豫州のとある街、狼達はこの街に曹操がいると聞き付けやって来ていた。
街を歩き曹操が住む屋敷を見つけたが突然訪ねたとしても門前払いされるのがおちだろう。
「話をしてみたいから忍び込んだら不味いな、街を彷徨いて出てくるのを待つか」
「では、もうお昼ですしご飯にしましょう狼様」
狼が忍び込むのを断念すると、明命が手をパンと合わせご飯を食べることを提案した。
「そうするか。じゃあ明命案内よろしくな、行ってみたい店があったんだろ?」
「はぅわ!?狼様はお見通しだったんですか?」
「通りを歩いてる時に明命の視線が止まった店があったからな。」
「あぅあぅ///」
顔を赤くし下を向いた明命を笑いながら狼はあるきだした。
「はぁ~♪食べるのが勿体ないです!」
そう言って明命が見ているのは猫の顔をした饅頭である。
この店では普通の料理の他に甘味がありその中の名物が猫の顔をした饅頭である。
しかし幸せそうな明命と対照的に狼はお茶を啜りながら不満顔だった。
『青椒肉絲は材料の火の入りかたがまちまちだった、炒飯も水分が飛ばし切れてなくてベタついてた』
食べた料理に不満があったのだ。
前世では自分で料理をしていたためプロ顔負けの腕をしていた狼からして許せなかったようだ。
「この程度の腕でよく店を出せたわね」
「なんだと!!」
狼がそんなことを思っていると怒鳴り声が店内に響いた。
「もう一度言ってみやがれ!」
「ええ、何度だって言ってあげるわ。よくこの程度の腕でよく店を出せたものね」
店長らしき男に金髪で巻き髪の少女が文句をいい、それにたいして店長らしき男は顔を真っ赤して怒鳴っている。
「炒め物は火をつかえきれずに余計な水分が残っているし、味付けも辛味で誤魔化してるわね」
その言葉に店長らしき男は言葉に勢いがなくなった。
「自覚はあるみたいね。猫の顔をした饅頭で客を呼び込んでるみたいだけど、料理の腕がこの程度なら、客足が落ちるのも時間の問題ね」
さらに言い放たれた少女の言葉に肩を落とし意気消沈して調理場に戻って行ってしまった。
「よくもまあ、あそこまではっきり言うもんだ」
その少女の言葉に共感が持てはするがあそこまではっきり言わなくてもいいんじゃないか?と思えなくもなかった。
「行くわよ春蘭、秋蘭」
「「はい、華琳さま!」」
その少女は立ち上がり同席していた黒髪と青髪の女性の真名?を呼び店を出ていく。
その光景をみて狼は金髪の少女が曹操だと確信した。
「明命追うぞ」
「はい!」
三人を追って二人も店を出た。
「よくあれだけ率直に言えるもんだ。俺もそう思ったけどあそこまで言えないな」
「あら?貴方はなかなか分かるわね。でもはっきり言った方があの店長のためになるでしょう?」
歩いている曹操と思われる少女に話しかけた狼に少女は言葉を返した。
「誰だ貴様!気安く華琳さまに話しかけるとは!」
黒髪の少女が狼に食って掛かる。
「止めなさい春蘭、それにしても貴方その格好といい味覚の良さといい面白いわね?私は曹操、字は孟徳、貴方名前を聞かせてもらえないかしら?」
「華琳さま!?何故そんなやつの名を!?」
「止めないか姉者」
「だが、秋蘭!」
その少女は狼の予想通り曹孟徳その人だった。曹操が名乗り狼の名を聞くが黒髪がまたしても声をあげるが青髪が止める。
「礼儀正しさ、流石は曹家令嬢だ、俺は姜維、字は伯約だ。」
「そう、あなたがあの天水の麒麟児なのね。よければ家にこないかしら?もてなさせてもらうわよ?」
「それじゃあ、お言葉に甘えて」
「か、華琳さま!?」
「春蘭、聞く耳もたないわよ。」
曹操は狼の名を聞き驚いたが、すぐに嬉しそうな顔をし家に来ないかと誘い狼はそれに応じた。
それに黒髪が反対しようとしたが曹操に止められてしまった。
そして五人は歩き出した。
曹操の屋敷に付き客室でお茶を飲み始め曹操が口を開いた。
「天水の麒麟児の由来の話、あれは真実なのかしら?」
「曹操殿はどんな噂を聞いているんだ?」
「私は貴方が齢六にして山賊三十人を一人で討ち果たしたと聞いているわ」
「まさか、ありえません!?」
「確かに信じがたいことかと」
天水の麒麟児と狼が呼ばれる理由の真偽を曹操が聞き狼は聞いた話の内容をたずね、曹操が聞いた話を話すと黒髪と青髪の女性は信じられないと言った感じだった。
「正確には三十五人だけどな」
「そう、本当なのね。」
狼の答えを聞き狼心底楽しそうな笑みを浮かべる曹操。
「ありえません!おい貴様!表に出ろ!」
「止めなさい、春蘭。姜維、もう一つ聞くわ、貴方が銀の幻影ね?そうなるとそっちの娘が黒き瞬神かしら?」
その言葉に驚きの表情を浮かべる黒髪と青髪の女性。
「よくわかったな?そう、こちらの御方が黒き瞬神様だ。」
「止めてください狼様!恥ずかしいです!」
そんな二人をよそに明命をからかう狼、そしてそれをやめるように訴える明命
「そう、貴方たち私に支えなさい」
「な、何を言われるのですか華琳さま!?」
「また華琳さまの悪い癖が」
「何か嫌な予感が」
「鬼ごっこはもう嫌です」
その言葉に黒髪は抗議し、青髪はまたかと飽きれ、狼と明命は孫家を思いだし身震いをした。