俺の名前は佐藤 和真。普段は学校に行かず、引きこもっていた何処にでもいる高校生。
ある日、おれはゲームの新作を買って帰る途中で、女の子がトラックに轢かれそうな所を助けて死んでしまった。
…と思っていたら、トラックではなくトラクターで、轢かれたのではなく轢かれたと思ったショック死だったらしい。
そんな俺に突如現れた女神により、チート特典と共に異世界に転生させてくれることに‼︎
だが、その女神の態度があんまりだったので、一緒にこの世界に引きずり込んでやった。
しかし、この女神は想像を絶する使えない駄女神‼︎2人では満足にクエストもこなせない為、仲間を募ったところ。現れたのは爆裂魔法しか使えない、ロリっ子魔法使い。
仲間にする気は無かったのに、周りの冷たい視線がヤバかったので結局仲間にしたのだが…。
「おい、本当に来るんだろうな?その、ちょび眉剣士は」
俺はテーブルの向かい側でせっせと料理をかきこんでいる、爆裂娘のめぐみんにジト目で問いかける。
先程まで、スキルについて教えて貰っていた。冒険者である俺は、教えて貰えさえすれば、どの職業のスキルでも覚えられる。
そうしたら、めぐみんは爆裂魔法ごり押しで、ロリっ子と言ったら落ち込んで…。復活しては料理に食らいつく。
駄女神は駄女神で二階の席で宴会芸を披露している始末…。
俺の異世界生活は不安が募るばかり。
「モグモグ、…んぐ。昼も過ぎたので、そろそろ来ると思いますよ?置き手紙もしてきましたし…。それと、本人の前でちょび眉は禁句です。コンプレックスのようなので」
「お前がちょび眉剣士って言ったんだろうが‼︎」
ばん!っとテーブルを叩き、はぁ〜とため息をつく。めぐみんの仲間であるちょび眉剣士。一体どんな奴なんだ?こんな頭のおかしい爆裂娘とパーティーを組むなんて…。
…しかし、名前の響きが気になる。もしかして…。
「あっ、来ましたよ!シンジロウ‼︎コッチです‼︎」
どうやらちゃんと来たようだ。めぐみんはフォークを持ったまま立ち上がり、ギルドの入り口に向けて手を振っていた。
俺もそちらを振り向くと、この世界ではありえない格好をした少年がいた。
歳はめぐみんと同じくらいだろうか?黒髪黒目で髪は短く、まだまだ幼さが残る顔に絆創膏が貼られていた。見た感じスポーツ少年っといった雰囲気だ。
…眉毛の範囲が狭い。ちょび眉だ。
そして、なんといってもその格好!剣道の袴姿に、ジャージを羽織り、靴はスニーカー!更に腰には刀をさしていた‼︎
「おはよう、めぐみん。…こちらは?」
少し驚いた表情で、ちょび眉剣士は俺を見ている。同じことを考えているのだろう。
「おはようございます、シンジロウ。…ふっふっふ!紹介します!これから私達とパーティーを組む、カズマです‼︎…それと、アクアー!ちょっと来てください‼︎」
めぐみんは2階で宴会芸を披露している、駄女神を呼び戻した。
「ああ、俺は佐藤 和真。16歳。職業は冒険者だ。…ひょっとして、お前も?」
「倉富 真路郎です。歳は14歳。職業は鬼殺隊士。…そうですね、詳しい話は後で2人で」
俺たちは握手しながら、言葉をかわす。最後の方は小声でお互いに聞こえる程度に。
「どうしたのですか?2人とも知り合いでしたか?」
「い、いや!初対面だよ、な!」
「う、うん。初対面だよ。ただ、出身地が同じじゃないかなって…」
「ああ、2人とも変わった格好をしていますもんね」
「なになに?めぐみんも私の華麗な芸を見たいの?…あれ、あなた確か…」
駄女神ことアクアが、見当違いなことを言いながら降りてきた。真路郎の顔をみて、少し考え込んだ。
「えーと、お久しぶりです」
真路郎も一瞬驚いていたが、苦笑いしながら挨拶をしていた。
「ああ!思い出したわ!あなた、絵が上手いちょび眉じゃない‼︎なに?ひょっとして、このアークプリーストであるアクア様のパーティーに入りたいのちょび眉?しょうがないちょび眉ね‼︎私の肖像画を描いたら入れてあげてもいいわよっ⁉︎イタイ!イタアアアイ‼︎」
アクアがちょび眉と言った途端、額に青筋を浮かべ最初は我慢しようとしていたようだが…。
すぐに、アクアの顔面にアイアンクローを決めた。コンプレックスを連呼したんだ、アクアが悪い。
泣きじゃくるアクアを無視して話を進めて行く。
職業は鬼殺隊士と言って聞き覚えがあるものだし、恐らく転生特典か何かだろう。
今後パーティーに入ることに異論はないようだ。新たな仲間は、前衛の剣士と後衛のアークウィザード。
聞こえはいいが後衛はダメダメ。転生者である真路郎は何かしらのチート特典を持っているはずだから、是非とも期待したいところだ。
一通り話し終え、真路郎が覚えているスキルについて聞こうとしたのだか…。
「探したぞ」
「げっ!」
真路郎side
この世界にきて、初めて転生者に出会った。名前は佐藤 和真。そして、何故か俺をこの世界に送った、女神アクアと再会した。
色々と話をしたいがめぐみんがいる手前、話せるような内容じゃない。とりあえず話題としてスキルの話が出たが…。
「探したぞ」
「げっ!」
突然、後ろから声を掛けられ、和真は嫌そうな声を出した。振り向くと、金髪碧眼でフルプレートに身を包んだ美女がいた。女騎士を体現した見た目で、歳は和真より上かな?背も170はあるんじゃないか?
「昨日は酔ったと言って、帰ってしまったが…。私をパーティーに入れてくれないか?」
「お断りします」
和真の返答は早かった。見た感じ凄そうな騎士なのに、なんでダメなんだろう?
「即答、だと…!…ん、くっ。私の目に狂いはない」
なんか顔を赤らめながら、和真の肩を掴んでいる。それを引き剥がそうとする和真。これはどんな状況なんだろうか?
そんな事を考えていると、女騎士の後ろから知った声が聞こえてきた。
「あはは!ダクネス、いきなり困らせるようなことしたらダメだよ!」
「あっ!クリス」
「おっ!シンジロウ、怪我はもう大丈夫?早速、昨日のクエストの報酬を受け取りに行こうか!」
クリスはそう言うと、俺の手を掴みギルド受付まで引っ張っていく。チラッと見えためぐみんの視線が少し気になったが…。
クエストの報酬とゴブリン20匹に初心者殺し1匹。2人で分けても中々の額になった。更に山賊の残した金貨と宝石もある。これで防具の足しにできそうだ。
めぐみん達の元に戻ると、和真とダクネスと言う女騎士は今だに問答を繰り広げていた。
「ほら、ダクネスは落ち着いて。君達がダクネスの入りたがっているパーティーかな?シンジロウもこのパーティーに入ったの?」
「うん。て言っても、今日入ったばっかりだけど」
「そうなんだ。…ねぇ、さっきチラッと聞こえたんだけど、スキルについてお悩みかな?だったら、盗賊スキルなんてオススメだよ!」
スキルの取得に悩んでいた和真にクリスが提案し、盗賊のスキルについて大まかに説明した。
「和真さん、俺は昨日見たんだけど凄い便利そうだったよ」
「おっ、本当か?それなら覚えてみようかな…。後、さんはいらないよ。敬語もな」
「ふふ、今ならクリムゾンビア一杯で教えてあげよう!」
「安いな!すいませーん!こっちの人に冷えたクリムゾンビアお願いしまーす‼︎」
雑談をしながら一杯ひっかけた後、スキルを覚える為に和真とクリス、女騎士のダクネスはギルドを出て行った。
その間、俺はめぐみんに和真達とパーティーを組む経緯を聞いた。…アクアは宴会芸の披露に戻っていた。
・アクアが書いたパーティー募集を見て、声をかけた。上級職限定だったらしい。
…駆け出しの街で上級職なんて滅多にいないのでは?
・お試しとして、ジャイアントトードの討伐に。
・何時も通り、爆裂魔法で吹き飛ばしたこと。…あの爆発音はやはりめぐみんだったのか。
・動けなくなったところを、カエルに捕食されてしまい和真に助けだされたらしい。そして、粘液でヌルヌルのまま、街まで帰り和真を脅して仲間になったそうだ。
(…街で、クズだの鬼畜だの言われていたのは和真だったのか。なんか、申し訳ないな)
俺の方も昨日の事を一通り話すと、めぐみんは眉をひそめた。
「良いですか、シンジロウ。私のいないところで、危ない事をしないで下さい。いざという時に私の爆裂魔法で助けられないじゃないですか」
敵と近距離なのに爆裂魔法を打たれては困る。と思ったが、めぐみんなりに心配してくれているのだから言わないでおこう。
「うん、出来るだけそうするよ」
「分かればいいです!」
俺たちは何気ない話に花を咲かせていると、和真達が戻ってきた。
戻って来たのだが…。
今回は和真とアクア、そしてダクネスとの出会いでした。
次回は、みんな大好き!○○○泥棒です!