を少しだけ、待ち遠しく感じながら、ボクはアマネと帰路(き ろ)に就いた。

 

 

 

 





 何故か思った以上に難産で、更新に一ヶ月近くもかかってしまった…!( °ω°)もうしわけない

 でも時間をかけた分、なかなか熱いデュエルになったのではないかと作者は思っております((o(°ω°)o))がんばった

 懐かしいカードを使わせるのは楽しい…!
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