麒麟児になりて   作:氷月

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11話

手合わせが終わり今は中庭にある机でお茶を飲んでいるのだが、黄蓋が手合わせの内容に未だに納得できず不満げだった。

 

「祭いつまでも不貞腐れてるな」

 

「しかし夏蓮殿、やはり納得仕方い、儂としては打ち合いがしたかったのじゃからな」

 

狼との手合わせの内容に納得ができまいらしい。

先手を譲られた狼はまず模擬刀を上に投げた、黄蓋はそれに一瞬気をとられ視線を逸らした。

そこで狼は少し下げた左足で地面を蹴り音をだし、それに黄蓋は反応し視線を戻すと狼はまだいる。

その自身の予想した事と違うことに驚き黄蓋はその場から動けず、そこに狼が投げた模擬刀の刃の部分が黄蓋の肩に落ちてきたのだ。

狼は模擬刀を真上に投げたのではなく山なりに少し前方に投げたのだ。

狼の行動は黄蓋をその場に止めるための行動だったのだ。

 

「いい歳して子供の策に嵌まった祭が悪い、まあ打ち合いが見てみたかったのも事実だけどな」

 

そう言うと狼を見る孫堅。

 

「そう言われましても、仕方ないじゃないですか、打ち合っても勝てそうにありませんでしたし、勝つために考えた結果なんですから」

 

狼は俺がいけなかったのかと考えた。

やはり手の内をさらすのを避けあえて奇策を行ったのだ。

 

「お母さま用ってなに?」

 

「夏蓮様お呼びでしょうか」

 

そんな中、二人の女の子が近付いて孫堅に話しかけた。

 

「おお来たか雪蓮、冥林。」

 

孫堅と同じ桃色髪の女の子はおそらく孫策、黒髪眼鏡の女の子は周瑜だろうかと狼は考えていた。二人とも狼より少し歳上にみえた。

 

「ああ、お前達をこいつに逢わせたくてな」

 

そういって狼の頭をわしゃわしゃと撫でた。

 

「ちょ!止めてください孫堅様!」

 

それを狼はやめるように訴えた。

 

「この子ですか?」

 

「ふーん」

 

狼を見て考え始めた周瑜、一方で何かを悟った孫策。

 

「この子が前に噂になった天水の麒麟児?」

 

「ほぅ何処で気付いた雪蓮?」

 

「え?勘だけど?」

 

やだなーお母さまと言わんばかりに孫策が答えた

 

「流石私の娘だな。」

 

「普通はわかりませんぞ?」

 

「そうです」

 

黄蓋と周瑜は、はぁーとため息をつきながらあきれている。

この親あってのこの子かと狼と明命は思っていた。

 

「気になってたんだがお前さんは何て言うんだい?」

 

「周幼平といいます。」

 

ふと明命に名をたずねた孫堅、明命は素直に名乗った。が、そこで孫堅と黄蓋の顔付きが変わった。

 

「確か劉表が厄介がってた賊の中に幼いながらにすばしっこい奴がいるって聞いたことがある」

 

「その者の名が確か周幼平じゃった。偶然かのう?」

 

そう言って狼と明命をみる孫堅と黄蓋。

さてどうしたものかと狼はかんがえた。自分の領地でないとはいえ、賊だと判れば捕らえられる可能性はある。しかしそんな狼の考えを知らず明命は答えた。

 

「そうです、私がその周幼平です。」

 

「ほぅ潔いn「私は!」むぅ?」

 

黄蓋の言葉に明命が言葉を被せ話をつづけた。

 

「私達は皆誇りを持って生きてきました!間違った事をしたつもりもありません。それでも私を捕らえられるのでしたら・・」

 

そこで明命は後ろに飛び下がり少し前傾姿勢で長刀にに手をかけた。

 

「敵わずとも全力で抗って見せます!」

 

「ほぅ面白い」

 

明命の言葉に笑いながら立ち上がり模擬刀を手にする黄蓋。

素直なのが明命のいいことだ、短い時間だが一緒にいてそれは知っている。

自分が、自分達のしてきたことが、其ほどまでに否定されなければならないのかという悔しさがあるのもわかる。

が、ここで孫堅と敵対するのはよろしくない。ふと孫堅を見ると楽しそうに笑っている。

ここで狼は理解した、孫堅自身は明命をとらえる気がない、先の手合わせで見れなかった実力を見せろと言っているのだと。黄蓋を止めて見せろと。

 

狼は、はぁ~とため息をついた次の瞬間明命と黄蓋の間に移動した。

 

「「なっ!?」」

 

「へぇ~♪」

 

その動きに孫策と周瑜は驚きの声をあげ、孫堅は楽しそな声をあげている。

 

「そこまでにしてください黄蓋様、先の手合わせとは違います。でなければ俺も刹那を抜かなくてはいけません。」

 

そういって腰に差した刹那に手をかけた。

 

「面白い儂に勝てると思っておるのか?いいおるのぅ十程の童が」

 

「・・・狼様」

 

狼の言葉に少しイラッとした黄蓋、それを見て明命が不安そうに狼の着流しを掴んだ。

 

「明命の気持ちの全てはわかってやれないが、明命達がやってきたことは間違ってなんかない、その気持ちを明命が貫き通すにはまだ力不足だ、たから今はまだ俺が守ってやる。」

 

なっ、と狼は明命に笑いかけそれに明命は少し目を潤ませながら、はい!と答えた。

 

「格好つけとるが本気で勝てるつもりか?」

 

「はぁ、あまり嘗めない方がいいですよ、天水の麒麟児の名はだてじゃない無いんですから、ね?」

 

そう言って殺気を放つ狼、その殺気はとても十歳の子供が放つものではない鋭さだった?

その殺気に黄蓋は冷や汗が流れた。

 

『なんじゃこやつの殺気は!?これで齢十程の童が放つ殺気か?いかんのぅこれは儂に勝てるというのもあながち嘘では無さそうじゃな、これが天水の麒麟児か。』

 

黄蓋は内心焦り天水の麒麟児にたいする己の評価が過少評価だったと認識を改めた。

 

「まあこんなもんでいいか、祭やめな、お前達も武器から手を引きな、私は周幼平を捕らえるつもりはない。」

 

緊迫した空気を孫堅が破った。

 

「はぁ、孫堅様も意地が悪いですよ?」

 

「まあいいじゃないか、それにしても大した殺気だったよ、認識を改めなくちゃいけないね。」

 

狼は呆れ、孫堅はわらっていた。が他の四人は納得がいかない。

 

「夏蓮様どういうことですか?」

 

「お母さま?」

 

「説明いただけますな夏蓮殿?」

 

「え~と狼様?」

 

「孫堅様は明命達を認めてた、だけど俺に黄蓋様を止めて見せろと言ったんだよ。」

 

理解できない明命に狼が説明してあげた。

 

「そうゆうことだ、悪いのは劉表達でお前さん達は間違っちゃいなかった。しかしあんたが一人で姜維といるってことは」

 

「・・・はい、先日劉表軍に襲撃され、私以外は・・・私も追っ手に殺されかけた所を狼様に助けていただきました。」

 

「そうだったかい、悪かったね嫌なことを思い出させちまって」

 

孫堅の言葉に俯きながら答え、その真実を知った孫堅は謝罪した。

 

「いえ、孫堅様が謝られることはありません」

 

孫堅の謝罪に笑顔で返すがやはりその目は涙で潤んでいた。

 

「あんた達今日は家に泊まりな、いいね?拒否権はないよ♪」

 

「流石お母さまいい考えだわ」

 

「私も天水の麒麟児と話をしてみたいですね」

 

「そうせいそうせい、甘えられる時に甘えぃ。」

 

孫堅の提案に他の三人も賛同し逃げ場はないようだった。

 

「わかりました。お言葉に甘えさせてもらおう明命」

 

「はい!ありがとうございます!」

 

そうしてお泊まりが決定したのだった。

 

 

 

 

 




黄蓋との手合わせで使った行動、何のネタかわかる人いるのかな?
微妙に変えてありはするんですけど。
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